「オラオラオラァッ!!!」「嫌になるわねぇ!もうっ!」
摩耶さん、剛さんの2人が思い思いに声を上げ、対空射撃で相手艦載機を迎え撃つ
普段なら的確に艦載機を撃ち抜いていく剛さんも、艦載機の操作と並行して対空射撃を行うのはやはり難しいようで、いつもより撃ち漏らしが目立っている
何故剛さんがそんな無茶な戦い方をしているかと言えば、こちらの航空戦力が剛さんと司と瑞穂さん、それに制空補助の姉様くらいしかいないからである
現在、龍驤さん、阿武隈さんと大本営組4人がまともに動けない状態に陥ってしまっているのである。この6人は別に被弾して負傷しているわけではない、ある相手を見て完全に怯えてしまっているのが主な原因なのである。その相手と言うのが……
「あのヲ級と組体操してるような南雲機動艦隊を早く何とかしねぇとっ!!!」
そう、今木曾さんが言ったヲ級と組体操してるような南雲機動艦隊と言うのが問題の相手なのだ
首から下は完全にヲ級に成り果て、艦娘であった名残は首から上の頭部と纏っている衣服のみとなってしまっている艦娘達……
組体操などと言われたのは、ヲ級の上半身がその背中から生えている……いや、これは接合されていると表現すべきだろう……。兎も角、見た目がこれまでとは一線を画している一航戦と二航戦の恰好をした異形の空母達が、俺達の前に立ちはだかったせいで実戦経験の浅い龍驤さんと阿武隈さん、そして異形の二航戦を見てしまった大本営組が激しく動揺してしまい、動けなくなってしまったのである
それをチャンスと見た異形空母達は、艦娘本体とヲ級の頭部から一斉に艦載機を発艦させて襲い掛かって来たのだ
更にそれを見た一部の駆逐から重巡までの異形達が艦載機に続くように、動けなくなってしまった6人の方へ突撃を開始してきた
その結果、艦載機の相手を剛さん、司、摩耶さん、瑞穂さんが、水上艦達の相手を神通さんと木曾さん、陽炎型の3人と神風さんがやる羽目になってしまった
それだけならまだよかった……、俺と悟と形代が異形空母達の方へ突っ込んで蹴散らしてしまえば済む話だからね。けど生憎そう上手くはいかないようで……
「ああっ!こいつらすっごくやり辛いっ!!!」
「身内と似たような奴仕向けてくるとか、泊地の提督って奴ぁ相当な下衆野郎だってこったなぁっ!!!」
俺と悟がそれぞれ叫ぶ、今俺達が相手しているのは異形戦艦4匹、ル級の艤装を接合された扶桑型姉妹の恰好をした異形と、タ級の艤装を接合された伊勢型姉妹の恰好をした異形である
伊勢型の方は形代が、姉様に似ている奴は俺が、山城っぽい奴は悟が担当しているわけだが、こいつら本っ当に……物凄く戦い辛い!!特に俺が一番辛い!!!姉様攻撃してるような気分になってしまう!!!
こうなったら翔達に頼んで異形空母の取り巻きだけでも潰してもらうか、そう思い翔に通信を入れたところ……
『ごめんなさい!こちらも今艦載機の相手で手一杯で……っ!』
なんてこった……、思ってたより撃ち漏らしがあったって事か……。慢心と予想外のトラブルが原因でこんな事になるなんて……、これは後で反省会……、いやそれもやれるかどうか怪しいところか……
俺がそんな事を考えていると、今度は翔から皆に向けて通信が入る
『皆、朗報だよっ!』
ん?朗報?一体何があったんだ?通信の内容を不思議に思っていると……
「……ぉぉぉ」
拠点の方向から微かにだが何かが聞こえて来た、なんかこれどっかで聞いたような……?そんな事を考えている間に、それはどんどん近づいて来て……
「ぉぉぉおおおぉぉぉーーーっ!!!」
OK今ハッキリ聞こえた!この声、聞き間違えるはずがない!ようやく戻って来たかこの野郎っ!!!
『戦治郎さんが復活したよっ!今そっちに向かってるっ!!!』
\きたあああぁぁぁーーーっ!!!/
通信を聞いた海賊団の皆から大歓声が上がる、悟の方を見ると小さくガッツポーズしていた。海面を駆ける音が先程よりも大きくなるに連れて、俺達のボルテージが上がっていく
「お ま た せえええぇぇぇーーーっ!!!
そう叫ぶなり跳躍し、押し寄せる異形達を跳び越えながら大妖丸を引き抜き、赤城のような異形を両断しながら着地、返す刀で蒼龍っぽい異形の首をスポンッ!と刎ねる。それを見ていた蒼龍さんがヒッ!って悲鳴上げてたけど、今は気にしてる場合じゃない!
「皆、心配させてごめんなっ!長門 戦治郎、ここに復活だあああぁぁぁーーー!!!」
そんな事を叫びながら、大妖丸を肩に担ぎポーズを決める戦治郎。尚、ポーズをとる動作の中で加賀に似た異形を逆袈裟で斬り捨てていたりする
「待ってよ戦治郎、速いって……ってもう敵倒してるしっ!!!」
息を切らせながら戦治郎の後を追っていた飛龍さんが驚愕して叫ぶ、まあこんなもの見せつけられたら誰だって驚くよね……
「そこの6人!いつまでもビビってんじゃねぇぞっ!!!もう戦闘始まってんだろっ!!!」
6人が怯えていた原因である異形空母の最後の1匹、飛龍もどきの上半身と下半身をお別れさせながら戦治郎が叫ぶ。龍驤さんと阿武隈さんはその声で我に返ったけど、大本営組はさっきとは違う理由で硬直してしまっていた……
「ああもう……!まあ2人戻って来たしいっか!んじゃあこっから反撃するとしますかねっ!!!飛龍、いけそうか?」
「当ったり前じゃん!むしろさっきの見せられてやる気が出て来たくらいっ!友永隊、頼んだわよっ!!!」
「せかせかっ!んじゃ鷲四郎、おめぇも一暴れしてきなっ!」
「任せな、旦那っ!!!」
そんなやり取りを交わして艦載機を飛ばす2人、飛龍さんの友永隊と鷲四郎はすぐに形代が相手をしていた日向っぽいのを捕捉するなり一斉に襲い掛かり、瞬く間に沈めてしまった
「おっしゃっ!このまま勢いに乗って残りの連中圧し潰すぞっ!!!」
飛龍さんとハイタッチしながら叫ぶ戦治郎、こいつが来ただけで一気に戦況が変わってしまった……、やっぱこいつ凄ぇよ……。っと凹んでる場合じゃないな、俺もあいつの友人として肩を並べていられるように頑張りますかっ!!!
俺は気合を入れてから放水砲を全門姉様みたいなのに向け
「これで終わりだあああぁぁぁっ!!!」
叫び声と共に一斉に発射する、それらは全てル級の艤装の装甲など関係ないとばかりに姉様みたいなのの身体を易々と貫く。ある程度放水したところで放水を止めると、姉様みたいなのは脚しか残っていなかった。その脚は静かに倒れた後そのまま海の中へと沈んでいった
自分のところが片付いたところで悟の方を見れば、既に山城(仮)の姿は見えなくなっていた……、いつの間にやったんだよ……?
この後はただの掃討戦である、神通さん達が前線に戻って来てくれたおかげで先程の戦闘よりも遥かに早く片付いてしまった。その時皆の口角が上がっていたのは多分戦治郎のせい
「皆お疲れさん、皆には本当に迷惑かけちまったな……、すまなかった」
そう言って頭を下げる戦治郎、皆はほっとした表情で戦治郎に頭を上げるように言っていた
「あんた、後何回頭下げる気よ~」
そんな戦治郎を見ていた飛龍さんがからかうように言う、それに対して戦治郎は
「工廠組が残ってっから後1回だな」
そう返して皆の笑いを誘っていた、取り敢えず戦治郎が戻って来てくれて本当によかった。これでようやく望ちゃんを助けにいける……
「そんじゃ、拠点に戻るとすっか!」
そう言って戦治郎は拠点の方へと向き直り、歩き始めるのだが
「戦治郎」
俺の前を通り過ぎたところで俺が呼びかけると、その歩みはすぐに止まった
「……おかえり」
\おかえりなさいっ!/
戦治郎の返事を待たずに俺がその背中に向かってそう言うと、皆もそれに倣って斉唱してくれた
「皆、ただいま……ありがとうな……」
戦治郎は穏やかな笑みを浮かべながら、こちらへ振り向きそう言ったのだった