五十鈴率いる佐世保オパンチュパラダイス鎮守府の遠征部隊は、最初の水上機基地建設予定地であるグアムを訪れ、予定通り水上機地を設置した後次の目的地であるフェニ諸島のアンベル島に向かうのだが、その道中で絶体絶命の危機に陥るのであった
「あいつらまだ追って来てるのっ!?」
「こっちを見るなり危険分子がどうとか言いながら、凄い形相でこっちに向かって来てるけど、ホントあいつら一体何なのよっ?!」
五十鈴と千代田が全力でダッシュしながら後ろを振り向き、自分達を未だに追跡してくる者達の姿を確認したところで思わずそう叫んでしまうのであった
「いや~!来ないで~!」
「ホントいつまで追ってくるのさっ!?いくら何でもしつこ過ぎでしょっ?!僕達さっきまでグアムにいたはずなのに、もうトラック泊地がある島通り過ぎちゃったよっ?!?」
文月と皐月が叫ぶ、彼女達はグアムを出てほんの少し南東に向かったところで、この追跡者達と遭遇し現在進行形で追いかけっこを展開しているのだ
「皆絶対捕まるな!恐らくあいつらが長門さんが言っていたゼッペー、絶対平和党だっ!!!捕まれば艤装を剥ぎ取られて沈められてしまうぞっ!!!」
長月が事前に聞いていた情報から推測した追跡者の正体を、目一杯の声で叫び皆に注意喚起する
「あいつらがラバウルを消滅させた奴らだって言うのっ?!」
「非武装だと聞いていたから、もしかしたら私達でも対処出来るかもとか考えてたけど、あんなに数がいたらどうしようもないわねっ!!!」
長月の叫びを聞いた五十鈴が驚きながら聞き返し、千歳が自分の考えが甘かった事を猛省する。現在彼女達を追い掛けているゼッペーの数はおよそ60隻、もしここで追いつかれ組み付かれてしまえば、長月が言ったように彼女達は艤装を剥ぎ取られ海の底へと沈められてしまうだろう……
今のところ追いつかれる様子はなさそうだが、それも時間の問題かもしれない。彼女達の艤装の燃料が無くなってしまえば航行速度が低下し、今の速度を維持出来なくなってしまうからである
このように追いかけっこをしている間にも、彼女達の燃料はジワリジワリとその量を減らしていき、それが彼女達に焦燥感を与えるのであった
「この状況……、一体どうしたら……!」
この艦隊の旗艦を務める五十鈴が苛立ちながらも、この状況を打破する方法を考えていると……
「……えっ!?」
「どうしたの千歳姉っ!?何か見つけたのっ?!」
偵察機を飛ばしていた千歳が突如驚きの声を上げ、その声を聞いた千代田が思わず千歳にそう尋ねる
「えっと……、12時方向から水上バイクに乗った南方棲戦姫がとんでもない速度でこちらに向かって来てますっ!!!このままじゃ挟み撃ちにされちゃいますっ!!!」
この報告を聞いた彼女達は、真っ二つに分かれ正反対の反応を見せるのであった
五十鈴、千代田、そしてその報告をした千歳は絶望感でその顔を歪め、長月と皐月は希望でも見出したのかニヤリと笑い、文月に至っては待ってましたと言わんばかりにその目をキラキラと輝かせ始めるのだった
「こうなったら……、皆、9時方向に「希望の光が見えて来た!皆このまま真っ直ぐ進むぞっ!!!」ちょっと長月!一体何を……っ!?」
五十鈴が皆に針路変更の指示を出そうとしたところで、長月が突然そう叫び航行速度を上げて真っ直ぐ進み出し、皐月と文月がそれに従うように長月の後を追い始める。五十鈴がそんな長月達を叱りつけ止めようとしたところで、前方から猛スピードでこちらに突っ込んで来る南方棲戦姫の姿を目視してしまったのである
「貴方達っ!危ないから下がりなさいっ!!!……って、えぇっ!?」
このままでは長月達が危ない!そう思った五十鈴が今1度彼女達を制止する為に声を張り上げるのだが、その直後五十鈴は信じられない光景を目にするのであった
なんとこの南方棲戦姫、長月達とぶつからないように左手で道を開けるように指示しているではないかっ!しかも長月達はそれに素直に従い道を開け、南方棲戦姫が通り過ぎた後その背中に声援を送っている!一体これはどういう事なのだ?!
その直後、今度は五十鈴達が南方棲戦姫とすれ違うのだが、南方棲戦姫は五十鈴達に向けてすれ違い様にサムズアップをし、そのままゼッペーの群れに突っ込んで行ってしまったのである
こうして南方棲戦姫は、やや大きめの水上バイクで多くのゼッペーを撥ね飛ばして回り、しばらくしたらこちらに戻って来たのである
「皆大丈夫かい?」
南方棲戦姫が水上バイクから降りながら五十鈴達に声をかける、そして先程先走っていた長月達がこちらに戻って来て……
「久しぶりです光太郎さん、救援感謝します」
長月が改まった態度で南方棲戦姫に礼を言い
「その水上バイクどうしたの?何か凄く強そうだねっ!」
皐月が南方棲戦姫が乗っていた水上バイクの事を尋ね
「光太郎さんだ~!会いたかったよ~!」
文月がそう言って南方棲戦姫に飛びついた
「皆久しぶりだね!っと積もる話もあるだろうけど、今はあいつらを何とかしないと。じゃないとゆっくり話も出来ないだろうからね」
飛びついた文月を抱き止めた後、そう言いながら文月を降ろしゼッペーの方へと向き直る光太郎と呼ばれた南方棲戦姫、この口振りからするとどうやらこの3人とは面識があるようなのだが……、一体何者なのだろうか……?
「お前は……、まさか党首様が言っていた野蛮人共の仲間かっ!?」
「だったら……、どうするっ!?」
ゼッペーの中の1隻が光太郎の姿を見てそう叫び、それに対して光太郎はそう言いながらブレスレットを操作してポーズを決め……
「閃転っ!!!」
光太郎がそう叫ぶと、突然光太郎が光り輝きその姿をまるで特撮ヒーローのようなものへと変える……!これは一体何が起こったのだ?その光景を見た五十鈴、千歳、千代田は驚きのあまり呆然とし、長月達は
「早速かっ!」「光太郎さん、やっちゃえー!」「ほわ~……♪」
声援を送ったり、その光景に見惚れていたりしていたのだった
「平和を騙り更なる混沌を呼び起こす絶対平和党よ!お前達の野望はこの俺が……、シャイニングセイヴァーが打ち砕くっ!!!覚悟しろっ!!!」
ゼッペーの群れを指差しながら光太郎がそう叫び、それを合図に光太郎とゼッペーの戦いが始まるのであった
ゼッペーは光太郎の装備を剥ぎ取ろうと果敢に突撃を仕掛けるも……
「トルネードメイカーッ!!!」
光太郎の叫びと共に、背中の艤装のような物から姿を現した扇風機のような物によって生み出された風に吹き飛ばされたり、足止めされたりしている
「この装備がこれだけで終わると思うなよっ!!!」
光太郎がその様子を見るなりそう叫び、扇風機に何かしたのか突然扇風機が輝いたかと思うと、扇風機から何といくつもの真空波が広範囲に飛び出しゼッペーを次々と切り裂いていくではないか!
だがゼッペーの連中は、その様子を見ても一切怯む事無く光太郎に突撃を仕掛ける。まあゼッペーの連中は艤装を持っていない為、これしか戦闘方法が無いようなので仕方ないと言えば仕方ないのだが……
そして何とか頑張って光太郎の近くまで辿り着いた支持者が出て来るのだが……
「双腕重機アームッ!!!」
光太郎の声に合わせて飛び出して来た、2本のショベルカーのアームのような物に有無を言わさず叩き潰されてしまう
「この娘達には指一本触れさせてやるものかあああぁぁぁーーーっ!!!」
光太郎はそう叫びながら、腕や腰、脇の下から伸びる砲からレーザーを発射しゼッペーに更に追撃を仕掛ける。その光景を見ていた五十鈴達は、あまりに一方的な戦い過ぎて、ゼッペーに同情してしまうのであった……
「あの人、ホント何者なのよ……?」
「光太郎さんの事~?あのねあのね、光太郎さんは文月達の事を助けてくれたヒーローさんなんだよ~!」
「文月、それだけじゃよく分からんと思うぞ……?五十鈴さん、あの人は私達が以前いたアムステルダム泊地を強襲し、私達を救助してくれた長門屋海賊団のメンバーの1人なんだ」
ゼッペーを容易く蹴散らしていく光太郎の姿を見た五十鈴が思わずそう呟き、それを聞いた文月が興奮気味に光太郎の事を五十鈴に教え、長月が文月が五十鈴に教えた内容に補足を入れて改めて光太郎の事を説明する。そして……
「よっし終わり!ゼッペーは皆片付けたからもう大丈夫だよ、皆本当によく頑張ったね!」
戦闘を終えた光太郎が変身を解きながら戻って来るのであった
「いえ、私達はただここまで逃げて来ただけですから……。援護の1つでもすればいいのに、驚きのあまり呆然としちゃって……。力になれず本当にすみませんでした……」
光太郎の言葉を聞いた五十鈴が、先程の戦闘で何もせずただ見ていただけだった事について謝罪する
「気にしないで、俺からしたら皆が無事であった事が一番の助けになったからね。それよりここまで走りっぱなしで疲れたでしょ?仲間がラバウル基地の代わりになりそうな休憩ポイントを設置してるからさ、案内するからそこで休憩しながら改めて自己紹介しよう、いいよね?」
光太郎は五十鈴に対してそう言って慰めた後、休憩ポイントへ移動しようと提案、光太郎が言うようにここまで追いかけ回されてヘトヘトになっている五十鈴達は、その提案に乗り光太郎の案内で翔の屋台があるババス島へと向かうのであった