さて、俺のヒーロー名が決まったところで次は変身ポーズを決める事になったのだが……
「ねぇ、ちょっといいかしら?」
名前決めの時は介入してこなかったキャシーさんが、ここで介入してきたのだ
「んお?どしたぞキャシー、何かあったのか?」
「いえ、特に何かあったわけじゃないわ。今貴方達がやっている事についてね……」
何事かと戦治郎が尋ねると、キャシーさんは変身ポーズ決めについて少し思うところがあるようだった
「その変身ポーズってやる必要あるの?その間に敵に攻撃されたらどうするの?」
キャシーさんがとんでもない爆弾発言をしちゃいました……、特撮やアニメが好きな人の前で言うべきではない奴を……
「……キャシー、ちょっち話しようや……」
戦治郎のこの一言を皮切りに、俺を除いた長門屋特撮同好会のメンバーがキャシーさんに変身ヒーローの変身ポーズと名乗りの重要性について1時間以上使って丁寧に且つ分かり易く解説し始める……
「いくぞおめぇらぁっ!!!」
\応っ!!!/
どうしてこうなった……
「戦艦水鬼!経営者、戦治郎!」
キャシーさんが言葉だけじゃ分かり難いから実際やって見せてと言った為、戦治郎達がダイレンジャーの名乗りをやる事になったのである
「軽巡棲姫!事務職員、通!」
名乗りは内容を改変してもカッコイイというのを証明する為に、変身後の名前のところを艦名に、守護星のところは職務内容に、そして最後の名前のところは自分の名前を名乗る事になったのだ
「重巡棲姫!原動機担当、重雄!」
正直、職務内容はどうかと思うんだよね……、でも自分の守護星なんて誰も分かってないから仕方ないと言えば仕方ないけどさ……
「空母棲姫!作業主任者、空!」
因みに空がキリンレンジャーのところをやってるのは、その動きが戦隊名乗りポーズでは屈指の難易度を誇るからである。そうじゃなかったら大体2番目に名乗ってるんだよね
「泊地水鬼!事務兼厨房担当、翔!」
……翔はこういうのやる時は大体女性戦士のとこ担当してるんだよね……、本人は何か諦めついてるみたいなんだけど、たまには誰か変わってあげて……
「皆の町の修理屋さん!」
「「「「「長門屋特撮!同好会っ!!!」」」」」
カッコイイかどうかは分からないが、自分達用に名乗り部分を改変したダイレンジャーの名乗りを完璧に再現しきった戦治郎達、これで後はキャシーさんの感想を聞いて変身ポーズと名乗りの重要性云々のくだりは終わり……、俺がそう思っていると何か視線を感じる……
まさかと思って戦治郎達の方を見てみると、皆俺の方見てるんだよね……。キャシーさんも皆に釣られて俺の方見てるし……、これはあれか?俺に参加しろって事なのか……?
そんな事考えながら名乗りに参加していなかった護の方を見ると、護はHMDを装着して皆の方を向いたまま俺に手だけでGOサインを出す。こいつHMDで動画撮影してやがるな……
俺が皆の視線に身を震わせて耐えていると、唐突に戦治郎が悲しそうな顔をして俯いてしまった。すると他のメンバーもそれに合わせるように俺から顔を背けたり、天を仰いだりしだした……。それを見た俺は遂に耐えられなくなって……
「待ったぁっ!!!」
俺の叫びを聞いた皆が一斉に俺の方を向く、えぇいままよっ!
「もう1人、従業員はいるぜっ!」
俺はそう叫びながら変身し……
「とあぁぁぁっ!!!」
高く跳び上がって皆の前に着地、そして……
「運送ドライバー、シャイニングセイヴァー!ただいま参上!」
叫びながらポーズを決める、……うん、こんな運送ドライバーは嫌だな……。特撮ヒーローみたいなのが玄関先にいたり軽トラ乗ってたりしてたら、見てる人はどんな気持ちになるだろう……?チビッコは喜んで集まってきそうだけどさ……
いやね?輝く救世主って言ってもよかったかもしれないよ?でも皆職務内容で統一してたでしょ?俺まだこの姿で泊地関係以外で救助活動とかまだしてないから、職務内容救世主とか言いづらいじゃん?こればかりは仕方がなかったんだよぉ……
後、変身した理由と名前のとこヒーロー名名乗った理由について言わせてもらうと、原作のキバレンジャーは名乗りやってるのは正体がバレるまでの間だけだったでしょ?だからそれに合わせただけなんだよ、お願いだから信じて?
因みに俺の名乗り聞いた皆の反応だけど、実演組は特に反応してなかったんだけど撮影してた護は必死になって笑いを堪えてるせいか、物凄くプルプルしておられたよ……。……後で覚えとけよ……?
「っとまあこんな感じだ!分かってくれたか?」
戦治郎が満開の笑みでキャシーさんに尋ねると……
「ええ、貴方達にとってそれがとても重要な事だって言うのがよく伝わったわ」
キャシーさんは慈愛に満ち溢れた表情でそう言った、……何かこの表情の裏には諦めの感情が潜んでいるような気がするのは俺の気のせいか……?
こうして変身ポーズと名乗りの重要性に関する話は終わり、改めて変身ポーズを決める事になったのだが、その最中に通がふと何かを思い出したのか俺に話しかけて来た
「光太郎さん、ちょっといいですか?」
「どうしたんだ?何か気になる事があったのか?」
「いえ、光太郎さんが変身する時なんですけど、蒸着!とか赤射!とかの掛け声は不要なのですか?先程もそう言った類の掛け声を叫んでいる様子がなかったようですが……」
どうやら通は俺が変身する時掛け声を掛けないのが気になったようだ、……何でだろう、通の質問を聞いてから妙に嫌な予感がするんだけど……
「ああ、掛け声とか無くても変身出来るんだよこれ」
俺が通の質問に正直に答えると、通はニヤリと笑って余計な事を口走りやがったのだ……
「それはつまり、変身時の掛け声も自由に決める事が出来ると言う事ですね……?」
それを聞いた特撮同好会の面々がざわつき出す、しまった……っ!そう思った時には既に遅く、追加で変身の掛け声まで決めるハメになってしまった……。通の奴……、謀りやがったな……っ!!!
「よっし!これにて会議終了だっ!皆さんお疲れ様でしたっ!!!」
\お疲れっしたー!/
ああ……、長かった会議がようやく終わった……。変身ポーズも変身時の掛け声も無事に決まったので、戦治郎が終了宣言をしてこのしょうもない会議はやっと幕を閉じたのである
「お疲れ様、とんだ災難だったわね」
変身ポーズを決める際、色々なポーズを何度もとっていた関係で少々疲れ気味の俺に、キャシーさんが話しかけて来た
「名前は近い内に考えないといけないと思ってたからいいんだけど、変身ポーズと掛け声まで決めるハメになるとは流石に思ってもみなかったよ……」
本当は変身後の口上まで決めようとしてたみたいなんだけど、これ以上キャシーさんを待たせるのは流石にどうかと思い、俺が何とか皆を説得して阻止したのだ
「光太郎~、まだ発電用装備のテストやリヴァイアサンの試乗会が残ってるの忘れてないか~?」
戦治郎に言われて思い出す、そう言えばまだそれがあったな……、ついでだから提督だったものと戦ってた時使ってなかった双腕重機アームと、放水砲ばかり使ってたせいで碌に出番がなかった南方棲戦姫の艤装が変身後どうなるかも調べてみるか……
「すまん、スッカリ忘れてた。すぐ行くよ」
俺はそう言って戦治郎の下に向かい、リヴァイアサンの操縦方法を教えてもらってからリヴァイアサンに跨って海へと飛び出すのだった
因みに、キャシーさんには戻っててもいいと言ったんだけど、俺の装備が気になるからと言う理由でリヴァイアサンの試乗会と装備テストに参加する事にしたそうだ
……はい、今彼女はリヴァイアサンのシートに座っています。後ろから俺の腰に手まわしてます、何か彼女の距離感近くない?俺、もしかして彼女に気に入られてる……?……まあきっと気のせいだろう……、そうだよね?
セイバーとセイヴァーの件で、余計な事思い付いちゃった☆