いや~、あのNとか言うヌ級は一体何なの?
空の事ズタボロにしたくせに、俺達と対峙したらもうひたすら逃げ回って攻撃まともに当てられねぇのよ……
まあ十中八九オベロニウム製武器と光太郎のエネルギー系攻撃を警戒して、逃げの一手に走ったんだろうけどな……。あいつは恐らく本能的に、自身にダメージを与えた空の杭打機の杭と俺の大妖丸や輝のハンマーが同じ素材で出来てるって察知したのだろう……。なんて厄介な……、お前は野生の獣か何かかよと言いたくなったわ……
っと、そんな事よりもっ!
「「空ぁっ!大丈夫かっ!?」」
俺と輝が同時に叫ぶ、悟が何とかしてくれてると分かっているものの、やっぱり心配なものは心配なんだよぉっ!!!
「うるせぇぞおめぇらぁ、怪我人の傍で騒ぐんじゃねぇ。取り敢えず一命は取り留めたから安心しやがれってなぁ、まあしばらくの間安静にしててもらうんだがなぁ」
「取り敢えず命に別状はないんだな……、悟の能力も万能じゃねぇって事か……」
叫ぶ俺達を叱り飛ばす悟先生、そしてそれから続いた悟の言葉を聞いた俺は安堵の息を漏らしながらそう言った。ホント無事でよかったわ~……
「この能力はまだ発展途上みてぇだからなぁ、もっと使い込んだらもしかしたらバケツがいらなくなるかもしれねぇんだよなぁ。因みによぉ、いつもだったら最短1か月、最長で半年はかかる空の全力後の回復がよぉ、こいつのおかげで最短で1週間、最長で1か月まで縮められるようになったみたいだぜぇ?」
「「「流石です、悟大先生」」」
悟のこの言葉にはホント驚かされたわ、俺だけでなく光太郎も輝もこれに関しては予想外だったらしく、思わず3人揃ってこう言っちまったよ。つかこれ以外言葉が思いつかねぇよ……
「あの……」
3人で驚きのハモリを奏でた直後、不意に声をかけられたのでそちらを見てみると、そこには涙の跡を残した翔鶴がいた
「先程は危ないところを助けて頂いて本当にありがとうございました」
そう言って頭を下げる翔鶴、この翔鶴が空が今夢中になってる翔鶴みたいだな……。俺達が知ってる翔鶴まんまだし、ほぼ間違いないだろうな
「いや、お礼は空に言ってやってくれ。俺達はただ空の後を追って来ただけだからな」
「碌に説明もせずに急に艤装を展開して飛んで行ったからね、いつもの空だったらちゃんと連絡入れてから行動するのに、今回はホントいきなりだったからね、心配になって後を追って来たんだよ」
変身を解除しながら俺の言葉を補足する光太郎、その光景を見た夕立と江風がおおっ!と驚きの声を上げる。初見だとやっぱ驚くだろうな~、光太郎の変身とか変身解除とかはな~……
「悟さンが言ってた通り、ホントに中身は南方棲戦姫だったンだなっ!」
「凄くかっこいいっぽい!ねぇねぇ、どうしたらさっきの姿になるっぽい?夕立、変身するところを見てみたいっぽい!」
興奮気味に光太郎に話しかけるぽいぬと江風、つか悟から一応そこら辺聞いてたのな……。って言うか夕立は好奇心旺盛だな、まあ普通あのくらいの子供だったらあんなん見せられたら興味湧くよな……
「ダメだよ夕立、光太郎さんが困ってるじゃないか」
「いや、いいんだよ時雨さん。こうなるのは想定内だったからね、っという事で!」
光太郎に変身をリクエストする夕立を窘める時雨、それに対して大丈夫だ、問題ないとばかりにポーズを決めて変身する光太郎。その瞬間を見た時、夕立と江風だけでなく時雨と川内も感嘆の声を上げていた
「その……、ウチの娘達がすみません……、それで……えぇっと……。すみません、戦艦水鬼の方は何と言うお名前なんですか?光太郎さんと悟さん、輝さんの事は悟さんから聞いてはいたのですが、貴方の事は聞いていなくて……」
申し訳なさそうに尋ねて来る翔鶴、それを聞いた俺は悟の方を睨みつけてやると、悟は俺から顔を逸らして口笛で社長応援歌を吹き始めやがった……。こいつこの曲ホント好きだな……、じゃなくて俺の事もついででいいから紹介しとけよ~……
「ああ、俺は空の親友で長門屋海賊団のリーダーやってる長門 戦治郎ってもんだ。よろしくな翔鶴!」
俺が自己紹介すると、翔鶴は口元を手で隠しながら驚愕し、光太郎に質問攻めする4人も一斉にこちらを向いて来た。う~?何ぞこの反応は……?
「貴方が……あの海賊団のリーダーなんですか……?!」
その表情を崩す事無く尋ねて来る翔鶴、あんれぇ?俺ってそんなに有名なん~?そこんとこどうなのさ~空~……、って空は今寝てるんだったな……
その辺の事情が気になった俺は翔鶴から詳しい説明を受けるのだが、どうやらマダガスカルで長門達と協力して仕込んでいた奴がうまく機能した結果がこの反応の正体だったようだ。やったぜ!
それからお互いの事情を説明し合ったところで、翔鶴以外の全員が驚愕する情報が翔鶴の口からもたらされるのだった……
「翔鶴がヌ級に狙われてるだって……っ!?」
「おいおいおいおいおい、それマジか?」
「あのフンコロガシ野郎はよぉ……、ホント余計な事ばかりしやがってよぉ……」
「翔鶴さん、それは本当なのかい……?」
「あいつが英語で何か言ってるのは分かったけど、そんな内容だったなんて……」
「って事はあれか?あいつはこれからずっと翔鶴さンの事付け狙ってくるって事か?」
「あんな汚くて臭い奴がストーカーとか嫌過ぎるっぽい!何とかしなくちゃ翔鶴さんが大変な事になるっぽい!」
翔鶴がヌ級から目を付けられた、それを聞いた皆が驚きの表情を浮かべたまま口々に言う。こいつは非常事態だな……、もしあのヌ級が翔鶴の所在を知ったら翔鶴達の泊地に甚大な被害が出るかもしれねぇ……。俺がそんな事を考えていると……
「戦治郎……」
不意に声をかけられた、その声が聞こえた方に視線を向けてみると、視線だけをこちらに向ける空の姿があった
「空っ!?気が付いたのかっ!!?」
「ああ、心配かけてすまなかった……」
俺が思わずそう話しかけたところ、空は落ち込んだ雰囲気を出しながら謝罪してきた
「意識が戻ったんなら後は経過を診ていくだけだなぁ」
「だな、っとそう言えばこれからどうするんだ?空とは合流出来たし、ヌ級の脅威は取り敢えず去ったわけだし、今からガダルカナルに戻るならリヴァイアサンの換装するんだけど?」
空が意識が戻った事に安堵しながら悟が言う、それに反応した光太郎がふと思い出したようにそう尋ねて来た。ヌ級の事をリチャードさんに伝えないといけないから、ここはすぐ戻るべきなんだが……
「それについてなんだが……」「それについてなのですが……」
俺が考えている最中に、空と翔鶴が同時に同じ様な事を言った。ん?これは結婚案件かな?ってふざけてる場合じゃねぇな
「どうした空、何か言いたい事でもあるのか?」
同時発言のせいでお互いに発言権の譲り合いを始めた2人を制するように、俺が空に尋ねる。そうしないとこいつらずっとどうぞどうぞし続けそうじゃん?そしたら話進まないじゃん?
「ああ、翔鶴がヌ級に狙われている件についてなんだが、その問題が解決するまでの間、俺は海賊団から一時的に離れて翔鶴の護衛をやろうと思っているんだが……」
「ん、承認」
「「「知ってた」」」
「済まない、本当に助かる……」
「ちょっと待って下さい!承認するの早くないですかっ!?皆さんも止めようとか考えないのですか?!空さんは今大怪我してるんですよっ!??」
俺達のやり取りを聞いた翔鶴が、驚きながらそう言ってきた
「空ならそう言うと思ってた」
「空なら仕方ないね」
「空だからなぁ……」
「空の怪我が心配ならおめぇが傍で面倒見てればいいだろうがよぉ、そうすりゃ空も怪我してる間は大人しくしてるだろうからなぁ」
「そう言う事で、しばらくの間厄介になる。何、流石の俺も怪我をしている間は無茶はするつもりはないから安心してくれ、但し、お前の身に何かあったその時は保証出来ないがな……」
「え、えぇ……」
こうして、空は一時的に海賊団を離れ翔鶴の護衛任務に就くのだった。流石は俺の親友だ、俺が懸念していた事を分かってくれたみたいだな
もしこのまま空を連れてガダルカナルに戻っていたら、きっと翔鶴は今日と同じように任務に駆り出されて、そこをヌ級に襲撃されて食われる可能性があるからな……。そうなったらほぼ確実に空が無茶して、今度こそ死んでしまいそうだからな~……
だったら自分の看病を翔鶴にさせて、翔鶴を表にあまり出さないようにしてヌ級の目を掻い潜り、傷が完治したら任務に同行するようにしたらほぼ間違いはなくなるだろう
それに空の事だから、きっと泊地の方でヌ級対策を何か考えるかもしれないな。翔鶴の為だけでなく、己自身の為にもな……
「ねぇ、そう言うのってここで勝手に決めていいの?提督に話しておいた方がいいんじゃない?」
ここで川内がそんな事を言ってきた、まあ確かにそうだな……、よし!
「それもそうだな、って事で今から直接交渉と行きますかっ!って事でお前らの提督のとこまで案内頼めるか?」
俺が翔鶴にそう頼むと翔鶴は少々驚きながら頷き、翔鶴達が所属するショートランド泊地まで案内してもらう事になったのだった
因みに道中で聞いたのだが、翔鶴が空と発言権の譲り合いをした時提案しようとしていたのは、1度翔鶴達の泊地に行って空をゆっくりと休ませている間に、翔鶴達の提督とその件について話し合い一緒に対策を練ろうと言うものだった。な~んだ、どの道結果は一緒になる流れだったのな~