※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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誤字脱字報告、感謝です


穏健派転生個体

「長らくお待たせして申し訳ございません、それでお二方のご用件をお伺いします」

 

ようやくワンコさんが戻って来て、俺達の要件を尋ねてきた

 

「まずは俺達の方からだが、ソロモンにいる中枢棲姫に会いたいんだ。そこでワンコさんから口添えなり紹介状なりもらいたいんだが……」

 

「ああ、その事ですね。それでしたらすぐにソロモンの方へ向かって頂いて構いませんよ、私はスウ達からもし貴方達と会う事があれば、ソロモンへ来て欲しいと伝えるようにお願いされていましたから」

 

微笑みながら答えるワンコさん、ちょっち待って?これって俺達との面会を望んでいるって考えていいのか?つかさっきも出て来たけどスウ達ってどっこと?

 

「ワンコさん、スウ達ってどういう事です?いや、その前にスウって誰ですか?」

 

「あっごめんなさい、スウと言うのは中枢棲姫の事です。私と彼女は古くからの友人なのですよ、その関係で私は周りからは穏健派の幹部とか言われていますけど……。私は自分が穏健派の幹部だなんて思った事は1度もないです、私はただこの地で静かに暮らしたいだけなんです……」

 

ああ、チュウ『スウ』セイキでスウなのね……、確かにチュウだと違和感あるしな……ってそこはどうでもいいか。ワンコさんはただのスウさんの友人であって、幹部ではないと……まあそれはさっき紅茶出したりお茶菓子作ってたりしてるとこ見せられたら、嫌でも納得するしかないな……

 

「ふむ……、スウと言うのが中枢だと言うのは分かった、では達と言うのは?」

 

すり寄ろうと近づいて来るキャシーを上手く捌きながら空が尋ねる、……お前翔鶴以外の女は完全にお断りなのな……、まあメダル獲得してからは凄まじい数の女性がお前にすり寄って来てたからなぁ……。尤も大体の奴は空がどんな奴か知ったら即刻逃げ出してたっけか、クリスマス前に付き合ってた奴もそうだったな。結局お前の名声にあやかりたい、お前の彼女と言うステータスが欲しいって奴ばっかで本気でお前を愛しているって感じじゃなかったっけな……。って今はそれはどうでもいいわ!

 

「それについてですが、現在の穏健派はツートップ態勢なのですよ。スウは純粋な深海棲艦の穏健派のリーダーで、もう1人は転生個体の穏健派のリーダーなんです」

 

ファッ!?転生個体の穏健派?!転生個体にも穏健派が……いるかもしんねぇな、ソースは俺達☆

 

「彼と出会ったのは偶然ですね、リコリスの刺客から逃げていた私達を見かけるなりすぐに助太刀に入り、たった1人で瞬く間に刺客を倒してしまったのです。その後彼の話を聞いてみると、どうやら彼は転生個体だったらしくこの世界の事も自分の身に起こった事も分からず困っていたそうです。そこにたまたま刺客に追われている私達が通りかかったそうで、困っているようだったから助けに入ったと言っていましたよ」

 

何それかっこいい!自分の事より見ず知らずの他人の為に動けるとか超かっこいい!!!

 

「そうして、この世界の事、彼の身に起こった事、そして私達が追われていた理由を彼に話したところ、彼は私達の力になりたいと言って来てくれたのです。色々な事を教えてくれたお礼、そして私達がやろうとしている事が生前の彼が目指していたものと同じだったから……、彼はそう言って私達に協力を申し出てくれたんです」

 

穏健派の目的はこの戦争を終わらせる事……、その目的と同じものを目指す人物か……。政治関係者か何かだろうか……?

 

「それからというもの、彼は穏健派の転生個体を次々と私達の仲間に引き入れながら少しずつ歩みを進め、目的地であるソロモン諸島へと私達を導いてくれたのですよ」

 

その人とんでもねぇな……、指導者の器って言うか……凄まじいカリスマ?そんなものを持っているみてぇだな……。敵じゃないってのがマジで救いだな……

 

「もしかしてソロモンの総本山が中々陥落しないのは……」

 

「はい、皆さんが一致団結して守りを固めているからですね」

 

そりゃ簡単には陥落しないわな……、なんたって1人でも厄介な転生個体が複数いて、更にとんでもなく強い転生個体が他の転生個体をまとめ上げているんだからな……

 

「私達はそんなとんでもないところに攻め込んでいたのか……」

 

「それ以前に、終戦の糸口になりそうなものを自分達の手で破壊しようとしていた事の方がよっぽど問題じゃのう……」

 

「知らなかったからとは言え、本当に申し訳ありません……」

 

大本営組が口々に言う、まあ知らなかったんだからシカタナイネ

 

「お気になさらないで下さい、今まではこの事を知らなかったのですから仕方がないのです。ですから貴方達がこの事実を大本営とやらに伝え、これからは総本山への攻撃を止めるようにしてもらえばいいだけなのですから」

 

あ~……、その事なんだが確か今の大本営って……

 

「それについてなんだが……」

 

長門がそう言って、現在の日本海軍の状況をワンコさんに説明し始める……

 

「そのような事が……」

 

長門の話を聞き終えたところで、悲しそうな顔をするワンコさん。強硬派が強い今の大本営にこの事を伝えたとしても、穏健派の分が減るだけで大して変化がないだろうな~……

 

「今の状況では、とてもではないがソロモンへの攻撃を止める事は出来ないだろう……。その為には何としてでも日本海軍内部を変えなければならないのだが……」

 

これも難しい問題なんだよな~……、話聞いてる限りだとブラ鎮製造機になってる鎮守府かなんかがあるっぽいんだよな~……

 

「俺が日本着くまで持ちこたえてくれたらいいんだけどな、そしたら俺達もその問題の解決に力貸すんだがな」

 

「そういえばお前は提督になりたいと言っていたな」

 

「最初は友人と肩並べて戦いたいって理由だったがな、今は穏健派との橋渡し役になるってのも追加されてる感じだわ」

 

友人と言う単語に首を傾げる長門、こればかりは簡単には言えねぇな~。だってその友人ってのがドイツとイギリスの海軍のトップだからな知られたら大騒ぎになりそう……、いやその前に信じてもらえないだろうな……

 

「っと取り敢えずアポの件は気にしなくていいんだな?」

 

アポの件からかなり脱線してたから、取り敢えず話を戻す。まだ聞いておきたい事があるからな~

 

「あっはい、スウ達も楽しみにしているようなのでなるべく早く行ってあげて下さいね」

 

俺もさっきの話聞いて楽しみになったわ、穏健派転生個体のリーダー……、一体どんな人物なのだろうか……

 

「あいよ、んで次に聞いておきたい事なんだが……」

 

俺が次の話題を出そうとしたところで、拠点内に警報が鳴り響く

 

「どうしたのですか?」

 

部屋の中にある設置式の通信機を操作し、その先にいる通信士にそう尋ねるワンコさん

 

『北からこっちに向かって来ている艦隊があります!その数48隻です!』

 

北からってなるとヤンキー共ではないって事か……って事は強硬派か?にしては異形艦娘達より数が少ねぇな……、例のヤンキー共は艦娘だろうが強硬派だろが穏健派だろうが関係なく攻撃してくるんだったか……、もしかしてヤンキー共の乱入を警戒して数を絞ってるんだろうか……?っとそんなのは関係ねぇか……、降りかかる火の粉は振り払わないとなっ!

 

皆の方へ視線を向けると、静かに頷いてくれた。皆ありがとうな

 

「ワンコさん、もしかしたら乱入があるかもしれねぇから俺達も出るぜ」

 

俺はせわしなく指示を飛ばしているワンコさんに声をかける、一瞬驚いた表情をするがすぐに気を取り直し

 

「お願いします、ウィルさんが眠っている今、乱入に対処出来るのがキャシーだけですからね。皆さんの力、期待しています」

 

ああ、そういやタレ蔵寝てるんだったな……、まあいいかっ!

 

「っしゃ!んじゃいっちょいきますかっ!!!」

 

\応っ!!!/

 

皆の返答を聞いた後、俺達は部屋を飛び出し迫りくる敵艦隊の迎撃の為、海へ向けて走り出すのであった

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