※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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龍と謎の企業

剛さん達の講義が終わったところで、俺達はオーストラリアの西部にあるパースと言う都市に到着した

 

長門屋の面々は上陸するなりすぐに変装し、街を歩き回って宿を確保した後海賊団全員に集合をかける

 

「なんとか今日宿泊する宿を確保出来たわけだし、今から自由時間……と言いたいとこなんだが、その前に俺から皆に提案があるんだわ」

 

全員が集まったのを確認したところで、戦治郎がそう切り出して来た

 

「明日起きたら、俺達はすぐにソロモンに向かうわけなんだが、ちょっちオーストラリア国内の様子を見て回る意味も込めて、ちょっち陸路で移動してそこから海路に切り替えて移動するってのはどうだ?」

 

「具体的にどのあたりまで行くんだぁ?」

 

「北の方にあるポートヘッドランドあたりまでだな、出来れば海岸沿いのルートで行きたいところだな」

 

どのあたりまで陸路で移動するのかを尋ねる悟に、戦治郎はそう返答する。移動距離が中途半端な気はするが、きっと戦治郎なりに考えがあっての提案なのだろう

 

「あら、てっきりマッカイかブリスベンあたりまで行くものだと思ってたわ~」

 

戦治郎の言葉を聞いた剛さんがそう言った、マッカイとブリスベンはオーストラリア東部にある都市で、そのあたりまで行けば確かにソロモン諸島にかなり近づけるのだが、戦治郎はそれを敢えてやらないつもりのようだ。さて、どういった理由でポートヘッドランドまでにしたのか聞かせてもらうとするか

 

「急いでソロモンに行かなきゃいけないのならそっちの方がいいんですけど、けど今回は別に時間制限があるわけでもないし、海路で移動中に敵の拠点見つけて潰して回ったら穏健派の連中もちょっちは助かるんじゃないかな~?って思っただけなんですよ」

 

なるほど、確かにポートヘッドランドから出れば南西諸島に拠点を持つ強硬派の戦力を削りながら移動が出来るかもしれないな

 

「それに、宿探してる時気になる話が聞こえたんだよな~……」

 

「気になる事?」

 

戦治郎の呟きを拾い、その内容について摩耶が尋ねる

 

「いやな、ここ最近オーストラリアで商売始めた水産業の会社があるらしくてな、そこが何かえらい勢いで成長してるとかなんとか……、名前も『ヤマグチ水産』とかモロ日本っぽい名前らしくてどうしても気になってな~……」

 

「戦治郎さんが気にするような事なのか?俺にはただの偶然のような気がするんだが……」

 

戦治郎の話を聞いた木曾が言う、まあ普通に考えれば木曾の言う通りただの偶然なのかもしれん……。偶然なのかもしれんが……

 

「そっかな~……?いやほら、俺の苗字って長門だろ?長門って今の山口県だろ?な~んか関係あるような気がするんだよな~……」

 

そう言いながら頭を掻く戦治郎、戦治郎がこう言う時は大体当たるから恐ろしいのだ……

 

「陸路で行くのはいいんだけどさ、俺のリヴァイアサンやケートスはどうするんだ?」

 

「そうですね、あの水上バイクはきっと今後も私達の力になってくれると思いますから、ここで乗り捨てたりするのもどうかと思うのですが……」

 

ここで光太郎と姉様が戦治郎に質問を投げかける、そう言えばそうだな……、陸路で行くとなると水上バイクを乗り捨てるか、運ぶ為の車両がどうしても必要になるはずだ。戦治郎はそのあたりをどうするつもりなのだろうか……?

 

「それについては問題ねぇ、輝の艤装にまだ空きスペースがあっただろ?」

 

「応、車やら資源やら突っ込んでるがまだまだ全然余裕あるぜ」

 

それを聞いたメンバーの一部の表情が引きつる、取り出す時に嘔吐するような声を出すあの艤装に積み込むのか……、まあ今後何が起こるか分からない都合、懐に余裕を持たせる為にも金の節約をしないといけないだろうから、ここは素直に従っておくか……

 

そういう訳で、水上バイクについては輝の艤装の中に積み込む方向で話が固まった

 

「そういや移動手段はどうすんだ?あれだったら車出しとくぞ?」

 

「いや、あれに全員は乗らないだろ……。移動はバス買ってそれで移動すっか、これなら全員乗れるだろうしな!あっ運転は光太郎に任せるわ」

 

「そうなるだろうとは思ってたよ……、まあ、このメンバーだと俺くらいしか大型の免許持ってる人いないだろうしね……」

 

バスか……、きっと道中は騒がしい事になるだろうな……。恐らく戦治郎がバスガイドの真似をして物を投げつけられ、第2回カラオケ大会が開催される可能性が非常に高いと推測しておく……

 

「そんなわけで適度に休憩入れながら移動して、休憩ポイントに着く度にヤマグチ水産の情報集めだなっ!気になる事はちゃんと調べておかねぇと気持ち悪ぃからな!」

 

「あ、やっぱりその会社について調べるんですね……」

 

「相当気になっているようですね……」

 

戦治郎がそう言うと、阿武隈と神通が苦笑しながらそう呟いていた

 

「ちょっち考えてみてくれ、ヤマグチ水産だぜ?水産っつったらどういう業種か分かるか?」

 

2人の呟きが聞こえたようで、戦治郎が皆に向かってそんな質問をする。水産か……、水産と言えば……

 

「まずは漁業ですね、それから缶詰や練り物などのように、魚介類を加工する水産加工業、養殖業なども水産業に含まれていたはずです」

 

「不知火、あんた詳しいわね……ってそう言えばあんたのお父さんって漁師さんだったんだっけ?」

 

戦治郎の問いに答えたのは不知火、不知火の回答を聞いた陽炎が思わずそう言うと、不知火は少しだけ悲しそうな顔をしながら陽炎の言葉を肯定する、どうやら不知火は父親が生きている時にこのあたりの話を教えてもらったそうだ

 

そんな不知火の頭を彼女の師である剛さんが優しく撫で始めると、先程まであった悲し気な表情は消え去り、代わりに気恥ずかしそうな表情が表に出て来ていた

 

「そう、さっき不知火が言ったように水産業ってのは水産物を取り扱う業種なんだわ、……深海棲艦がうろついてるこの世界で真っ先にダメージ受けたのは水産業だと思うんだが、どう思う?」

 

「せやな……、言われてみたらおかしな話や。普通このご時世で水産業始めるなんて自殺行為もいいとこや、なのに水産業で商売始めた挙句、今急成長しとるんやろ?なんかきな臭い感じがしてきたわ……」

 

龍驤の言葉を聞いた全員がここでハッとする、世界各地で倒産が相次いでいるであろう業種であるにも関わらず、ここ最近になって急成長している。しかもオーストラリアは南方海域に該当するわけだ、南方海域と言えば激戦区も激戦区、穏健派と強硬派と艦娘が入り混じって戦争をしている海域なのだから、とても漁業など出来るとは思えない……。龍驤の言う通り、その会社にはどうも何かがあるようだ……

 

「やっと分かってくれたみたいだな……、って訳で俺達はヤマグチ水産の事を調べながらソロモンに向かう、それでいいよな?」

 

戦治郎の言葉に皆が頷き返す、ヤマグチ水産……か……、その実態、暴かせてもらおうか……

 

「さって、俺が言いたかった事は全部言ったし、ここからは皆自由行動としますかね。そんじゃおめぇら羽目外し過ぎないようにしながら楽しんでこいよ~」

 

こうしてちょっとした会議は戦治郎の宣言により終了し、この海域で俺達がやるべき事が1つ増えるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尚、俺はこの後部屋に籠り講義中にとったメモを何度も読み返し、メモの内容を頭にしっかりと叩き込み、翔鶴と再び出会った時の為にシミュレーションを幾度となく繰り返してその時に備えるのであった。あの時の翔鶴は一体何処にいるのだろうか……?

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