※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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龍と車椅子散歩

「っとまあこっちの状況はこんなとこだなぁ」

 

「そうか……、護がそんな事をやっているのか……」

 

ショートランド泊地に往診に来た悟の口から、今現在のガダルカナルの様子を聞いたのだが、どうやら護が主体となって面白そうな事をやっているようだった

 

どうして俺がいない時に人工衛星の打ち上げなどと言う、間違いなく愉快な事が起こるようなイベントを実行するのだろうか……。もしこの身体がまともに動いてくれたなら、俺も喜んで参加していたと言うのに……、おのれヌ級……

 

「悟、それは今日もやっているのか?」

 

「いやぁ、今日はやらねぇって言ってたなぁ。確か今日は人工衛星の生産プラントを作るだのなんだの言ってやがったなぁ……、護の奴立て続けに手作りの人工衛星を爆破されたのがよっぽど堪えたみてぇでなぁ、人工衛星を量産して有事に備える設備を作るとか言ってやがったわぁ」

 

俺の身体に翠緑を使用する悟に今日の護達の予定を尋ねてみたところ、何とも珍妙な回答が返って来るのだった……。何だその人工衛星生産プラントと言うのは……?凄まじく気になるではないか……

 

「俺も詳しく聞いた訳じゃねぇからよく分かんねぇんだよなぁ……、何かマインクラフトがどうとか、工業化MODがどうとか言ってたみてぇだがよぉ、俺にはサッパリ理解出来なかったんだわなぁ……」

 

待て何だそれは?益々意味が分からんぞ……?護達は本当に何をしようとしているのだ……?何故そこでマイクラの工業化MODの話が出て来るのだ……?これは早急に護の話を聞かなければいけないな……

 

「っとこんなとこだなぁ、よかったなぁ空ぁ、これで点滴生活とおさらば出来るぜぇ。けど油断してっと食った物がすぐにブリュッと出るかもしんねぇからなぁ、そこだけ注意しとけよぉ?くっしゃっしゃっしゃっしゃっしゃっしゃっ!!!」

 

翠緑の使用を止めた悟はそう言って立ち上がり……

 

「そういう訳で今回の往診はお仕舞いだぁ、今日のところはこれで引き上げさせてもらうぜぇ。っとそういやこないだ来た時言ってた車椅子の件だがよぉ、それは今日からはOKだからなぁ。流石に寝たきりってのは退屈だからなぁ、誰かに頼んでゆっくり散歩でも楽しんどけってなぁ」

 

そう言い放って医務室を出て行ったのだった、そうか……、ようやくこの点滴生活が終わり翔鶴の食事を楽しめるようになったわけなのだな……、その言葉を聞いてから胸のあたりが燃え滾るように熱くて仕方がないな……

 

「おめでとうございます空さん、これでやっと普通の食事が出来ますね」

 

「ありがとう翔鶴、これでようやく翔鶴の手料理が楽しめるようになったぞ。とは言ってもしばらくの間口から物を摂取していなかったからな、当分はお粥ばかりになりそうだ……」

 

俺は俺を祝福してくれた翔鶴に向かってそう言ったところ、翔鶴は一瞬だけ驚いた後、恥ずかしそうに俯いてしまうのだった。最初の頃と比べると大分俺の言葉に慣れて来たようだな、前は俺がこんな事を言おうものなら顔を真っ赤にして慌てふためいていたのだがな……、っとそれはそうと

 

「さて、食事の話もいいがもう1つの朗報の事も忘れてはいけないな」

 

「あっそうですね、ちょっと待っててもらえますか?」

 

俺の言葉を聞いた彼女は、そう言って医務室の隅に置いてある折り畳まれた車椅子を展開し、それを押しながら俺のところへと戻って来るのだった

 

寝たきりと言うものは本当にストレスが溜まるものでな……、いくら視線を動かしてもその目に映るのは殆ど代り映えのない風景なので、退屈で退屈で仕方なかったのである……

 

誰かが見舞いに来て色々な話をしてくれている間は気が紛れるのだが、それが終わってしまうと退屈な上に寂しくなってきてしまって、余計苦痛を感じるようになるのである……

 

しかしそれも今日までである、今日からは誰かの補助こそ必要ではあるが車椅子での移動が可能になったのである

 

「ちょっと失礼しますね……」

 

翔鶴がそう言ってベッドに寝ている俺を抱き上げ、そっと車椅子に座らせる

 

「お待たせしました、それで……最初は何処に向かいますか……?」

 

「済まないな翔鶴、それで行先についてなんだが……、俺はこの泊地を碌に見て回っていないのでな、出来たら翔鶴に案内して欲しいんだが……」

 

行先について尋ねて来た翔鶴に対して俺がそう答えたところ、彼女は俺の願いを承諾し俺が座る車椅子を押しながら泊地の至る所を案内してくれるのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぽいぽいぽ~~~いっ!!!」

 

それがどうしてこうなった……

 

「夕立!ストップストップ!」

 

「夕立さん!お願いですから止まってくださいー!」

 

「夕立の姉貴ー!空さンはまだ本調子じゃないンだから無理させちゃ駄目だろぉー!」

 

翔鶴に泊地内の案内をしてもらっている途中で、俺達は夕立達と遭遇したのである。そこで事情を聞いた3人は俺達に同行したいと言って来たので、俺がそれを承諾ししばらく5人で行動していたのだが……

 

「翔鶴さん翔鶴さん、夕立も車椅子押してみたいっぽい!」

 

夕立が突然そんな事を言ってきたのだ、翔鶴も医務室からずっと俺が座った車椅子を押し続けていたものだからきっと疲れているかもしれないと思った事と、夕立がやってみたいと言っているのを無碍にするのもどうかと思った事が重なった為、俺は夕立の申し出を受け車椅子を夕立に押してもらう事にしたのだ・・・・・

 

そして車椅子を押す役を代わった途端、夕立が車椅子を押しながら猛ダッシュを始めてしまい今に至るのである……

 

「空さん!早いっぽい?楽しいっぽい?」

 

夕立が俺に向かって無邪気にそう尋ねて来るのだが、今の俺にとってはこの状況は正直恐怖でしかない……。身体が動かせるのならば何かあったとしても受け身を取ったりして被害を抑えられるのだが、今の俺はそれが出来ない状態だからな……。もし何かがあって怪我でもしようものなら、また寝たきりに逆戻りになりかねん……

 

しかし夕立に対して強く言えそうにもないな……、恐らく夕立は今まで寝たきりだった俺を楽しませようと思ってこんな事をやっているのだろうと思ったからである

 

だからと言って今のままでいいと言う訳ではない……、さてどうしたものか……。取り敢えず夕立を説得してせめて減速してもらうか……?俺が現状を打破する為にそんな事を考えていたところ……

 

「夕立!止まれ!」

 

誰かが夕立に向かって、言葉こそ短いものの力強くハッキリとした声でそう叫ぶ

 

「ぽいっ!?」

 

その声を聞いた夕立は、驚いた拍子にそんな声を上げて突然急停止してしまったのである……

 

そう、急停止である……

 

その結果、シートベルトなど付いているはずもない車椅子に座っていた俺は、夕立が急停止したのに伴って前方に勢いよく投げ出され、顔面を地面に強打した上にしばらくの間地面を滑走してからようやく停止するのであった……

 

「「「そ、空さーーーん(ン)!??」」」

 

そんな俺を見た翔鶴、時雨、江風が一斉に叫び声を上げ、慌てて俺のところへと駆け寄って来る。幸い俺の身体には大きな怪我は無かったのだが……

 

「空さんはまだ本調子になっていないと言うのにこんな事をして!空さんに何かあったらどうするつもりだったんだっ!?」

 

「ご、ごめんなさいっぽいー!」

 

夕立の方は、夕立を急停止させた声の持ち主である日向にこってり油を絞られていた……。どうやら日向は翔鶴達の声が気になって表に出て来たところ、俺が座った車椅子を押しながら爆走する夕立を見つけ、すぐさま停止するように呼び掛けたそうだ

 

その後、俺は夕立のフォローをしながら怒れる日向を何とか静めるのであった……




護の人工衛星のデザインについて

姿はパロディウスに出て来るペンギンのそれだが、ポーズと表情が人の事を明らかに馬鹿にしているとしか思えないものになっている

具体的には尻を後ろに突き出しながら荒ぶる鷹のポーズを決め、目はへの字の三白眼に両端を吊り上げながら口を開き、人様を馬鹿にした様に舌を出している

手には団扇の要領でソーラーパネルを持ち、腰にもバレリーナのチュチュのスカートのような感じでソーラーパネルが取り付けられている

何故このようなデザインになったのかについてだが、スペースデブリの中にこんなのが混ざってたら面白そうだからとの事だった
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