ハグルマ工務店のメンバーが海賊団にいると聞いて心を躍らせるリチャードさんに何とか追いつき、俺達は穏健派の総本山があると言うガダルカナル島へと上陸する
「遥々来たぜガダルカナルー!って、ここらへんに施設とか見当たらないんですが……」
「ここの重要施設の類は島の中心にあるからね、ここからは僕の車で移動するんだよ」
そう言ってリチャードさんが指差す先にあるのは……
「「「ぶぼふっ!!!」」」
それを見た戦治郎、シゲ、護が思わず吹き出してしまう、そこにあったのは緑色の大型トラックだったのである
「まさかのこれかよぉっ!!!」
「ここの技術班の連中はリチャードさんで遊び過ぎだろっ!!!」
「突っ込むんッスかっ!?もう我慢ならん!って深海棲艦に突っ込むんッスかっ?!」
「空ぁ……、俺あのトラックをどっかで見た気がするんだけど……」
騒ぐ3人を見て光太郎が俺に話しかけて来る、そうだな、俺もこのトラックについてはよく知っているぞ……
「間違いなく、ガンハザードの序盤で大統領が乗っていたあのトラックだな……」
俺がそう言うと光太郎はやっぱりか……と短く返してくる、俺達がそんなやり取りをしている中、リチャードさんはトラックの荷台の上でメタルウルフを脱いで荷台に固定していた。手際よくスーツを固定しているところを見ると、この作業を今まで幾度となくやって来た事がよく分かった。それだけこのスーツを装着する機会があったと言う事実の証明と言ったところだな……
「これでよし、それじゃあ今から拠点へ向かうんだけど、誰か助手席に乗るかい?」
メタルウルフを荷台に固定し終えたリチャードさんが、俺達に向かってそう尋ねて来るのだが……
\剛さんどうぞ!/
あのやり取りを見ていたが故、海賊団全員が剛さんに助手席に座る権利を譲り皆はイソイソと荷台の上に乗っていくのだった
「おやおや、皆気を遣ってくれたみたいだね」
「何か悪いわねぇ……」
「こういうのは有難く受け取っておくべきじゃないかな?っと、皆乗り込んだようだしそろそろ行こうか。積もる話は道中で、ってね」
「そうね……、分かったわ、それじゃあ行きましょうか」
リチャードさんと剛さんがそんなやり取りを交わした後、それぞれ運転席と助手席に乗り込んだところでトラックが発進し、拠点へ向かって進んで行くのだった
それからしばらくして、俺達を乗せたトラックは拠点の敷地内に入りある建物の方へと進みその中へと入っていく。その建物の中には戦車やバイクなどが停めてある事から、俺はここは格納庫の類だと推測する
「「うおおおぉぉぉーーーっ!!!」」
また戦治郎と護がはしゃいでいるが、こいつらは一体何を見つけたのだろうか……?
「あの戦車、メタルマックスシリーズのレッドウルフだろ絶対!何でこんなとこにあるんだよっ!!!」
「あの装備構成……、雷神ゲパルトじゃないッスかーっ!?なんつーモン作ってるんッスかここの人達はーっ!」
今度はメタルマックスの戦車か……、ここの連中は随分と趣味の幅が広いな……。まあそれが分かる俺達も大概だとは思うが……
そんな事を考えながら他のメンバーの様子を見ると、大騒ぎする2人を見てポカンとする者達の中に、1人だけ戦治郎達と同じ方角を見て愕然としている者がいた
「あれは……、タキオンSS……、あんなもんまで作ってるのか……」
シゲである、戦治郎達ほど騒ぎはしないものの、格納庫内に駐輪してあるプラチナに輝く未来的なデザインをしたサイドカー付きバイクに、完全に見惚れてしまっているのである
「やっべーぞここ!ここには夢と希望とロマンと技術がたんまり詰め込まれてるぞおいっ!!!んあーっ!俺もこういうの作りてぇなーっ!資源の消費度外視で好きなもん作ってみてぇなー!」
「シャチョー……、いいんッスよ~?もう我慢しなくていいんッスよ~?好きなものを好きなだけ作っちゃっていいんッスよ~?」
技術屋魂が触発された戦治郎に対して、悪魔のように囁く護。恐らくそれに自分も便乗して好き勝手に開発したいだけなのだろうが……
「おめぇらうるせぇんだよぉ、それ以上騒ぐようだったらその口縫い合わしちまうぞぉ?」
若干苛立ちながら悟が言う、実際のところ敷地内に入ってからの俺達は物凄く周囲に注目されているのである
ここの代表の1人であるリチャードさんが運転するトラック、その荷台には噂になっている長門屋海賊団の面々、これだけでも十分目立つのだが今は2人が大騒ぎするものだから更に目立ってしまっているのである
きっと悟はこんなに注目されている中で恥ずかしい姿を晒すなと、遠回しに言ったのだと思っていたが、その悟の傍らで落ち着かない様子でアワアワしている望の姿を見て、本心は別のところにある事を察する事が出来た
アドレナリンと言うものは、何も興奮状態の時だけ分泌されるものではない。恐怖や不安、緊張状態になっても分泌されてしまう為、今のように多くの人から注目されて恐怖や不安を覚えてしまった結果分泌されてしまう可能性がある。それを警戒して悟はああ言ったのだろうな……
俺がそんな事を考えていると、トラックが停止し運転席と助手席からリチャードさんと剛さんが降りて来た
「誰も荷台から落っこちたりしてないね?技術班が今からこのメタルウルフの整備をするらしくてね、トラックごと工廠に持って行くらしいから皆荷台から降りてもらえないかな?」
リチャードさんにそう言われた俺達は、言われた通りすぐに荷台から降りる。戦治郎と護が技術班と話がしたいからと言って荷台に残ろうとしていたが、俺と光太郎がその首根っこを掴んで2人を荷台から引きずり下ろす。と、その時だ……
俺の脳裏に翔鶴の顔が浮かぶと共に、背筋にゾクリと冷たいものが走る……。それを皮切りに妙な胸騒ぎがし始めたのだ……
途轍もなく嫌な予感がする……、もしかして翔鶴の身に何かあったのか……?そう思った俺は……
「戦治郎すまん」
「う?っておいィィィッ!??」
「おっとっと……、って空ちゃん?!一体どうしたのっ!?」
首根っこを掴んでいた戦治郎を剛さんへ投げ渡し、すぐにライトニングⅡを展開し飛行モードに切り替え、格納庫の出口の扉を突き破って外へ飛び出した
「空の奴一体どうしたんだ?!」
「俺達も何がなんだか……、取り敢えず俺が後を追うっ!」
「光太郎ぉ!俺も連れて行きなぁ!さっきから嫌な予感がビンビンしやがるからよぉ!」
「ちょい待てって!俺置いてくなってっ!」
「すみませんリチャードさん!ちょっち俺達行って来ますね!海賊団の皆はここで待ってろ!いいなっ!?」
背後で戦治郎と光太郎、それに悟と輝の叫び声が聞こえたが、俺はそれらを気にする事なく高度と速度を上げ、翔鶴を探しながら海上の空を駆け抜けるのだった
一体なのが起ころうとしているのだろうか……、直前に翔鶴の顔が浮かんだとなるときっと翔鶴の身に何かが起ころうとしているのではなかろうか……?もしそれが本当の事だとしたら、翔鶴が危ない……っ!どうか無事でいてくれ……翔鶴……っ!!!
俺は心の中で何度もそう願いながらソロモン海の上空を飛び回り、翔鶴の姿を探して回るのだった。そして……
「見つけた……っ!?」
ようやく翔鶴の姿を発見するのだが、彼女は今正に絶体絶命……、いや、絶対絶命の危機に瀕していたのである
大破した彼女の下へその巨大な口を大きく開きながら、ゆっくりとした歩みで歩み寄っていく異様な気配を漂わせる改ヌ級がそこにいたのである
俺はその改ヌ級の姿を見た瞬間直感した、こいつが例の食人鬼か……っ!だとしたら翔鶴が危ないっ!!!
そう思った俺はライトニングⅡを更に加速させ、改ヌ級へと突撃するのであった……