「貴方に見て欲しい物がある」
私が部屋に戻り不知火と瑞穂の2人と話をしている時に、私の部屋にやって来たフラリンが私の顔を見るなりそう言ってきたのだ
理由を聞いてみるもついて来れば分かるの一点張りで取り合ってはくれなかった、仕方がないのでフラリンについて行くと、そこには私からしたら存在して欲しくなかった代物が数多く保管されていたのだ……
「これは……?」
「銃……ですか……?」
私について来た不知火と瑞穂が言った通りここには色々な銃が保管されていたのだ、この2人とここまで案内したフラリンには分からないかもしれないが、私が見ればここにある全ての銃が異常な代物である事が一目で分かった
「ここにあるのは全て私にミサイルを寄越した奴がおまけとか言って置いて行った物だ、私にはこれらにどれ程の価値が分からないからな……、貴方なら何か分かるかもしれないと思って来てもらったわけなんだが……」
「その前に、何で私だったら分かると思ったのかしら?」
当たって欲しくなかった予感が当たってしまった為、少々苛立ちながらフラリンに問う
「貴方が私に突きつけてきた銃を見てね、さっきそこにあるのはおまけって言っただろう?あいつはお近づきの印とか言ってそれらとは別にもう1つ銃を渡していたんだ。え……っと、これだね」
「これは……剛さんが持っているチャカと同じ物でしょうか……?」
チャカって……、せめてハンドガンと言ってくれないだろうか……。それは兎も角、フラリンが取り出した銃は確かにヘルハウンドとよく似ていた……
「……?剛さん、これは本当にヘルハウンドなのですか……?」
「よく気付いたわね不知火ちゃん、確かにこれはヘルハウンドに似ているんだけど、私からみたら最早完全な別物よ。ここを見たらよく分かるわよ」
そう言って私はフラリンの銃のある一点を指差す、そこにはヘルハウンドにはないスイッチが付いていたのである
「これはセレクターって言って、銃の射撃方式を切り替える装置なの。これを見る限り……、セミオートと3点バーストがあるわね……。このあたりは後で教えるとして、この銃にはセレクターが付いているんだけど私のヘルハウンドにはそんなもの付いていないのよね」
そう言って私は自分のヘルハウンドをフラリン達に見せる、こういうのは実物を見ながら比較した方が分かり易いからな
「本当だ……、……そう言えば貴方はその銃を何処で手に入れたんだ?私みたいにあいつから直接もらったって感じじゃなさそうだけど……」
フラリンの疑問に答えるように、私はこのヘルハウンドの入手経路を話し始めるのだった
「う~ん……、そいつはヨーロッパの拠点での拾い物か……。何で私が持っているのと違うんだろうな?」
「開発時期が違うからでしょうか……?」
「相手を格付けして、それに合う銃を渡しているのかもしれませんね……」
不知火と瑞穂がお互いの推論を言っているが、今の私にとってはそんなもの些末な問題だ。今一番の問題……、それは……
「その銃の事は後回しにして、ここにある銃を全て手に取ってしっかりと見てみたいんだけどいいかしら?」
そう、今この部屋の中にある銃の方が問題なのである。イロモノもあるようだが危険度は間違いなくこちらにある物の方が上だと私は判断したのだ
「いいよ、って言うかこいつ含めてここにある奴は全部貴方にあげる、貴方がここにある奴の価値が分かる奴だったらあげるつもりでここに連れて来たからね。私が持ってても意味が無さそうだし」
そう言う事ならば有難く頂戴するとしよう、私はそんな事を考えながらここにある銃を1つ1つ手に取ってしっかりと確認してから懐に収めていくのだった
あの部屋にあったのはフラリンのハンドガン、ショットガン、ライトマシンガン、クロスボウ、テイザーガンに水中銃の6種類、正しく銃と言えるのは3種類だが残りの3種類もそれらに負けない程の異常性を放っていたので馬鹿にする事は出来ない
今、私達は先程の部屋を出て、外で先程入手した銃達の試射をしていた。流石にテイザーガンと水中銃の試し撃ちは出来なかったがね……
「この銃を作った人は何を考えているのでしょうか……?」
その光景を目にした不知火は、顔を真っ青にしながらそう呟いた。まあそう言いたくなるのは分かる、実際に使っている私自身そう思っているくらいなのだから……
まずは『ケルベロス』と名が刻まれているハンドガン、これはヘルハウンドに3点バースト機構を取り付けて、扱いやすさをそのままに殺傷力だけを上げてあるヘルハウンドの上位互換だと言える代物だった
次に『オルトロス』と名が刻まれたライトマシンガン、これは兎に角速いとしか言えなかった。弾速と発射速度が有り得ないくらい速いのだ。速いだけでなく1発1発の威力も高く、まるで大口径の重機関銃でも使っているのかと思う程であった。木に数発当てただけでへし折った時は唖然としたものだ……
『ラドン』と名が刻まれたショットガンも脅威的な威力の散弾を広範囲にばら撒き、ショットガンとは思えないような射程の長さを持っていた。一番驚かされたのはこのショットガンは弾速にものを言わせて強引に散弾に貫通力を与えているのだ。これでスラッグ弾を撃ったらどうなるだろうか……
最後は連射式クロスボウの『エトン』、連射式とは言えクロスボウにあるまじき連射速度を備え、矢の補充も簡単に出来るような機構を持っている。こいつの恐ろしいところは下手な銃より貫通力がある事だろう、木を2本貫通して3本目に突き刺さるところを見たときは呆然としてしまった……
エトンでこれほどの殺傷力があるのだから、試そうにも試せない残りの2つもきっとこれと同レベルの武器なのだろう……、考えるだけでも恐ろしいな……
「名前通りの化物揃いってわけね……」
試射を終えて一息つきながら呟く私、その呟きは不知火と瑞穂にも聞こえたようで不思議そうに首を傾げていた
「武器に刻まれてるのが恐らくその武器の名前なんだと思うんだけど、これ全部ギリシャ神話に登場する怪物の名前なのよ~?試してない水中銃の『スキュラ』もテイザーガンの『ヒュドラ』もぜ~んぶ」
それを聞いた2人は納得したような感心したような表情をする
「剛さんは物知りなのですね」
瑞穂の言葉に長く生きてるからねと返したその時、シゲからの通信が入った
『拠点の近くに艦娘の艦隊が来てます!皆揃いも揃ってボロボロになってやがりますよっ!』
ボロボロになった艦娘の艦隊?もしかして神風の泊地の艦隊だろうか?
『もうちょい細かく状況説明しやがればぁたれ!』
これから忙しくなるであろう悟が叫ぶ、確かに今の報告では誰を優先的に治療しなければならないかが分からないからな……、こればかりは悟が正しいと思う
『綾波と蒼龍が小破、利根、妙高、飛龍が中破、そして……』
シゲがここで言葉を区切り、少しの間深呼吸をしてから叫ぶ
『長門が大破してますっ!!!』
『んげぇっ!!!長門ぉっ!?!』
長門の名前が出た瞬間、何人かが同時に悲鳴じみた叫び声を上げた。声からすると住み込み組のようだが……
それからしばらくした後だった、住み込み組が叫んでいた理由を私が知る事になるのは……
クロスボウは火が使えないような場所できっと活躍してくれるはず……!
これらの銃弾は、弾薬補給した際その銃に最も適した弾が装填されると思ってくださいな