※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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深淵の鉄板焼き屋

南方海域での遠征任務解禁から数日が経過した今、南方海域には多くの遠征部隊が資源を求めてあちこちを航行していた

 

今のところ轟沈騒ぎが発生していないあたり、戦治郎さん達が行った会議で決めた事はしっかりと機能してくれているみたいだ

 

ヌ級やゼッペーの件もあって、現在長門屋海賊団と穏健派深海棲艦の皆は厳戒態勢で遠征部隊の艦娘達を陰から護衛しているのである

 

まず決定事項にあった目印については、護衛艦隊の皆はその艦隊の旗艦が決めた花が描かれた腕章を装備する事になったのである

 

因みにこの目印、僕達の方も装備するようになっており、巡回チームの光太郎さんはセツブンソウ、輝さんは戦治郎さんが決めた美女撫子の腕章を装備してる。僕も一応ピンクのゼラニウムの腕章を付けていたりするんだけどね

 

こんな感じで僕達は会議で決まった事を守りながら護衛任務をやっている訳なんだけど……

 

肝心の遠征部隊の艦娘さん達の方はと言うと、無闇に戦闘するなと言われているにも関わらず、深海棲艦を見かけたら戦闘を開始する娘達が散見されている……

 

穏健派の護衛艦隊からの連絡、巡回している光太郎さんや輝さんからの定期連絡からも戦闘する艦娘達の事が報告され、作戦開始前に護から渡されたタブレットにも人工衛星から撮影された穏健派深海棲艦に戦闘を挑む艦娘達の姿が映し出されたりしていた……

 

この事を長門さんに報告したところ、どうやら一部の鎮守府や泊地の提督さんが戦闘禁止の部分をわざと伝えずに遠征部隊を送り出している事が発覚、長門さんも今その対応に追われているんだとか……。その原因を調べてみたところ、その多くは戦果目当てでそんな事をやっているんだとか……。戦果ってそんなに大事なものなのかな?って話を聞いた時ふと思っちゃった

 

さて、皆がこんな風に頑張ってる中僕は何をしているかと言うと……

 

「翔さん!おかわりいいですかっ!?」

 

大本営所属の吹雪ちゃんがそう言いながら、500円玉を僕に差し出して来る

 

「おかわりだね?ちょっと待ってて、すぐ作るから」

 

僕は吹雪ちゃんから500円玉を受け取ってから、すぐに焼きそば1人前を作り始めるのだった

 

「ホンマ吹雪達は完全に翔さんの料理の虜になってもうたな~、最初翔さんの姿見た時は一目散に逃げ帰っとったのにな~」

 

僕の隣でたこ焼きを作っている龍驤さんが、ニヤニヤしながら吹雪ちゃんに向かってそう言っていた

 

「し、仕方ないじゃないですかっ!あの時は翔さんが噂の海賊団のメンバーだなんて知らなかったんですからっ!!!」

 

龍驤さんの言葉を聞いた吹雪ちゃんが、慌てながら大声で弁明する

 

「海賊団の事は長門さんや綾波達から聞いてたから知ってたけどさ、そんなスゲェ人達がこんなとこで屋台やってるなんて誰も思わないだろうからな~……。こればかりは深雪様も吹雪に同意だな」

 

吹雪ちゃんの弁明を聞いた深雪ちゃんが、箸巻き(お好み焼きを箸に巻いた食べ物)を頬張りながらそう言った

 

「龍驤さん、たこ焼きおかわり……」

 

そんな中、初雪ちゃんが龍驤さんに500円玉を渡しながらたこ焼きのおかわりを注文していた

 

「おおきに!ちょっち待っててな~……っと!お待ちどうさん!出来立てやから注意して食べるんやで?」

 

初雪ちゃんから500円玉を受け取った龍驤さんが、そう言いながら手際よく先程作っていたたこ焼きを容器に入れ、初雪ちゃんに手渡したところで初雪ちゃんは大丈夫と呟きサムズアップする

 

そう、僕と龍驤さんは今、ババス島で遠征部隊の艦娘さん達を相手に粉物を中心とした鉄板焼き屋の屋台をやっているのである

 

これはラバウル基地消滅事件の次の日に行われた会議で僕が提案した事で、これは南方海域の問題が解決する前に南方海域での活動が再開された時、艦娘さん達に安全エリアと美味しい食べ物を提供してあげたいと言う想いから思いついたものだったりする

 

有償にしている理由については、材料や資源を提供してくれている穏健派の皆さんにお礼として売り上げを渡すつもりでいるからだったりする

 

因みにどのメニューも500円で提供しているんだよね、まあ価格設定の内訳は食べ物の値段が200円、残りの300円は場所代って感じ

 

食人鬼ヌ級やゼッペーが闊歩するこの海域では、安全を確保して安心して食事が出来る場所と言うのは貴重だと思うからね。僕も龍驤さんも、屋台を経営しながら直掩機や哨戒機を飛ばしていたりするから、その分の費用も場所代の中に含まれていたりするんだよね

 

場所をババス島にしたのは、消滅してしまったラバウルの代わりに休憩ポイントになりそうな場所を探していた時に偶然見つけたからである

 

んで、もし中破以上の損傷を負った艦娘がここに辿り着いた場合だけど、その時はお隣であるアンベル島の方で修理屋してるシゲと伊吹のところに運ぶようになっている。これは僕の提案を聞いたシゲが便乗した形でやっているものなんだけど、これが地味に助かる事助かる事……

 

で、僕達が吹雪ちゃん達と出会った経緯なんだけど、吹雪ちゃん達は長門さんの頼みで遠征任務をしていると装って、南方海域で活動している艦娘達の偵察を行っていたんだとか……

 

その途中で僕達の屋台を発見して、警戒しながら近寄ったところでテーブルや椅子の準備をしている僕を発見、そして僕の事を強硬派の深海棲艦だと思った吹雪ちゃん達は龍驤さんが言ってたように一目散に逃げ帰り、その次の日に主力艦隊所属の綾波ちゃんを連れて再び僕達のところに来たんだよね……

 

「あ、あの……」

 

「シゲさん達はまだいらしてないのですか?」

 

僕がそんな事を考えながら吹雪ちゃんに焼きそばを手渡している時、磯波ちゃんと白雪ちゃんがシゲ達について尋ねて来た。この2人、綾波ちゃんを連れて再びここに来る道中で強硬派に襲われて大破しちゃったんだよね……

 

そんな2人を救援したのが、僕の屋台で昼食をとろうと移動していたシゲと伊吹なのである、シゲはようやく習得したバーン様のカイザーフェニックスを強硬派に対して情け容赦なく叩き込み、伊吹の方はと言うと自作したものだと思われるバスタードソード並の大きさの銃剣を取り付けた、3インチマグナムシェルを使用する重機関銃を片手で軽々と振り回し、その大きな銃剣を相手に突き立てた状態でトリガーを引き、大量の銃弾を至近距離からブチ込むと同時に、その振動で震える銃剣で相手の傷口を抉ると言う戦い方を披露したのである

 

そんな事があったせいなのか、彼女達がシゲ達を見る眼差しがちょっと熱っぽいんだよね~……。まあ取り敢えずそれは憧れ的なものって事にしておいて、摩耶さんにはこの事は黙っておこうと思う……。僕は、だけどね……

 

尚、伊吹の武器を見たシゲは

 

「伊吹、そりゃモンハンのガンランスか何かか?」

 

なんて事を言っていた。確かにそれっぽいけど、伊吹はそれを否定していた

 

唐突に戦闘に乱入して来た挙句、敵をあっさりと殲滅してしまったシゲ達を見た吹雪ちゃん達は、僕を見た時以上に混乱したみたいなんだけど、綾波ちゃんのフォローのおかげで何とか立ち直ったみたい

 

その後、綾波ちゃんから事情を聞いた2人は白雪ちゃん達を自分達の修理屋に連れて行き、2人の艤装をしっかり修理した後僕のところに皆を連れて来たのである

 

それからお互い自己紹介をして、驚かせてしまったお詫びとして僕が料理を振舞ったところ、吹雪ちゃん達は僕の料理を大変気に入ってくれたようで、それからというもの吹雪ちゃん達は南方海域の偵察任務を自ら志願して、その途中でこうやって僕達の屋台に立ち寄って食事をするようになったんだ

 

「時間的にそろそろ来るんじゃないかな?……って言ってたら」

 

僕は当時の事を思い出しながら海の方を見ると、凄い速度でこちらに向かってくる2つの人影を見つけ、それがシゲ達であると確認したところでソワソワする2人に向かってそう言って、人影の方を指差すのであった

 

さぁて、これから忙しくなるぞ!あの2人はホントよく食べるからね、気合い入れて作らないと!僕はそんな事を考えながら2人の昼食の準備にとりかかるのであった

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