※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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鬼神の涙とその理由

俺達は異形達を殲滅し拠点に戻って来たわけだが、どうも拠点の方が騒がしい……

 

一体何が起きているのか調べる為に拠点入口へと向かった俺達だが、そこで目を疑うような光景を目にするのであった

 

蹲り嗚咽を漏らす戦治郎にそれを落ち着かせようと必死に話しかける姉様と剛さんと翔、そして悟の胸倉を掴んで宙吊りにし矢継ぎ早に罵声を浴びせる空、その空を何とか宥めようとするシゲと護の姿を目撃したのである

 

「ちょっ!何だこれっ?!何があったんだ空っ!?」

 

「光太郎か、見ての通りだ」

 

現状の確認と同時に放っておけば悟に殴りかかりそうな空を止める為に、俺は声を張り上げた。その声に反応した空が短く返してくれたんだが、見て分からないから聞いてるんだろうがっ!

 

「戻ったのか光太郎、そこの長月がさっき頼んでた血液サンプル用の異形かぁ……、って事で悪ぃな空ぁ、俺は今からこいつの事調べねぇといけねぇから手ぇ離してもらえねぇかぁ?」

 

空に宙吊りされた悟がブランブランしながら俺と空に話しかける、それを聞いた空は舌打ちすると悟を放り投げる。空に放り投げられた悟は顔面から地面に落ち、逆エビ状態でほんの少し滑走してから立ち上がった

 

「いやこれマジで何があったんですか……?俺達が突然工廠から飛び出した空さん追っかけてここに来た時には既にこうなってましたし……、これだけ見て状況把握しろって無茶振りもいいところじゃねぇですか……」

 

「いやぁ俺がやらかしちまってよぉ……、長門を搬送してるとこを戦治郎に見られちまってなぁ、それであいつ例のアレ発症しちまってこうなったわけだわぁ」

 

例のアレって何だ?それを聞いたシゲと護の顔色が凄い勢いで悪くなっていってるみたいだが……、住み込み組だけが知っている何かが今起こっているという事か?

 

「うわぁ……、このタイミングでシャチョーの長門アレルギー(仮)が出ちゃったんッスか~……」

 

護の口から長門アレルギー(仮)などと言う訳の分からない単語が出て来た、マジで何だそれ?摩耶さん達も首を傾げている

 

「なあシゲ、長門アレルギー(仮)って何だ?それが原因で旦那はああなってるのか?」

 

「ああ……、アニキは艦娘の長門の姿を見たり声を聞くとああなっちまうんだ……。何でそうなっちまうのか全く分かっていねぇ、悟さんが何か知ってるみてぇなんだがアニキから口止めされてるとか精神科医の守秘義務とか言って教えてくれねぇんだよな~……」

 

精神科医の守秘義務って事は、戦治郎はこの件を精神科医としての悟に相談した事があるってことか……。そうなると悟の奴は簡単には教えてくれなくなるんだよな……

 

「この状態っていつまで続くんだ?まさか立ち直るのにひと月もふた月もかかるとかじゃないだろうな……?」

 

「いや大体1週間あれば立ち直るッスけど、今の状況だとその1週間も致命的だと思うッスよね~……」

 

木曾さんの質問に答える護、1週間もかかるのかよっ?!それは時間的に余裕がなさそうな泊地の件では、護が言う通りかなり致命的なタイムロスになってしまう

 

「長月ちゃんの泊地が大変な事になってるって時にそんな事言ってる場合ですかっ!?」

 

蒼龍さんが悟に食って掛かる、大本営組の2人はここに戻って来るまでの道中でその姿がなによりの証拠となっている長月さんの口から泊地の話を聞いていたのだ

 

長月さんの話を聞いた2人は最初は凄く驚いていたけど、話が進むに連れてその表情は驚きから怒りへと姿を変えていった。長月さんの話を聞き終わったところで、2人は俺達に協力を申し出てくれたのだった

 

「患者の個人情報を取り扱う医者が、そうホイホイと他者に患者のカルテを見せるわけねぇだろうがよぉ。もし知りたいってんなら原因を当ててみなぁ、そしたら詳細教えてやんよぉ。さって長月よぉ、今から血液検査すっから付いてきなぁ、ついでにその腕も何とかしてやらぁ」

 

悟はそう言って長月を連れてこの場を去ろうとした、長月さんも困惑していたが腕の話が出たところで戸惑いながらも悟に付いて行っていた

 

「ああ、一応ヒントくらいはくれてやらぁ。ヒントはあいつとガキの頃から付き合いのある奴だったら分かる事ってとこだなぁ」

 

戦治郎と子供の頃から付き合いがある……、つまり幼馴染連中だったら分かるって事だよな……?何かあったっけ……?間違いないのは、あいつが高校の時婚約者にされた仕打ちは関係ないって事だな、うん……

 

空の方を見てみるが、あいつも考え込んでいる感じだな……。時折さっきの出来事を見てオロオロしている飛龍さんの方を見ているのが気になるところだが、それがこの件と何か関係あるのか……?

 

「戦治郎さんと子供の頃からってなると、私達じゃ力になれそうにないですね……」

 

阿武隈さんがそう言ってションボリする、綾波さんも申し訳なさそうにしているんだがこれはこちらの問題だから気にする必要はないと思うんだけどな~……

 

「旦那と一番付き合いが長いのって誰なんだ?もしかしたらその人に聞いたらすぐに分かるかもしれねぇな」

 

「残念だけど、一番付き合いが長い空があそこで考え込んでいるからそう上手くはいかないみたいだよ……」

 

摩耶さんが案を出すも、俺が即座に否定する。戦治郎と一番付き合いが長いのは空、それから悟、俺、輝と続いている

 

「だーっ!分っかんねぇ!アニキと長門にどんな関連性があるって言うんだよぉ!精々苗字が同じなのと見た目がそっくりなくらいだろうがよぉ……」

 

「見た目がそっくり?戦治郎さんはちょっと見た目変えてるけど戦艦水鬼だろ?確かにほんの少し似てる気はするが……」

 

「ああ、シゲが言ってるのは戦艦水鬼になる前の、人間だった頃のシャチョーの姿の事ッスよ~。シャチョーの人間だった頃の見た目はマジで長門をそっくりそのまま男にしたって感じだったッスからね~。髪の毛は作業する時邪魔だからって今みたいに切って結ってたッスけど」

 

シゲが頭をガリガリと掻きながら叫び、その内容に疑問を抱いた木曾さんが質問し、その質問に護が答えていた。その話を聞いた時、俺は何かが引っかかる感じを覚えた……

 

3人のやり取りは空にも聞こえていたようで、目を見開いてこちらを見ている……。さっきの会話の中にきっと何かがあるはずだ……、そう考えてさっきの会話を思い返そうとしたんだが……

 

「の、のう……、先程そこを通って行った長月の腕なんじゃが……」

 

「あれは深海棲艦のもののように見えましたけど……」

 

「えっ?!何それ怖っ!?確か蒼龍たちが連れてきたんでしょ?ちょっと説明してよぉっ!?」

 

利根さん達の言葉を聞いて、思考を中断してしまったのである。そう言えばこの娘達にこちらの事情を碌に教えてなかったな……、戦治郎の件は空に任せて俺はこっちに専念しておこう、そしたら利根さん達も協力してくれるかもしれないからね

 

「その事なんだけど……実h「皆さんお帰りなさい!」……当事者のあの娘から聞いた方がいいかもね……」

 

「? どうしたの?私の顔に何か付いてる?」

 

俺がこちらの事情を話そうとした丁度その時に、神風さんが姿を現したので彼女に状況説明をしてもらう事にした

 

 

 

「神風さん達の泊地でそのような事が起きていたなんて……」

 

「深海棲艦だけでなく、艦娘にまでそのような仕打ちをするとはのう……。何という外道じゃ……」

 

「あんなちっちゃい長月ちゃんや神風ちゃんの友達にそんな酷い事するなんて……、私、そいつの事絶対許せないんだけどっ!多門丸もきっとそいつの事を許すなって言うはずっ!」

 

神風さんの話を聞いた3人が思い思いの感想を述べる、そして飛龍さんの言葉に利根さんと妙高さんも賛同、是非協力したいと言ってくれたのだ

 

「皆ありがとう、泊地の件は何が何でも絶対に成功させたいからね。皆が力を貸してくれれば成功率が格段に上がるから、皆の申し出は本当に嬉しいよ」

 

「光太郎さんの場合、望ちゃんの件もあるッスからね~」

 

俺が皆に礼を言ったところで、護がまた余計な事を言った。こいつはどうしていつもこうすぐに余計な事を言うかな……?

 

大本営組の皆の視線が俺に集まる、こうなると説明しないといけないだろうな……。俺は観念して俺と望ちゃん、そして悟の3人の関係を話し始めるのだった……

 

「この作戦、絶対成功させましょうよっ!昔助けてあげられなかったのを悔んでいるなら、今回の作戦でしっかり助けてあげて昔の事を全部水に流しちゃおうよっ!」

 

「これはきっと神様が光太郎さんに与えてくれたチャンスなんですよっ!過去の過ちを償うチャンス!このチャンスを絶対にものにしちゃいましょうっ!!!」

 

やる気に満ち溢れ燃え上がる二航戦の2人、神様が与えてくれたチャンスか……、そう考えると俺も更にやる気になっちゃうじゃないかっ!!!この作戦は絶対に成功させて、俺は過去を乗り越えてやるんだっ!!!

 

「この話、長門にも伝えておかんといかんのう。しかし、あの石頭が任務を後回しにして協力してくれるか分からんがのう……」

 

利根さんの言葉を聞いた途端、大本営組の表情が渋いものに変わる。そう言えばこの娘達は任務でこのあたりに来てたんだったか……

 

「そんなの、こっち協力してくれたら礼としてそっち手伝うとか言っておけばよくね?」

 

「軍の作戦行動に関係のない人間……?「人間でいいぞ、こうなる前は人間だったからな」……貴方達を巻き込むとは何事かと怒られそうなのですが……」

 

「そもそも作戦って何やるつもりなんだ?事の次第によっては俺達も無関係じゃなくなるかもしれないからな」

 

シゲと妙高さんのやり取りを聞いていた木曾さんが尋ねる、神風さんの件を話す前に聞いた時は内容を教えてもらえなかったが……

 

木曾さんの言葉を聞いた大本営組は全員に目配せしてから頷いて、作戦内容を話してくれた

 

「私達はカスガダマ沖海戦……、作戦コードではカスガダマ島になってるけど、マダガスカルにある深海棲艦の拠点を破壊する任務に就いてるんです」

 

あ~……、ゲームで言うところの4-5って事ね……、ってそれは不味くないか?

 

「そこ自分達の目的地の1つなんッスけどおおおぉぉぉーーーっ!!!」

 

「ちょっと待て!そこは穏健派の拠点だぞっ!もし破壊したら最悪和平の可能性すら無くなるかもしんねぇぞっ!?」

 

護達の叫びを聞いた大本営組が困惑し始める、俺はそんな彼女達に俺達がマダガスカルの拠点に向かう理由を話し始めるのだった

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