※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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ヒーローと姫と傷だらけの一航戦

「……やったかっ!?」

 

俺は肩で息をしながら叫ぶ、フルチャージのレーザーの反動が思った以上に大きかったので足に全身全霊を注ぎ意地で踏ん張っていた結果、体力を相当持っていかれてしまったのだ

 

「光太郎さん、それフラグぅっ!」

 

翔が慌てて叫ぶ、そういやそういう話よく聞くよな……、やったか!って聞くと大体失敗してるとか……。……流石に今のでそれはないだろ……?大丈夫だよな……?

 

「……嘘だろ?」

 

木曾さんが何かを見つけてそう呟く……、おいおいちょっと待て、まさか本当に失敗したとかじゃないよな……?!

 

「あいつ、あんなの喰らってまだ息があんのかよ……」

 

嫌あああぁぁぁーーーっ!!!マジでダメだったのかよおおおぉぉぉーーーっ!!!摩耶さんの言葉を聞いて、俺は心の中で頭を抱えながら絶叫する。何か長門屋の面々の一部から向けられる視線が痛いんですけどぉ!

 

「しかし、見た限り自力で移動出来るような状態ではなさそうだな」

 

あ、そうなの?長門さんの言葉を聞いて若干安心する俺、自力で動けないならさっきよりは格段に安全だからね。っとそろそろ皆の言葉を聞いて一喜一憂するよりも、自分の目で提督だったものがどうなったかを確認した方がいいな

 

そう思って俺は皆が見ている視線の先に向かって歩き出す、おぉ!エネルギー無くなってもパワードスーツの方には影響ないんだな!だったらエネルギー関係にそこまで神経質になる必要はなさそうだ!最悪ミゴロさんもある事だし、今後はバンバン使っていくか!

 

「……えぇ~……?」

 

俺が歩み寄った先にあったのは、ソフトボールの球くらいの大きさに縮んだ提督だったものの頭部だった。頭部だけなので長門さんが言った通り自力で動く事も出来ないようだが、目や口が動いているところを見ると摩耶さんが言ったようにまだ生きているようだ……。つか皆よくこれが見えたな……

 

「あれだけの攻撃を受けてまだ生きてるなんて……、これじゃ正真正銘の化物ね……」

 

剛さんの呟きが聞こえる、その言葉を聞いて俺は少しだけ考える。深海棲艦の生体パーツを植え付けられた異形艦娘の場合ここまで酷い事にはなっていなかったのに、血液を注入した提督はこんな化物になってしまった……、この差は一体何処から生まれたのだろうか……?

 

「んで、この化物どうすんです?処分するなら俺が速攻終わらせますけど?」

 

俺がそんな事を考えているとシゲがそう言いながら両手の指先に火の玉を作り出す、ってそれもしかしてダイ大のフレイザードのアレか?お前何処からそんなネタ仕入れて来るんだよ?

 

「いや待て、どうせならコレも証拠として提出するべきだろう」

 

空の発言に耳を疑う、コレを持ち帰る?どうやって?こんな姿になってるけど触ったら取り込まれる可能性は無くなったわけじゃないんだぞ?

 

「いや、どうやってコレを持ち帰るのじゃ……?」

 

俺の気持ちを代弁してくれた利根さんに心の中で感謝する、それとも空にはこいつを触っても大丈夫なようにする案があるのだろうか?

 

「それについては、妖精さんが何とかするって言ってるぜ」

 

そう言ったのは妖精さんを肩に乗せた戦治郎、俺はその言葉を聞いて妖精さんの方に視線を向けると、妖精さんは任せておけとばかりに胸を叩く。この様子だとかなり自信があるみたいだ

 

妖精さんが何とかすると言ったら本当に何とかしてくれそうだな。……まるで戦治郎みたいだな、こいつも何とかするって言ったら本当に何とかしちまうからな。ホントこの妖精さんと戦治郎は似た者同士って感じだな~、だからこんなにも仲がいいのかもしれないな

 

「あの……、光太郎さん?」

 

そんな事を考えていると、なんか呼ばれたみたいなのでそちらの方を向くと、阿武隈さんが恐る恐るといった様子で挙手をして話しかけて来る

 

「どうしたの?阿武隈さん」

 

「いえ、貴方が本当に光太郎さんなのかな~?って思っちゃって……」

 

「そうですね……、確かに今の姿では誰かから予め話を聞いているか、名乗ってもらうかしてもらわないと分かりませんね……」

 

阿武隈さんと姉様が口々に言う、あ~この姿の事か~……、つかこれホント何なんだろうな?正直俺自身いつの間にこんな姿になったのか分からないし、この姿で出来る事ってのがレーザー撃ったり空飛べる事くらいしか分かっていないと言う……

 

「つか、光太郎さんは何でそんなメタルヒーローみたいな恰好になってるんですか?」

 

さっき俺が考えてた事を尋ねてくるシゲ、俺個人としてはお前が炎を自在に操ってる姿の方が、よっぽど不思議なんだが?

 

「もしかしたら、そのヒーローみたいな姿になるのが光太郎さんの能力なのかもしれませんね……」

 

翔がそんな事を言う、能力ってあれか?通が何処からともなく忍具を取り出すのや、悟のあの発光する手とかの事か?もし翔の言う通りこれが俺の能力だったとしたら、どういう経緯でこうなったのかを小一時間ほど問い詰めたい気分だ

 

「有り得るな、光太郎の名前はまんま仮面ライダーBLACKとBLACK RXの主人公の名前だしな。それに引っ張られてそうなったのかもしれねぇな」

 

「他にも小さい頃にヒーローになりたいとよく言ってたな、それが実現不可能だと分かってからはヒーローと同じ様に人命救助が出来るレスキュー隊の隊員になると方向転換していたが……。もしかしたら心の何処かで、まだヒーローになるのを諦めていなかったのかもしれんな」

 

「って事は、光太郎さんがヒーローになりたいと思っていたからヒーローになっちゃったって事ですか?」

 

「やったじゃないですか光太郎さん!念願のヒーローになれちゃいましたよっ!!!」

 

えぇい黙れ長門屋特撮同好会会員共っ!!いいじゃないかよ~、ヒーローに憧れるくらいよ~……。皆1度くらいヒーローに憧れるもんだろ~……?その期間がちょっと延長されるくらい問題ないだろ~……?

 

「そうなった経緯は兎も角、光太郎ちゃんはその姿の時どんな事が出来るのかしら?その内容次第では戦略の幅が広がると思うのよね~」

 

流れをぶっちぎるように剛さんが言う、剛さん、本当に助かりました……

 

「えっと……全部把握してるわけじゃないんですけど、取り敢えず放水がさっきみたいなレーザーに変化するのと、貯水タンクがスラスターとバーニアに変化して空が飛べるようになります。けど、どちらも同じところからエネルギーを引っ張っているみたいで、エネルギーの残量が0になるとどちらも使えなくなるみたいです」

 

俺がこの姿で出来る事を皆に聞こえるように話したところ、皆が驚きの表情のまま固まる。特に空の驚きっぷりが凄まじい事になっている。うわ言みたいにアイデンティティーが……とか言ってるし……

 

「マジモンのヒーローじゃねぇかよ……、つかそのエネルギーってどうやったら回復するんだ?そこさえ何とかすりゃあかなり強力な能力だと思うんだが……」

 

「それが俺もよく分からないんだよな……、つかいつ変身したのか自分でも分かってないくらいだし……。まだまだこれに関しては分からない事ばかりなんだよ……」

 

戦治郎の問いに対して、俺は正直に分からないと返す

 

「ふむ……、だったら何度も使って地道に把握していくしかないな……。まあ余裕ある時に工廠組の方でもエネルギー関係の対策考えてみるわ」

 

戦治郎の言葉に対して俺が礼を言ったところで……

 

「お~い、おめぇらお疲れさん!さっきのビームみてぇなのスゲェなっ!一体どうやったんだ?」

 

「鬼級姫級の深海棲艦がこんなに……、いえ、それよりもこのヒーローみたいな人は何者……?」

 

俺達を見て困惑する加賀さんをお姫様抱っこした輝が、声を張り上げながらこちらに向かって歩いて来る。どうやら加賀さんを無事……、いや……これは……

 

「加賀さん、ちょっと失礼します……」

 

「え……?」

 

俺は戸惑う加賀さんを無視してその足を触る、そして足を触りながら加賀さんの反応を見て確信する

 

「加賀さん、正直に答えて下さい。加賀さんの足……、自力では動かせないんじゃないですか……?」

 

輝を除く皆が俺の言葉を聞いて絶句する

 

「やっぱりか……、この姉ちゃん、下半身が瓦礫の下敷きになってやがったんだよ。俺も最初見た時ダメだろうなと思ったんだわ……」

 

現場を見ている輝には分かったか……、加賀さんが脊髄損傷を起こして下半身が動かなくなっている事に……

 

「私の足の事見ただけで分かるなんて……、輝、この人は何者なの?」

 

加賀さんが驚きながら輝に問う、俺に直接聞かずに輝に聞くあたり、加賀さんは輝に対して心開いてるって感じなのかな?それとも俺がこんな格好してるせいかな……?

 

「そいつは昔ハイパーレスキューにいたんだわ、だから多少の怪我や病気なら見ただけで分かるみたいだぜ?」

 

輝がそう言うと、加賀さんは困惑の表情を浮かべる。……この反応からすると……

 

「輝、お前加賀に俺達の事説明したか?」

 

「そのへんの事情はお前に任せたっ!!!俺だってまだまともに理解してるわけじゃねぇからなっ!!!」

 

戦治郎の質問に、胸を張ってそう答える輝。うん、そんな事だとは思っていたよ……

 

俺がそんな事を考えていると、通信機から声が聞こえてくる

 

『おめぇら喜べぇ、望の奴が目ぇ覚ましたぞぉ』

 

「本当か悟っ!!!望ちゃん、本当に目を覚ましたんだなっ!!?」

 

悟からの朗報に光の速さで反応する俺、悟が喜べと言ってるあたり、精神の方も問題ないという事なのだろう……、良かった……、本当に良かった……

 

「おぉっ!望ちゃんの方も無事だったかっ!っし!光太郎!こっちは俺達でやっとくからお前は望ちゃんのとこ行ってこい!それと輝もだ!加賀を悟のとこ連れてって診てもらえ!」

 

「戦治郎……、ありがとう!行って来る!」「応!んじゃまたちょっくら行って来るわ!」

 

そう言って俺と輝は駆け出そうとしたのだが……

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!」

 

綾波ちゃんに呼び止められる、一体どうしたのだろうか?

 

「光太郎さん、望ちゃんに会う前にその姿をどうにかした方がよくないですか……?」

 

\あ~……/

 

綾波ちゃんの言葉を聞いて思い出す、そういや今の俺の姿ってヒーローのままだったな……、この姿で行ったら望ちゃんだけでなく向こうに残っている元異形艦娘の娘達とかも混乱しちゃいそうだな……

 

その後、俺は悪戦苦闘の末何とか変身を解除して、望ちゃん達がいる沖の方へと急いで向かうのであった

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