「皆、手筈通りに頼むぜっ!」
\おー!/
戦治郎の言葉にペット衆が答えたところで、戦治郎発案の打倒ヌ級作戦が開始される
先程はヌ級の機動力に翻弄されてしまった戦治郎と大五郎だったが、ペット衆の中で鷲四郎に次ぐ機動力を持つ弥七が加わった事で……
『てめぇこのチビ!俺の邪魔ばっかしてんじゃねぇよっ!!!』
「俺に何か言いたい事あったら、日本語で喋りやがれってんだっ!!!」
ヌ級の攻撃後の退路を弥七が上手い具合に断ち、一撃離脱戦法を妨害する事に成功したのである。その結果……
「ショォォォラァッ!!!」
『くっそ!てめぇも事ある毎にちょっかい出してきやがって!』
戦治郎が攻め込むチャンスが生まれ、戦治郎はそのチャンスを活かす為にヌ級に対して果敢に攻撃を仕掛けるのであった。ヌ級は基本戦治郎の攻撃を回避して捌いていたのだが……
「大五郎、そこっ!」
「ゴオォッ!」
『またてめぇかデカブツゥッ!!?』
ヌ級が戦治郎の攻撃を回避した際の着地ポイントを太郎丸が予測し、大五郎がそのポイントで待ち構え迎え撃つのであった
戦治郎達はこれらの行動を何度も繰り返し、ヌ級の攻め込む余裕をジワジワと削っていくと、遂に業を煮やしたヌ級がある行動を取る
「ぬぉっ!?」
『捕まえたぜぇ、ハラキリ野郎……っ!』
ヌ級は戦治郎が大妖丸で自身の右側から横薙ぎに斬りかかって来た際、多少の負傷を覚悟の上で大妖丸をその右手で掴み、戦治郎の攻撃を防ぐと共に大妖丸を破壊しようとしたのである
「てんめっ!放しやがれっ!」
戦治郎はそう叫びながら何とかヌ級の手を振りほどこうとするのだが、ヌ級は相当な力を込めているようで中々大妖丸を手放そうとしなかった
「グゴオオオォォォッ!!!」
その様子を見ていた大五郎が、主人を助けようとヌ級の左側からその大きな右の拳をヌ級目掛けて振り下ろすのだが……
『ハアアアァァァンッ!!!』
ヌ級は何と大五郎のその巨大な拳を、左腕だけで受け止めてしまったのである。大五郎はありったけの力を拳に込めてヌ級を押し潰そうとするのだが、ヌ級に掴まれた拳はそれ以上ピクリとも動かない……。と、その直後、ヌ級の右腕に衝撃が走る。ヌ級は何事かと思い自身の右腕の方に視線を向けると……
「……捕まえたのはこっちなんだよなぁ……!」
すると何と戦治郎がニヤリと笑みを浮かべながら今まで握っていた大妖丸を手放し、ヌ級の右腕を両手で掴んでいるではないか。ヌ級が戦治郎の行動に驚いていると……
「今だ弥七っ!!!」
「了解だご主人っ!!!」
戦治郎が叫び、弥七が自身の尻尾をヌ級に向けて伸ばし、ヌ級の身体を雁字搦めにするではないか。特に口に関してはまともに開閉出来ない様に入念に絡みつけている
ヌ級が戦治郎達の行動に疑問を抱いていると……
「舞台は整った!金次郎、やってやれっ!!!」
「キキィー!!!」
またも戦治郎が声を張り上げ、今度は大五郎の右側の頭の上にいた金次郎が行動を開始する
金次郎は大五郎の頭の上から飛び降りて、大五郎の腕の上を伝って拳の方へと移動し、大五郎の拳の上、ヌ級の頭頂部が見える辺りで停止すると両手を天に掲げて自分の身体より遥かに大きく、そして特殊な形状をした魚雷を呼び出した
その魚雷は先端部分が鋭く尖っており、まるで
「キー……、キキィーッ!!!」
金次郎が気合の叫びを上げ、騎乗槍型魚雷をしっかりと両手で掴んだまま、大五郎の拳から飛び降りる。そしてその先端部分を下に向けて落下するその先には、弥七の爪で切り付けられた時の傷が残っているヌ級の左目があった
『ぐぎゃあああぁぁぁーーーっ!!!』
ズブリと言う生々しい音と共に金次郎の騎乗槍型魚雷がヌ級の左目に深々と突き刺さり、その激痛に耐え切れなかったヌ級が口を閉じたままかつてない程に絶叫する。その隙に六助が魚雷にしがみついていた金次郎を回収して所定の位置まで飛んでいき……
「全員、魚雷目掛けて撃てえええぇぇぇっ!!!」
戦治郎の号令の下……
弥七は尻尾の先端の主砲を
六助は口の中にある主砲を
大五郎はクロスアーム下部に取り付けられた46cm砲をベースにしたガトリングキャノン2門を
鷲四郎は口の中にある機銃を
大五郎の肩の上に乗った甲三郎は自慢の砲と追加武装である40mm対空機銃2基を
六助の上に乗っている金次郎はハンマー妖精さんから騎乗槍型魚雷と共に渡されていた金次郎専用ロケットランチャーを
そして長門ペット衆筆頭の太郎丸は艤装の主砲と、戦治郎が剛のケルベロスを元にして作り上げた戦治郎とお揃いのハンドガン『
すると騎乗槍型魚雷はその衝撃で大爆発を起こし、その爆煙がヌ級の姿を包み隠してしまうのであった……
そう、これが戦治郎が立てた作戦なのである
ヌ級が弥七に顔を斬りつけられた際、左目を押さえて異様に痛がっていたのを見た戦治郎が、ヌ級の目は能力の効果が乗っていないのではないかと思った事から思いついたのがこの作戦である
作戦の内容はヌ級を何とかして拘束し、能力の効果が乗っていない為防御力が低い目から体内に魚雷を差し込み、集中砲火で魚雷を起爆させてヌ級を内部から破壊しようと言うものである
戦治郎達が張り詰めた空気の中、先程までヌ級が立っていた場所を見据えていると……
『あぁ……あああぁぁぁーーーっ!!!』
ヌ級の絶叫と共に爆煙が晴れ、ヌ級の姿が露わとなった……
今のヌ級の姿は頭部の左半分を先程の爆発で吹き飛ばされ、そこから脳や骨の一部が露出していると言う凄まじく痛々しいものとなっていた……
『あああぁぁぁーーーっ!!!お前らぁっ!!!お前らあああぁぁぁーーーっ!!!お前らがあああぁぁぁーーーっ!!!うがあああぁぁぁーーーっ!!!』
怒り狂い、感情のまま意味を成していない絶叫を繰り返すヌ級……、その様子を見た戦治郎達は……
「おいおいおい……、マジかよ……」
「あれ喰らっても生きてるのかよ……」
「冗談きついぜ……、どうすんだよ旦那……」
「荒れ狂ってるね~……、まああれだけの事されれば当然か……」
「オラが言うのもなんだけど、あいつどんだけ化物染みてるんだぁよ~……」
言葉を話せる者達は思い思いに感想を述べ、ヌ級の尋常ではない耐久性と生命力にただただ驚愕、戦慄する事しか出来なかった……
『殺す!殺す殺す殺す!お前ら絶対ぶっ殺してやるぁぁぁーーーっ!!!絶対にっ!!!絶対に絶対に絶対にぃっ!!!銀髪と腐れ同類野郎を食った後、絶対にぶっ殺してやるからなあああぁぁぁーーーっ!!!』
ヌ級はそんな捨て台詞を残して海中に姿を消し、しばらくするとその気配は周囲から感じ取れなくなるのであった……
「退いてくれたね……」
ヌ級の気配を感じなくなったところで、太郎丸がボソリと呟く
「あのままもう1戦とかにならなくてホント良かったな……」
「ホントにな……、多分もう同じ手通じねぇはずだから、そのまま戦ってたら俺達負けてたかもな……」
「皆無事でホント良かっただぁよ~……」
そして太郎丸の呟きを聞いた鷲四郎、弥七、大五郎がこのようなやり取りを交わす
「海防艦の娘達については残念だが、全滅を免れただけでも良しとしなきゃだなこりゃ……」
ペット衆のやり取りを聞いていた戦治郎は、自身の頭を乱暴にバリバリと掻きながら未だに気絶している佐渡と占守に視線を送りそう呟くのであった……
前回と今回を書いてる時、ゼノブレイドの『名を冠する者たち』を垂れ流しながら書いてました
この曲聴いた瞬間、この戦いの光景が頭の中に浮かんだもので……、予定には無かったのについ書いちゃいました