※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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龍の報告

翔鶴達が静まり返ってしまったのを見てた俺は、内心しまったと舌打ちする

 

「済まない、変な事を言ったな……、今のは忘れてくれ。それよりも先を急ごう、もしかしたらこの件の犯人が遺体を取り返す為に追って来ているかもしれないからな」

 

俺は先程の発言を誤魔化すようにそう言って、翔鶴達に先に進むように促すのであった

 

彼女達はそれぞれ驚きや戸惑いと言った表情を浮かべながらも、俺の言った事に素直に従いトラック泊地へと再び歩みを進める

 

それから何とか無事にトラック泊地へと到着した翔鶴達は、発見した遺体をトラックの提督に引き渡し発見した時の状況を詳しくトラックの提督へと伝える

 

遺体を受け取った提督はその場で泣き崩れてしまい、泊地に所属する艦娘達に連れられて自室へと向かったのだとか……

 

その時俺はもしもの時に備え、泊地から離れた場所で周囲警戒を行っていた。ここで猫戦闘機達を飛ばすと流石に泊地の艦娘達に俺の存在がバレてしまい、一斉攻撃される可能性があった為、俺は仕方なく目視確認のみで警戒する事となった……

 

その後、任務を終えた翔鶴達はショートランド泊地に帰投する事になったのだが

 

「前回助けてもらった件で、ウチの提督が空さん達に直接会って礼をしたいと言っているんだ。よければ私達と一緒に泊地に来てもらえないだろうか?」

 

その道中で日向にそう言われたのだが、俺の独断で決める訳にはいかないし、何よりこの間の伝言の件もあった為俺はその頼みを断ったのであった

 

「そうか……、分かった、まあ急ぐ事でもないからな、機会があったらその時は是非来てもらいたい」

 

俺がそれを了承したところで泊地の近くまで辿り着いた為、俺はそこで翔鶴達と別れを告げてから海賊団の皆が待つロッセル島へと向かうのであった

 

 

 

「遅かったな、やっぱ素手でマグロ獲るのは無理があったか?」

 

戻って来た俺を最初に迎えてくれたのは戦治郎だった

 

「いや、マグロはすぐに捕まえる事が出来た」

 

俺はそう言ってライトニングⅡの中に格納していた2匹のマグロを戦治郎に手渡す、本当は1匹は翔鶴達に渡そうと思ったのだが、あの直後にマグロを渡すのはどうかと思い留まり結局2匹共持ち帰る事にしたのだ。翔鶴達が知っているかどうかは不明だが、鉄道事故の被害者の遺体の事をマグロと言うからな……

 

「皆は何処にいる?」

 

「向こうに集まってるが……、……向こうで何かあったみたいだな」

 

俺が戦治郎にそう尋ねると、戦治郎は何かを察したのか真剣な表情をして聞き返して来た。こいつとは付き合いが長いからな、ちょっとした事でもすぐに気付いてくれるから助かる時は本当に助かる

 

「ああ、詳細は皆のところに行ってからでいいな?」

 

俺がそう言うと戦治郎は1度頷き、皆のところに行くまでの間何も尋ねてこようとはしなかった

 

 

 

 

「……以上が俺がここに戻るまでにあった事だ」

 

「あのカニバ野郎までここにいんのかよ……」

 

「しかもこの近辺にいるんだろう?襲撃して来たりしないよな……」

 

俺が皆に先程までの出来事を報告したところ、戦治郎と光太郎がそれぞれ口を開く。猟奇殺人鬼の事を知らない艦娘達には、報告の前に予めそいつの事を解説したところ全員が引きつった表情をして黙り込んでしまった

 

「またあいつの相手をしないといけないの……?ホント嫌になるわぁ……」

 

剛さんが頭を抱えながらそんな事を言ったのだが、皆その言葉に引っかかりを覚えたのか視線を一斉に剛さんの方へと向ける

 

「またって……、剛さんは過去にその殺人鬼の相手をした事があるのですか?」

 

「ええ、あいつにトドメを刺したのはアタシなのよ、あいつにやられた隊員5人は全員アタシの部下だったのよ……。ああもう、あの時の事思い出しちゃったわぁ……、重武装した部下達を軽々と殺していくスッポンポンのあいつの姿を……。もうブランブランさせながら大暴れするのよぉ?あんなのに殺された部下がもう不憫で不憫で……」

 

そう言って顔を手で覆う剛さん、その場面を想像してみたが本当に不愉快極まりない光景であった……。奴に倒された剛さんの部下が本当に可哀想に思えて来たぞ……

 

「何で全裸だったんだよ……」

 

「Nの住処の情報を手に入れてね、寝込みを襲おうとしたんだけど直前で気付かれちゃってこうなっちゃったわけ」

 

木曾の呟きに答える剛さん、剛さんが言うNと言うのは奴のコードネームのようなものらしい

 

「Namelessの頭文字をとってNね、あいつは生みの親から名前を付けられるどころか出生届を提出してもらってすらいないみたいなのよね~。父親も何処の誰かも分からない、正にサノバビッチって奴よ」

 

剛さんがサノバビッチと口にした瞬間、シゲがピクリと反応していた。そう言えばこいつも似たような境遇だったな……、ただ出生届は提出されてるし名前も付けてもらっている分Nよりは全然マシだろう……

 

「その状態でしばらくは育ててたみたいだけど、すぐに物を壊したり怪我をしたりするもんだから、何かおかしいんじゃないかって思ったみたいだけど、お金が無くて病院に診せる事も出来なくて結局そのままにしちゃったらしいのよ」

 

物を壊したり怪我をしたりか……、正に小さい頃の俺そのものだな……。何気なく触った物がすぐに壊れたり、ちょっと走っただけで脚が悲鳴を上げてすぐに転んでしまったり……。俺の場合生まれる前にその原因が判明していたが、こいつの場合出生届が出されていない事から普通の出産方法ではなかったのではないかと推測され、そのせいで原因が分からず仕舞いになってしまったのではないだろうか……?

 

「それで、日に日にエスカレートする破壊と怪我に母親が耐えられなくなっちゃったみたいでね、Nはスラム街に体一つで捨てられたらしいのよね。それからはさっき空ちゃんが言ってた通り窃盗や強盗で生計を立ててたって感じ」

 

「それがいつの間にか食人鬼……、一体どうしてそうなった……」

 

皆が剛さんの話を沈痛な面持ちで聞いてる中、戦治郎がそう呟いた

 

「お金に困って食べるのに困ってってところね、空腹の絶頂の中でやった強盗殺人の被害者の遺体をついつい食べたらハマっちゃったみたいなのよね~……」

 

「どんだけ切羽詰まってたんだよそいつ……」

 

摩耶がそう呟く、確かに強盗殺人を犯した後ならそれで得た金で食事をしたらいいものなのだが……、そのような行動に走るほど追い詰められていたと言う事なのだろうか……?

 

「そんな事をしてたらいつの間にかスカトロ属性まで付いちゃって、ウ〇チがパンパンに詰まった大腸なんかを好んで食べるようになっていたらしいわ~。ホント気持ち悪いわよね~……」

 

「最悪……」

 

「そんなのがこの世界にいるって言うの……?冗談じゃないわ……」

 

天津風と陽炎が口々に呟く、本当に勘弁してもらいたいところだな、特に俺の場合こいつと同じ脳障害を抱えているわけだから、下手したら同類と思われてしまうだろう……。それだけは何としてでも避けねば……

 

「って言うか何で剛さんはそいつの事そんなに詳しいんッスか?」

 

「警察からの情報提供のおかげね、警察が白旗上げちゃったもんだからこいつの始末を軍が引き継ぐ事になったのは空ちゃんが言ったわよね?その関係で警察が助けになればって事で情報をくれたのよ。皆も注意しなさいよ~?ああ見えて警察の情報網って馬鹿に出来ないんだから、ねぇ?通ちゃん?」

 

「ですね、そこに身を置いていたので痛いくらい分かりますよ……。皆さんも変な事をして警察に目を付けられないように気を付けて下さいね」

 

護の質問に剛さんが答え、剛さんに話を振られた通がこう言ったところで翔がマグロ料理を運んできたので、奴についての話はここで終わる事となった

 

「よっし、これ食ったらいい加減ガダルカナルに行くとしますかっ!道中でそいつと遭遇して戦闘になった時、腹減って力が出ないなんて事にならないようにしっかり食うぞっ!って事でっ!」

 

\頂きます!/

 

こうして、俺達は翔のマグロ尽くしを堪能した後ガダルカナルへ向けて出発するのであった

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