※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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屑と姫

さて、剛さんとウィルのやり取りで大いに笑わせてもらった俺達は、気を取り直して話を本題に戻す事にしたんだが、そこでタレ蔵の奴がやらかしやがった

 

『大日本帝国軍海軍、大本営直属主力艦隊旗艦の長門だ。よろしく頼む』

 

大本営組の代表として長門はタレ蔵達に流暢な英語で自己紹介をした、多分タレ蔵達に日本語は通じないだろうと思っての配慮だろう。伊達や酔狂で元帥の秘書艦やってねぇってとこか

 

『長門ねぇ……、中々いい女じゃねぇか、どうだ?俺に抱かれてみる気はねぇか?』

 

「んなっ!?」

 

こん畜生いきなり何口走ってやがんだ馬鹿野郎!長門の奴驚きのあまり絶句してんじゃねぇかよっ!!!

 

「い、いや……、生憎私にはそういう趣味はないんだ……。それにお前にはキャシーさんがいるんだろう?」

 

そう言って表情を引きつらせる長門、これ肉体的には百合だけど精神的にはストレートになるんだよな?この場合長門が言ったそう言う趣味ってどっちの事を表してるんだ?そこんとこどうなのさ?って言ってる場合じゃねぇな

 

つか、長門がキャシーさんの名前出した瞬間、キャシーさんの眉がピクリと動いたのは気のせいか?

 

長門に誘いを断られたタレ蔵はチッと舌打ちするなり、視線を巡らせて……ある一点を見てからそれを止める、その先にいたのは……摩耶だ

 

「な、なんだよ……」

 

『長門もいい女だがこいつも中々いいじゃねぇか、出るとこ出てるしな、どれ……』

 

そう言って腕を伸ばすタレ蔵、その腕の着弾点は……うん、たわわに実った摩耶の胸部装甲だなっ!って待てやコラァッ!!!

 

「おい」

 

そう言って摩耶の胸に迫るタレ蔵の腕を掴み、ギリギリと締め上げるのはシゲだった。流石シゲ!嫁艦のピンチに颯爽と現れて助けるとか、かっけぇ事やってんじゃねぇかっ!

 

「何好き勝手やってんだ南方便鬼、普通に考えたらこんな事が許されるわけがねぇって分かるもんだろうが……あ"ぁ"?」

 

そう言いながら更に腕に力を込め、まるで族の総長でもやっていたかのような鋭い視線でタレ蔵を睨みつけるシゲ。……そういやこいつ元族の総長だったわ、つか南方便鬼とか言う言葉のセンスは素晴らしいと思います。後から由来聞いたんだが

 

「あいつが進化したら戦鬼じゃなくて便鬼になるんじゃねぇかと思うんですわ」

 

なんて事言ってたわ、ものスゲェ納得しちまったよっ!更に進化したら南方糞便鬼(なんぽうふんべんき)ってかっ?!光太郎が聞いたら怒りそうだけどなっ!!!

 

その光景を見た摩耶は状況を上手く飲み込めなかったのかキョトンとしている、おっちゃんとしてはここからナニカが始まってくれたら嬉しいな~

 

そうそう、シゲの言葉はちゃ~んと俺が通訳してタレ蔵に伝えているから安心召されよ

 

今度はクソッとか言いながらシゲの腕を振り払うタレ蔵

 

「クソは貴様だ、糞漏らし」

 

空が誰にも聞こえないようにボソリとそう呟いていた事を、俺は決して忘れない……

 

段々と剣呑な雰囲気を放ち始める海賊団のメンバーと大本営組、しかしタレ蔵はそれをどこ吹く風ぞとばかりにスルーして、今度は姉様に狙いを定めたようだった

 

だが残念、そこには既にタレ蔵がパンチの射程圏内に入るのを今か今かと待ち構える形代がいる!この際だから痛いの1発貰いやがれクソッタレめっ!

 

『ねぇ~、そろそろ行こうよ~』

 

『ん?あぁ、それもそうだな。港湾棲姫も待ちくたびれてるところだろうからな』

 

キャシーさんの声に反応したタレ蔵が、そんな事をのたまいやがった。あぁん!もうちょっちでタレ蔵にいいパンチを浴びせられたのにぃ!……しっかし絶妙なタイミングで声かけてきたな、キャシーさんは……

 

『オラ、港湾棲姫のとこ案内すっからついて来やがれ』

 

そう言ってキャシーさんの肩を抱き寄せながら、拠点の方へと進み始めるタレ蔵。何かさっきキャシーさんの手がピクリと動いたような……、その前に眉が動いた件といいこれといい、もしかしてキャシーさんって何か理由があってあいつの近くにいるとか……?ん~……分からんっ!情報が足りんっ!

 

そんな事考えながら、俺達は2人の背中を追って拠点へと向かうのだった

 

 

 

いや~……、このタレ蔵って奴は冗談抜きで糞野郎なのな……

 

港湾棲姫の部屋に向かう途中、通路の端でお喋りしてた深海棲艦達がいたのよね?俺達はその深海棲艦達を見ながら、深海棲艦もそんな事するんだな~ってちょっち和みながら目的地に向かっていたわけよ、そしたら

 

『あ"?邪魔だ退け』

 

タレ蔵はそう言ってお喋りしていた深海棲艦の娘の1人にローキックかましてたのよ……

 

その娘達はすみません……って言いながらそこを退いたわけなんだけど、その表情に申し訳なさと言う感情が欠片ほども感じられなかったんだわ

 

これ見てタレ蔵はこの拠点の深海棲艦からガチで嫌われているのがよぉく分かった!

 

「……なぁ、ガバの助は俺より馬鹿なんじゃねぇか?わざわざあの娘達退けなくても通路の幅には余裕あっただろ?何で態々蹴り入れてまで退けたんだよ……」

 

輝が俺に聞いてくる、多分八つ当たりなんじゃねぇかな?長門の件や摩耶の件が上手くいかなかった腹いせにあの娘達を蹴ったんだと思うわ。うん、あいつマジクソじゃん

 

因みに輝が言ったガバの助、正式にはケツ穴ガバの助はタレ蔵……じゃなくてウィルの事である。タレ蔵に糞漏らし、ガバの助に南方便鬼とか皆好き勝手呼びまくりである、多分悟がいたら更におもしろネーム増えてただろうな~……

 

『港湾棲姫、入るぞ』

 

そう言ってノック無しで入室するタレ蔵、こいつもうホント駄目かも分からんね……。こういう時は普通扉をノックするもんでしょうがっ!親御さんから教わってないのっ!!?流石にこいつは非常識過ぎるわっ!!!

 

『ウィル……、部屋に入る時はノックしてって言ったじゃない……』

 

タレ蔵に向かってそう言うのは、この部屋……いやこの拠点の主である港湾棲姫その人だった。ふむ……、立派なモノをお持ちのようで……って何考えてんだ俺は……

 

『んじゃやる事やったから俺らは戻るぜ、行くぞキャシー』

 

『は~い、じゃあ皆またね~♪』

 

そう言って2人は部屋から出て行ってしまった、キャシーさんは兎も角タレ蔵の方はしばらくはそのツラ見たくもないな……

 

「全く……、本当に好き勝手するんですから……」

 

困り果てた表情でそう呟く港湾棲姫、2人が出て行ってからは日本語で話してくれている。おかげで英語が分からない奴らが置いてけぼりにならずに済みそうだ

 

「改めて、ようこそ私の拠点へ。私は港湾棲姫、貴方達の事はスウ達から聞いています」

 

スウ……達……?まずスウって誰だ?そして達って事は複数形、他にも俺達の事知ってる奴がいるって事か……?まあそこらは港湾棲姫に聞けばいいか

 

「長門 戦治郎だ、『大和魂』の方が通りはいいか?」

 

「戦艦長門だ……、お前がこの拠点の主なのか……?」

 

タレ蔵の時同様俺と長門が代表して自己紹介をする、知ってるって言われてても一応形だけでもやっとくべきだと思ったからな

 

んで、何となしに長門の方を見てみると、かなり驚いているご様子で……。恐らく純粋な深海棲艦とドンパチする事なく、こうやって対談する事になるなんて想像出来なかっただろうからな~

 

「立ち話も何ですから、皆さんどうぞお掛けになって下さい。すぐにお茶の準備をしますので……」

 

そう言ってイソイソと全員分のお茶の準備を始める港湾棲姫、あっれ?何かこの娘可愛くね?つかワンコさんが準備すんのかよっ!?ここは普通部下にお願いするもんじゃねぇのっ?!

 

「お待たせしました、お熱いので気を付けて下さいね」

 

そう言って皆の前に紅茶を出していくワンコさん、手慣れてらっしゃるな~……ってそこは重要じゃねぇな

 

大本営組とか部屋入ってから緊張しっぱなしだったのに、今じゃ完全にその緊張が解かれてらっしゃる、多分ワンコさんがお茶準備してる姿見て毒気が抜かれたんだろうな

 

実際、ワンコさんからは全くと言っていいくらい戦意を感じない、それどころかその立ち振る舞いに和まされてしまう。あ^~癒されるんじゃ^~

 

「ただいま~、あ"~あの馬鹿の相手するの本当に疲れるわ~……。あっワンコ、私にも一杯頂戴」

 

そう言いながら部屋に入って来たのは、先程タレ蔵と一緒に部屋を出て行ったキャシーさんだった。またね~って言ってたけど本当に戻って来たのな……、つか日本語喋れるのかよぉっ!!!

 

「お疲れ様キャシー、いつもごめんなさい……、私がもっとしっかりしていれば貴女に負担をかけなくても済むのに……」

 

「気にしないでワンコ、それより早くお茶頂戴、喉カラカラなのよ」

 

何かめっちゃ仲いいなこの2人……、どういう関係なんだ……?

 

「つかタレ蔵はどうした?一緒に出て行ってたはずだが……?」

 

「あの馬鹿なら今頃部屋の床に転がってるわよ、さっきあいつに酒に付き合わされてね……、まあ私は飲むフリをしてあいつが飲む酒にかなり強力な睡眠薬盛って来たから、あいつは早々起きないはずよ」

 

わぁぉ……、この人怖ぇ……。つか今の彼女を見てる限り、初対面の時のあれは全部演技って事になるのか……?だったらこの人は大女優だな……

 

「初めて見た時と今とではまるで別人みてぇなんだが……、あんた何もんだ?」

 

「私?ん~……、じゃあ改めて自己紹介しとこうかしらね。私はキャシー、あいつに買われた女優崩れの哀れな娼婦よ」

 

俺が尋ねるとあっけらかんと答える彼女、なんとまあえらい濃い経歴持った人だこって……。それを聞いたワンコさんを除く面々がポカンとした表情で彼女を見つめていたのだった

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