木曾に引っ張られて入った部屋の中でシゲがヤンキーを2つの意味でシメてました……、しかも肉が焼けてる臭いと白い煙が部屋の中に充満してるというおまけつき……
ホント何だこの状況……って言ってる場合じゃねぇぞ!
これでヤンキーがオチたら尋問どころじゃなくなっちまう!早くシゲを止めねぇとっ!
そう思って俺はシゲのところへ駆け寄ったわけなんだが、何かシゲに近付くに連れて体感温度が上がってる気がするのは気のせい?
「何やってんだシゲ!」
俺はそう叫びながらシゲの肩を掴んだんだが……
ドジュウウウゥゥゥ……
あっとぅうううぅぅぅいっ!!!シゲの肩に触った瞬間赤熱した鉄に水をかけたような音と共に、手のひらに焼けるような激しい痛みが走ったのだ
いやマジで何だこれっ!?今のシゲは頭だけでなく、身体も物理的にヒートアップしてるのか?!
「あっつつつ……、うへぇ……」
さっきシゲを触った手のひらを見てみれば、ぐちゃぐちゃに焼け爛れているではないか。思わず声が漏れてしまった
「大丈夫か旦那っ!?」
「私、水を持ってきます!」
「俺は医務室に行って来る!早く戦治郎さんの手当をしねぇと!」
慌てて俺に駆け寄る摩耶、阿武隈と木曾も思い思いに行動を開始する。こいつらが部屋の前にいたのはこの状態のシゲを自分達じゃ止められそうになかったからってとこか……。
「戦治郎、これは一体……」
「恐らくシゲの能力が発動したってとこだな……、しかも発動させた本人がそれに全く気付いてねぇから暴走してるんだと思うわ……」
長門が心配と困惑を混ぜたような複雑な表情で俺に尋ねてきたので、まだ確信出来ていない推論で返答する
「さっき何つったかもっぺん言いやがれっ!!!何処の誰が何だってっ?!!あ"ぁ"っ!!?」
長門とそんなやり取りをしていると、シゲがヤンキーの首を持ち上げる手に力を込めながらそう叫んだ
シゲがヒートアップしてる原因はそこか……、しかし今来た俺には何の事かスッカリサッパリ分からん……。っとそういや摩耶がここに残ってたな……、多分摩耶達はシゲの手伝いしてたからここにいるんだろう。だったら何か聞いてるかもしれねぇな……
「摩耶、あのヤンキーが何言ったか覚えてるか?」
「あ、あぁ……、確か『カルメン』とか『可奈子』とか言ってた気がするんだけど……。ってどうしたんだ旦那?顔真っ青だぜ?」
摩耶の言葉を聞いて思わず戦慄する……、おいおいおいマジかよ……。その名前が出てくりゃシゲもああなるわな……、剛さんに続いてシゲもなのか~……
「戦治郎、何か知っているのか?」
長門が聞いてくる、ああそりゃもうよく知ってるさ……。その事で何度かシゲに相談されたからな……
「そのへん教える前にだ、シゲが元族の総長だったってのは知ってるよな?」
2人に尋ねると摩耶は頷き長門はちょっち引きつった表情になる、ありゃ~長門は初耳だったか~……
「あいつ昔『大天狗』って族の総長だったんだわ、潰したの俺達だけどな……ってこれはどうでもいいか、んでシゲは族の総長って繋がりでとあるレディースのアタマと付き合ってたんだわ」
シゲが誰かと交際していた、その言葉が出た瞬間摩耶がピクリと反応した。これが無意識なのかどうかで今後の展開が変わるな~……って今はそこ重要じゃないな、うん
「……まさかっ!」
「長門は気付いたみたいだな、そう、そのレディースの名前が『カルメン』でそのアタマの名前が『可奈子』、『水門 可奈子(みなと かなこ)』って言うんだわ」
「はぁっ!?つまりあれか?あのヤンキーはそのシゲの彼女の手下って事かっ?!」
摩耶が教えてくれた事が間違いじゃなかったら、恐らくそう言う事になるんだよな~……。ただ1つ、訂正するところがある
「彼女って言うか元カノだな、シゲは俺達がこの世界に来る半年も前にそいつに盛大に振られてるんだわ。シゲの奴長門屋の敷地内でグーで殴られてたっけな~……」
その時の事をしみじみと思い出す、いきなり現れたかと思えばシゲを呼べって言ってきて、言われた通り連れて来たらシゲを一方的に責めた上でのグーパンだったな~……。社会の歯車がどうとか牙をもがれたとか喚いてたが……
「この世界でそのシゲの元カノ……?の名前が出ると言う事は、そいつもこの世界に来ていると言う事だな……」
「それは間違いねぇだろうな、そんであのヤンキー達をまとめ上げてこの世界で『カルメン』を結成したと……、ただ何の為にそうしたのかが全く分からん……」
「それを聞こうとしてたんだっけか?でもシゲがあの調子じゃな~……」
そんな感じで3人で話してたら、廊下からドタドタと足音が聞こえて来た。木曾達が戻って来たのかと思ったが違った
「おい何かこの部屋から変な反応があったんだが……、って何やってやがんだシゲ!?」
やって来たのは輝だった、こいつさり気無く建築物把握能力使ってやがったな……。ヤンキーを宙吊りにするシゲの姿を見た輝は、それを止めようと慌ててシゲに近寄って……
「待て輝!今のシゲに触r」
ズジュウウウゥゥゥ……
「ぐおおおぉぉぉーーーっ!!!」
あ~あ……、言わんこっちゃない……。シゲを羽交い絞めにして止めようとした輝は、両腕と胸に結構な火傷を負う羽目になった……
「水持ってきました……、って輝さんっ!?」
「何で被害者が増えてんだよっ!?戦治郎さんの分しか持って来てねぇぞっ?!」
「水は輝にかけてやってくれ!ハリーハリー!!!」
輝登場からやや遅れて阿武隈と木曾が戻って来た、これ放っておいたら被害者がドンドン増えるだろうな~……、どうしたもんか~……
「黙ってねぇで何か言えやゴルァァァッ!!!」
俺がそんな事考えていたら、またシゲが叫ぶ。あ~あ~……、ヤンキー君もう目が虚ろになってきてる……ん?
そこである事に気付いた、ヤンキー君の服……、火ぃ点いてねぇか……?
「てめぇ……、言えっつってんのが聞こえねぇのかよおおおぉぉぉーーーっ!!!」
更にシゲが叫んだ瞬間、とんでもない事になってしまった。シゲの叫び声に呼応するようにヤンキー君の服の火が一気に燃え広がり、ヤンキー君は哀れ火達磨となってしまったのである。それだけではない、部屋の中にある家具全てが一斉に燃え始めたのである
「「「「ぎゃあああぁぁぁーーーっ!!!」」」」
ヤンキー君の悲鳴と巡洋艦3人娘の叫びがハモった、火達磨になった本人はそりゃあ叫びたくもなるし、火達磨になっていなくてもこの惨状を見れば誰だって悲鳴を上げるだろうな~……、って暢気な事考えてる場合じゃねぇ!!!
「うぉっ!!?何だこりゃっ?!?」
ヤンキー君が火達磨になったところでようやくシゲが我に返り、燃え上がるヤンキー君と激しく燃える部屋の家具を見て驚愕し、慌ててヤンキー君を床に投げ捨てる。ヤンキー君可哀想……
「皆火事だあああぁぁぁーーーっ!!!大至急水バケツと消火器持って尋問部屋に集まってくれーーーっ!!!」
通信機に向かってそう叫ぶ俺、ここに悟がいなくて本当によかったな~……ってそんな事考えてる暇があったら消火器探しにいかなきゃだわっ!
そう思い俺はすぐに部屋を飛び出して消火器を見つけ出し、消火活動を開始した
俺の通信を聞いた皆がすぐに消火器や水バケツ、注水ホースを持って集まってくれたおかげで迅速に消火する事が出来た。いや~、一時はどうなるかと思ったが皆のおかげで何とかなったな~、よかったよかった~。……この後シゲと一緒に土下座カーニバルやらないといけないと考えると気が滅入るけどな……
「皆さん大変です~!!!」
そんな事を考えていたら、穏健派の娘が慌てた様子でこちらに向かって来ていた
「火事の事か?だったらさっき消火したぞ?」
「違います!牢屋に入れていたウィルが、さっきの騒ぎに紛れて脱走したんですっ!!!」
ファッ!?タレ蔵が脱走しただとっ?!そう言われてすぐに窓から外を見ると、水上バイクに跨って海を駆けるタレ蔵の姿が見えた。追いかけようにもここからじゃ距離があるから追いつけそうにねぇな……、してやられたぜ……
右腕だけで器用に水上バイクを操縦するタレ蔵、あの水上バイクのスロットルレバーは右側に付いてたから、左腕を失っててもやろうと思えば操縦出来るもんな……。どうせなら両腕斬り落としてやればよかったか……?
そんな事を考えていたら、タレ蔵の姿は水平線の彼方へと消えて行った……
「あいつ逃げちゃったわよっ!?どうするのっ?!」
「手遅れだな……、ここまで離されてちゃ追いつけねぇ……。まあどの道追い出すつもりだったからって考えた方が気は楽かもな……」
報告を受けたキャシーが慌てた様子で俺に尋ねる、こうなったら追い出す手間が省けたって考えねぇとやってらんねぇからなっ!!!ちきしょうっ!!!
「さて、それはそうと……、シゲ……」
「ウッス……」
タレ蔵が逃げた事は過ぎた事と割り切って、俺とシゲは先程の火事の事でこの場にいる全ての人に向かって土下座するのであった。下のもんがやらかした場合俺にも責任あるからなっ!踏んだり蹴ったりだよもうっ!!!
迦具土(かぐつち)
シゲの特殊能力で、炎を自在に操る能力。悟キラー
火の玉などを投げつけたり、周囲を一瞬で焼き払ったり、掴んだものを炎上させたりと割と色んな事が出来る。まだ進化する可能性あり
発動中は炎に耐性が出来る、けど発動してない状態だと普通に熱がります、だから発動してない時に鼻の中をライターで炙ったりしないであげてください
名前の由来は日本神話の火の神様から、迦具土を生んだ時の火傷が原因で母である伊邪那美は死んでしまい、直後に迦具土は父である伊邪那岐に斬り殺されたそうな……
一部では大天狗である愛宕山太郎坊(愛宕権現)はこの神様の化身だと言われているそうな……(一部では太郎坊は猿田彦の化身とも言われているようだけど……)