「うわっ!戦闘始まっちゃったっ!これは急いで合流した方がよさそうね……!」
私の言葉を聞いた証拠集めチームの皆が頷き返し、私達はこの泊地の提督がこれまでやってきた移植手術に関係する資料などを大量に抱えて、証拠集めの為に侵入していた執務室を飛び出した
私達が抱えている資料には、何時どの深海棲艦の部位をどの艦娘に移植したか、移植してからどうなったかなどが詳細にまとめられており、それを見た私達は泊地の提督に対してこれまで以上に強い憤りを感じたのだった
「他の皆さんと合流するのはいいんですけど、この資料はどうするんですか?」
建物の出口に向かっている途中で、この泊地の主力艦隊の1人である由良ちゃんが私に尋ねて来た
「ま、まさか資料を持ったまま戦うんですか……?」
由良ちゃんに続くように尋ねてきたのは、由良ちゃんと同じくこの泊地の主力艦隊の内の1人である羽黒ちゃん、私達の仲間である妙高さんの妹さんだ
この2人が私達と一緒にいるのは泊地を案内してもらう為だ、望ちゃん出現の後私達は急いで泊地に侵入したわけなんだけど、私達がこの泊地に来たのは今回が初めてで何処に何があるのか全く分からない事に侵入してから気付いたのである
そこでどうしようかと皆で考えている時に、妙高さんが羽黒ちゃんに協力してもらおうと提案したのだ。それからは艦娘寮を何とか見つけ出して総当たりで羽黒ちゃんの部屋を探し、部屋を発見するなりすぐに妙高さんにお願いして羽黒ちゃんに話を聞いてもらったところ羽黒ちゃんと羽黒ちゃんのルームメイトだった由良ちゃんが協力を申し出てくれたのである
因みに何故軽巡と重巡が同じ部屋にいるかについては、この泊地は敷地面積が広いわけではないので、軽巡と重巡は巡洋艦として一括りにされているんだとか。因みに空母の方も軽空母と空母も空母として一括りにされてるんだとか
そして2人の案内で最初に向かった資料室では収穫0、それらしいものは一切見つからなかった……
よく考えれば当たり前の話である、そんな大っぴらに出来ないようなものを資料室のような場所に置くはずがない、出来る限り誰にも分からないような場所に隠すはずなのである
更に言えば、そういった類のものは自分の近くに置いておくものではないだろうか?誰にも触らせないように、誰にも近寄らせないようにする為に監視するのを容易にする為に……
そこで思い当たったのは提督の自室と執務室、急いで提督の自室を調べてみると深海化抑制薬に関する資料が見つかったので押収。その後執務室を調べてみると出るわ出るわ、移植手術に関する資料が山のように見つかったのである
因みに資料は全て金庫に入れてあったんだけど、神通が夕日影とか言う刀で金庫の上の部分をバッサリと斬っちゃったので、鍵開けとかで無駄に時間を取られずに済んだ
「いやいや、流石にそんな事はしないって。それで資料が滅茶苦茶になったら私達が頑張った意味がなくなっちゃうじゃない」
「そうなると、沖の方にいる誰かに資料を預けてから戻って来る形になるのかな?」
羽黒ちゃん達の質問に苦笑混じりで答える私に、今度は蒼龍が尋ねて来た
「それしか方法ないでしょ、そう言うわけで急いで沖に「その事なんですが……」ん?神通?どうしたの?」
私が話している途中で神通が割って入るように話しかけて来たので、私は何事かと思い神通に声をかけた……その直後
「皆さん、無事ですかっ!?」
ドバァン!と言う音と共に、扉を突き破りそうな勢いで建物に入って来た影がそう叫ぶ。急に私達の前に現れた影をよく見ると……
「「「通さんっ!?」」」
影の正体は長門屋海賊団の忍者、通さんだったのである
「護が頑張ってくれたおかげで望ちゃんは無事救助出来ましたので、私と光太郎さんは前線に復帰するつもりだったんですが、皆さんがまだ戻ってないと言う事だったので何かあったのではないかと思い、前線は光太郎さんに任せて私は皆さんを探しに来たんです」
「ああ、そういう事だったのね。ごめんなさい、ちょっと資料集めに集中しすぎちゃって……」
通さんの言葉を聞いて謝罪する私、何だか悪い事しちゃったなぁ……
「お気になさらずに、それよりも今回の件の証拠となる資料とやらは何処にあるのですか?」
「それならここに、丁度今から沖の方にいる人に渡しに行こうとしてたところだったのよ」
私の謝罪の言葉を受け取った後、資料の事について尋ねて来た通さんに私達は集めた資料を掲げながら答えた
「……凄い量ですね……、その資料の数だけあの提督が罪を重ねたと考えると……」
通さんがそう呟くと、ガシャリと言う音と共に通さんの仮面から鬼の口のようなものが出て来て、通さんの顔を完全に覆ってしまった。何コレかっこいいっ!!!
「っと、失礼しました、資料は今から私が護に届けますので、皆さんは前線の方へ向かってもらっても構いませんか?」
「え?通さんが届けるのですか?正直、通さんは資料を届けるよりも前線に戻った方がよいのではないかと思うのですが……?」
通さんが謎のお詫びを入れた後、資料を渡すようにと言ってきた。それを不思議に思った妙高さんが通さんにその真意を尋ねる
「それが悟さんの話を聞く限り、どうやら今の提督に対して接近格闘は御法度のようでして……、そうなると皆さんの砲撃や爆撃の方が有効なのではないかと思ったのですよ。それに私の足ならここから護達のところまで行って戻るのに、そう時間はかからないと思いますからね」
通さんの言葉を聞いて思い出す、そう言えば今の提督って触っただけでもアウトなんだっけ……、そうなると確かに刀で戦う通さんにはきつい相手になるよね~……。移動速度についても、通さんの言い分には一理ある
「そう言う事ならお願いしちゃおう、それじゃあ皆、通さんに資料を渡して……」
私はそう言って皆の方を見ると、羽黒ちゃんと由良ちゃんが驚いたまま固まってしまっていた
「2人共どうしたの?……ってそう言えば2人は通さんと初対面だったね……」
「由良さん、羽黒さん、通さんは私達の味方です。ですからそんなに怖がらなくても大丈夫ですよ」
神通が通さんが私達の仲間である事を2人に伝えているが、その表情が少々暗い。確か神通にとって通さんは命の恩人なんだっけ?自分の恩人が怖がられてるの見たら、まあいい気分にはなれないよね~……
「本当は自己紹介の1つでもしたいところなのですが、事態は一刻を争いますので……。ですから今はただ私を信じて資料を渡してもらえませんか……?」
通さんはそう言って2人に向かって頭を下げた、2人はその様子を見て
「分かりました……、それではお願いします……」
「ど、どうぞ……」
どうやら2人は通さんを取り敢えずは信じてくれたようだ、恐る恐ると言った様子で通さんに資料を渡す2人に続き、私達も資料を渡していく
「証拠の資料、確かに預かりました。皆さんもどうかご無事で……」
通さんはそう言うと、私達から預かった資料を大切そうに抱えるなり凄まじい速度で走り出し、その姿はすぐに見えなくなってしまった……
「な、なんて速さなの……?もう姿が見えなくなっちゃうなんて……」
「あ、あの人は本当に何者なんですか……?」
通さんの足の速さに驚く2人、あれで海賊団では3番目の足の速さとか言ったら2人はどんな反応するんだろう?っとそんな事を考えてる場合じゃなかった
「そのへんの事は終わった後にでも本人から聞こう、それよりも今は……」
そう言って扉をくぐり外へ出る私、とある方角からは爆発音と艦載機のプロペラの音が絶え間なく響き渡っている
「早く皆と合流して、この戦いを終わらせよう!由良ちゃんと羽黒ちゃんは急いで艤装を取っていて!私達はこのまま皆と合流するよ!」
\了解!/
皆の返事聞いたところで、私は皆が戦っているであろう方角へ走り出したのだった