※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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龍と企業の詳細 その1

店員ル級の案内で、俺達は割烹アンダーゲートの宴会席へと通されるのだった。まあ長門屋13人+艦娘11人、合計24人全員を座らせようと思ったら宴会席になってしまうのは当然と言えば当然か……

 

「ではエリアマネージャーを呼んできますので、皆さんはここでしばらくお待ち下さい!」

 

そう言って店員ル級は宴会席を出て、何処かへ行ってしまうのだった

 

「……あれ?」

 

そのすぐ後、不意に誰かが声を上げたのでそちらを見てみると、翔が何かを探しているのかキョロキョロしていた

 

「どしたよ翔、何か探し物か?」

 

「いえ、ここはどんな料理を提供しているのか気になったのでメニューを見てみようと思ったんですけど……、テーブルの上にメニューが無いみたいなんですよね……。誰か心当たりありません?」

 

翔の様子を見た戦治郎がそう尋ねてみると、相変わらず辺りを見回しながら翔が答えた。よっぽどここの料理が気になるのだな……、などと暢気な事を言っている場合ではなさそうだな……

 

「飲食店なのにメニューが無いって、一体どういう事よ?」

 

「戦治郎さんが電話で予約していましたから、不知火達がここに来ると言うのはここの店員達皆が知っていたはず……。なのにメニューが無いとなると……」

 

不思議がる陽炎の言葉を聞いた不知火が、そう言った後に何かを考え始め

 

「まさか罠……、何て事は流石に無いわよね~……」

 

剛さんが真剣な表情でそう呟いたその時

 

「すみません、遅くなりました~」

 

遅れて来た事を謝罪しながら、この宴会席にスーツを身に纏った深海棲艦が1人入ってきたのだ。服装からはどの深海棲艦なのか一切分からないが……、この顔立ちと髪型は……

 

「いや~、別の店舗の様子を見に行ってる最中に連絡を受けましてね~、大急ぎで戻って来たところなんですよ~。っと申し遅れました、私はこの近辺のエリアマネージャーをやっている一湊 夏姫(いっそう なつき)と言う者です、どうぞよろしくお願いします~」

 

そう言ってエリアマネージャーを名乗る深海棲艦、港湾夏姫の夏姫は深々と頭を下げるのであった

 

「これはこれはご丁寧に……、俺はなg「ああ、皆さんの事は既に存じ上げておりますよ~」ああ、そう……」

 

挨拶しようとしたところ、先手を打たれて少しばかり肩を落とす戦治郎。俺達の事は既に知っている、か……、そう言えばさっきのル級も俺達の事を知っているようだったな……

 

「フェロー諸島の戦いにワンコさんを助けたりと、皆さんかなり活躍してらっしゃいますからね~。皆さんは穏健派の中では凄い有名人なんですよ?艦娘の皆さんも含めて、ですね」

 

そう言う事か、噂が広まるのは早いと聞くがこうも早く情報が拡散されているとは……、流石に予想外もいいところだな……

 

「それはそうと、戦治郎さん宛てに伝言を預かっていますよ~」

 

「う?俺にか?」

 

俺がそんな事を考えていると夏姫が不意にそんな事を言い、それに対して戦治郎が頭に疑問符を浮かべながら夏姫にそう尋ねる

 

「はい~、ウチの社長からですね~」

 

夏姫のその言葉を聞いて、皆に少しだけ緊張が走る。ここの社長とやらは戦治郎に何の用があるんだ……?

 

「では読み上げます~、『大方ヤマグチ水産の事が気になって調べているのかもしれんが、そんな事をしている暇があったらとっととガダルカナルに来んかい!こちらの要人待たせている自覚があるのかお前はっ!!?』だそうです」

 

「お、おう……」

 

先程までの態度とは打って変わって、ソウルフルに伝言を読み上げる夏姫に気圧されて、つい引き気味に返事をする戦治郎。この伝言の内容からすると、ここの社長とやらは戦治郎と面識があるだけでなく、戦治郎の事をよく知っており、時として戦治郎に説教をする人間のようだな……。そんな立場の人間が転生個体になってこの世界にいるのか……?……ああ、そう言えばいたな……、ここに来れそうな人物が1人……

 

「社長はこう言ってますけど、あまり気にしない方がいいんじゃないですかね?戦治郎さんには戦治郎さんの都合があると思いますしね~」

 

「サンキューナッツ、ガダルカナルの方は俺らのペースで行く事にするわ、まあそれはそうと……」

 

夏姫にお礼を言ったところで話を切り替える戦治郎、ここで聞く事と言えばやはり……

 

「何d「あの、この部屋にメニューが無いみたいなんですけど、メニューは何処にあるんですか?」oh……翔ェ……」

 

戦治郎が本題に入ろうとした矢先、翔が戦治郎の発言に割り込んでメニューの事について夏姫に尋ねるのだった。お前はどれだけ料理の事が気になるんだ……

 

「あ~、それなんですけど~、ここの皆が戦治郎さん達が来るって聞いて張り切っちゃってですね~、通常メニューに無い特別メニューを提供したいって事でメニューを準備していないんですよ~」

 

「そうだったんですか……、分かりました、ありがとうございます……」

 

夏姫の回答を聞いた翔がちょっとだけ落ち込む、翔としては通常メニューの内容でこの店舗の実力を測ろうとしたのだろう。残念だったな、翔……

 

「気を取り直して……、何d「ハイハイハ~イ!ここの従業員って皆女の子だったりしちゃったりするんですか~!?」司!お前ちょっち黙ってろっ!そこ全然重要じゃねぇだろうがよぉっ!!!」

 

今度は司が話に割り込む、俺達にとっては全くと言っていいくらいどうでもいい事なのだが、司にとっては最重要事項なのかもしれんな、あいつの中だけだろうが……

 

「いいえ~、元男性の方もいらっしゃいますよ~。他の店舗には生前は女装趣味があった方がいらっしゃいます~」

 

「あ、そうですか……、お返事ありっした~……」

 

司が完全に意気消沈して黙り込んでしまう、よかったな司、もしこの情報がなかったら場合によってはお前は野郎を口説く事になっていたな。その光景を見れないのは少々残念ではあるが……

 

「今度k「お待たせしました~!お料理お持ちしましたよ~!」……空~、俺泣いてもいいよな……?」

 

今度こそ本題に入ろうとしたところで、料理が届いてしまった為また本題に移れなかった戦治郎が泣き言を言い始める。頑張れ戦治郎、少なくとも俺はお前の味方だ……

 

先程駐車場で知り合った店員ル級を筆頭に次々と料理が届けられ、届けられた料理達は店員ル級達の手で俺達の前に綺麗に配膳されていくのだった

 

 

 

「それではごゆっくりお寛ぎ下さい!」

 

そう言って店員ル級達は持ち場へと戻っていき、俺達の目の前にはここの従業員達の心遣いで準備された……

 

「これは……、ふぐ刺しですね……。そっちはふぐ鍋に……、ふぐの唐揚げ……。ふぐ尽くしじゃないですか!」

 

「シドニーの方で獲れたトラフグを使っているそうですよ~、皆さんからの電話を貰ってからすぐに取り寄せたそうです。あ、調理資格を持ってる方が調理しているので安心して食べてくださいね~」

 

配膳された料理を見て驚く翔に対して、夏姫がそう返していた

 

「ああ、下関だからふぐなのな……」

 

「そういう事です~、ささ、皆さんお腹も空いてる事でしょうから早く召し上がっちゃって下さいな~」

 

戦治郎の呟きに返答した後、早く料理を楽しんで欲しいと促す夏姫

 

「まあ、本題は飯の後でいいか。って事で!」

 

戦治郎はそう言ってパンッ!と音をたてて両掌を合わせ……

 

「頂きます!」

 

\頂きます!/

 

頂きますを皆で唱和して、目の前に並んだふぐ料理を食べ始めるのだった

 

 

 

 

 

「ふぅ、美味しかった……、ここの調理担当の皆さんは素晴らしい腕前をお持ちのようですね」

 

「ありがとうございます~、それを聞いたらきっと皆喜んでくれると思います~」

 

鍋の残りで作った雑炊まで平らげた後、翔がここの料理人達の事を素直に称賛し、夏姫も翔の言葉が嬉しかったのか少々照れながらそう返していた

 

「さて、飯も食った事だしそろそろ本題に入るぞ」

 

「はいはい~、私がお答え出来る事なら何でもどうぞ~。っとそうそう、社長が何者なのかについては社長から秘密にするよう厳命されていますので悪しからずですよ~。知りたかったら総本山にカモンだそうで」

 

「どんだけ秘密にしたいんだよ……、社員も顔を知らない社長とか普通有り得ねぇだろうが……」

 

夏姫の言葉を聞いたシゲが思わず悪態をつく、が、それが夏姫に聞こえていたようで……

 

「ああ、社長の顔を知らないのは本社に勤務している人間の社員さんですね~、深海棲艦の社員さんは皆社長の顔を知ってますよ~。人間の社員さんに社長の事を教えていないのは、社長も転生個体だからですね~。その事がバレたらきっと社内が大騒ぎになると思いますから~」

 

思ってもみなかった返事が返って来た、成程……、素性を隠していたのは下手に人間の社員を刺激しないようにする為の配慮だったわけか……

 

「市場に獲って来た魚介類を卸す方々は、社長の事を知ってますね~、って言うか社長が直々にお話しに行ったから当然の事なんですけどね~」

 

確かに、深海棲艦が魚介類を大量に持って市場に姿を現せば大事になるからな……、その為の業者にはちゃんと手を回していると……

 

「そう言えばアンダーゲートは西部にのみ展開されてるみたいッスけど、それは東部の戦争に巻き込まれないようにする為の配慮だったりするんッスか?」

 

「それもありますけど~、一番は日本海軍の艦娘さん達に私達の事がバレないようにする為ですね~。東部にはラバウル、ブイン、ショートランド、トラックと言った具合に日本海軍の基地や泊地が多くありますからね~、たまの休日にオーストラリア東部の都市に遊びに行って、食事の為にアンダーゲートに入って私達とこんにちは~したら明日は市街戦間違いなしですからね~」

 

護の質問の答えを聞いたわけなのだが……、いやまあ確かに夏姫が言った通りになるのだろうが……

 

「深海棲艦を店員にするのを止めればいいのではないか?」

 

つい思った事を口にしてしまう

 

「いや~、社長がこの路線で行くって聞かなくてですね~……。私達も止めようとしたんですよ?でも社長が綺麗どころがこんなにいるのに使わないなんて勿体ない~って言ってですね~……」

 

ああ、集客か……。深海棲艦は確かに美しい姿のものが多いからな、それにホイホイされる奴も大勢いるだろう。商売をする以上客を集めない事には話にならないと考えると、これも戦略としてはアリなのかもしれない……

 

「っとまあ、西部に展開してるのはこんなところですね~。西部の戦況は比較的穏やかな感じですから艦娘さんが来る事は滅多にないんですよ~」

 

「そういう事だったんッスね、納得したッス」

 

「ん~……」

 

護が夏姫の言葉に納得したところで、今度は光太郎が唸り始める

 

「どうしました~?」

 

「いや、店員のル級さんからはオーストラリアの人と友好関係を築く事もこの会社の理念だと聞いてたんだけど、卸業者とお客さんには深海棲艦である事を教えておいて、本社の社員さんと艦娘には秘密って言うのが何かおかしいんじゃないかな~?って」

 

「本社の社員さんについては、もうちょっと時期を見てから明かす方向みたいですよ~。薄々気が付いてる方もいらっしゃるみたいなので、その人数が今よりもっと増えたらって感じです~。艦娘さんについては~……、皆さんの今後の頑張り次第?」

 

夏姫の最後の言葉を聞いて軽くズッコケる俺達、そこは俺達頼みなのか……

 

「そうそう、そう言えばそのオーストラリアの人達と~の奴ですけど~、それ考えたのは社長じゃなくて穏健派のリーダーさんですよ~」

 

穏健派のリーダーか……、確か中枢棲姫のスウとやら以外にも1人いると聞いているが……。俺がその事について考え始めたところで……

 

「皆さ~ん!食後のデザートをお持ちしました~!」

 

店員ル級のこの言葉を聞いた瞬間、俺の脳はデザートの事で埋め尽くされてしまうのだった。デザートとは気が利くではないか……、翔が称賛するほどの腕前を持った料理人が作ったデザート……、これは流石に気分が高揚するな……っ!

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