ただエロ要素は今後もほぼありません……
「凄いすご~い!空さん空さん!これ本当に凄いっぽい!」
「夕立の姉貴!あンまはしゃぐなって!っとあっぶなっ!危うく落ちるとこだったぜ……」
俺のライトニングⅡに乗った夕立と江風がこんなやり取りをしていた、行方不明になった駆逐艦達を探す翔鶴達と共にコロンバンガラ島に向かうその道中で、夕立が俺のライトニングⅡを興味津々に見つめていたので、何事かと聞いてみると
「夕立もその艤装に乗ってみたいっぽい!空さん空さん、夕立もその艤装に乗ってみてもいいっぽい?」
「別に構わんぞ」
俺がそう言って夕立をライトニングⅡに乗せてやると
「あっ!夕立の姉貴だけずりぃぞっ!なぁなぁ空さン、江風も乗ってみてもいいか?」
どうやら江風も興味があったのか、江風もライトニングⅡに乗りたいと言ってきたのだった
「いいぞ、ほら、掴まれ」
俺はそう言って江風に手を差し伸べ、それを掴んだ江風を引き上げてライトニングⅡへ乗せてやる。ライトニングⅡの大きさでは大人2人が限界だが、この2人くらいの体格なら3人乗りも十分可能である
その状態でしばらく進んでいると夕立からライトニングⅡの事を色々と聞かれ、その中でライトニングⅡが飛行可能だと教えてやると
「この艤装、空を飛ぶっぽいっ!?夕立、この艤装が飛ぶところを見てみたいっぽい!」
「ふむ……、分かった、しっかり掴まっていろよ?」
「え"っ!?マジでこれ飛ぶのかっ?!」
江風のこのセリフの直後、俺はライトニングⅡを飛行モードに切り替えてその身体を宙に浮かせるのだった。その結果が先程の2人のやり取りなのである
「凄い……、本当に飛ぶなんて……」
その様子を見ていた雲龍が驚いた表情を浮かべたままそう呟く、他のメンバーも予想外の出来事だったのか雲龍同様驚愕の表情を浮かべながらこちらを向いていた
「……はっ!ああ……、済まない……、あまりの出来事につい固まってしまった……。その、ウチの者達が迷惑をかけて済まないな……」
立ち直った日向が申し訳なさそうにそう言った、このくらい別に気にしていないと返すと、日向は感謝の言葉の述べて改めて前を向くのであった
程なくして目的地であるコロンバンガラ島に到着したのだが、そこには想定を遥かに超えた、目を覆いたくなるほどの凄惨な光景が広がっていた……
「これは……っ!?」
「惨過ぎる……っ!」
「……うぷっ!」
俺と日向はそれを見て驚愕と怒りを覚え、雲龍はただただ呆然と立ち尽くし、翔鶴はあまりのショックで嘔吐し始めてしまった。川内は夕立と江風にその光景を見せまいと必死になって2人の目をその手で覆っていたのだった
俺達が今立っている砂浜には、四肢と頭部をもがれ、その腹を刃物を使わず腕力だけで強引に引き裂かれ、その内臓を綺麗に抜き取られ絶命している駆逐艦達の遺体が並べられていたのである
その傍にはベットリと血が付いた艤装が並べられており、その艤装のおかげで何とかこの遺体の身元を明らかにする事が出来た。やはりと言うべきか、ここにいる物言わぬ遺体達が件の行方不明になった駆逐艦達だそうだ……
「空さん……、深海棲艦とはこのような事を平然とするものなのか……?」
表情にこそ出さないものの、その雰囲気で怒りが絶頂に達しているのが分かる日向がそう尋ねて来た
「お遊びで木に吊るした艦娘を、人間用の銃器の的にしているものは確かにいた……。だがここまで酷いのは初めて見たな……」
俺の返答を聞いた日向がギリッと奥歯を噛み締める、まあこんなものを見せられて怒りを覚えない輩はいないだろう……
何とか立ち直った雲龍と翔鶴に頼んで、この遺体達をライトニングⅡから取り出した布で包んでもらっている間に、俺と日向はせめて顔が分かるようにと彼女達の頭部を探すのだが、いくら探してもそれは見つかる事はなかった……
「それで、それはどうするのだ?」
翔鶴、雲龍、日向がそれぞれ2つずつ抱えている彼女達の遺体について、俺が尋ねてみる。ぼかした表現にしたのは夕立と江風に配慮した為だ
「トラック泊地の方に届けるさ、きっとそちらで丁重に弔ってくれるだろうからな……」
日向が沈んだ表情でそう答える、この状況で笑えるような奴などいないだろうからな……、いるとしたらそれは彼女達にこのような仕打ちをした張本人だけだろう……
「分かった、途中まで付き合おう。その状態ではとても戦闘など出来ないだろうからな」
日向は助かるとだけ答え、トラック泊地へ向かって舵を切るのだった
「どうしてこの子達が、こんな目に遭わなければいけなかったのでしょう……」
トラック泊地に向かうその道中で、翔鶴が悲しみを湛えながらそう呟く
「ここは南方海域、激戦区である事は重々承知しています……。でもこの子達をこんなに惨たらしく殺す必要なんて何処にもないはずなのに……、なのに何故このような酷い仕打ちを……」
最後のあたりは嗚咽混ざりでしっかりと聞き取る事は出来なかった……
「翔鶴……」
雲龍が翔鶴の事を心配して声を掛けるが、その後どのような言葉を掛けてやればいいのか分からず、結局黙り込んでしまった
「恐らく……、いやほぼ確実に……、これは転生個体の仕業だな……」
「空さん、何故そう言い切れるんだ?」
俺の呟くような声に、日向が反応しそう尋ねて来る
「俺が生きていた世界でな、これと同じような事件があったからだ」
それを聞いた日向達が驚愕する
これは俺達が死んだと思われる日から大体3年ほど前だったか、エデンの構成員が当時のアメリカ大統領を暗殺し犯行声明を出した後に大々的に活動を開始したのと同じ頃に、アメリカ全土を震撼させた1人の猟奇殺人鬼がいたのだ
そいつは一切武器の類を使わずに、その身体能力だけで人間を易々と殺害し捕食していたと言うのだ。特に内臓、それも人糞が詰まった大腸が好みのようで捕食の際真っ先に遺体の腹を強引に引き裂いて内臓を取り出して食っていたと聞いている
こいつもエデンの構成員なのではないかと噂が流れた事があったが、エデン側がそれを完全に否定、この食人鬼は単独犯である事が判明したのであった
結局この食人鬼は警察の手には負えないと判断され、たった独りのテロリストであると認定された後、当時エデンの相手をしていた軍隊に射殺されたのだとか……
尚、軍隊がこの食人鬼の相手をした際、5名ほどの隊員が素っ裸の食人鬼の手にかかり殺害されたと聞いている……
「その犯人は内臓を食った後、残った身体を天日干しにして保存食にしていたと聞く……、俺は今回の件はそいつの仕業ではないかと睨んでいるんだ。先程のアレは恐らく保存食にする為にあそこに並べていたのではないか、そう考えている」
「何、その化物……」
雲龍の言葉が俺の胸に刺さる、普通に考えればそう言いたくなるのは理解出来る……。だが……
「それは本当に人間なのか?人間にそんな事が出来るのか……?」
俺の話を聞いて驚愕の色を更に濃くした日向がそう尋ねる
「普通の人間にはまず無理だ、だが出来る奴はいる……」
「……何か知っているのか?」
「ああ……、だがその前に聞いておきたい事がある。お前達は脳のリミッターの話を聞いた事はあるか?」
俺がそう尋ねると、全員が不思議そうな顔をしてきた。突然何を言っているんだと言わんばかりの表情で首を傾げている
「確か……、人間の身体は脳にリミッターをかけられていて、本来の身体能力を完全に引き出せていないと言うアレですか……?」
「ああそれだ、身体が持っている本来の力をそのまま出してしまえば、身体がその負担に耐え切れなくなり自壊してしまう為、それを防ぐ為に脳が身体にリミッターをかけていると言う奴だ」
翔鶴が自信なさげにそう尋ねて来たので、俺はそれを肯定しもう少し踏み込んだ内容を皆に話した
「まさか……っ!?」
「察しが良いな日向、そう、そいつが軍隊に始末された後に判明した事なんだが、そいつは生まれつきそのリミッターが機能しない脳障害を抱えていたそうだ。そいつの異常過ぎる身体能力はそれが原因だったのだ……」
俺の言葉を聞いた全員が、またも驚き凍り付く……。嘘のような話だが、これが事実である事は変わりはしないのである……。何故なら……
「空さん、さっきから表情が暗いけどどうしたのさ?何か脳のリミッターがどうとかの話になったあたりから何か変だよ?」
「そうね……、それにこの脳障害に妙に詳しい……。どうしてそんなにその事に詳しいの……?」
川内と雲龍がそう尋ねて来た、俺はしばらく沈黙した後、意を決して彼女達に話す事にしたのだ。俺が抱えている問題についてを……
「それは……、俺自身もその脳障害を抱えているからだ……」
俺のこの一言で、辺りは完全に静寂に包まれてしまったのだった……
この章のボスの都合でR-18になっちゃいましたが、基本的な方向性は変わらないと思います
むしろ表現の幅が広がったと喜ぶべきかもしれませんね