※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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ある効果音が鬱陶しいほど出ます、ご了承下さい……


龍の覚醒

空が自身に一体何があったのか、それを把握するまでの間にもヌ級との戦いは続く

 

「何したか聞いてんだろうがよおおぉぉぉーーーっ!?」

 

呼吸を整え態勢を立て直したヌ級が絶叫しながら空へと突っ込んで来る、それに気付いた空は尚も混乱したままヌ級に蹴りを放つ。それを見たヌ級は思わず身構えるのだが……

 

「……あぁ?」

 

先程とは違い、今回の蹴りはヌ級に全く通用していなかったのである。空の蹴りを警戒して身構えていたヌ級は、気の抜けた声を発した後に空の方を見ながらニヤリと笑い……

 

「なんだよ、今のはただのマグレか……よっ!!!」

 

そう言って空に向けて貫手を放つ、そこで我に返った空はヌ級の貫手を慌てて回避してお返しとばかりに杭打機をその腹に叩き込んで、その反動を利用してヌ級と間合いを開けるのだった

 

おかしい……、今の蹴りと先程の蹴り、一体何が違ったと言うのだ……?ヌ級と距離を取ったところで空が先程の蹴りと今の蹴りの違いについて、冷静に分析を開始してある違いについて気が付く

 

先程の蹴りは頭の中の映像をトレースしたような動きで放ったのに対し、今の蹴りは特に何も考えたり意識したりせず、混乱したまま咄嗟に放ったものであった

 

「……あの映像に何か関係があるのか……?」

 

つい思った事を口に出す空、それを聞いたヌ級は

 

「何をゴチャゴチャと言ってんだよっ!!!」

 

そう言いながらまたも突進してくるのであった。その様子を見た空は先程の考えが正しいかどうかを試す為に、先程の映像を頭の中に思い浮かべながら、その動きを再現するようにして蹴りを放つ。すると……

 

「がっはぁっ!!?」

 

今度は成功したようで、空の【キック】を腹にモロに喰らったヌ級が声を上げながら景気よく吹っ飛んでいくのだった。これにより空は1つ確信するのであった、あの映像を意識しながら放つ蹴りはヌ級にかなり有効である事を……

 

「てんめえええぇぇぇーーーっ!!!」

 

今の【キック】を受けたヌ級が逆上し、馬鹿の一つ覚えの様にまたもや突進を繰り出して来た。空はそんなヌ級を待ち構え再び【キック】を叩き込もうとしたその時だった

 

                 \ピコーン!/

 

また頭の中にあの音と共に新しい映像が流れ込んで来る、そしてまた身体が勝手に動き出しヌ級の蹴りを回避すると同時にガラ空きになった脇腹に突きを叩き込む……

 

「ぐぎぃっ!?!」

 

ヌ級が空が放った【カウンター】を受けた痛みに耐えるように、歯ぎしりしながら苦悶の声を漏らす

 

先程の現象から空はまた1つ確信を得るのであった、この現象は間違いなくサガシリーズで登場した『閃きシステム』であると……

 

この『閃きシステム』とは、簡単に言えば敵と戦っている最中にプレイヤー側のキャラが突然必殺技を編み出すと言うものである。そしてそうやって編み出す技に関してだが、細かい事を除き大雑把に言えば強い技はキャラが使用する武器の熟練度に比例し、技の編み出し易さ、閃き易さは敵の強さに比例する感じなのである

 

空がこの事実に気付いたところで、形勢は一気に逆転し空による『閃き祭』と言う名の一方的な戦いが始まるのであった

 

未だに苦痛に耐えるヌ級に空が追撃しようとしたところで……

 

                  \ピコーン!/

 

またも技を閃いた、空は先程閃いた自身と馴染み深い、いや得意技とも言える正拳突きと同じ原理を持つ【コークスクリュー】をヌ級に叩き込んで豪快に吹き飛ばす。吹き飛ばされたヌ級の身体は海面で1度高くバウンドし、倒れた姿勢のまま飛沫を上げながら海面を滑っていくのであった

 

何が起こっているのか分からぬまま、態勢を整えようと立ち上がろうとしたヌ級に……

 

                  \ピロリーン!/

 

先程とは違う音を頭の中に響かせながら、空がヌ級に向けて飛び蹴りを放つ。その跳び蹴りを受けたヌ級は

 

「あぎゃあああぁぁぁーーーっ?!!」

 

まるで全身に電流が流れたような激痛を覚え、思わず叫び声を上げてしまう。【稲妻キック】を受けたヌ級が意地で立ち上がり、空を睨みつけ何か言葉を発しようとするのだが……

 

                  \ピロリーン!/

 

空が勢いよく両腕を振り上げた際に発生した風圧で、ヌ級は身体を宙に持ち上げられるや否や、そのまま身体を海面に叩きつけられてしまうのであった

 

「何だよっ!?何なんだよっ?!何だってんだよおおおぉぉぉーーーっ?!?」

 

自身の理解を遥かに超えた攻撃の数々に対して、【空気投げ】を受けて倒れたヌ級が思わずそう叫ぶ。その叫びを聞いた空は

 

「俺にも分からん」

 

たった一言そう返すのであった、実際空からしてみれば何かしら行動を起こす度に技を閃き、身体が勝手に動いてヌ級を攻撃しているのである。今の空が理解している事と言えば、自身に閃きシステムが実装された事と、これによって覚えた技がヌ級にとても有効である事だけなのである。何故これらの技がヌ級に有効なのかについては空自身サッパリ分かっていなかったりするのだ

 

「……っざけんじゃねぇぞおおおぉぉぉーーーっ!!!」

 

怒りの咆哮を上げながら立ち上がるヌ級、そしてその勢いに任せて空に突撃を仕掛けるのだが……

 

                  \ピコーン!/

 

空はヌ級の貫手に合わせるように、身体を前に滑り込ませながらのカウンター、【ジョルトカウンター】をヌ級に直撃させてまたも盛大に吹き飛ばすのであった

 

「ぬがあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

ヌ級は海面でバウンドした直後に空中で態勢を整えて、再度空に突撃していく……。最初の時のように海に潜るなど手はあるはずなのに、何故かヌ級は突撃や突進ばかり仕掛けて来るのである、これには空も流石に呆れてしまうのであった

 

いっそこのままこいつを実験台にするか……、そう思ったところで空はある事を思いついたのである。丁度ヌ級も近づいて来た事なので、思い立ったが吉日と言った調子で空は自身の思い付きを実行に移すのであった

 

                  \ピコーン!/

 

自身の方に突っ込んで来るヌ級の頭に【ソバット】を叩き込んで迎撃し……

 

                  \ピロリーン!/

 

怯んだヌ級の胸に透かさず【短勁】を叩き込む、すると……

 

「……っ!??―――っ??!」

 

ヌ級は直後に胸を押さえながら倒れ込み、最早声すら出せないくらいにもがき苦しんでいた……

 

そんなヌ級の姿を見た空は流石にやり過ぎたかと一瞬思うのだが、ヌ級がこれまでやって来た事を思い出すと、それはただの気の迷いだと断じこのままトドメを刺してやろうとヌ級に近付く……、と、次の瞬間

 

突如ヌ級が自身の身体を軸にして横回転、空に対して足払いを仕掛けて来たのである

 

空はそれに気付いた瞬間バックステップでその足払いを回避、その直後に倒れていたヌ級が立ち上がり態勢を立て直すのであった

 

「外したか……、まあまた立ち上がれただけでも御の字だなぁおい……」

 

「お前もしぶといな……、いい加減くたばったらどうなんだ?」

 

起き上がったヌ級がそんな事を呟き、それを耳にした空は内心舌打ちしながらそう切り返すのであった

 

「言ってやがれぇっ!!!」

 

ヌ級はそう叫ぶなり今度は海の中に潜り、海中を出鱈目に泳いで攪乱を図る。ここでようやく頭を使うようになったか……、空はそんな事を考えた後すぐに海中のヌ級に意識を向ける。最初は深度が浅かった為かヌ級は飛沫を上げながら海中を泳いでいたのだが、段々その飛沫も小さくなっていき今では海面が揺らぐ事は無くなってしまった

 

これが普通の空母が相手だったら、翔鶴に仕掛けたように海中から奇襲を仕掛けて相手を仕留める事が出来ただろう……

 

しかし今のヌ級の相手は明らかに普通ではない空母なのである、空はテキサスに搭載されたソナーを起動してヌ級を探し始めるのであった。と、その直後……

 

「死ねやあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

空の背後からヌ級が飛び出し、翔鶴の時同様空に噛み付こうとしたのである。だが……

 

               \ピロロロロキュピーン!/

 

テキサスのソナーでヌ級の居場所を察知していた空は、【裏拳】を繰り出して奇襲を仕掛けて来たヌ級を迎撃、その際ヌ級の上の前歯を2本ヘシ折るのであった

 

「がふぁっ!……あ?……あぁっ?……あああぁぁぁーーーっ?!!」

 

空の【裏拳】を喰らって吹き飛んだヌ級は、立ち上がった直後自慢の前歯が無くなっている事に気付き絶叫するのであった

 

「喧しいっ!!!」

 

ヌ級のあまりのしぶとさと、その声の大きさに流石に苛立ちを覚えた空がヌ級に対して怒鳴りつけ……

 

               \ピロロロロキュピーン!/

 

閃いた技を叩き込んでヌ級を黙らせる、黙らせるのだが……

 

「なん……だと……っ?!」

 

今しがた自分が使った技に驚いた空も黙ってしまうのであった、先程空が閃いた技……、それは【ブライトナックル】だったのである

 

本来この技は武器を使った攻撃から派生して閃く技であり、空のように体術での攻撃で閃く技ではないのである。しかも形こそ光り輝くパンチではあるが、分類は体術技ではなく『ヒーロー技』、ヒーローでも何でもない空には使えないはずの技なのである……

 

「……まさか見た目が体術のようなものなら、派生や分類などを無視して節操無く閃くのか……?……何だか胸が熱くなって来たぞ……っ!!!」

 

「があああぁぁぁーーーっ!!!」

 

空がそんな独り言を言っていると、前歯を折られた事で怒り狂ったヌ級が絶叫しながら勢いよく突っ込んで来たので、空は今一度【ブライトナックル】を堪能する為にヌ級を迎え撃とうとするのだが……

 

               \ピロロロロキュピーン!/

 

またも技を閃き【ブライトナックル】の上位技とも呼べる、眩い輝きを放つフックと裏拳のコンビネーションを叩き込む【スパークリングロール】をヌ級にお見舞いするのであった。これには空も内心ニッコリである

 

技を閃く事が楽しくなってきた空が、次のヌ級の突撃をまだかまだかと興奮しながら待っていると……

 

「空さんっ!!!」

 

不意に背後から呼びかけられ、我に返った空がそちらを向くとその先には先程トラック泊地に向かった翔鶴達の姿が見えたのだ

 

「ぶるぁぁぁあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

その直後である、ヌ級が雄叫びを上げながら空を無視して翔鶴の方へと突っ走り始めたのである

 

「あ……っ!」

 

「いかんっ!ヌ級がこちらに向かって来たぞっ!迎え撃つぞっ!!!」

 

ヌ級が自身の方へ真っ直ぐ近付いて来るのに気付いた翔鶴は思わず声を上げ、それから翔鶴の事を守ろうとする日向達と穏健派の護衛部隊が戦闘態勢に入る。だが予想以上にヌ級の航行速度は速く、ヌ級はあっという間に翔鶴のところまで辿り着いてしまう

 

日向達の準備も間に合わず、驚きのあまり動けなくなっていた翔鶴の目の前にヌ級の口が迫って来たその時だった

 

いつの間にか空の腕から外れていたテキサスが、クローアームで翔鶴を挟んでそのまま後方へとすっ飛んで行ったのである

 

「翔鶴に近付くなあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

               \ピロロロロキュピーン!/

 

その直後、空が叫びながらライトニングⅡを付けた腕から5発の光弾、【アル・ブラスター】を発射しその全てがヌ級に殺到し直撃、ヌ級を思いっきり吹き飛ばし……

 

「おおおぉぉぉーーーっ!!!」

 

                  \ピコーン!/

 

追撃とばかりに空が雄叫びを上げながら両腕を天に掲げ、巨大な光の玉を生み出しヌ級目掛けて投げつける。ロマサガ2式の活殺破邪法……、ここでは【弐式活殺破邪法】と呼ばれる事になる技を吹き飛びながら受けたヌ級は、先程以上に勢いよく吹っ飛び何かを叫びながら水平線の先へと姿を消してしまうのであった

 

「何だ今のは……?」

 

【アル・ブラスター】と【弐式活殺破邪法】を放った空を見た日向が、驚きのあまり呆然としたままそんな事を呟いたその直後……

 

「空ーっ!」

 

空の後方からリヴァイアサンに跨った光太郎が姿を現し……

 

「翔鶴さん達からヌ級が出て、お前が相手してるって聞いて来たんだけど……、肝心のヌ級は何処行ったんだ?」

 

空に向かって不思議そうにそう尋ねるのだった

 

「来るのが遅かったな、あいつなら先程水平線の向こうに飛んで行ったぞ」

 

遅れてやって来た光太郎に対して空がそう答えると、光太郎はがっくりと肩を落とすのであった

 

そんな光太郎の様子を眺めながら空は考えるのであった、恐らく奴はまだ死んでいない……、何時かきっとまた翔鶴を狙って来るだろうと……




ヌ級が雑魚になった訳じゃないんです、空が一気に強くなり過ぎただけなんです……
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