※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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鬼と大鬼神と紅吹雪

さて、ラバウル救援の為に海賊団に集合をかけたわけだが……

 

まず一番乗りだったのはシゲ、なんでも俺達が空を追って行った後にここの技術班の班長からバイクを買ったらしく、さっきまでここの敷地内にあるサーキットで試運転してたんだとか……

 

それは別に構わないと思う、ただその重巡夏姫の班長さんとやらと2ケツしてここ来るのは止めて欲しかったかな?最初見た時シゲが増殖したとか分裂したとかで大騒ぎになったでしょ?

 

因みに班長さん連れて来たのは、この後バイクを回収してもらう為なんだとさ。まあバイクで海上は走れないからシカタナイネ

 

そうそう、シゲが買ったバイクのスペックと購入価格を見せてもらったんだけど、最初見た時頭金160万円だと思って残りを俺が立て替えようようとしたら、班長さんに怒られた……。俺がこんなだからシゲの金銭感覚がおかしくなっとるんじゃろうが!ってね……、解せぬ……

 

そのやり取り見てた祖父さんが、腹抱えて俺の事指差して笑ってやがった……畜生……

 

その後来たのは通と巡洋艦組、祖父さんにノされた3人を摩耶と阿武隈が面倒見てたんだとさ。うん、まあ当然だけど、ここでも騒ぎになったのよね。祖父さん見た木曾と神通がまぁた斬りかかろうとしちゃったわけよ……、まあすぐ俺が止めに入って皆に祖父さんの事紹介したの、そしたら皆驚く驚く!

 

木曾と神通と通なんて、顔真っ青にして祖父さんに謝罪してたわ。まあ謝罪を受けた祖父さんはこりゃ好都合ってばかりに、3人に罰として祖父さんの修行に付き合うようにと言い渡してたんだわ。それ聞いた通がまたぶっ倒れてたっけか……、成仏しろよ通……、まあ俺もどうせ巻き込まれるんだろうけどさ……

 

そんな騒ぎがありながらも海賊団のメンバーが全員集まり、出撃準備が整ったところでいざ出撃って時に、祖父さんに呼び止められた

 

「あの水上バイクに乗らない艦娘は儂のクルーザーに乗るといい、そうすりゃほんのちょっちじゃが燃料節約出来るじゃろうしのう」

 

そういう訳で、巡洋艦組と駆逐組は祖父さんのクルーザーで移動する事になった

 

後から聞いたんだけど、移動中祖父さんが嬉々として俺の昔話を皆にずっと話してたんだとさ……、やめてよぉ……、恥ずかしいよぉ……

 

 

 

「そう言えば……」

 

ラバウルへ向けて移動しているその最中の事である、俺はふとある事を思い出してそう呟いていた。それは先程開かれたお茶会でリチャードさん達に尋ねようとしていた事だ

 

「どうしたんだい?何か気になる事でもあったかい?」

 

俺と並走するメタルウルフを装着したリチャードさんが、俺の呟きが聞こえたのか不思議そうにしながら尋ねてきた

 

「いえ、祖父さんがこっちに転生してるんだから、もしかしたら母さんもこっちに転生してるのかな?って思っただけなんです。もし母さんがこっちに来ていたらどうしようかな~?って……」

 

「その事か……、戦治郎、凄く言い辛いんだが……」

 

俺の話を聞いたリチャードさんがそう言って一旦言葉を区切ってから、俺の疑問の答えを教えてくれた

 

「君のお母さんである青海さんは、間違いなくこちらの世界には来ていないんだ……」

 

リチャードさんはそう言って、その理由について話し始める

 

どうやらリチャードさんは穏健派の転生個体が何時、どのようにしてこちらに来たのかをガダルカナルに拠点を作った後に調べたんだそうな。何故そのような事をしたのかについては、この異世界転生と言う現象の原因を調べる一環だったんだとさ

 

それで1つだけ分かった事があるようで……

 

「穏健派転生個体の中には2013年4月23日より前に亡くなった者が誰一人としていないんだ」

 

その日付は……、確か艦これが正式サービスを開始した日じゃなかったか……?つまり艦これが艦これとして動き出す前に亡くなった人は転生出来ない……?って事は……

 

「母さんが亡くなったのは俺が幼稚園入る前だったから……、母さんがこちらに来ている可能性はほぼ0って事か……」

 

「そう言うことになるね……」

 

リチャードさんが申し訳なさそうにそう言った、ほんのちょっち期待してたから少々ショックではあるが、本来死んだ人間とはもう2度と会えないものなんだからな、普通に考えたらこれが正解なのかもしれんね

 

俺がそんな事を考えていたら、いつの間にか目的地であるラバウル基地の近くに着いてたわけなんだが……

 

「何あの人だかり……?」

 

「恐らく強硬派が絶対平和党に襲われているんだろうね、よく見るといい、非武装の深海棲艦が武装した深海棲艦に群がっているのが分かるかい?」

 

「本当ですね……、これが奴らの判別方法なのですね……。それはそうと、何故強硬派が絶対平和党に襲われているのでしょう?」

 

「確か一緒になってラバウルに攻撃していたんでしょ?なのに何でこんな事になってるのよ……?」

 

先頭を走っていた祖父さんのクルーザーが急に停止したので、俺達もそれに合わせて停止し何事かと思い周囲を見回したところ、クルーザーのデッキから身を乗り出して周囲を警戒していた陽炎が黒い人だかりを発見したのだ

 

そして陽炎の呟きを聞いたリチャードさんがそれに答えると、今度は陽炎と同じようにクルーザーから身を乗り出した不知火が疑問を口にし、天津風も不思議そうな顔をしながら不知火の言葉に続いていた

 

「その辺の事情は誰か適当に取っ捕まえて聞き出しゃいいだろう、って事d……、ん……?」

 

俺がそう言って敵陣に乗り込もうとしたその時である、あちらから微かにだが声が聞こえて来たのである……

 

「さあ立……がれ同……っ!今こ……久……平和を……だっ!!!」

 

これは……、演説か……?何か平和とか聞こえたような……?平和……、平和か~……、そう言えば最近は戦いばっかで全然落ち着いて開発とかやってなかったな~……。って開発……?俺って何を開発してたんだっけか……

 

「戦治郎っ!!!」

 

俺がそんな事を考えていたら、急にリチャードさんに殴られた。いってぇっ!!!この人いきなり何すんだよっ!?俺は今……、……俺さっきまで何考えてた?確かあっちから平和とか聞こえた気がしてから、何か記憶が曖昧なんだが……?

 

「いいか戦治郎、これは七瀬の能力なんだ!七瀬の能力は平和と言う単語を含んだ演説で相手を洗脳、それが完了し次第今度は相手の人格を自分の人格と同質のものに作り替えて、自分の支持者と言う名の操り人形にしてしまうものなんだっ!!!」

 

リチャードさんが先程の現象について説明してくれたんだが……、あの野郎なんておっそろしい能力持ってんだよっ!?つまりあれか?あいつに従ってる連中ってのはあいつの能力で操り人形にされた深海棲艦や転生個体って事なのかっ!??

 

そしてそこまで考えたところで、嫌な予感がして海賊団のメンバーの方を見てみると、皆なんか間の抜けた顔して棒立ちしてんじゃねぇかっ!!!これ絶対直撃してるよねっ!?!このままだと皆があいつの操り人形にされちまうっ!!!こうなったら1人1人引っ叩いて正気に戻すか……っ!!?

 

俺が焦りを覚えながらそんな事を考えていると……

 

「戦治郎は戻ってきおったか、んでリチャードはその無敵のメタルウルフのおかげで無事、他の連中は皆危険な状態っと……」

 

祖父さんがそう言いながらクルーザーから飛び降りて、俺達の前に降り立った。どうやら祖父さんも無事だったか……、……何で無事なんだろ?

 

「こりゃ早急に手を打たんとこっちも全滅じゃのう、って事でっ!」

 

祖父さんのこの言葉の直後、海が急に真っ赤に染まったかと思うと、海の中から何かが大量に浮かび上がって来た……。これは……、彼岸花の花弁か……?

 

「長門 正蔵が奥義!『紅吹雪(くれないふぶき)』っ!!!な~んてのう♪」

 

祖父さんが紅吹雪と叫ぶと同時に、海面を埋め尽くす彼岸花の花弁達が一斉に宙に舞い上がり、辺りに漂い始めるじゃねぇかっ!?もしかしてこれ、祖父さんの能力か……?

 

その直後……

 

\ギャアアアァァァーーーッ!!!/

 

俺を含む長門屋海賊団のメンバーの悲鳴が辺りに響き渡った、何が起きたかって?通信機からとんでもない音量のノイズが聞こえたからだよっ!!!

 

「一体何なんっ?!通信機が壊れよったんかっ!?」

 

「くそがっ!!!鼓膜破れるかと思ったじゃねぇかっ!!!」

 

通信機を耳からむしり取りながら龍驤と摩耶が叫ぶ、さっきのノイズのおかげで我に返ったのか……?

 

「……っ!?これは……一体……っ?!」

 

「これは……、彼岸花の花びらか……?何でこんなものがこんなに大量に空中に舞ってるんだ……?」

 

神通と木曾が彼岸花の花弁に気付いて、疑問を声に出していた

 

「祖父さん、これは一体何なんだ……?もしかしてこれが祖父さんの能力なのか……?」

 

俺が祖父さんにそう尋ねたところ……

 

「お前らの言葉で言うならそうじゃのう、この『紅吹雪』は儂の能力と言う事になる。最初は只の目くらましだったんじゃが、使っている内にデコイや物理攻撃や音波攻撃も防ぐ障壁に出来るようになったんじゃよ。ついでに肉眼だけでなく電波妨害効果でレーダーも潰せるんじゃ、中々凄いじゃろ?1年半戦い続けた結果と言う奴じゃ!」

 

そう言って笑いだす祖父さん、通信機のノイズはこれが原因か……。つかそういうのあるなら先に言ってくれよ……、そしたらこっちもこんな酷い目に遭う事なかったのによぉ……

 

「さて、これで心置きなく進軍出来るようになったね。そういう訳で皆、準備はいいね?それじゃあ……」

 

「リチャードさんちょっち待ったっ!おい皆!気合い入れる為にリチャードさんに合わせるぞっ!いいなっ!?」

 

\応っ!!!/

 

「そういう事か、いいね、面白いじゃないか!では改めて……」

 

\オオォォォケイィレッツパーリィィィッ!!!/

 

俺達はそう叫び、祖父さんが発現した彼岸花の花弁で出来た真っ赤な吹雪を纏いながら、強硬派と絶対平和党が群がる人だかりの中に突撃して行くのであった……

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