※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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マダガスカルの主として

俺がタレ蔵の左腕を斬り落とした件について、ちょっちワンコさんとお話し合いする為にワンコさんの部屋に来たわけなんだが……

 

「うぅ……、ぐす……、ひっく……」

 

「ようやく来たのか戦治郎……」

 

「戦治郎さん……、ワンコさんですけど……」

 

「ほらワンコ、戦治郎来たよ。シャキッとしなさいって」

 

部屋に入ったらワンコさんが膝を突き嗚咽を漏らしながら泣いてて、それを翔とキャシーが慰め、その光景を気まずそうに眺めている長門の姿があった

 

「ごめん、これどういう状況?今来たばっかだから事情がスッカリサッパリ分からんちんなんだが……」

 

「それが……、長門さんが先程の戦闘の事をワンコさんに話したらこうなっちゃって……」

 

「いや、私もまさか泣き出すなんて思わなくてだな……」

 

あ~……、長門がタレ蔵に砲向けられた事話したらこうなったってところか?

 

「ウィル……さん……、何で……、そんな……、うぅぅ……」

 

普通に考えたら本当にショックだろうな~……、俺達が客人である云々は兎も角、長門に砲向けたのは穏健派からしたら本当に大事だからな~……。だって長門って言っちまえば艦娘大国日本の海軍の艦娘の頂点みたいなもんだろ?それに砲を向けるとか、穏健派が日本に対して宣戦布告したようなもんだろうがよ

 

そうなると、日本海軍は今まで通り深海棲艦だからと言う理由で穏健派だろうが強硬派だろうが関係なく攻撃を仕掛けるだろうな。それも前以上に苛烈に……

 

そうなった場合、穏健派の目的である人類との和平の道は完全に閉ざされてしまう……、ホントあの馬鹿はやらかしてくれたよ……

 

まあ尤も?長門はタレ蔵のあの行為が組織ぐるみのものではない、タレ蔵個人の暴走だって事は分かっているはずだから、この件はきっと握り潰してくれると俺は信じてる

 

……それはそうと、この状態のワンコさんにタレ蔵の件で物申すのは追い撃ちかけるようでちょっち気が引けるな~……、でも言っておかないと今後似たような事が起こる可能性もあるから……、うん、俺頑張れ!

 

「やっちまったもんは仕方ねぇさ、やっちまった事を嘆くばかりじゃ状況は変わらんだろ?だったら今はやっちまった事をどうやって取り返すか考えようぜ?」

 

俺がそう言うと、ワンコさんは手で顔を覆ったままではあるが頷いてくれた

 

「よし!んじゃまず立って、そんで涙拭いてからあっちの席にいくぞ」

 

ワンコさんは俺の言う事に素直に従い、立ち上がり涙を拭って応接用のソファーの方へと向かってくれた。取り敢えずこれで話は出来そうだな……

 

「んじゃ話始めますか、今回タr……ウィルがやらかした事がどんだけの事かは分かってくれてるみたいだからいいとして、何でウィルがあんな行為に走ったかだけど、ワンコさんは理由分かる?」

 

「私が……、情けないから……」

 

俺の問いにそう答えるワンコさん、まあ当たらずとも遠からず?部下がやらかした事をちゃんと叱れてないのは、人の上に立つ者としては情けないからな。ここはちょっち掘り下げてみるか……、何で叱れないのかについてな……

 

「具体的には?」

 

「私が皆が悪い事をした時に、キチンと叱ったり咎めたり……ちゃんとした罰を与えていなかったから……」

 

そこは分かってるのね、だったら理由の部分何とか出来たら後は早そうだな、うん!

 

「でも……、怖かったんです……。皆に嫌われたり恨まれたり、怖がられる事が怖かった……」

 

「ワンコ……」

 

言葉を続けるワンコさんを心配そうに見つめるキャシー、そのへんは何となく分かるな~……、でもだからってやらなきゃいけない事をやらない訳にはいかねぇからな、腹括ってやるしかねぇわ

 

「それに、私はあの子達のリーダーとか……、まとめ役じゃないですから……、そんな私が偉そうにあの子達を叱っていいものか……」

 

ああ、この人穏健派の幹部云々を否定してたけど、自分がここのまとめ役って事自覚してないのか……、でもそれだったら戦闘前に皆に指示出してたのはどういう事だってばよ?

 

「いや、お前はしっかりとここの連中のリーダーをやっているではないか」

 

ワンコさんの言い分を聞いた長門が口を開く、そうだそうだ!言ってやれ長門!俺が言おうとしてた事言った以上、おめぇが責任持ってワンコさんに自分がここのまとめ役だって事自覚させてやれっ!!!

 

長門の言葉を聞いたワンコさんは少々混乱しておられるようだな……、驚いた表情こそしてはいるが何を見てそんな事を言っているのだろうって言いたげだ

 

「戦闘が始まる前、貴女はこの拠点の者達に的確に指示を飛ばしていた。恐らくこの拠点にいる者達を、その者達が帰るべき場所を守りたかったから必死になってやった、そうだろう?」

 

ワンコさんは相変わらず驚いたままだ、長門もやっぱそこが判断基準になったか~

 

「そして何より、その者達が出された指示にキチンと従ってくれているのは、皆が貴女の事をリーダーと認め慕っている証拠なのではないだろうか?」

 

ここでようやくハッとするワンコさん、そうそうそれそれ!まとめ役って皆から認めてもらってないと成立しないからな、いやホントにね

 

「貴女にその気がなかったとしても、周りの者達は皆貴女の事をリーダーだと思っている。ならば後は貴女がそれを受け入れ、皆を引っ張っていけばいいと思うのだが……、どうだろうか?」

 

「そうそう!ここの皆はワンコこそがここの主なんだって思ってるんだから!」

 

長門が話し終えるや否や、そう言ってワンコさんに抱き着くキャシー

 

「それにワンコには私がいるじゃない、ワンコは私を助けてくれた、その恩がある限り私はワンコの事を絶対に裏切らない。ワンコの友人……いいえ、親友として私がワンコの事を支えてあげるし守ってあげる。それにきっとここの皆も私と同じ気持ちのはずなんだから、ワンコはここの主として自信をもって私を、皆を引っ張ってあげて」

 

「キャシー……、ごめんなさい……。皆の気持ちに気付けなくて本当にごめんなさい……」

 

あら^~……じゃなくって、美味しいとこ全部キャシーに持っていかれたでゴザルの巻……。っと冗談はこれくらいにして、リーダーとしての自覚を持ってくれたワンコさんには早速仕事をしてもらわないとだな

 

「さて、そろそろいいか?ワンコさんが自他共に認める皆のまとめ役になったところで、ウィルの処遇についてなんだが……」

 

「それについてだけど、あいつはもうここから追い出した方がいいと思うの。あいつは皆にすぐ暴力を振るったりセクハラばっかやってたからね、戦治郎もあの後皆からお礼言われてたでしょ?それだけ皆あいつの事で困っていたのよ」

 

ワンコさんに抱き着いたままのキャシーが答える、んだな~……、戦闘終了後からここ来るまでにあった娘全員からお礼言われたよ……、ホント好き勝手やってたのなあいつ……

 

「そうね……、それにあの人はその……」

 

顔を赤くしその豊満過ぎる胸を押さえながら答えようとするワンコさん、OKみなまで言うな……

 

「せかせか、まあこっから先の事は俺がどうこう言うべきじゃねぇな。決めるのはワンコさんだししっかり話し合って決めてくれよ~、って事で俺はこのあたりで次に行くわ」

 

「次?何処か行くところがあるのか?」

 

俺の言葉に反応する長門、次行くとこは長門も無関係じゃねぇからな~……、どうしたもんか……、まあそこらは長門本人が決める事か

 

「ああ、今から捕まえたヤンキーの尋問なんだわ。シゲに頼んで準備しててもらってたからな、後はあいつから話聞くだけだ」

 

「そうか……、なら私も同行しよう。あいつらが一体何者なのか、何が目的で艦娘だけでなく深海棲艦、それも強硬派も穏健派も関係なく襲撃するのかについて聞いておきたいところだからな」

 

「あ、2人共行っちゃうんですか?折角クッキー焼いたのに……」

 

おっほ!翔のクッキーは是非とも食べたいところだなっ!って言ってもシゲ待たせてるからな~……、そうだっ!

 

「だったら、何枚か小袋に詰めてもらえるか?尋問の後で食うわ。ああ、ついでにシゲの分も準備してやってくれ」

 

「なら私のもそうしてもらえないだろうか?」

 

はいは~いと返事をして、すぐにクッキーを準備してくれる翔。沢山作ったからと言う事で沢山クッキーの小袋をくれたよっ!……って多い多い多過ぎィッ!!!これ何袋あんだよっ!!!

 

俺は翔から大量に渡されたクッキーの小袋を、すれ違う娘達に配りながらシゲ達の元へと向かった

 

 

 

シゲが言っていた部屋はここか……、って部屋の前にいるのは……

 

「摩耶木曾阿武隈か……、ここで何してんだ?」

 

「あっ旦那っ!いいとこに来てくれたっ!!!」

 

声をかけると、3人は慌てて俺のところへと駆けよって来た

 

「戦治郎さん大変なんです!シゲさんがっ!!!」

 

「いや、口で説明するより見てもらった方が早いっ!!!」

 

状況を説明しようとした阿武隈の声を遮って、木曾が俺の腕を引っ張りながら勢いよく扉を開け部屋の中に入る。その様子を見ていた長門も、急いで俺の後を追って部屋に入ってきたんだが……

 

「こ、これは……っ!」

 

「なんじゃこりゃっ!?」

 

そこには部屋の中央でヤンキーにネックハンギングツリーを仕掛けるシゲの姿があった、それだけなら俺達もここまで驚く事は無かっただろう……

 

何に驚いたのかと言えば、ヤンキーを宙吊りにするシゲの手から白煙が濛々と立ち上がり、肉を焼いたような臭いと共に煙が部屋の中に充満していたからだ

 

一体何が起こってやがるんだ……?

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