※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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龍と緊急事態と寝床

俺はテキサスを完成させたところで、次は何を作るかと思考を巡らせていると突如日向が慌てた様子で工廠へと駆け込んで来た

 

俺は突然の出来事に少々驚きながらも肩で息をする日向に何があったかを尋ねる、すると日向は提督が俺を呼んでいるから一緒に来て欲しいと言って来るのであった。提督が俺を……?まさか資源の消費量が泊地の運営に影響を及ぼすようなレベルだったものだから、問題が発生してしまったとか言うのだろうか……?

 

俺はそんな事を考えながらも、日向と共に提督がいる執務室へと向かったのであった

 

「済まないな空さん、こっちの方で緊急事態が発生したものでね……」

 

「俺の新装備開発の際使用した資源関係か?それだったら事が終わったら返すと約束していたはずだが……?」

 

「ちっげぇしっ!そっちじゃねぇし!いやまあそっちもある意味問題っちゃ問題だけどさぁっ!!!」

 

俺と提督がそんなやり取りを交わす、どうやら装備開発で消費した資源の話ではないようだな……

 

「提督は工廠から送られてきた明細を見て顔面蒼白になっていたな、確か燃料、弾薬、鋼材、ボーキサイトがそれぞれ10万ずつだったか……、泊地の全資源の2割を空の新装備に持って行かれたわけだが、今はその事は重要ではないな。むしろ今回の問題を解決する為の投資と考えれば安いものだと私は思っている」

 

ふむ、日向の口振りからすると、どうやら碌でもない事が発生したようだな……

 

「空さん、こいつを見てくれ……、どう思う……?」

 

提督はそう言ってある文章が書かれた1枚の紙を俺の方へと差し向けて来る、俺はその紙を手に取ってその内容を黙読するのだが……

 

「凄く……不味いです……」

 

「ちょい待て、何でくそみそ風に言った?」

 

「振ったのはそっちだろう?」

 

「いや俺そんなつもりなかったし!俺のせいにすんなよ!」

 

俺と提督がまたも下らないやり取りを交わし、その光景を見ていた日向がやれやれとばかりに頭を振る。この様子を見たら誰もがその問題は大した事ではなさそうだと思うだろうがそんな事は一切ない、今すぐにでも戦治郎達にこの事を伝え、協力して問題の解決を図らなければ非常に不味い事になるのが明白なレベルの問題なのである

 

先程の紙には、今日から南方海域での活動を遠征任務に限り解禁する事を通達すると書かれていたのである。これは一体どう言う事だ?まだこちらの問題は解決していないのだぞ?大本営は一体何を考えているんだ?

 

「理由を知りたそうだな……」

 

提督が俺に向かってそんな事を言ってきた、どうやら顔に出ていたようだな……

 

俺がそう思っているところで提督が詳細の説明を開始したので、俺は提督の言葉によく耳を傾ける。後で戦治郎達にも伝えなければいけないからな、聞き漏らさないように注意せねば……

 

それで、今日から南方海域での遠征任務が解禁された経緯についてだが、南方海域での任務を全面的に禁止した事で資源が枯渇する鎮守府や泊地、基地が大量に出てしまったのだとか……

 

他にも血の気が多い提督が暴走し艦娘に対して暴力を振るい傷害事件を起こしたとか、東急依存症患者が耐え切れなくなって自殺未遂事件を起こしたりであちらの方でも大事になっているそうだ……

 

その結果、多くの提督が南方海域解禁の為に嘆願書や抗議文を提出したり、ストライキを起こすようになったようで、それを重く見た大本営が遠征の身解禁する事にしたのだとか……

 

「資源の枯渇……、そいつらは一体どのような運営をしていたのだろうか……?」

 

「大方大型建造を狂ったように回してたとか、無茶な開発や改修を続けてたとか、そんなところだろうよ……、全く……、ウチみたいにもうちょい計画的に運営出来ないもんかと言ってやりたいところだわ……」

 

俺の言葉を聞いた提督が、頭を振りながらそう答える。先程日向が言っていたが、テキサスの開発で各資源が10万ずつ消費したにも関わらず、この泊地の全資源の2割程度の消費で済んだと言っていたか……。どうやらこの男は先程のセリフを口に出せるほどの運営手腕を実際に持っているようだな……

 

「っとまあこんな感じで、ヌ級の問題が解決するどころか絶対平和党に関する問題が増えてしまったこの状況で、遠征任務に限り南方海域が解禁されちまったからどうするかってのを話し合おうと思って、ここに空さんを呼んだって訳だ」

 

俺がそんな事を考えている間に、提督が話を本来の流れに戻す為にそんな事を言ってくるのだった

 

「なるほどな……、しかしこればかりは俺達だけではどうにもならん問題だ……」

 

「だよな~……こういう時戦治郎さんとも話が出来ればもうちょい何とか出来そうなんだが……」

 

俺の言葉を聞いた提督が、そんな事を言いながら椅子の背もたれに力なくその身体を預ける

 

「なら今から話すか?」

 

「今から戦治郎さん達がいるガダルカナルに向かうのか?流石にそれは時間かかり過ぎると思うわ」

 

俺が提督にそう尋ねると、提督は手をヒラヒラさせながらそんな事を言ってきたのである。そう言えば提督にこの通信機の有効範囲が広がった事を伝えていなかったな……

 

「ちょっと待っていろ、今から繋ぐ」

 

「……はぁ?」

 

俺はそう言いながら通信機を操作し、その言葉を聞いた提督がキョトンとした顔をしながら俺の方へと顔を向ける

 

そんな提督の事など気にする事無く、俺は通信機の周波数を戦治郎のものに合わせて通信を開始、数回のコールの後に通信が繋がり……

 

「戦治郎、聞こえるか?」

 

『空か、南方海域の件だろ?』

 

俺が戦治郎に呼びかけたところで、戦治郎が返事をしながら俺が話そうとしていた内容をズバリ言い当てて来た。こいつ……、いつの間に俺の心を読めるようになったのだ……?

 

俺がそんな事を考えながら戦慄していると……

 

『空か、マダガスカル以来だな。戦治郎の手紙で例のヌ級にやられたと書いてあったが、その様子だと復活したみたいだな』

 

通信機から長門の声が聞こえて来た、どうやら俺が通信を繋げる前に2人で話をしていたようだな。戦治郎はこの件を長門から聞いたから知っていた訳か……

 

「ああ、今朝方悟から許しが出たばかりだがな」

 

『そうか……、その、今回の件は本当に済まない、私達の力が及ばなかったせいでこんな事になってしまって……』

 

長門が申し訳なさそうに言ってくる、内容が内容なだけにこればかりは仕方ない事なのではないだろうか……

 

「気にするな、むしろ俺が復活するまでよくぞもたせてくれたと感謝しているくらいだ」

 

俺は長門にそう言って何とか彼女を立ち直らせてから、提督が戦治郎と話がしたいと言っていた事を伝えて、提督に通信機を手渡し操作方法を簡単に教えるのだった

 

提督は恐る恐るといった様子で通信機を耳に装着し、会話を始めた直後に1度ビクリと身体を震わせるも、すぐに立ち直って戦治郎達と今回の件についての話し合いを始める。その間俺が暇になってしまったのだが、丁度いいとばかりに日向が俺に話しかけてきたのである

 

「そう言えば空さんがここに滞在している間に使う部屋の事なんだが……」

 

そう言って日向が俺の寝床について話し始めたのだが、それを聞いた俺はつい呆然としてしまうのだった……

 

何でもこの泊地にはもう空き部屋の類がなく、俺の寝床を確保出来なかったと言うではないか……

 

そこで今から妖精さん達を連れて、泊地内で俺が気に入ったところに居住スペースを作って欲しいと言ってきたのである……

 

流石にこの対応は無いのではないかと思うのだが、俺も唐突に転がり込んで来た身である為そう強く言う事が出来なかった……

 

そういう訳で、俺は自分の寝床にふさわしい場所を探す為に泊地内を自らの足で歩き回り、最終的にテキサスを作った工廠の隅に居住スペースを作る事にしたのであった。工廠長にこの話をした時、何言ってんだこいつ?と言いたげな表情をされたのがとても印象的だったな……

 

こうして俺はショートランド泊地に滞在している間、工廠暮らしの石川 空となるのであった

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