※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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ヒーローの相棒

望ちゃんの同行が決まったところで、通信機から声が聞こえてくる。声の主はどうやら工廠にいる戦治郎のようだ

 

『光太郎、ちょっち工廠まで来てくんねぇか?お前に見せたいものがあるんだ』

 

俺に見せたいものだって?そう考えたところである事を思い出す、そういえば戦治郎が余裕ある時にヒーロー変身時のエネルギー関係の対策考えてくれるって言ってたっけな……。もしかしたらそれ関係なのかな?もしそうだったら俺としては非常に嬉しい限りである

 

「そういう訳だから、悪いけど行って来るわ」

 

「おぅ、早いとこ行ってやんなぁ」

 

そうして俺は医務室を出て工廠に向かおうとするのだが、ここで肝心な事を思い出す、そういえばまだ工廠までの道教えてもらってなかったわ……

 

医務室を出てちょっと進んだあたりで頭抱えて悩んでいたところで、用事を済ませて戻って来たキャシーさんと合流、この時はキャシーさんが女神に見えたよ……

 

こうして俺は無事に工廠に辿り着いたのだが……

 

「うわぁ……、死屍累々じゃない……」

 

キャシーさんが言った通り、工廠には少々悲惨な光景が広がっていたのだ……

 

まず明石さんが休憩用に置かれているのだと思われるソファーに横たわり、シゲが椅子に座って矢吹丈みたいに真っ白に燃え尽き、護に至っては死体のように床に転がりピクリとも動かないのである……

 

「よう!待ってたぜ!」

 

そんな中、戦治郎が元気一杯に俺に話しかけて来た、その後ろに控えている空も見た限りピンピンしている模様。この差は一体何処から生まれたのだろうか……?

 

「何で貴方達だけそんなに元気なのよ……?まさかあそこの3人に仕事押し付けてたとかじゃないわよね……?」

 

キャシーさんが戦治郎達に疑いの眼差しをむけるのだが……

 

「いや……キャシーさん、それは違います……、単純に俺達の鍛え方が甘かっただけですわ……」

 

いつも以上に真っ白になったシゲがそれを否定する、要は年季の違いってわけか、元の体力が段違いなのに加えて身体が自然に最効率で作業して無駄な体力の消耗を抑えてくれた結果あの2人は全然余裕があるって感じだな

 

「まあシゲの言う通りだな、取り敢えずこいつらももっと場数踏めば体力に余裕出て来るってもんよ。っとそれはそうと、光太郎に見せたいものについてなんだが……、ちょっち付いて来てくれ」

 

そう言って戦治郎と空は工廠の奥の方へと姿を消す、俺とキャシーさんが慌ててその後を追うと、そこにはケートスとは異なる水上バイクが1台置いてあった

 

「これは……?お前達が使ってたケートスとは違う水上バイクみたいだけど……」

 

「そいつの名前は『リヴァイアサン』、アリーさんが作ったケートスを参考にして俺達がお前専用に作り上げた水上バイクだ。因みに命名したのは護な」

 

戦治郎はそう言うと、そのままリヴァイアサンについて説明し始める

 

このリヴァイアサンはケートスよりもサイズが大きく、見た感じ4人乗りが出来そうなほどの大きさだった。戦治郎が言うには、専用のアタッチメントを使う事で後部座席にストレッチャーを取り付けられるようになっているそうだ。ただその場合最大搭乗人数が4人から操縦者と傷病者の2人だけになるんだとか

 

装備も充実していて、シートの下には応急キット、前方には内蔵式機銃2門と放水砲1門を取り付けており、アタッチメントを使っていなければ後方に爆雷投射機を装備出来るそうだ。当然装甲と速力も強化済み、特に速力については戦闘用ならば両サイドにブースターを取り付けて更に加速出来るようにしてあるらしい

 

まあ流石に傷病者を搬送する時にブースターを使うのは危ないからと、ストレッチャー装着用アタッチメントを取り付ける部分とブースターを取り付ける部分を同じ場所にして両方を同時に使えないようにしているんだとさ

 

カラーリングについては、赤をメインに所々に黒が入るツートンカラーになっている。これなら海上でもよく目立つだろうな、要救助者に見つけてもらう為にもある程度目立つ必要があるって事から俺が赤い服を好んで着ているのを戦治郎あたりが覚えていてくれたのかもしれない

 

「今は取り敢えずこんな感じだな、何か要望あったらすぐ言ってくれよ?すぐに対応してやっからなっ!」

 

そう言って戦治郎がニカッと笑い、空もちょっとばっかし微笑んでいるように見えた

 

「俺専用か……、凄く嬉しいんだけど何でまたそんなの作ろうと思ったんだ?」

 

俺が不思議そうに戦治郎に尋ねると、これを作ろうと思った経緯を簡単に説明してくれた。どうやら戦闘中俺がヒーローに変身している時に水上バイクを使う事で無駄なエネルギーの消耗を抑えようとしているんだとか

 

「それに、可及的速やかに傷病者を搬送しないといけない状況なのに、エネルギーがスッカラカンで飛行やら加速やらが出来ませんってのはお前も嫌だろう?」

 

うん、それは最悪のパターンだな……、そのせいで助かりませんでしたとかなったら目も当てられなくなっちまう……。これはエネルギーの消耗を抑えるだけでなく、エネルギーが切れた時の保険としても使えそうだな

 

「っとまあそんな感じだ、戦闘にも救助にも使える、そんな最高の相棒をお前にプレゼントしたいと思ったんだよ。今回の作戦で一番頑張ったのってお前だと思うからな!」

 

「そういう事なら有難く使わせてもらうよ、ありがとうな、2人共」

 

俺は2人に深くお辞儀をしながら礼を言う、戦治郎はそれに対してサムズアップを返してくれた。一方空はと言うと……

 

「まあ、乗物に乗ってないヒーローは様にならないと言うのもあるんだがな」

 

……その一言で今までのやり取りがちょっとだけ台無しになった気がするのは俺の気のせいだろうか……?キャシーさんもちょっと呆れ気味である

 

「っとそうだそうだ!エネルギーで思い出した!」

 

何か戦治郎が空の発言を誤魔化すように声を張り上げる、この様子から戦治郎も共犯なんだろうな……

 

「光太郎、ちょっち貯水タンク出してくれ」

 

戦治郎に言われるまま、俺は艤装を展開すると戦治郎が何かを取り出して貯水タンクに取り付けていた

 

「何だそれ?」

 

「これは護が作ってた発電用の風力タービンと太陽光パネルだ、これについてはちょっち実験も兼ねてるんだがな……、っとこれでよしっ!」

 

こうして俺の艤装に発電用の装備が取り付けられたのだが、ちょっとした疑問が頭の中に浮かんできた

 

「何で護はその2つを作ってたんだ?」

 

俺が戦治郎に尋ねたところ、あっさりと答えが返って来た。護の装備である近接格闘用の電撃グローブとロボペンギンのイワンとトビーが装備している電撃ネットがバッテリー式で動いてる為、その充電をする為に発電用の装備を作ってたんだとか

 

「もしかしたらこの発電用装備でエネルギー回復出来るんじゃねぇか?って思ったから護に頼んで余剰パーツ譲ってもらったんだわ。さっき実験って言ってたのはこれで本当にエネルギーが回復するかってのと、仮に回復したとして風力と太陽光だとどっちが回復量多いか調べたいってのがあるんだ。って事で……」

 

戦治郎はそこで言葉を一旦切り、腹から声を出しながらこう言い放つ

 

「今から実験すっから変身してから外行くぞっ!!!」

 

「そんな叫ばなくても聞こえるってぇの……」

 

俺は戦治郎の叫び声のせいで発生した耳鳴りを我慢しながら変身するのだが……

 

「光太郎、やり直し」

 

「はっ?」

 

戦治郎のこの短いセリフを聞いて、俺は思わず呆気に取られてしまった

 

「光太郎、お前も長門屋特撮同好会の一員だろうがっ!だったら変身ポーズの重要さくらい分かるだろうがよぉっ!!!」

 

「それだけではない、そもそもその姿の時の名前は付けているのか?いつまでもヒーロー状態では格好が付かんだろう」

 

戦治郎と空が凄まじくどうでもよさそうな事について熱弁し始めたのだ、その場に居合わせたキャシーさんも思わず頭を抱えている、その……、友人が変な事言いだして申し訳ないです……

 

「どうやらどっちも碌に考えていないようだな……だったらっ!」

 

戦治郎がそう言って通信機を操作し……

 

「え~、長門屋特撮同好会の皆さんに連絡です、今から光太郎の変身ポーズとヒーローになった時の名前決めますので今すぐ工廠に集まって下さい。繰り返します、光太郎の変身ポーズとヒーロー名決めるので工廠に集合して下さい、以上です」

 

何か凄く面倒な事になったぞ……?特撮同好会全員集合とか絶対碌な事にならない気がするんだが……。そんな事を考えていると、通信機から声が……

 

『遂にこの時が来たのですね……、この神代 通、最高の変身ポーズとヒーロー名を付けるべく馳せ参じました」

 

通信聞いてる途中から、通信機付けてる耳の反対側からも通の声が聞こえてきた、おっま来るの早いよっ!!!どんだけ待ち侘びてたんだよっ!!?

 

「通……ちょ……早い……、宴会の準備……、終わらせておいて……よかった……」

 

通の到着からしばらくしてから翔が到着、かなり急いで来たのか肩で息をしている……

 

「そんじゃ始めますかっ!」

 

「光太郎さん、覚悟は出来てるッスか?」

 

いつの間にかシゲと護も復活してるし……、本当に特撮同好会全員集合してるし……、こりゃもう覚悟するしかないか……

 

こうして、工廠には長門屋特撮同好会の面々が集まり、俺のヒーロー名と変身ポーズを決める会議が開かれる事となった……

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