こいつはホントに……、会った時から馬鹿だ馬鹿だとは思っちゃいたが、まさかここまでたぁなぁ……、剛さんはこいつの事見限ったがそれは間違いなく正解だったな……
「聞こえてねぇのか?!そいつを早く越せと言ってんだよっ!!!艦娘のてめぇなんかが使うより、俺が使った方がよっぽど効果的だろうがよぉっ!!!」
「貴様っ!いくらこいつが欲しいからt「長門、早く行け」……戦z……っ!?!」
長門がタレ蔵に意見しようとするが、俺がその言葉を遮って長門に先に行くようにと促したのだ。長門はそれに不服だったのか、俺の方を睨み一言言おうとしたところで驚愕の表情を浮かべたまま硬直してしまった
「いいから行け、こいつの事は俺の方で何とかする」
「わ、分かった……」
今度は俺の言う事を素直に聞いて、長門は水上バイクに乗ってこの場から離れて行った
その背中へ向けて再度砲撃しようとするタレ蔵、しかし俺に射線を遮られてしまい舌打ちして俺に向かって話しかけて来る
「てめぇ……、何で邪魔すんだよ?」
「あれは俺が長門に渡す為に持って来たもんだ、てめぇの為に持って来たわけじゃねぇんだよ。それにおめぇ何かに渡すより、長門に渡した方が万倍効果的だっての」
もしこいつに貸そうものなら、仲間への妨害も激しくなるだろうし、何よりも仲間を轢き潰しながら戦いそうだからより被害が拡大する事だろう
「あぁ?何訳分かんねぇ事言ってんだ?艦娘なんかより俺達転生個体の方が強ぇんだろ?だったら俺達は優遇されるべきだろうがよぉ」
確かに転生個体は強ぇよ、正直艦娘や普通の深海棲艦なんか相手にならねぇと思うわ……
けどそれは飽くまでスタート地点での話だ、普通の深海棲艦の方はどうか知らんが艦娘は経験を積み重ね、練度を上げていけば深海棲艦の上位個体だけでなく並の転生個体とも張り合える可能性があるのだ。艦娘を鍛えて来た俺が言うのだから間違いないだろう
事実木曾は手加減していたとはいえ俺に攻撃を掠らせる事に成功している、俺達やラリ子みたいなのの相手するにはまだまだ全然経験が足りないだろうが、こいつくらいなら問題なくやり合える事だろう
だってこいつ、さっきから俺が殺気をガンガンぶつけてるのに全く気付いてないんだもん。こいつが雑魚扱いしてた長門は俺見るなり即気付いて固まってただろ?けどこいつ全くそんな素振りがない、動じてないとかそんなんじゃない素のリアクションがこれ、つまりそう言った気配を感じ取れないほどの雑魚なのだ
そのクセにこのビッグマウスである、多分自分の実力ってのもしっかり把握出来てない、ホントお話になんねぇよこいつ……
「俺が話しかけてるのにダンマリかよ……、ビビってんのか?だったら端から俺の邪魔すんじゃねぇよっ!!!」
タレ蔵が叫び、俺に向かって砲撃してきた。まあ即切り払ってやったさ、特に搦め手とか入れてるわけでもない分かり易い普通の砲撃だからな
「あ~、キャシー?聞こえるか?」
『聞こえてる、それに今貴方達が何やってるかも艦載機経由で見てるわよ』
キャシーの通信を聞いて、おもむろに空を見上げればキャシーのものと思われる艦載機が頭上をグルグルと旋回していた
「だったらこうなった経緯も分かるよな?」
『まあね、流石に今回のは私も引いたわ……』
「この状況でお喋りたぁ余裕だなおいっ!!!」
またも砲撃してくる、また砲弾を切り払ってやった。だって本当に余裕だからな、なんなら欠伸でもしてやろうか?
「なら話が早ぇ、あいつの利き腕ってどっちよ?」
『……エグい事考えるわね……、あいつは左利きよ』
「利き腕がどうとかいい加減耳障りなんだよぉっ!!!」
ようやく砲撃じゃまともにダメージが与えられない事を理解したようで、今度はこっちに向かって突っ込んで来やがった。まあ好都合だわな
タレ蔵は俺を利き腕である左腕で殴りかかろうとするが、俺に半身ズラされて見事空振り……したところで
「あ……あ……?」
空を切ったはずの自身の左腕があるべき場所に無い事に気付く、それに気付いた瞬間左腕があったところから盛大に血が噴き出し始める
「ぎゃあああぁぁぁーーーっ!!!腕があああぁぁぁっ!!!俺の腕があああぁぁぁーーーっ!!!」
「探しもんはこれか?」
そう言って、俺は先程奴とすれ違った際大妖丸で斬り落とした奴の左腕を見せる……はずだったんだけど、あっちはそれどころじゃなさそうね
「うわあああぁぁぁっ!!!あああぁぁぁっ!!!」
腕を押さえながら泣き叫ぶタレ蔵の声がいい加減鬱陶しくなった俺は、イラつきながら奴を蹴り飛ばし仰向けに倒す。そして奴の右胸を踏みつけながら話しかける
「痛ぇか?苦しいか?てめぇが傷つけて来た連中の痛みや苦しみはこんなもんじゃねぇんだぞ?そんくらい分かるよな?」
「ああぁ……、腕……、俺の左腕……」
こうやって話しかけてるのにまぁだ腕の事かよ……、俺は奴の右胸に乗せた足に力を込めて奴の肋骨を軋ませる
「がぁ……っ!ぁ……っ!」
「てめぇが好き勝手やって来た分の対価として、てめぇの左腕は貰っていくからな。そんでここまでやってまた同じような事繰り返すようだったら……、次はそのタマ貰い受けるからな、覚悟しとけよ馬鹿野郎」
そう言ってタレ蔵の左腕を見せつけながら握り潰す、そして奴の右胸に乗せていた足で顎を思いっきり蹴り飛ばして吹っ飛ばす。これで奴が俺の視界に入る事はないだろうな
『うっへぇ……、普通そこまでやる……?』
今のやり取りを全て見ていたであろうキャシーが、ドン引きしながら聞いて来た
「そりゃおめぇ、ガキの頃に死別した母親と瓜二つの女性に砲向けられちゃぁ黙ってられんよ」
『自分から言うようになったか、ならばもう心配する必要はなさそうだな』
キャシーとの通信に入って来たのはマイマザーのそっくりさんの長門、その節は本当にご迷惑をお掛けしました……
『その……ごめんなさい……、何か理由が思ってたのより重かったから……』
こんな理由があるなんて誰も想像出来んわな、こればかりはシカタナイネ
「気にすんな、それより後であの馬鹿回収しておいてくれ。そんで最低限の治療だけして牢屋があるんならそこにブチ込んでおいてくれ」
『OK、それと貴方達が捕まえて来たヤンキーも牢屋に入れておいたから。尋問する時は言ってくれれば鍵渡すから好きな時に連れ出して始めちゃって頂戴』
そりゃ助かるぜ、ただまあ尋問はどの部屋でやればいいかについては言ってくれなかったから、鍵受け取る時に聞くとしますか
「ありがとよ、んじゃ俺は今からタレ蔵の代わりに前線いくから、サポートの方頼んだぜっ!」
『貴方に私のサポートが必要かどうか甚だ疑問だけど……、いいわ、任せなさいっ!』
『おっ旦那も前線に出るのかっ!』
『いいぞぉっ!』
『私的にはOKです!』
『海賊団の皆さんの士気が凄い事になってますね……』
『吾輩達も負けておれんぞっ!』
俺が前線出るってなった途端やる気になりおって……、俺にいいとこ見せたいってクチか~?愛い奴らめ~♪んじゃもうちょっち気合入れる為に……っとその前に通信機をOFFにしてっと……
「んじゃあおめぇら気合入れていくぞおおおぉぉぉーーーっ!!!」
\おおおぉぉぉーーーっ!!!/
自身と仲間達を鼓舞するように、俺は腹の底から声を出して叫ぶ。こっからでも返事聞こえるって、どんだけでかい声出してんだあいつら、って俺が言えるクチじゃねぇか
俺の介入と水上バイクの導入、更に士気がMAXになった海賊団と大本営組、それに釣られるようにやる気になった穏健派の深海棲艦達の頑張りのおかげで、強硬派深海棲艦の増援はあっけなく蹴散らされ、この戦いは俺達の勝利で幕を閉じるのであった
尚、俺の戦いぶりを見ていたキャシーは
「貴方、何よあの暴れっぷり……いくら何でも規格外過ぎるでしょう……。えっ?これでも苦戦した相手がいるって?嘘でしょ……?」
顔を真っ青にしながらそんな事を言っていた