※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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百鬼夜行対食人鬼 上

『後悔させる?この俺に?はんっ!出来るってんならやって見せやがれっ!!!』

 

戦治郎の言葉を聞いたヌ級がそう叫んだ直後、戦治郎達がすぐに行動を起こした

 

戦治郎達は腰に取り付けたポーチから、懐からと様々な場所からある物を取り出して顔に装着した

 

「うう~……、前もって話聞いてコレ持って来たけど……、コレって僕達向けじゃないね~……」

 

「俺の方はまあちったぁマシにはなったが……、って大丈夫か大五郎?」

 

「ご主人~……、これが終わって帰ったらオラのコレをもうちょっと強化して欲しいだぁよぉ~……」

 

「ああ~……、人間用のじゃやっぱきついよな……、戻ったら強化しとくわ……」

 

装着したソレについてペット衆が文句を言い、それを聞いた戦治郎がペット衆に向かって申し訳なさそうに謝罪する……

 

そう、先程戦治郎達が装着したのはガスマスクである

 

前回ヌ級と戦った際、ヌ級の口臭が常識を逸脱していると思う程臭かった事を覚えていた戦治郎が、その対策としてシャイニングセイヴァーのヘッドパーツにガスマスク機能が付いている光太郎以外の巡回任務に参加する者にガスマスクを持たせるようにしたのである

 

何故そこまでヌ級の口臭を警戒するのか、それは前回の戦闘の時その臭すぎるヌ級の口臭が様々な厄介事を引き起こしたからだ

 

ヌ級との間合いを詰めようとした時、身体が無意識のうちに臭いに近付くのを拒んで足が止まってしまう事があった

 

その臭いが目を刺激して、常時涙目になってしまいヌ級をしっかりと見据える事が出来なくなってしまう事があった

 

臭いのせいで全身の力が抜けてしまい、思うように身体が動かせなくなったリ狙い通りの威力の攻撃を放てなかったり、戦治郎の大妖丸や輝の大型ハンマーが手からすっぽ抜けてしまう事があった。因みに輝のハンマーがすっぽ抜けた時、そのハンマーが戦治郎の頬を掠めていたりするのである

 

そういう訳で今回はガスマスク持参で戦闘する事になったのだが、ここでもちょっとした問題が発生してしまった、それはこのガスマスクが人間用だった事である

 

元が虎だった弥七は兎も角、人間より嗅覚が遥かに優れている元犬の太郎丸や、犬よりも優れた嗅覚を持った元熊の大五郎の場合、人間用のガスマスクでは完全に臭いを防ぎきる事が出来ないのだ。これが最初のあたりに出たペット衆の文句に繋がる訳である

 

『そんなもん付けやがって……、俺の事馬鹿にしてんのかよぉっ!!!』

 

戦治郎達のやり取りを見ていたヌ級が苛立ちながら叫び、その臭過ぎる口を大きく開いて一斉に艦載機を発艦させる

 

『うるさい喋るなっ!それが無理ならせめて歯くらい磨けっ!!!』

 

「これでようやくまともに戦えるな……っとっ!!!」

 

「不用意に近づくと臭いで墜落しちまいそうだな……、ホントいやらしい奴だなこいつはよ……っ!!!」

 

その様子を見た太郎丸と弥七が艦載機を発艦させ、2人が放った艦載機と並ぶように鷲四郎と六助が飛翔しヌ級の艦載機を迎え撃つ

 

戦治郎達の頭上で繰り広げられる激しい空中戦は、質でも量でも勝っているこちらが優位に立つ事が出来たのだが……

 

『ヒャァッ!』

 

「っ!あっぶねぇなおい!」

 

「ゴオオオォォォッ!!!」

 

『遅ぇんだよぉ!このデカブツがぁっ!!!』

 

海上の戦いに関しては、少々苦戦を強いられる事になるのであった……

 

ヌ級は全身の筋肉をフル活用して海上を駆け回り、戦治郎に集中攻撃を仕掛けて来たのである。それも攻撃が戦治郎に当たろうが当たるまいが関係なしに、自身が攻撃した直後にすぐ間合いを取って相手に反撃させないようにする一撃離脱戦法を駆使しているのである

 

そのせいで戦治郎は上手い具合に攻め込む事も出来なければ、後の先を取る事も出来ずただただ回避に専念する羽目になってしまい、ヌ級に全く相手にされていない大五郎の方は何とか攻撃を当てようとその両腕を必死になって振り回すのだが、ヌ級の機動力に追いつけずその攻撃を悉く空振りさせてしまうのであった

 

「う~……、攻撃が全然当たらないだぁよ~……」

 

「バ火力持ちのクセにこの機動力かよ……、それに空の全力攻撃に耐える頑強さもあると来た……。ったくどんだけチート染みてんだよこいつ……」

 

『HAHAHA!!!どうしたんだ?俺に後悔させるんじゃなかったのか?ああそっか、今自分達が後悔してんだな?こいつと戦うんじゃなかったってなっ!HAHAHAHAHA!!!』

 

ヌ級に対して手も足も出ない大五郎と戦治郎がそんな事を言っていると、ヌ級がそんな2人に挑発を仕掛けて来る。そして……

 

『いい加減お前らで遊ぶのも飽きたし、そろそろ終わらせてあそこのガキ共食って帰るか~』

 

ヌ級がそう言い放った直後、その姿を消してしまったのである。戦治郎達は慌てて周囲を見回すのだがヌ級の姿を発見出来ず……

 

『遅ぇっつってんだろ?ぶぁ~か』

 

その声が聞こえた時には既にヌ級は戦治郎の懐に潜り込み、得意の貫手を戦治郎の腹部に突き立てようとしていたのである

 

「やっばっ!!!」

 

「ご主人っ!!!」

 

2人が一斉に声を上げたその時だった

 

「しゃぁらあああぁぁぁっ!!!」

 

いつの間にかこちらに来ていた弥七が、オベロニウム製の鋭い爪が付いたガントレットを両腕に装着してヌ級に襲い掛かったのである

 

弥七の存在に気付いたヌ級は戦治郎への攻撃を中止し、代わりに弥七の方に貫手を放つのだが、弥七はその突き出されたヌ級の腕に飛び乗るや否やその腕の上からヌ級の顔をその鋭利な爪で斬り付ける

 

『ぐがぁっ!!!』

 

その攻撃を受けたヌ級は思わず後方に飛び退き、ヌ級の腕の上に立っていた弥七はヌ級が飛び退く間際に腕から飛び降りて、戦治郎達の目の前に降り立つのであった

 

「この籠手、中々いい感じじゃんか!こいつをくれたご主人にはマジ感謝だなっ!」

 

「ご主人様!大丈夫?何処も怪我してない?」

 

ガントレットを装着した手をワキワキさせながら弥七がそんな事を言い、ヌ級の艦載機を殲滅し終えた後、先程の光景を目の当たりにして慌てて戦治郎の下に駆け寄って来た太郎丸が戦治郎を心配そうに見つめながらそう尋ねる

 

「俺は大丈夫だ、そんで弥七、さっきはありがとうな」

 

戦治郎は太郎丸と弥七に微笑みかけながらそう答えると、すぐに視線をヌ級の方へと向け直す。先程弥七の攻撃をモロに顔に受けたヌ級は、未だに自身の顔を……、左目の方を両手で押さえてその痛みに耐えているようであった……

 

やはりオベロニウム製の武器はよく効くようだ……、戦治郎がそう思っていたその時だった、戦治郎はとある事を思いつきペット衆と妖精さんを集めてその考えを皆に伝える

 

「そいつぁいい!俺は乗るぜっ!」

 

「それならオラも頑張れそうだぁよ~」

 

「皆、ご主人様が考えた作戦を絶対成功させるよっ!」

 

戦治郎の話を聞いたペット衆と妖精さんが沸き上がり、気合いを入れ直したところで……

 

『てっめぇら……、よくもやってくれやがったなぁ……っ!そこのチビのその爪も、お前のハラキリソードと同じ物だったんだな……っ!?』

 

ヌ級が忌々し気にそう言ってくるのだった

 

ヌ級が今しがた言った弥七の爪だが、これは弥七のリクエストで外装を虎の毛皮風にし、指先の爪の方も表面を白いティルタニア樹脂……、アムステルダム泊地の提督だったものを触れるようにしたあの樹脂でコーティングして虎の爪のようにして外から見ても中身がオベロニウムであると分からなくしてあるのだ。尚、その際シゲが樹脂を溶かす作業でかなり消耗していたりする……

 

『おめぇはそろそろサムライとハラキリの違いを覚えやがれ……、っとそれはそうと今のでおめぇの攻略方法が分かったんだよなぁ……。次の攻撃で確実にてめぇの事沈めてやらぁっ!!!』

 

戦治郎はヌ級に向かってそう叫び、口角を吊り上げるのだった

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