※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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2018/1/27 悟の口調を修正しました


超カッコイイ俺様

大浴場から出た漣と霞は、たまたま同じタイミングで男湯から出てきた着崩した軍服に着替えた戦治郎と大和と合流し入渠ドック内のある場所へ向かっていた、大和が眩いほどキラッキラしてたが触れないでおこう、今触れるとするならば……

 

「ご主人様~、その荷物何ですか?」

 

戦治郎が手に持っている大きな紙袋、中身が何なのか、そしてそれをどうしようというのか、今向かっている先に関係があるのだろうか、非常に気になるところである

 

「これか? さっき穿いてたレザパンとその予備が2つほどな、さっき穿いててちょ~っち物足りねぇと思ってほんのちょっと手ぇ加えてもらおうと思って司のとこ行くんだわ、ってそういや司も紹介しねぇとだな……、正直あいつにおめぇら紹介すんの気が引けるんだがな……」

 

またおかしい人、それも戦治郎が躊躇うレベルの変人か、なにそれ怖い

 

「霞はまだ空にも会ってねぇから何のこっちゃってなるかもだが、変人度合いでいやぁ空より司のが断然やばい、俺個人はそう思ってるわ、腕前は間違いねぇんだがなぁ……」

 

翔鶴マジLOVE1000%で蟻の巣ハンターな空よりやばいって冗談じゃないぞ……、会うのが本当に怖くなってきた……

 

そうこうしている間に目的の場所に着いたようだ、入口の上には「ファッションショップ フェニックス」と書かれていた、店の名前からどうやら洋服を扱っているようだが戦治郎の話を聞く限りまともな商品を取り扱っているのかが不安になってくる

 

「漣、霞、あいつが言う事はとりあえず適当に流しとけ、いいな?」

 

返事をしようとしたところで、店内からゴシャッ!っという音が聞こえたかと思えば店から悟が出てきた

 

「んぁ? おめぇらもここに来たのかよぉ」

 

「ああ、ちょっちレザパンいじってもらおうと思ってな、おめぇは何かあったのか?」

 

「鎮守府にいる人間の数増えたからなぁ、健診とかで使う病衣が足りなくなりそうだから注文しに来たところなんだよなぁ」

 

割とマトモな理由だった、というかこのお店で衣類の注文とか改造とかやってるのか

 

「せかせか、それはそうとさっきの音は何だ? まあ大方あの馬鹿が余計な事言ってシバかれたんだろうが……」

 

「大正解、それだったら超セクシーな病衣作ります~とか言いやがったからなぁ、カウンターに頭叩きつけてやったわぁ」

 

超セクシーな病衣って何それ卑猥、つか服を一から仕立てる事出来るのか……、この鎮守府の人は優秀さと変人さが比例していなければいけない法則でもあるのだろうか?

 

さて、仕事に戻った悟と別れ遂に店内へ入る、どんな変人が待ち受けているのだろうか……、いや、ここは見かたを変えよう、この先にどんな面白人間がいるのだろうか、考え方1つ変えるだけでちょっと楽しみになってしまうのもどうだろうかと思うが、怖がるよりはマシだと気持ちを切り替える

 

店内には様々な服が豊富に取り揃えてあり、内装もお洒落で落ち着いた感じの雰囲気を出していた

 

そんな店内のカウンターに突っ伏している影が1つ、見たところ装甲空母姫のようだ

 

妙にタイトなTシャツにスキニーパンツと、セクシーさを演出しようとしているような恰好をしていた、これが戦治郎達が会わせるのを躊躇った人物なのであろうか?

 

「お~い司~起きろ~、仕事だぞ~…………、ダメだ起きねぇな……、大和、頼む」

 

「司さん、起きt」 「おはようございます大和さん!!! いやぁ今日も眩しいくらいお美しいですねぇ! あまりの美しさに俺様の身も心も浄化されてしまいそうですよっ!!! まあ、俺様もそんな大和さんに負けないくらい美しくカッコイイんですけどねっ!!! ああ、そんな美しい2人が巡り合うと言う奇跡を本当に神に感謝しなければいけませんねぇ!!! どうです? 今度2人で一緒に街に出て通行人達を皆魅了し尽くs」

 

「そぉいっ!」 「ごっふぅっ!!!」

 

司と呼ばれている装甲空母姫に戦治郎が声をかけても無反応、代わりに大和に声をかけさせたらこの反応、目を覚ますなり大和を口説き始めデートに誘ってきたのだ、そしてそんな司とやらに戦治郎が豪快に腹パン一発、風呂で大和の事を嫁と言い切っていた戦治郎の目の前でそんな事をしたらまあ、そうなりますよねぇ……

 

霞の方を見れば呆然としていた、そりゃ唐突に始まって終わってしまった茶番に思考が追い付かなくなるのも仕方ない事だと思う

 

そんな事を考えていたら司とやらと目が合ってしまった漣

 

「お? そこのピンクヘアーの可愛らしいお嬢さん? もしかしてボス達が言っていた初期艦の漣ちゃんかな~? 何でここにいるのかな? いあ分かった! 俺様の世界を照らし出すほどの美しさとイケメンオーラを無意識で感じ取ってついつい引き寄せられてきちゃったんでしょ?! いや~、やっぱ俺様の美しさって罪過ぎるな~、ほんっとに困っちゃうよね~、はっはっはっ! そうだ! 俺様と一緒にファッションショップやらない? 俺様の美しさとカッコよさに漣ちゃんの可愛さを兼ね揃えた最っ高のショップになると思うんだけどどう? 興味ない?」

 

何言ってやがんだこいつ、つかこいつは戦治郎の事をボス呼びか、戦治郎の呼び方はいっぱいあるが戦治郎はそれ全部把握してるのだろか? いや、それは今どうでもいい、それよりも目が合っただけで口説いてくるとは、こいつどんだけ女好きなんだよ……、戦治郎が会わせるのを躊躇った理由が嫌というほど分かってしまった

 

「起きたか司、ちょっち頼みたい事あるんだが……」

 

「ん~? 恥ずかしくって声も出ないかな~? まあ仕方ないね、俺様カッコよすぎるからねっ! っとあれ~? そっちにいるのはまさかまさか~? 朝潮型の霞ちゃんだったりしちゃったりする~? おお~! ホントに霞ちゃんじゃーん! ちっちゃくて可愛いねー! ああ~、その驚いた顔も可愛い~! 普段のキリッとした目も俺様のハートを撃ち抜いてしまいそうでそれはそれでいいんだけど、やっぱちっちゃな女の子なんだし年相応の表情も素晴らしいと思うんだよね~! よ~し、俺様今日から霞ちゃんのお兄ちゃんになってあげる! 嬉しいでしょ~? なんたってこんなに見目麗しくて超カッコイイお兄ちゃんが出来たんだからねっ! ほらほら~、お兄ちゃんって言っていいんだよ~?」

 

戦治郎を無視して漣どころか霞にも声をかけ始める司、憲兵さんこっちです、これは本当にアウトだと思います

 

「はぁ……」

 

戦治郎が深いため息を吐き頭を抱える、これ絶対頭痛くなってきてるだろう

 

「ご主人様、この人って……」

 

「あいつの言う事は真に受けるな、実際その気は一切ないからな……」

 

その気がないのにナンパしてるんですかあの人、空なんかよりよっぽど問題児じゃないですかやだー、つかこんな人を艦娘がいる鎮守府に置いてていいのだろうか……

 

「あれだ、仕事はホント出来るんだよ、俺や空とか本来と違う恰好してる奴いただろ?あの服全部作ったのあいつなんだわ、こんな感じの服が欲しいって言えば作ってくれるから下手に通販したり店で買うより安く済むしデザインとかもいいからついつい頼っちまうんだわ……、性格がアレだが……」

 

「なんて言うか、やたら美しいとかカッコイイとか言ってる気がするんですけど……」

 

「ああ、あいつは超極絶ナルシストだ、あのナンパも『超イケメンな俺様がナンパして女の子を次々と魅了するとか、超ウルトラカッコイイ! 俺様マジクール!』って感じでやってるだけだからな、ついでに年齢の幅どころか種族の違いの壁すら超えている、雌雄同体のカタツムリやナメクジ、ウミウシにだってナンパすんぞあいつ」

 

これはもうドン引きです、頭おかしいです、見境なしにもほどがあるでしょう……

 

「さて、そろそろいいか、おい司、仕事だ」

 

「ん~? ってボス、いたんですか?」

 

腹パンされたにも関わらず存在に気付いてなかったとかマジやべぇよこの人……

 

「おう、知覚範囲内にいる女の数と同じ回数だけ無視すんのいい加減やめろ」

 

「? どゆことでしょ?」

 

あ、あの顔全く自覚出来てない顔だ

 

「まあいい、これだけどよぉ……」

 

そう言って紙袋を司に渡す

 

「これは~、レザパンですか、サイズ合わなかったとかです?」

 

「いあ、サイズはいいんだ、左脚のとこにペイント入れて欲しいんだわ、『非理法権天』ってな」

 

「非理法権天ですね~、あらほらさっさ~、俺様は超クールイケメンだからねぇ、こんな依頼ちょちょいのパッパで完璧に仕上げちゃいますよ~」

 

ここでまさかの非理法権天、何か物足りないとは言っていたがそういう事か、ペアルックか? 大和とお揃いにしたいんか? 爆ぜろバカップル、ああ、大和が更にキラキラしだした、もう直視出来ませんよ……

 

「っと、とりあえず司の紹介しとくか、もしかしたら何か用事出来るかもしんねぇしな、司、余計な事言わずに簡潔に自己紹介しとけ、もしまた変な事口走ったら悟に頼んで二度と口開けないように縫い合わせてもらうかんな……」

 

後半部分凄くドスの利いた声で言ってました、容姿も相まって超怖いです……

 

「わーかりました! わかりましたって! 俺様は鳳 司(おおとり つかさ)って言うんだ、欲しい服とかあったら相談してくれれば仕入れたり仕立てたり、修繕から改造まで何でもやっちゃうからね~、よっろしくぅ!」

 

とりあえず挨拶して、用事も終わったので店を出る事にした

 

 

 

 

 

 

「何かとてつもなく濃い人でしたね~……、しっかしご主人様はあんな人とどうやって知り合ったんですか? あの人とご主人様って接点なさそうな気がするんですが~」

 

思った事を口に出してみた、戦治郎は機械関係の仕事をしてたはず、対して司は服飾関係の仕事をしていたようだ、そうなると接点が全くと言っていいくらい見えないのである、強いて言えば作業用の制服関係で付き合いがあったとかだろうか?

 

「あいつとの接点か、あいつは護の知り合いのコスプレイヤーだったんだよ、本職も服飾関係だったみたいだけどな。たまにウチに服の修繕頼みにくるおばっちゃん達がいて管轄違いって断ってたんだが断られたときの姿見るのが忍びなくてなぁ……、知り合いにそういうの出来る奴いないか聞いたら護が紹介してくれたんだわ、その結果古着とか扱う店を修理工場の敷地の外に新しく建ててそこの店長やってもらってたんだわ、容姿の都合もあっておばちゃん達に大人気だったぞ、古着屋」

 

護って人の知り合いだったのか……、でも肝心な護ともまだ会っていないから何とも言えない気分になる、鈴谷達が改修のとき会っているみたいだから少しでもいいから話を聞いておけばよかった

 

「容姿って、あいつは自分で言うほど綺麗だったり格好良かったりするの? ただの自意識過剰な気がするんだけど……」

 

霞が言う、それは自分も同意しておこう、ほんのちょっと若くておば様達にチヤホヤされて調子に乗っているだけだろう、そう思っていた

 

「残念ながら……」

 

戦治郎がそう呟く、まさかの肯定である

 

「あいつ、街歩いてたら女の子からめっちゃチラ見されてたししょっちゅうファッション雑誌のモデル勧誘とかされてたな、コスプレしたときの人の集まり具合が半端じゃなかったぞ、男の俺から見てもイケメンってのが否定出来ん、自分がカッコイイ事自覚してて自分を如何に格好良く見せるかについても物凄く頑張って勉強したり研究したりしてたかんなぁ……、あいつが美男子の定義から外れるならば、美男子とはフィクションの産物かオカルトの領域になる、そういうレベルで格好いい見た目してたぞ、性格が残念過ぎるが……」

 

「えぇ……、そんなに凄かったんですか……、そうなると彼女さんとかいそうなんですが、そういう話は聞きました?」

 

「あいつは1度も彼女作った事ねぇってよ、自分は世界の女性の共有物って認識みてぇだからな、ナンパはさっきも言ったが自分を格好良く見せる手段みたいに言ってたわ、逆に告白とかされなかったかってなるとそれも殆どないんだとよ、女性サイドがあまりのカッコよさに完全にビビっちまってたみたいでな、1度ファッション雑誌のモデルやったときに共演した子がいて、その子が司に告ったみたいだけど司に断られるわその情報が何処から漏れたか知らんが、司の事崇拝してる連中に知られてその過激派が女ばっか50人ほど集まってその子をボコるわ家に火ぃ付けるわで大量に逮捕されるって事件があったんだわな、その子は奇跡的に生きてたみてぇだけど……」

 

ゾッとした……、霞も完全に沈黙している……、大和もこれは初めて聞いたようで凄く驚いてる……、文字通りに罪作りな美貌だったって事か……

 

「そういや、霞は当たり前として漣もまだシゲと護に会ってなかったんだっけか」

 

戦治郎が話を変えてくる、あまりにも衝撃的な話で何とも言えない空気になっていたので正直助かったと思えた

 

「はい~、その2人よく名前出てきてますけど、正直どんな人なのかな~?って思っていたところなんですよ~、それに紹介してもらってない人まだまだいたような気がしますね~、確か憲兵さん2人もご主人様の仲間の人でしたよね?」

 

「んだな、まあ俺は今から霞の事やら建造やらの書類片づけねぇといけねぇから同行は出来ねぇんだけどな、いそうな場所教えておくか、そんでおめぇら2人で挨拶しに行くといい、っとそういや……」

 

そう言って軍服の内ポケットから2枚のチケットを取り出す

 

「間宮アイスの引換券、約束もしてたし2人とも戦闘頑張ってたからな、持ってけ」

 

あ、約束覚えてたのか、つか自分がさっきまで忘れてたのは内緒

 

「メシウマ! ご主人様ありがとーございまーす!」

 

「ふん、お礼は言わないわ」

 

頬を赤くして言う霞、嬉しいのにそれがまだ素直に表に出せないところが可愛らしい

 

引換券とシゲと護がいるであろう場所の手書き地図をもらい戦治郎と大和と別れる漣と霞、地図はかなり綺麗に描かれておりとても見やすいものだった、目的地にはわざわざペンまで変えて赤い丸が付けてある、2人は地図のとおりに歩みを進めて行くのであった、赤丸に囲まれた喫煙所と書かれた場所に向かって

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