かなり読みにくいですがご容赦を……
2018/1/27 悟の口調を修正しました
出撃を無事成功させて鎮守府に帰ってきた戦治郎一行
出迎えてくれたのは大和、鈴谷、榛名、瑞鶴に悟の5人
大和は戦治郎を心配して、鈴谷達は改修された自分達の姿のお披露目をしようとして、悟は戦闘による負傷などが無いかチェックする為に埠頭で待っていたようだ
そして今現在、その埠頭では第三者が見れば面白可笑しいが当事者からしたらたまったものではないシュールな光景が広がっていた
まず霞が埠頭にいた大和を見るなり硬直し、硬直が解けたと思ったら
「何で何で何で? え? どうして? え? 何でこの人が? あれ?」
などと小さな声でブツブツ言いながら挙動不審になっていた
そして戦治郎、彼は今息を呑むような美しさの正座を埠頭のコンクリートの上でしていた、その目の前には腕を組み仁王立ちする悟の姿
「戦治郎よぉ、その腕はどうしたんだぁ?」
「自分で斬りつけました、はい」
「何でだぁ?」
「漣と霞に俺の血液を見せようと思ってやりました」
「そういう事やるときは俺に言えって昔言わなかったかぁ?」
「はい、言っていました、聞いていました、覚えていました」
物凄い形相で戦治郎に問い詰める悟、彼の質問はまだ続く
「前もって言ってくれりゃぁこっちも準備してよぉ、わざわざ自分の身体をそんな傷つけないで済むように出来たと思うんだがなぁ?」
「はい、おっしゃる通りです」
「その刀で自分斬る前に何か斬ったかぁ?」
「……」
無言で目を逸らす戦治郎
「こっち向きやがれ、何か斬ったかぁ?」
「軽巡ホ級を斬りました」
「その後刀身と自分の腕はしっかり洗って消毒したかぁ?」
「誠に申し訳ございませんでした」
そう言ってとてつもなく綺麗な土下座をする戦治郎、その直後戦治郎の頭を思いっきり踏みつける悟
「血液感染症とかがこえぇからやるなっつってただろうがコラァ! ただでさえ深海棲艦の血とかまだ研究進んでねぇようなシロモンなんだから何が起こるか分かったもんじゃねぇんだぞオイッ!! つか望ちゃん助けるときアレ見ただろうがよぉっ!なぁ?!」
悟、大激怒である、何度も戦治郎の頭を踏みつけながら捲し立てる
「俺ぁおめぇらの命預かる立場なの分かってんだろうがよぉ!! もしおめぇがああなったらどうするだぁ?! アレはまだ治療方法確立されてねぇって前にも言っただろうがよぉ!? 泣くのは大和だけじゃ済まねぇって理解してやがんのかぁ?!」
アレとは一体何なのか分からない、ただ分かっているのは戦治郎がやった事が悟の逆鱗を逆撫でどころか引き抜くくらいの事だったようだ
肩で息をしながら悟が戦治郎の頭を踏みつけるのを止め、背中を向けて言い放つ
「もう二度とそういう真似すんじゃねぇぞぉ、やるならまず俺に言いやがれってんだぁ、いいなぁ?」
「ウッス、もうしません、サーセンっした」
悟はこの件はこれで手打ちにしたようだ、どうやら悟は人の命が関わる事に対しては非常に真剣な姿勢で取り組んでいるようだ、最初に会ったときのあのふざけ具合が全く感じられなかった
「取り敢えず、その傷は縫う必要もなさそうだが念の為何か感染してないか検査すっから戦治郎はついて来やがれぇ、漣ともう1人の嬢ちゃんは風呂にでも入ってサッパリしてきなぁ、んじゃ行くぞ戦治郎ぉ」
そう言って歩き出す悟
「漣と霞は風呂の後ヒトナナマルマルまで自由にしててくれ、そっから執務室で話するわ、大和は多分空の建造も終わってるだろうからプレート回収しておいてくれ、鈴谷達はすまん、また後で改めて見せてくれ、んじゃな~」
そう言い残し悟に付いて行く戦治郎、さっき散々踏みつけられてたにも関わらず顔は汚れが付いてた程度で怪我は全くしてないようだ、なんと頑丈な事か……
「ああ~、行っちゃった……、折角改修で強くなった鈴谷を見てもらおうと思ったのに~……」
「榛名もちょっぴり残念です……」
「まあ後で見せてくれって言ってたし、漣達の件が終わった後にでも執務室に行けばいいでしょ、とりあえずさっき空さんからもらったアイスの引換券で改修祝いでもしよっか」
鈴谷と榛名は余程残念だったのかしょんぼりしている、戦治郎に早く見せたくて仕方がなかったのだろう、そんな2人を励ますように瑞鶴が改修祝いを提案する
「しっかし、ここの工廠の人達って凄いね~、あっという間に改修終わらせちゃってたし」
「シゲさんも護さんも、空さんに負けないくらいの腕前で、榛名びっくりしちゃいました」
「あの2人も結構キャラが濃ゆいというかなんというか……、て言うか私はこの鎮守府の準備の良さに驚いてるんだけど……、設計図、一体どれだけあるのよ……」
どうやらこの3人はシゲと護とやらに会ったようだ、やっぱりキャラが濃い人達なのか……
「それじゃ、鈴谷達は間宮してくるね~、漣と霞ちゃんだっけ? また後でね~」
そう言って3人は食堂へと歩き出した
鎮守府に戻って3人の姿を見たときは本当に驚いた、まさか3人とも改をすっ飛ばして改二になっていたのだから
厳密に言えば、瑞鶴は装甲空母である改二甲になり鈴谷に至っては軽空母である航改二になっていたのだ、一体何をどうしたらこうなるのだろうか……
さて、現在時刻はヒトゴーマルマル、出撃したのがヒトサンマルマルだったので思っていた以上に早く鎮守府に戻る事が出来た、大体戦治郎と大五郎のおかげだろうが……
それはそうと、折角自由時間をもらったのだから早く風呂を済ませて大いに自由を満喫しゆではないか、その為にはまず霞を再起動させなければ……
そう思っていたら誰かの視線を感じた
その方向を見てみればそこには大和が立っていた、戦治郎に付いて行ったものだと思っていたがまだいたのか、そう思っていると大和が口を開く
「あの、もしかしてそちらの子は……」
「ひゃい! わ、私はか、かしゅみと言います!」
噛んだ、思いっきり名前を噛んだ、相当緊張しているようだが霞と大和にはどういう接点があるのだろうか?
「霞ちゃんですね? 霞ちゃんは前に呉の観艦式を見に来ていませんでしたか?」
「えっ!? あ、はい! 私、呉の観艦式で大和さんを見ました! すっごく綺麗でかっこよくて……、と言うか貴女はあのときの大和さんなのですか!? 私の事覚えててくれたんですかっ?!」
「やっぱり……あの時の……」
大和は誰にも聞こえないように小さく呟く、すみません大和さん、漣には聞こえちゃいました……
大和と霞はそういう接点があったのか、しかし大和もよく霞の事を覚えていたものだ、観艦式にはそれはもう大勢の人が集まるのだからその中の1人の顔を見て覚えておけるなんて普通だったらまず無理だろう、てか観艦式に出た事があるとか大和すげぇ……と思うところだがその大和の表情がなんか優れない、もしかしたら他に何かあるのだろう……、って呉の観艦式ってのが何か引っかかる、確か過去に何かあったような気がする……
「っと、すみません、そういえば提督にお願いされていた事があったのを失念していました、それではお二人共また後ほど執務室で……」
そう言ってこの場を後にする大和、ええい、今は考えても仕方がない、今はこの歓喜の絶頂にいる霞をこっちに呼び戻して風呂に入るのが先決だっ!
漣は何とか霞を再起動させて今は入渠ドックの大浴場で2人並んで湯船に浸かっていた
再起動させた直後の霞がそれはもう凄い事凄い事、大和と再会出来た喜びと自分の事を覚えていてくれた事に対しての感動を恍惚とした表情で熱く激しく語ってくるのだ、大和に対してかなりの憧れがあったようだ
「しっかし、かしゅみんはホント大和さんの事好きだね~」
「ちょっと! かしゅみんはやめなさいよ! ああもう! 大和さんにしっかりした自己紹介が出来なかったし、もう最悪だわっ!!!」
自己紹介のとき自分の名前を噛んだのが相当恥ずかしかったようだ、しばらくはこれでからかえそうだ
「もしかしてかしゅみんは大和さんに憧れて艦娘になったってとこですか~?」
\オッホ! ダレモイネェ!/
「だからそれはやめなさいって! ……まあ、何事もなかったらそうなってたでしょうね……」
\コレハチャンスカ? デモイイトシシタオッサンガヤルコトジャネェヨナァ……/
「……深海棲艦と戦ってるとき、妙に思いつめたような顔してましたからねぇ、それにご主人様から聞きましたけど民間用艤装に手加えてたんでしょ? そこまでするってなると相当な事があったんじゃないかな~って思ったんですが~」
\……/
「あんた、ホント鋭いわね……、一体何者なのよ……?」
\ヒャア ガマンデキネェ トビコミダ!/
「いえいえ~、ちょっと気難しい友人がいたりしたので~、それで、何があったんですか? この際だからここのお風呂で心の汚れも綺麗サッパリ洗い流しちゃいましょうよ、さっきの戦いで一緒に戦った仲なんだし、ね?」
\ドッボーン!/
「何よそれ……、まあいいわ」
\イッテェ! ケツウッタ! オモイノホカアサカッタ! マジイテェ!/
そう言って霞は観艦式の後に何があったかを訥々と話し始める、深海棲艦に襲われ両親を殺された事、復讐の為に軍に入ろうとしてダメだった事、祖父母に嘘をついて復讐の準備をしていた事、静止を振り切って飛び出して沈みかけた事、途中から瞳に涙を溜め嗚咽が混ざり始める
ああ、神様とは何て残酷なのだろう……、こんな小さな子にこんな悲しい運命を辿らせるなんて……、一体この子が何をしたと言うのだ、この子のどこが気に入らなかったのだろう、そんな事を考えていた漣は気付けば泣きだしそうなのを必死で堪えている霞を優しく抱きしめて頭を撫でていた
「辛かったですね、怖かったですね、でももう大丈夫ですよ、霞はもう独りじゃないんです、漣達が付いています、だからもう大丈夫なんですよ……」
\テイトク♪ オセナカナガシマスネ♪/ \キャーーー!!!/
「な、なによ……、私は……、別に……」
\ドウシマシタ? テイトク?/ \ココオトコユー! キミオンナノコー! ナンデキチャッタノー!?/
「もう我慢しなくていいんですよ、泣いてもいいんですよ、さっきも言ったじゃないですか、ここで心の汚れも綺麗にしちゃいましょうって、辛い事悲しい事を涙と一緒に出し切って、心も綺麗にしちゃいましょう?」
\デスカラ テイトクノオセナカヲオナガシシヨウカト……/ \キミユブネニツカルキマンマンダヨネ?! イマタオルイチマイダヨネッ?!/
漣は霞を抱きしめたまま言葉を紡ぐ、まるで小さな子供を諭すように、あやすように抱きしめその頭を優しく撫で続ける
遂に霞も耐えられなくなり声を上げて泣き出す、どうして両親が死ななければいけなかったのか、どうして自分だけが生き残ったのか、どうして自分だけがこんな辛い思いをしなければいけないのか
辛さを、苦しみを、悲しみを全て涙に乗せて心から押し流していく、そして流れた涙は湯船の中に落ち溶けて混ざって消えていった……
\ケッキョクオシキラレチマッタァイ……/ \♪~/
「……みっともないとこ見せたわね」
\デハ ナガシマスネ♪/ \ウイウイ/
「いえいえ~、お気になさらずに~、漣はカスミンよりお姉ちゃんですからね~♪ もっとお姉ちゃんを頼ってもいいのよ? なんちって♪」
気が済むまで泣いてすっかり落ち着いた霞、恥ずかしそうに俯きながら漣に詫びを入れるが、漣はそれに対してお道化たように答える
\ソレデハツギハマエヲ……/ \ソッチハジブンデヤルカラー! モウダイジョウブダカラー!!!/
「何よそれ、どうせ歳も大して変わらないでしょ」
\ム~ ワカリマシタ……/ \アア ヤッパユブネツカルノネ……/
「ふっふ~ん、これでも漣は中学2年ですからね~」
\イイオユデスネ~/ \ンダナ~/
「3つ違うだけじゃない」
やはり小学生だったか、まだまだ遊びたい盛りなのにこんな事になるなんて……、深海棲艦許すまじ、漣は決意を新たにするのだった
「いあいあ~、中学に入るとその違いがか~な~り~大きく出てきますぞ~?」
\……テイトク/ \ン~?/
「そう……、まあ、明日には私は軍に入る事になるだろうし関係なさそうね」
\ヤマトハテイトクノオヤクニタテテマスカ?/ \ドシタヨキュウニ?/
「ええ~、そういうのは軍の方がよっぽど厳しいと思うんだけど~?」
\キョウノシュツゲキ ホントウハヤマトモツイテイクベキダッタハズデス/ \キニスンナ ソレニシゴトモタノンデタダロ?/
「ここの鎮守府はそうは思えないんだけど?」
確かに、ここの鎮守府は何か空気が緩いというか何というか……、まあトップがあんな調子だからなのかもしれないが
「あ~……、多分ここだけだと思いますよ? こんなに緩いのは」
\タシカニソウデスケド……/ \ダッタライイジャネェカ ソレデヨゥ/
「というか、ここはホントおかしいと思うわ、今日着任したばかりの艦娘の改修やってたみたいだけど練度とか資源とか大丈夫なの?」
\デモ……/ \……シツケェゾ/
資源については既に聞いてるが、鈴谷達の練度については未だ謎だ、恐らく軍学にいた頃に何かやったのだろうけど……、そう言えば鈴谷達は何らかの事故を起こしたとも言っていたがそれは何なのだろう?
「資源については明日説明があるんじゃないですかね~? 漣達もアレ見てすっごくびっくりしましたし~」
\ヤッパリヤマトハ…… ングッ!/
「あれって何よ? 何か知ってるの? 教えなさいよ」
\……プハッ/ \ヤマトヨォ オメェハシッカリトオレノササエニ チカラニナッテルンダ/
「いあ~、これは明日のお楽しみってことで~、いや~、カスミンがどんな反応するか楽しみだな~♪」
\ジシンヲモテ オメェハオレノジマンノヨメナンダカラヨ/ \テイトク……♪/
「ええい! 隣のバカップル! さっきからイチャイチャしおって! ちょっとは自重せい!!!」
\サーセンッシタ!/ \キ キコエテタンデスカ?! ゴメンナサイ!!/
「……あーもう! バカばっかり!」
さて、そろそろ風呂もこのあたりにして自由時間を満喫するとしよう、問題は何処に行くべきかだが……