※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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ちょっと加筆しました


海の怪物

タレ蔵にキツイの1発カマしてやったもんだから、ホント気分爽快!あいつもこれで懲りてくれたらいいんだけどな~……

 

そんな事を考えながら、前線部隊の皆と仲良く拠点に戻る俺。穏健派の娘達からはタレ蔵の件で口々にお礼を言われたんだよな、ちゃんとお礼言える良い子ばかりだな~

 

っとそれはそうと、それをこの戦いに参加した殆どの娘から言われた事から、あいつがどれだけここの娘達に迷惑をかけて来たかが嫌と言うくらい分かった

 

つか、あいつのあの性格は一体何処で形成されたものなのだろうか?よっぽどの事がない限り、ああはならないと思うんだよな~?

 

「貴方達、ホント凄かったね~。一体どうしたらそんなに強くなれるの?」

 

「旦那達の教育の賜物だなっ!まあ……、その訓練がすげぇハードだけどな……」

 

「おまけに戦闘以外の技術とかも教えられるからな、サバイバル技術とか応急処置のやり方とか、そのおかげか艤装のメンテどころか簡単な修理くらいなら自力で出来るようになったぞ」

 

「そ、そんな事まで教えられるのですか……」

 

「何か凄いね……、私達のところじゃ考えられないよ……」

 

俺が独りで考え事をしている傍で、艦娘と穏健派の娘達が仲良くお喋りをしている。こういう光景が日常化する日が来るといいな~……、いや、ねだるな勝ち取れ!そういう世界を俺達が作ればいいじゃんか!……その為には何としても提督にならねぇとだな~……

 

「蛇を捕まえて調理して食べると聞いた時は思わず固まってしまいました……」

 

「へ、蛇っ!?しかも食べたんですかっ?!」

 

「あたし達の時は蛙だったな~……、見た目はアレだけど意外と食えるもんだぞ?」

 

「ふ、扶桑さん……、それは本当の事なのでしょうか……?」

 

「お主らは何処へ向かって行っておるのじゃ……」

 

いや~、微笑ましいな~、この光景は尊いな~。会話内容?聞こえません。長門が今の話聞いて真剣な表情で考え事してる姿も見えません

 

『戦治郎、ちょっといいか?』

 

不意に空から通信が入る、空と剛さんには俺が前線で暴れている間に水上バイクを調べてもらっていたんだが……、声のトーンも真面目な感じだし何かあったのだろうか?

 

『おう、どしたぞ?』

 

『さっき鹵獲した水上バイクの事で話したい事があるんだ、すぐに来れるか?』

 

ヤンキー達が使っていた水上バイクか……、そういや剛さんが気になる事言ってたからな……。確かフラリンからもらった銃器類と同じ気配……、まさか……っ!

 

「分かった、すぐ行く。おめぇら悪ぃけど俺ちょっち先に戻るわ」

 

前線部隊の皆にそう告げて、俺は急いで水上バイクを保管しているであろう拠点の工廠へと向かった

 

 

 

「今来た、それで何か分かったのか?」

 

「まずこいつを見てくれ」

 

工廠に到着しすぐに空を見つけて話しかける俺、俺に気付いた空はそう言ってバラした水上バイクのエンジン部分を指差した

 

「これは……『ケートス』……?」

 

「そうケートス、ケートスはギリシャ神話に登場する海の怪物よ。説によってはポセイドンに作られたとも、テュポーンとエキドナの間に生まれたとも言われているわ」

 

ギリシャ神話の怪物……、そういや剛さんが使ってるアリーさん製銃器も確かギリシャ神話の怪物の名前じゃなかったっけか……?

 

「恐らくだけど、これもアリーが関わってる可能性があると思うの」

 

「俺達が鹵獲して来た分には武装は付いていなかったが、この構造から考えるとこれは武装させて運用する事が前提で設計されているようだ」

 

ふむ……、武装が付いていなかったのはこいつの素の機動力テストをする為だったのか、或いはヤンキー共はアリーさんにそこまで信用されておらず、譲ってもらえたのがこいつだけだったとか……?

 

「もし武装付きの物が出回るような事になれば、この戦争は更に混沌としたものになるだろうな……」

 

仮に武装した場合、今より機動力は落ちるだろうが正直誤差レベルだろうな……。こいつの機動力はそれだけ恐ろしいものがあるのだ……、それに深海棲艦も倒せる装備なんか積もうものなら脅威としか言いようがないな……

 

「そうなる前にアリーを何とかしないと……っ!」

 

そう呟く剛さんの表情は険しいものだった、確かに自分の元妻が世界を混乱に陥れようとしていたら止めたくなるわな。でも今の俺達はアリーさんの尻尾も掴めていないのでどうしようもない……、だが……っ!

 

「そうですね、その為には何としてでもアリーさんの尻尾を掴まないといけませんね。そうなるとどうしても情報が必要になってくる……、そのへんはスウさんに聞いてみますか。その為にも早いとこソロモンに行かないとですね」

 

俺がそう言うと、2人は静かに頷いた。穏健派の総本山ならきっと情報の1つや2つはあるはずだからなっ!

 

「それはそうと、剛さんはギリシャ神話とか詳しいですね~。好きなんです?」

 

剛さんがケートスの事について話してる時、ふと思った事を口に出してみる

 

「アリーがね……、兵器の名前に使えそうなものは無いかって言って色んな神話を漁っていたらハマっちゃったみたいなのよね~……。それに付き合ってたら覚えちゃったのよ……」

 

すっごく悲しそうな顔でそう語る剛さん、剛さんは本当にアリーさんの事が好きだったんですね~、それがどうしてこんな事になってしまってんだ……。……そのぉ……、剛さん、辛い事思い出させてごめんなさい……

 

「さて、暗い話はこのあたりにしておこう。それで戦治郎、これは武装する事が前提の水上バイクと言う事なのだが……」

 

暗い空気を吹き飛ばすように、空が話しかけて来た。うんうん、これは武装する事前提の水上バイクだな。うん、空~……、俺との付き合いが一番長いお前ならわざわざ言わなくても分かるもんだろ~?

 

「当然、俺達好みに武装するに決まってるじゃん♪でもそれは光太郎達と合流してからだな、もしかしたら光太郎とか悟が傷病者搬送用に欲しいとか言い出しそうだし、何か面白そうな事は工廠組全員でやりたいじゃん?」

 

これについては、ホント俺達の場合水上バイクの運用方法は多岐に渡るからな、だからしっかりと皆で話し合って水上バイクの改造の方向性を決めたいんだ

 

「だな、ならこの件は保留にして……、次はこいつをバラしながらメモとして設計図を描いておいたんだが……」

 

「おっおっ!って事はあれかっ!資源さえあれば俺達でもそれ量産出来るようになったって事かっ!!!」

 

大きく頷く空に最大の感謝を……圧倒的感謝を……っ!!!

 

「それどころか、これがあればこいつの後継機を自称する水上バイクも作れるようになるぞ?」

 

イヤンもう!流石空!ホント大好き!胸が熱くて仕方がないわ~……

 

「盛り上がってるところ悪いんだけど、戦ちゃんはあの馬鹿の件でワンコちゃんのところに行かなくていいの?」

 

いっけね、忘れてたZE♪まあこんなにも夢が広がる話されたら、忘れちゃっても仕方ないよね?っとそうだそうだ

 

「ワンコさんのところには今から行きます、けどその前にですけど……」

 

「何かしら?」

 

「タレ蔵があんなにも歪んでしまった原因、剛さんは知りませんか?」

 

ちょっと前に気になった事を剛さんに聞いてみる、多分この人の事だから多少調べてるんじゃないかな~?って思ったんだけどどうかな~……?

 

「ああ、その事……。いいわ、教えてあげるわ」

 

そう言って剛さんはタレ蔵の事を話し始める

 

なんでも剛さんの部下の中佐さんの弟さんの一人息子がタレ蔵だったそうだ

 

タレ蔵は一人息子だったもんだから、両親に大層甘やかされて育ったらしく非常にわがままなガキンチョになったんだとか……

 

それに拍車がかかったのは、タレ蔵が中佐さんの存在に気付いてからなんだってさ。身内に軍隊の偉い人がいるってのをいいことに、好き勝手に暴れ回っていたらしい

 

今までタレ蔵を散々甘やかして来た両親は次第にタレ蔵の扱いに手を焼くようになり、その事を中佐さんに相談したところ、中佐さんが責任感じて軍隊に入れて根性を叩き直すと宣言

 

至るところにこっそりと根回しして何とかタレ蔵を入隊させるも、タレ蔵が入隊したその日の内に中佐さんの上司である剛さんに噛み付き罰を受け……、最終的に脱走したそうだ……

 

「結局中佐はあの馬鹿に面子を潰されてたわね、それであの馬鹿の件で責任感じて軍を辞めちゃったわぁ……。すっごくいい人だったのに……」

 

何処までも他人に迷惑をかけるかあの阿呆は……

 

「その後の馬鹿の事は知らないわね、知ったところで意味もないしね。多分アタシが知らない期間中ずっとアタシの事とか恨んでたから歪んじゃったのかもしれないわね、まあそんな事してるから馬鹿のままなんだろうけど」

 

そう言って剛さんはタレ蔵の事をバッサリと切り捨てた、これはホントシカタナイネ……

 

多分あいつが歪んだのは、甘やかされ好き勝手やって来たのが急転、いじめられて逃げ出して凄まじい屈辱を味わう羽目になり、その責任を全部剛さんなどの他人のせいにして恨み続けてきたからなんだろうな~……

 

「ありがとうございました……、これはワンコさんには黙っておこう、あの人それ聞いたら可哀想だからってタレ蔵の事庇い始めそうだし……」

 

「そうね、それがいいと思うわ」

 

っと、剛さんの話聞いてたら結構時間経ったみたいだ。俺は2人に断りを入れてワンコさんのところへ向かうのだった

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