その理由を聞くために、マシュの部屋を訪ねたが、部屋の中から異音がする。
扉の隙間から中を覗くと……。
人理修復を終えしばらくしてから、勇気を出してマシュに告白することにした。
自信はあった。
各時代へ跳び、冒険し、最後には世界を救ったパートナー。 これから人生を共に歩んでいきたいと心の底から思ったし、きっと彼女もそう思ってくれているはず。ただ、人理を救うという大きな使命の中ということで、具体的にはそういう関係をお互いに作らないようにはしていただけだと。
だがしかし、その返事は予想外のものだった。
「先輩のことは尊敬していますけど、異性としては見れないです。すみません」
その後もマシュは申し訳なさそうに言葉を続けていたが、頭には入ってこなかった。
…………。
数日間、マシュと顔を合わせることができなかった。現実が受け入れられなかったのだ。何かの間違いではないか……。
だが、誤解する余地の無い拒絶の言葉だったのは確かだ。
……きっと、冗談だ……。何かの間違いだ。
気がつけば、フラフラとマシュの部屋の前まで来ていた。理由を聞きたかった。聞けば納得できるかもしれない。
ノックしようとして気がついた。深夜遅く、もう誰もが寝ている時間だ。昼夜の区別も曖昧になっていたようだ。
こんな時間に尋ねるのは非常識だ。また明日にしよう。決定的な答えを先延ばしにしたいという思いもあり、自室へ帰ろうと踵を返した。
だが……。
異音が聞こえた。
違う。声だ。
かすかに響く聞き慣れた声。聞きなれない響き。
扉の向こう。マシュの部屋の中から。
ドクンッ
心臓が一つ高く音が鳴る。
何の声だ?
確かめたい。止まれ。
何の声か。止まれ。
誰の声か。止まれ。
身体が勝手に、まるで自分のものではないかのように、手がそっと扉に手を掛け、ゆっくりと薄く開く。
隙間からの光景は、離れ、薄暗いはずなのにはっきりとくっきりと視えた。
※※※
マシュがベッドに横たわり、その上に一人の中年の男がのしかかっていた。
やや大柄な男だ。マシュと比較すればかなりの体格差がある。年齢は親子ほどに離れているだろうか。
見覚えはある。
カルデア職員の一人だ。名前は……なんだったか。印象が薄い。いつか、マシュと廊下で雑談しているのを見かけただろうか。それくらいの印象しか残っていない。
ベッドの上の二人は何も身につけていなかった。
小柄な身体なのにしっかりした崩れのいっさい無い魅力的な肢体、その中でも目につく豊満な胸、シミひとつ無い白い肌。人理修復の旅の間、ずっとそばにありながら、見ることの無かった部分までもがあられもなく男にさらけ出されていた。
男の手が乱暴にマシュの胸を鷲掴みにする。形のいい胸が大きく歪む。
「んっ、あんっ」
漏れるのは苦痛ではなく甘い声。男の指を押し返すようにプルンッとはねる。さらに男の手が胸をいじる。
「んっ、くっ」
太い指が見た目に似合わず繊細に優しくマシュのピンク色の乳首をつまみ、乳輪をなぞるように動く。
赤ん坊のようにピンッとたった乳首にしゃぶりつく。その様子をマシュはまるで母親のように愛おしそうに見つめ、喘ぐ。
男が身体を起こすと、いままで角度で視えなかった男の物が視界に入ってくる。
大きい。平均的な男の、俺のものよりも二回りほど大きい。カリ、長さ、反り、太さ。どれをとっても凶悪。
男の俺でも一瞬気後れしてしまうほどにそれを目の前に突きつけられたのに、マシュはまるで誕生日ケーキを目の前にした子どものような無垢な瞳で見つめている。
マシュも身体を起こし、ゆっくりと、だが躊躇なくチンポに口づけをした。
チュッ
そしてそのまま呑み込み始めた。恐ろしく太く、長いそれが小さなマシュの口に呑み込まれる様は、まるで奇術のようだった。幼さを強く残す顔が淫らに歪む。
喉の奥まで呑み込み、ヌルーっと吐き出す。チンポが唾液にまみれ、照明を反射する。
マシュはさらに口で責める。
ちゅぼっジュポジュポ
淫音が部屋に響く。男がマシュの髪を指で梳くように撫でると、嬉しそうに頬を緩め、さらに口の動きが激しくなる。
頬がへこむほどに吸い上げ、カリの裏に舌を這わせ、竿を舐めあげ、我慢汁を啜る。男が情けない快楽の呻き声を上げる。ますます動きが多彩に速くなる。顔を激しく前後させ、玉を頬で転がし、裏筋に舌を這わし、亀頭にキスを散らす。
男がどうすれば気持ちいいのか、どこが弱いのか熟知した動きだった。まるで何回も、何十回もしたかのような。
どこまでも加速していくような奉仕を男が止める。おもちゃを取り上げられた犬のような表情で男を見上げるマシュ。
だが、すぐに次の行動に移った。マシュは再び枕に頭を預け、何も言われずにゆっくりと男に向かって大きく足を開く。言葉を交わす必要も無いほどに、わかりあった阿吽の呼吸。
マシュが男に見せつける部位は、俺からは見えない。だが、男には何もかも見えているのだろう。
痛いほどに心臓が早鐘を打つ。
男はガチガチに勃起したチンポに手を添え、角度を調整し、腰を沈めていく。
一際大きいマシュの声。男はじっくりと味わうように、腰をゆっくり動かす。
ただ小さな男女の喘ぎと淫音が響く。いや、響くというにはあまりにも微か。だが、だが、耳が……どんなに小さな音でも拾ってしまうのだ。
ちゅくっ、じゅくっくちゅっ、ぬちゅりっ
俺は勃起していた。
ズボンの中で痛いほどに、チンポがガチガチになっているのが分かる。先走り汁が下着を濡らし、ズボンにまで滲み始めている。
理性が止めろと叫ぶが、本能はそれに従わない。頭が股間が恐ろしいほどの興奮で茹だっている。身体が吐き気を催すほどに冷え切っている。
目が、二人以外を捉えようとしない。
二人は体勢を変えていた。
マシュは犬のように四つん這いになり、男が覆いかぶさるようにのしかかる。マシュの豊満な尻と男の腰がパンパンッとぶつかる音が響く。
二匹の獣がそこにはいた。
牝が狂喜の声を上げる。雄がそれに応える。混じり合い、交じり合う。
ストロークが大きくゆっくりとしたものから、小刻みに早くなっていき、いきなり止まった。二人の腰が、隙間もなくピッタリと触れ合い……男の身体が震える。
「あっ、ああああああっ」
マシュが身体を反らし、ブルンっと胸が上下に揺れる。男は後ろからそれを乱暴に揉みしだき、腰をさらに奥へと押し付ける。
聞こえるはずのない、射精音が聞こえた気がした。
男がマシュの中に子種を注ぎ込んでいるのが分かった。
マシュは口をだらしなく開き、少し涎を垂らしながら幸せそうな表情で、下腹部を片手で抑えていた。まるでその下に、大事な、大切なものがあるかのように。
気がつけば、俺は射精していた。ぐちょぐちょに濡れて気持ちが悪い。一度の量ではない、二度も、三度もしていたようだ。だが、またも勃起していた。
部屋の中ではマシュが自分の中から引き抜かれ汚れたチンポをゆっくりとしゃぶり、掃除していた。その表情は見たことが無いほどに幸せそうだった。
その表情を最後に、俺の記憶は途切れた。
なにか許容量を超えてブレーカーが落ちたかのようだった。
※※※
「先輩、起きてください」
「マシュ……マシュ!」
目の前のマシュの顔をゆっくりと認識し、慌てて飛び起きる。
昨晩の記憶が曖昧だ。いつのまにか部屋に戻ったのだろうか。
それとも……全て夢だった……のか?
「どうしました? 先輩」
「えっ、い、いや。何でもない……」
マシュの顔。なんでもない。いつもの顔だ。
昨晩の乱れたマシュの表情が、フラッシュバックするが、振り払う。
夢? 夢だったのか。そうだよな……まさか、あんなことが……。
「ごめん、変な夢を見ていて」
「最近、ずっと部屋に引きこもっていたからですよ。ほら、今日は食堂でみんなと一緒に朝食をとりましょう」
「あ、ああ。そう、そうだな」
いつものマシュだ。
そうだ。
あんなのは夢だ。……気疲れから変な夢を見たに過ぎない。
昨晩は出歩かなかった。部屋で悶々としている間に、寝てしまい。悪夢を見たのだろう。
少し安心する。
この際だ。告白が断られた理由も聞いてみよう。今ならあっさりと何でもない答えが帰ってきそうな気がする。
「マシュ、あのさ」
ブブブ。
何かが振動する音が、どこからか聞こえた。
「あんっ」
小さく、聞き漏らしてしまいそうな声。
マシュは顔を真赤にして、股を抑えていた。
「は、早く起きてくださいね」
マシュは恥ずかしそうに足早に部屋を出ていった。扉が開いたそこには、見覚えのある男がマシュを迎えに来ていた。その手には小さな何かのスイッチが握られている。
一瞬男と視線が合い、閉まる扉がすぐにそれを遮った。扉の向こうから微かにマシュが男を優しく責める声が響き、ゆっくりと遠ざかっていった。
俺はしばらくベッドの上から扉を見つめていた。いつのまにか乾いた笑いが部屋に満ちていた。
それが自分の口から出ているものだとは、しばらく気が付かなかった。