※この作品はR-18です。

好色平凡な男がゾイドに乗る   作:触手スライム

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6話 状況報告会議

 

Z.E. 428年 2月11日 午前11時00分

 

倭国首都ヒノデの軍事基地【ヒノデ】では、モニター越しに、この国の皇族が見る形で緊急御前会議が行われ、ヘリック共和国、ゼネバス帝国、ガイロス帝国も参加していた。

 

 壮年の男性が立ち上がった。

「まず、彼から時系列を追って全体状況をご説明申し上げます」

 倭国の軍務大臣コウヤ・セニワの挨拶から始まった。

彼の言葉を受けて軍服に身を包んだ男が、スクリーンに全体図を出して話し始める。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「本日説明をさせていただく、国防軍対エネミーゾイド対策室のフジクラ中佐であります。

 2月5日 午前10時26分、わが軍はヒルコ島に超大型エネミーゾイド推定母艦級【キューブ】を発見、キューブ破壊作戦のため主力艦隊が出撃しました。

 

 この時出撃したのは、第一護衛艦隊、第二護衛艦隊を主力とし、第一輸送艦隊、第二輸送艦隊を上陸支援とした編成になります。

 

 艦隊司令部は、アカツキ島への空襲リスクと、敵による退路遮断を警戒。

 艦隊を南北に分散させることで、片方が捕捉されてももう一方がキューブを叩く【二段構え】の航路を取りました。

 合流地点まで順調だったのは、むしろ敵が我々を引き込むための計算だったと推測されます。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 …… 2月10日 午前9時、イシ島とヒルコ島の中間にて両艦隊は合流。直ちにキューブ破壊作戦を開始いたしました。

 

 第一一一・一二一護衛戦隊が先行し、揚陸艦隊は稜線に隠れるように進路を取りましたが、ここで敵シンカーによる急襲を受け、足を止められます。

 その直後、荷電粒子砲により二個戦隊は消失いたしました。

 

 司令部があえて両戦隊を先行させたのは、本隊たるビガザウロASへの直撃を避ける【デコイ兼観測員】とするためでした。

 犠牲を前提とした防壁でしたが……敵の【荷電粒子の充填速度】は、消失した二個戦隊が稼いだ時間を、わずかに上回っていたのです」

 

<ちょっと待て、シンカーだと?>

 ヘリック共和国の副大統領アドルフ・テイラーから疑問の声があがった。

 彼の黒髪には白髪が混じっているが、壮年の男で、緑色の瞳は力強く見据えていた。

 

「はい。

 これが、随伴していた航空中隊の当該映像です」

 モニターに映されたのは、シンカーとよく似ているが細部が異なる機体だった。

 

<確かに似ているな……>

「……いえ、正確には我々の知るシンカーを、奴らなりに最適化したような異質さがあります。

 断定はできませんが、否定する材料もない上、水中での隠蔽性能を利用した待ち伏せ、空戦能力を考慮し、運用思想そのものが我々のシンカーをトレースしていると考えられます」

 

<なるほど、頭が痛いがとりあえず進めてくれ>

 共和国のアドルフにフジクラが頭を下げると、再びスクリーンを指した。

 

「荷電粒子砲の攻撃後、敵シンカーへの対応として、航空中隊が応戦しますがこれに敵の増援としてハエが戦闘に突入してきました。

 

 2月10日 正午、第一一二護衛戦隊、第一二二護衛戦隊は海岸までの盾となるべく戦闘海域に突入、第一第二護衛艦隊本隊のビガザウロ強襲揚陸型(AS)6機は、輸送艦隊と上陸を敢行しました。

 

 上陸地点には、フナムシが待ち構えており、洋上射撃と航空攻撃で対応したのですが、上陸中にエネミーゾイドと思われるマーダの強襲を受けます」

<今度はマーダか>

 ゼネバス帝国の軍務卿イワン・マカロフが呻くようにつぶやいた。

 

<だが、妙だな。報告にある装備……貧弱すぎんか?>

「こちらも映像を用意しています。

 正確ではないかもしれませんが、時速200km以上の速度で接近し、ビームをまき散らして帰って行くと報告が来ております」

 

<やはりな。本来のあいつなら、もっと重い実弾兵装を積める拡張性がある。

 それを捨てて速度と小口径ビームに振ったか……あるいは、【それしか用意できなかった】か>

 マカロフの独り言に近い分析を、共和国のアドルフも黙って聞いていた。

 

<……弾薬を製造するラインが死んでいるのか、あるいは資源がないのか。いずれにせよ、万全の状態ではないようだな>

 マカロフが続けた分析を周囲は黙って聞いていた。

 

「上陸した部隊が、マーダを追撃したところ、エネミーゾイドと思われるハイドッカーと遭遇、報告ではこの機体に武装はないようです。

 しかし、面倒なことにエネルギーシールドと、周囲のエネミーゾイドを修理する機能を有しているようで、前線部隊の進出が遅れています」

 

<修理……? 使い捨ての兵隊を直して使うなど、奴らの行動パターンらしくない>

<【新品を作れない】理由でもあるのか? 力押しだけでなくなったのか、それとも……>

<力押しだけでなくなったか、……400年で学習したのか?>

マカロフの呟きが呼び水になり、アドルフ、ブルクハルトの順に言葉をこぼす。

 

<嫌なことを言わないでください>

<はぁ……>

 ガイロス帝国の軍務卿ブルクハルト・フォン・レイナルドの言葉に、ヘリック共和国、ゼネバス帝国の面々から言葉とため息が漏れ出る。

 

<……ん?

 ああ、……すまない、続けてくれ>

 説明を止めていたことにブルクハルトが気が付き、彼の言葉を受けて作戦状況説明が再開する。

 

「上陸後、ビガザウロASの【50口径20cm連装砲塔】、わが国では【七七式二十糎連装砲塔】と呼称しておりますが、この砲で長距離砲撃を敢行しました。

 上陸地点に向かって来た、大型エネミーゾイド【ボール】3機を撃墜。

 砲撃により【キューブ】のエネルギーシールドを破壊するまでは確認しておりますが、シールド再展開が予想より速く、ダメージを与えてはいますが攻め切れていません。

 

 ここまでが、今朝までのキューブ討伐作戦の状況になります。

 榴弾も併用し、一点への飽和攻撃を敢行しましたが、敵の異常な充填速度によるシールド再展開に阻まれ、決定打に至っておりません。

 現状、有効性が確認されているのは、特定条件下における【特殊徹甲弾】のみとなります。

 また、敵陸上戦力により、上陸部隊が押し負ければキューブ級のコア完全破壊が難しくなります。

 これらのことから、早急に増援と補給を出す必要があります」

 話し終えたフジクラは軽く視線で見渡した後、その場から下がった。

 

「次に、」

<……待て。特殊徹甲弾だと?

 我々大陸の軍隊は、一年前まで続いた戦争を経て、エネルギー兵器の性能を高めている。

 質量弾(実弾)など今や予備機用の型落ちではないのか?

 ボールには、物量で圧倒させるしかないと記憶しているが、それにしてはボールの撃破率が高い。

 エネルギーシールドを物量以外で、しかもその質量兵器で破ったというのか?

 その辺のところを聞かせてもらいたい>

 セニワが次の話に進めようとすると、アドルフ・テイラーから声がかかる。

 

<……そうだな、事は惑星Ziの住む人類にかかわるか。

 朕の名で公開を許そう>

 皇族の中心にいる黒髪の若い男がそう言った。

 

「では、技術部のサケクラ少将より説明させます」

<うむ>

 セニワの問いかけに、皇族は了承を示す。

 軍服に身を包んだ男が前に出てくる。

 

「ご紹介にあずかりました、技術工廠統括本部のリュウゾウ・サケクラです。

 先程のご質問にあった特殊砲弾は、本土防衛戦の最中に、生産数の確保と補給の簡略化のため、特殊徹甲弾として量産配備を開始しております」

 その言葉の後に戦闘記録映像が映される。

 

「それでは、先の首都防衛戦にて補給部隊の護衛にあたっていた機体による、大型エネミーゾイド【ボール】撃破時の記録を。

 映像の機体は、そのレッドホーンになります。

 主武装は【52口径150mmキャノン】、わが国では【七七式十五糎加農】の呼称になりますが、今朝方、ヒノデ防衛線S26地点にてレッドホーンが記録したものです。

 本機はその前日にも遭遇戦で撃破しており、二度目の撃破成功例となります」

 説明に続く様に砲撃がボールの表面をノックする様子が映される。 

 

「この機体が運用していたのは、我が国が独自に開発した【特殊徹甲弾】です。

 詳細な組成は軍事機密ですが、これはシールドのエネルギーを【貫通】するのではなく、接触面の物理エネルギーを一時的に中和、あるいは相転移させる性質を持ちます。

 この砲弾は、一定以上の磁力あるいはエネルギー粒子内に入りますと、弾芯に添加した特殊素材が反応し、自壊しつつ質量が高くなる性質を持ちます。

 そのため、エネルギーシールドに砲弾が命中するとエネルギー粒子の膜が歪み、最終的に穴をあける事が出来ます。

 欠点として、電磁砲やリニアキャノンのような砲に搭載できず、火薬砲になること。

 他の問題点としては、砲弾発射時に外れますが、砲弾が発射時まで防護ケースに入っているため、弾倉を圧迫します。

 その防護ケースは、強い電磁パルス攻撃などを受けたときに砲弾が起動しないようにするための安全装置になります」

 サケクラはそこで言葉を切った。

 

<……あのレッドホーンが、そんな芸当を?

 信じがたいが、映像は本物のようだな>

<その砲弾であれば、エネルギーシールドを破れるのか?>

 イワン・マカロフが漏らした驚きの声とアドルフ・テイラーの問い掛けが重なった。

 

「エネルギーシールドの強度や、対象の大きさもよりますが、

 今のところ破壊できております」

 ゼネバス帝国イワン・マカロフの問いかけに、サケクラは答えると映像を映す。

 

<なるほど……頭が痛いな>

 ガイロス帝国のレイナルド卿が溜息をつく。

<……我々は一年前まで続いた大陸間戦争において、ゾイド同士の光学兵器による射撃戦と、それを防ぐためのエネルギーシールド技術を突き詰めてきた。

 その結果、現在の主力はエネルギー兵器体系に偏り、質量弾のストックも、それを作るノウハウも、もはや二線級の旧式機向けにしか残っていないのだ>

 イワン・マカロフも続けるように告白していた。

 

<共和国も同じだ。

 エネミーのシールドに対し、我が国の最新ビーム砲が有効かわからない以上、実績があるというだけでその【特殊徹甲弾】のデータは喉から手が出るほど欲しいな>

 アドルフ・テイラーが本音をこぼした後、鋭い目でフジクラを射抜く。

 

 

<それは共和国でも製造可能か?>

「弾芯への添加量など、わが国と同じものであれば可能でありましょうが、工作には電磁波へのシールドが欠かせません。

 また、特殊素材の基となる鉱石は、今のところ海底鉱脈でしか見つかっておりません。

 仮に、鉱脈があっても電磁波などに反応するため地上での採掘は難しいかと考えられます。

 その上で、わが国で生成した特殊素材を海水とケースに漬けて輸送することは可能です」

 サケクラの説明に、全員が黙り込んでいた。

 

<……それでも、エネミーゾイドの被害を考えればやらねばなるまいな>

 ガイロス帝国のレイナルド卿が言うと一同は頷いた。

 

<見返りは話の続きを聞いてからで良いが、我々もできることを考えておかねばな>

<そうだな>

<これは大きいことになりますね>

 ブルクハルトの言葉に、ヘリック共和国のテイラーが同意すると、ゼネバス帝国のマカロフも続いた。

 

「それでは、次の倭国領へのエネミーゾイド襲撃の件に移ります。

 私は、国防軍国土防衛作戦室ソウイチロウ・ニイクラ少将であります。

 

 先の報告冒頭にありましたように、2月5日時点で襲撃の予想を立てており、艦隊に警戒させながら進ませましたが、Z.E. 428年 2月10日 午前9時に急襲を受けました。

 

 アカツキ島、マルワ島、ツキ島、フタバ島、セオリ島の順で、エネミーゾイドの襲撃を南西方向より受ける形となり警戒線を抜かれた形です。

 

 なお、イシ島は、ヒルコ島からの襲撃を2月4日に受けております。

 この襲撃に際して、各島守備隊と現有戦力で応戦し、アカツキ島は港機能の全壊、首都地上施設半壊、コロニー小破、アカツキ島だけの概算で防衛戦力の5割を喪失。

 

 敵ボール級の残骸を調査したところ、荷電粒子砲、エネルギーシールドのコアユニットらしきものを発見しており、技術工廠にて調査中です。

 

 他の防衛拠点ですが、マルワ島とツキ島は、海底ケーブルの通信回線が生きており、基地地下施設に立てこもっていることが確認できています。

 

 ただ、その他の島々は通信途絶状態となっていますので、状況は不明です。

 襲撃時の状況と、ヒルコ島で戦闘が発生しても敵に一切の動きがないことから、別種のキューブ級が存在する可能性が高く、南西方向海洋、西方大陸にあるのではと危惧しています」

 ニイクラの説明が終わるとしばらく沈黙が支配した。

 やがて軍務大臣のセニワが前に出る。

 

「新たなキューブ級については、わが国としても看過できず、しかし現状手を出しようがないため、緊急会合の場を持ったというわけです。

 わが国が対峙しているキューブ級は、原則わが国で対応しますが、残存防衛戦力から戦力を戦場に回しますと、拠点防衛に支障が出ます。

 そこで、エネミーゾイドに対抗可能な陸戦ゾイドでその穴を埋めたいと考え、陸戦ゾイドの開発が盛んな大陸からゾイドの提供をお願いしたい。

 また、西方大陸あるいは海洋への対応についても無視はできず、当面の対応について協議したい」

 セニワの言葉に、一同が頷いた。

 

<そういう事であれば、ガイロス帝国は倭国の砲と特殊砲弾データの見返りとして【マルダー】の製造データを提供しよう>

レイナルド卿はそこで一度言葉を切り、傲慢な笑みを浮かべた。

 

<……だが、データだけあっても、貴国の貧弱な工業力では【絵に描いた餅】だろう?

 マルダーの複合装甲や、その特殊砲弾の芯材となる【G素材】の精製には、専用のプラントが必要だ。

 我々は、その【自動生産プラント】の機材とノウハウもセットで提供してやろう>

 

<……加えて、我が国は先ほど提示された特殊弾の運用データを重く見ている。

 映像資料のレッドホーンは供与された機体だろう、その上で見た目に古臭いセンサーでは、サケクラ少将の言う【中和反応】の真価を測定しきれまい>

 ガイロス帝国のレイナルド卿が提案のあとに厳しく指摘する。

 

 ゼネバス帝国の軍務卿マカロフが、モニターに映るレッドホーンを指した。

<認めよう。あれは我が国の輸出仕様に落とした供与機体だ。

 データ収集を加速させるため、我が国現行の正規品射撃管制システム(FCS)と、高出力レーダーユニットを無償で融通しよう。

 それに、旧式ではあるがゲルダーのようなゾイドの製造データを提供しよう>

 

「……正規品、でございますか。それは輸出制限品のはずですが」

  サケクラが驚きを露わにする。

 

<共通の敵を前に出し惜しみは無意味だ。

 ただし、取り付けと調整は我が国から派遣する技術士官に行わせてもらう。

 技術士官と共に、先日の防衛戦で喪失したという傭兵向けの【ゲーター】を10機ほど送らせて貰おう。

 ……あくまで【傭兵団が闇市で手に入れた正規品】という建前を崩すなよ。

 他国に余計な勘繰りをさせる必要はない>

 ゼネバス帝国の軍務卿マカロフがサケクラの疑問に答える。

 

<……待て、マカロフ軍務卿>

 それまで沈黙していた共和国のアドルフ・テイラーが、冷ややかな声をあげた。

 

<貴国の「手厚い」支援には感服するが……その重厚な装甲と機体重量で、倭国の軟弱地盤や山岳地帯をまともに動けるのかね?>

 テイラーは鼻で笑うと、サケクラに向き直った。

 

<サケクラ少将。現場が必要としているのは、カタログスペックの怪物ではなく、泥と砂に足を取られない【足】だ。

 我が国からは、砂地や不整地での運用に長けた【ガイサック】の製造データと実機を提供しよう>

 さらに、テイラーの目が鋭く光る。

<また、特殊弾のデータ収集には、我が国の技術士官も立ち会わせてもらおう。

 帝国のFCSが収集したデータが、我々連合軍の共通規格(ライブラリ)と正しく同期するか……厳密に【監視】、いや、確認させてもらう必要があるからな>

 

 

 アドルフの緑色の瞳が、モニター越しにマカロフを鋭く射抜いた。 それは支援という名の実質的な【相互監視】の要求だった。共和国にとって、倭国と帝国がこれ以上密接になることは看過できない。

 

 ゾイドのコア毎に個体差はあるものの、構造物としての機体フレームや兵装ハードポイントは、かつて人類が惑星の過酷な環境を切り拓いた【大開拓時代】からの伝統として、厳格に共通化されていた。

 当時、エネミーの脅威を前にした人類にとって、規格の乱立は死を意味した。どこで損傷しても他国の資材で修復し、戦い続けるための生存戦略である【相互互換体制】こそが、現在のゾイド生産の根幹を支えている。

 それゆえに、この場での技術データ供与は、即座に実戦力への転換を意味する極めて重い決断であった。

 

「……感謝いたします。

 では、各国から派遣される皆様は、ヒノデ地区の防衛を担う傭兵として、多国籍の志願兵として受け入れましょう。

 あそこには既に帝国より供与されたレッドホーンが配備されており、検証には最適です」

 セニワが仲裁するようにまとめると、二国の首脳は不承不承ながら頷いた。

 

<西方大陸には調査団としてガイロス・ゼネバス共同で一個師団を送ることを陛下に進言してみようと考えている。

 倭国、共和国とは調査範囲の分担と、倭国には調査団への補給物資の供給をお願いしたい>

<レイナルド卿、それはあまりにも>

<……私の責任において皇帝陛下からゼネバス帝国に話はつける>

 ブルクハルト・フォン・レイナルドの言葉に、イワン・マカロフが泣きつくも取り付く島もなくあしらわれた。

 

「支援の件ありがとうございます。

 砲弾の実物は、現状を踏まえて早くて二カ月後、データはすぐにでも出しましょう。

 それと調査中の荷電粒子砲とエネルギーシールドの解析結果は調査終了後に改めて報告させてください」

 話が纏まってきたところで、セニワがそう話を切り出した。

 

<では、データ受領後にこちらもデータを送ろう>

<わが国も同じようにしよう>

 アドルフの言葉に、ブルクハルトが追従する。

 

<西方大陸の調査団については、倭国でも検討せねばならないが、ガイロス帝国は今日話を決めたいとお考えか?>

 皇族から、ブルクハルトに問いかけた。

 

<エネミーゾイドのキューブ級は放置できん、陸ならば我らも探索できる。

 急ぎ所在は確認しておくべきだと思うが?>

<確かにな>

<……では、派遣は致しましょう。

 倭国の皇族としてお約束します。

 ただ、分担などは目の前のキューブを破壊後でよろしいでしょうか?>

 ブルクハルトの言葉に続いた、アドルフの肯定に、倭国の皇族は決断した。

 その決断を受けて会議場が慌ただしく動く。

 

<そうだな、わが国も準備がある。

 今日、明日ではないし目の前を片付けてからでいいだろう>

<共和国もそれに賛同する。

 倭国の海軍には、海底も調べて貰う必要がある。

 今は目の前のキューブをどうにかすべき時だ>

<では、そのように>

 ブルクハルト、アドルフ、皇族で話が纏まる。

 

Z.E. 428年 2月11日 午後4時00分

 ヘリック共和国、ゼネバス帝国、ガイロス帝国、倭国との間で互いの支援について纏めた覚書が交わされた。

 

 

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