「そこの艦隊!今すぐ止まれ!」
フラリンに案内されながらマダガスカルの拠点へと進む俺達に向かって、誰かがそう叫んでいた
何事かと思って振り向いてみりゃぁ、そこには結構な数の深海棲艦が集まりこちらへ砲を向けているじゃねぇか
「このあたりでは見かけない顔だな、それに艦娘まで連れている……、貴様らはここに何をしに来たっ!」
そう叫んでいるのは先頭にいるフラタ、いきなり攻撃を仕掛けてこないあたり強硬派ってわけじゃなさそうだな
「待ってくれ!私達は別にここに攻撃しようとか考えていない!私はあんた達の仲間になりに来たんだよ、そっちの連中は港湾棲姫様に用事があるって言って付いて来ただけだ」
「……何?港湾棲姫様に用事だと……?」
そう言ってフラタは俺達の方へと視線を向ける。よっし今がチャンス!フラリンがフラタと話している間に打ち合わせしたこいつを喰らえっ!!!
「パワー!」「ピーヤ!」「トゥース!」「ミキティー!」
最初は俺、空、輝の3人でやろうと思ってたんだけど、シゲが乗ってくれたおかげで4人の方でやれたZE!まあ輝が俺達と一緒にこのネタあったTV番組見てなかったら多分出来なかっただろうな
反応の方を見ると、深海棲艦と大本営組は呆然としている……、けど海賊団にはウケている!翔に至っては腹抱えてやがんぜ!
「貴方達、余裕あるわね~……」
そう言って呆れている剛さん、こんな時こそ余裕があるように見せないといけないと思います!
「そのネタを本当にパワーに自信あるメンバーでやるのは反則……」
震える声でそう言うのは翔、どうやらツボってるようだ。やったぜ!
「……こいつらは一体何者……って!」
我に返ったフラタが俺達を見据えながらフラリンに俺達の事を尋ねようとしたところで、フラタが何かに気付いたのか目を見開いて驚く
「その腕……、この戦艦水鬼……まさか『大和魂』かっ!!!」
なぁにそれぇ?俺は知らない間に深海棲艦に変なあだ名付けられてたリすんのぉ?
「ああそうだ、こいつはあのフェロー諸島の強硬派を一掃したあの『大和魂』ご本人さ。私もこいつらの姿を見た時は死を覚悟したもんさ……」
そう言って遠い目をするフラリン、フラリンが無抵抗で捕まったのはそういう事だったのな……
「なあ、さっきから言ってる『大和魂』って俺の事だよな?俺って深海棲艦の中じゃ有名なのか?」
「当たり前だっ!!!フェロー諸島の本拠地はかなりの戦力を有していたにも関わらず、その五分の一にも満たない規模の戦力で挑んで来たお前達に壊滅させられたのだぞっ?!お前達がやった事がどれだけとんでもない事か分からんわけじゃないだろうっ!!!」
フラリンが物凄い勢いで捲し立てる、あの戦いは強硬派に相当な影響を与えたんだな~……、頑張った甲斐があるな!
つか本当に認識票として働いたのな、このタトゥー……。悟にはめっちゃ怒られたけどやってよかったと思えるぜ
「『大和魂』が来たとなれば話は別だ、ちょっと待っていろ……、今港湾棲姫様に連絡する……」
そう言って通信機と思わしき機械を操作するフラタ、ん?今の感じからすると港湾棲姫は俺の事を待っていたように受け取れるんだが……?
「凄いな……、まさか深海棲艦にこれほどまでに影響を与えるとは……」
「まあ、旦那だからなっ!」
「戦治郎さんがいなかったら、あの戦いは勝てなかっただろうからな」
この光景を見て驚く長門に向かって、何処か得意げにそう言う摩耶木曾コンビ
「いや、あの戦いは皆の力があってこそ成功したもんだろうがよ、それに一番活躍したのは間違いなく通だし」
何か恥ずかしくなって照れ隠しでそう返す俺
「確かに私も通さんが一番の功労者だとは思います、でもあの戦いで誰一人欠ける事無く勝利出来たのは、戦治郎さんが皆を引っ張ってくれたおかげだと思いますよ?」
しかしその言葉に対して姉様が微笑みながらそう返す、あぁん余計に恥ずかしくなってきたぁ
「今から使いの者をこちらに向かわせるそうだ、そのまましばらくここで待っていてくれ」
通信を終えたフラタがそう言ってきた、おぉぅ……、こりゃさっきの直感は当たりっぽいな……。ここまでされるってなると余程俺と会いたいみたいだな……、しかし何でまた……?
「使いを送ってくるとはなぁ……、お主らはその戦いで相当な活躍をしておるようじゃな、是非その戦いの詳細を吾輩達に教えて欲しいものじゃ」
利根がフェロー諸島の決戦について興味を持ったようだな、だったら時間がある時にでも教えてやるとするか、現場の状況をリアルに伝えてやんぜ!
取り敢えず利根に後で教える事を約束したところで、件の使いとやらが到着したようだ
『こいつかぁ?例の『ヤマトダマシイ』だっけか?そんな名前の戦艦水鬼って奴は』
初対面でこんな事を言ってくるのは空母棲鬼を侍らせた南方棲鬼、何かこいつ妙にガラが悪いな……。つかこいつ何で英語で話しかけてくんだ?
『もしかしてこの人達、ウィルにビビっちゃってるの~?何か聞いた話と違わな~い?』
南方棲鬼に引っ付いてる空母棲鬼が言う、OK、俺達はこいつらに確実に舐められてるんだな。空の方から怒りのオーラが伝わってくるのが分かる、多分見た目が似てる奴に馬鹿にされてるのが気に入らないみたいだな……
『俺は戦治郎、長門 戦治郎ってもんだ。そんであんた達は何もんだ?』
英語で返してやったら一瞬ビクッてしてたわこいつら、それに気付いた南方棲鬼は左右に首をブンブンと振った後、猫背になり首を傾けながら名乗ってきた
『俺はウィリアム・サウスパーク、狂犬ウィルの名前で恐れられた軍隊上がりのギャングだ。よぉく覚えておけ』
軍隊上がりねぇ……、その単語を聞いて剛さんの方を見ると、何かを思い出そうと唸っていた
『んでこいつは俺の相棒のキャシーだ、てめぇらもしキャシーに色目使ったらただじゃおかねぇからな!』
『キャシーよ、よろしくね~♪』
そう言ってウインクしてくるキャシーさんとやら、何か軽そうな人だな~……
「ああ、思い出した!」
両手をパンッ!と打ち鳴らして声を上げる剛さん、もしかしてこのウィルって奴と知り合いなのかな?
『ウィリアム・サウスパーク……、貴方『垂れ流しウィルちゃん』よね?』
ちょっと待って剛さん、垂れ流しってなぁにぃ?俺に詳しい事おせぇておせぇて~
『てめぇ!何でその呼び名の事知ってんだよっ!!!一体何もんだっ!!!』
剛さんに飛び掛かりその胸倉を掴むウィル、この慌てようからどうやら皆には知られたくない事みたいだな、これは何としてでも聞き出さないといけないなっ!!!
『確かに貴様は狂犬だな、あの時も私に噛み付いてその不名誉なニックネームを付けられていたしな』
おっと、剛さんマジモード?って剛さんに噛み付いたって……、ウィルの表情も何か段々悪くなってきてるような気がするし……、まさか……?
『剛さん、詳細いいですか?』
『こいつは私が軍にいた時にな、新人のクセに私に噛み付いて来た大馬鹿者だよ。その罰として新人全員に私が日課としてやっているスペシャルメニュー訓練をやってもらったところ、こいつはその途中で倒れてしまったのだよ。脱糞と失禁と嘔吐をしながらな』
\ブボフッ!!!/
その話を聞いた英語が分かる奴が一斉に噴き出す、やっべこいつ超ウケる!!!確かに垂れ流しだわこれ!!!
『その結果同僚達に恨みを買われていじめを受けたようだ、そしてそのいじめの罰としてまた私のスペシャルメニューをやる事になって……』
これは……、まさか……?まさかの……?
『またやらかしたのだよ、3点セットをな……、そうしてこいつは皆から『垂れ流しウィル』と呼ばれるようになったのさ』
これは酷い!ポンポン痛いです!誰か助けて!このままじゃ死んじゃう~!!!英語分かんない奴は俺達が爆笑している理由が分からんだろうから、後で丁寧に内容を説明してやらねばなっ!!!つか海賊団の皆には英会話が出来るように今度勉強してもらおう!そうしよう!!!
『しばらくしたら姿を見なくなったが、まさかギャングなんかに成り下がっていたとはな……』
嘆かわしいとばかりに首を振る剛さん、その剛さんの胸倉を掴んでいたウィルは顔面蒼白になっておった。因みにこの間に英語分からなかった奴らに内容教えてあげたら皆噴き出してた
『あんた……、まさか……っ!』
『稲田 剛だ、忘れたとは言わせんぞ?若造』
剛さんが名乗ると、ウィルは慌ててその手を離し数歩下がった後海面に膝を付いていた
キャシーさんは驚いた表情でウィルと剛さんを交互に見ていた、そりゃまあこんなやり取り見せられたら驚くのも当然だ、こればかりはシカタナイネ
こいつ多分今その時の事がフラッシュバックしてるんだろうな~……、まあ目の前に当事者いたらそうもなるか、俺もこないだそうだったし……
俺はそんなウィルの肩に手を置き、優しく声をかけるのだった……
「ドンマイ、タレ蔵」
また大爆笑が起こった、何故皆が笑っているか分からずにオロオロし出すウィルことタレ蔵。俺達に舐めた態度取った罰だバァカ