※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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一話で収めるつもりだったのにどうしてこうなった……?


出撃! 鎮守府正面海域 後編

戦治郎が霞の修理と勧誘をしている間、漣と大五郎はどうなっていたかと言えば……

 

「ふんぬー!」

 

自分に向かって次々と飛んでくる砲弾を駆逐艦の機動力と気合で避ける漣、現在相手にしているのは小破した駆逐ハ級1隻と未だ無傷の駆逐ロ級1隻である

 

「今の状態で軽巡クラスを相手にするのはやっぱり面倒だな~、チョロチョロ動き回って中々当てられないだぁよぉ」

 

軽巡ホ級はハコを使用している為固定砲台状態になってしまった大五郎の方へと向かい、砲撃と雷撃を織り交ぜたヒット&アウェイ戦法で大五郎に果敢にも挑んでいた

 

尚、2隻いたロ級の片割れはハコが展開し終えてから動かなくなった大五郎に砲を向け真っ直ぐ進んでいったところを、大五郎の肩に最初から付いていた砲でものの見事に狙撃されあっけなく沈んでいた

 

「2vs1は卑怯だぞー! ってあっぶな!」

 

先程の戦闘では1vs1だった為対処するのは容易だったが、今は2vs1となっている為相手の戦略の幅が広がっている、時に漣を挟み込もうとしたり漣が砲弾を回避し終えたところを時間差で狙ってきたりと数の有利を有効活用してきている、激しくジグザグに走り回り時々Uターンしたりと揺さぶりをかけて隙を見て砲撃してはいるものの、今日初めて戦闘に参加したばかりの漣にはそれはまだまだ難しいものがあり、ハ級を小破させるのが精一杯といったところだった

 

「ぬ~ん、もうちょっと大人しくしろ~」

 

大五郎の方は大したダメージにならないホ級の砲撃は無視し、雷撃を右腕の盾で防ぐ事で自身の被害を最小限に抑える事に尽力していた、但しホ級が背後に回ろうとした際にはそれを妨害するように主砲を叩き込む、追加武装は一応使う事は出来るものの非常に強力なものばかりなので漣を巻き込む可能性を恐れて使う事が出来ない、尤も追加武装を使ってしまえばこの出撃の目的を達成出来なくなる、あくまで事故防止の為に持ってきただけだったから最初から使うつもりはなかったりもする

 

「ええい! 援軍はまだかー!」

 

このままではジリ貧、戦いが長引けば長引くほどこちらが不利になるのは目に見えていた、返答など期待もせず気を紛らわせるつもりで漣が叫ぶ

 

「あいよ! お待たせっ!!!」

 

その声は大五郎の背中、ハコの方から聞こえてきた、声の主はハコからジャンプして大五郎の頭上を飛び越え見事大五郎の目の前に着水する、戦治郎である

 

そして大五郎の横を通り戦治郎の隣に並び立つは先程戦治郎が救出したドロップ艦の艦娘であった

 

「キタ─wヘ√レvv~(゚∀゚)─wwヘ√レvv~─!! メインご主人様来た! これで勝つるっ!!!」

 

「え……、何この子、というかご主人様ってどういう事よ……」

 

漣のこの反応に霞はドン引きしていた、まあこれは仕方ない事だ

 

戦治郎の登場に困惑し動きを止める軽巡ホ級と駆逐2隻、その間に漣は戦治郎の元に辿り着く

 

「それで? 私はどいつと戦えばいいの?」

 

「え? ご主人様、この子も戦うんですか? この子の艤装って民間用だったと思うんですが……」

 

「霞は漣と一緒に駆逐2隻の相手だ、ホ級は俺がやるわ、大五郎はお疲れさん、終わるまで休憩しててくれ、んで霞の艤装ならさっき修理したついでにリミッター外して軍用に切り替えたぞ」

 

あのハコ、そういう事出来るのか……、チート臭ぇ……

 

「そんじゃ、とっととこいつら片付けて鎮守府にけぇるぞ!」

 

「いや、待ちなさいよ、大五郎って言ったっけ? こいつと一緒に戦えばもっと早く終わるでしょ? 何で休憩させるのよ?」

 

「大五郎は地味に燃費わりぃんだよ、後これ終わった後も何があるか分かんねぇから戦力温存すんだ、OK?」

 

「そう、まあいいわ、とりあえず行くわよ漣」

 

「何でこの子が仕切ってるんですかねぇ……? まあいいか、そいじゃ行きましょうか、カスミン」

 

誰がカスミンよ! などと騒ぎながらも指示通り駆逐2隻の方へ向かっていく2人

 

それを見送った戦治郎は、軽巡ホ級の方へと向き直り相手を見据える

 

「さて、さっきは好き勝手やってくれたみてぇじゃねぇか、落とし前、つけてくれんだろ?」

 

そう言ってゆっくりとホ級へ歩み寄っていく、対するホ級は戦治郎が放つ威圧感に完全にのまれてしまい身動きがとれなくなっていた

 

 

 

 

 

 

「沈みなさい!」

 

霞が叫び主砲を放つ、しかしその砲撃は狙っていたロ級に回避されてしまい空を切る

 

砲撃を外した事に舌打ちをしながら砲弾を装填するが、そのタイミングでハ級が霞へ砲を向け主砲の発射準備に入る

 

「キタコレ! そう来ると思っていましたよ!」

 

待ってましたと言わんばかりに漣がハ級に主砲を撃ちこむ、ハ級の死角からの砲撃は狙ったところへ吸い込まれるように飛んでいきハ級に直撃する、漣が単独で戦っていた時に与えていたダメージもあった為かハ級はそのまま海へと沈んでいく

 

仲間を沈められ激昂したのか、ロ級が漣へと砲を撃つがそれも予測してましたと言わんばかりにあっさりと回避する漣

 

「そんなヘナチョコな砲撃なんかに当たりませんよ~、にっしっし~☆」

 

これはおまけといった感じでロ級を煽る、さっき散々追い回してくれたお礼なのだろう

 

その煽りに乗ったのか、再度漣に砲撃しようとしたが、それも中断せざるを得なくなってしまった

 

「みじめよね!」

 

背後に衝撃、振り返ってみればロ級の背後に霞が回り込んでいたのだ

 

そう、ロ級が漣を砲撃している間に霞は密かにロ級の背後に回ろうと動き出していたのだ、それを見た漣がロ級を煽り注意を引きつけていた

 

現在、ロ級は漣と霞に挟まれた形になっており、先程の霞の砲撃で機関をやられ動けなくなってしまっていた

 

「形勢逆転って奴ですね~」

 

ニヤニヤしながらそう言ってロ級に魚雷発射管を向ける漣

 

「さっきはよくも弄んでくれたわね……」

 

怒りを露わにしそう言い放つ霞、霞もまた漣同様魚雷発射管をロ級に向ける

 

「「これはお返しだ(よ)!」」

 

それが合図と言わんばかりに漣と霞は同時に魚雷を発射、動く事が出来ず迫りくる魚雷を見て絶望するロ級、その姿は己に直撃して高く上がった水柱と共に消えていったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっちは終わったか……、んじゃとっとと合流しますかね」

 

戦治郎はそう呟き、漣達が向かった方角へと歩き出す

 

その左手には砲塔と機関部を完全に潰され、全身をビクンビクンと痙攣させ力なく垂れた両腕は骨が骨としての機能を失ったかのように痙攣する度にグニャグニャと動いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ! ご主人様お疲r……なんじゃそりゃぁっ!!!」

 

「これ、さっきのホ級とか言う奴かしら? 本当に惨めな姿になったわね……」

 

漣が戦治郎を見つけ声をかけるも、その手に持ったホ級の姿を見て驚愕しそれに反応した霞がその方向に向き直りホ級を視認すると、復讐の対象であるはずのホ級にこれは流石に……っと言った具合に哀れみの視線を送っていた

 

「2人共お疲れさん、こっちはまあ見ての通りだわ」

 

そう言ってホ級を掲げる、その姿は凄惨の一言に尽きる

 

「あんた、これどうやってこんな状態にしたの? 武装はしてるみたいだけどその武装でやった感じじゃないわよね? 一体何やったの?」

 

霞が戦治郎に問う、そう、戦治郎もしっかりと武装しているのである

 

腰の左右に黒い箱、これは大五郎が工廠から持ち出して大事そうに持っていたあの箱である、中身はやっぱり分からない

 

そして腰の後ろの方には、握力計の取っ手の様なものに4本の小さなシリンダーが付いており、その先には筒状のものがくっついていて更にその先に金属製の爪であろうものが5本、今は花のつぼみの様な形に閉じられている、とあるゲームでクローショットなどと呼ばれているものに近い何かが付いていた

 

そしてその背中には某狩りゲーにでも出てきそうな大きな刀が背負われていた

 

しかし、ホ級の状態を見る限りこれらの武装を使ったようには思えない

 

「こりゃただ単純に殴ったり関節技極めたりしたらこうなっただけだ、気にすんな」

 

ただの暴力だけでこれか……、少々ゾッとする2人、そして気にするなと言われても見た者は全員絶対気になると思われる

 

「それよりも、今からやる事の方がよっぽど重要だと思うぜ? 霞にもついでに教えてやんよ」

 

そう言って戦治郎は背中に背負った刀を右腕だけで10cmほど引き抜いた後持ち上げるようにして鞘から抜く、後で見せてもらったがこの鞘は切っ先から10cmまではしっかりと刀身を包んでいるが、それから先は峰側が開いており先程の様な抜き方が出来るようになっていた

 

そして左手に持っていたホ級の首を刎ねた

 

首から下はそのまま落下し脈打つ様に血を噴き出す、戦治郎はその血を頭からモロに被る事になったが全く気にした様子はない

 

漣と霞は目を見開き絶句しながらもその光景を見つめていた、そんな2人に

 

「よぉく見とけよおめぇら、これは長い事艦娘やってても中々見る機会がねぇそうだ、しっかりとその目に焼き付けろよ」

 

返り血で染まる戦治郎が話しかける

 

首のないホ級から未だドクドクと流れ出す血、深海棲艦の身体を駆け巡る血液は青かった、まるで深い海の如く深い青色だったのだ……

 

「さってぇ、見せてぇものも見せた事だし、これにて今回の出撃は終了! 鎮守府にけぇるぞ! 霞も付いてこい、保護者さんにこっちで保護したって事にすっからな、そんで明日保護者さん説得してから軍への加入手続きすっから覚悟しとけよ~?」

 

「「それより早いとこその血を拭いて下さい(拭きなさい)!!!」

 

火傷痕に両腕のタトゥー、そして今回の返り血は戦治郎の姿を更に迫力あるものに仕上げていたのであった

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