※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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龍気

「ふぅ……」

 

数日前、ショートランド泊地にて発生した正蔵の修行によって損壊した場所の修繕を終えた空が、まるでメトロノームのように上体を揺れ動かしながら備え付けられたベンチに腰掛けていた

 

正蔵との修行で、埠頭のコンクリートはズタズタに切り裂かれたり、ベコベコに凹まされたりと本当に酷い事になっていた

 

それだけならまだしも正蔵の流れ弾(斬撃)が直撃して工廠が半壊、それにより空の居住スペースが瓦礫の下敷きになったり、空が正蔵を【ジャイアントスイング】で投げ飛ばした際、投げ飛ばした正蔵の身体が運悪く提督の執務室の壁に当たり執務室に大きな風穴が開いたり、川内が手裏剣の如く投擲した魚雷が正蔵のクルーザーに直撃し、クルーザーが爆発炎上したり、夕立の砲撃が提督が泊地内を移動する際使用する装甲車に直撃、装甲車が爆発四散したり、空と正蔵が真正面からぶつかり合った際に、泊地にある施設の窓ガラスが一斉に割れてしまったりと、この修行のせいで泊地に甚大なダメージが発生してしまったのである

 

外から聞こえて来た轟音のせいで飛び起きた提督と日向は、何とかして主犯の2人を止めようと思ったのだが、主犯2人が有り得ない程狂気染みた笑顔を浮かべながら心から楽しそうにぶつかり合う姿を見て、武力行使による鎮圧を諦め翌日事情聴取をする方向で話を固めた為、この騒動は日が昇るまで続いてしまったのである

 

そして修行が終わった直後、空達は提督と日向にこっ酷く怒られ、空は泊地の修繕、川内、夕立、江風の3人は正蔵が持って来た遠征任務の遂行、正蔵は依頼の報酬を倍額払うようにと言い渡されたのだった

 

因みに正蔵が持って来た遠征任務についてだが、通信会議からしばらく経ったある日、正蔵は姫からイギリスにもアンダーゲートを展開して欲しいと頼まれたのだ

 

現在イギリスとドイツでは和食ブームが到来しているらしく、多くの飲食店が和食を取り扱うようになったらしいのだが、どこの店もなんちゃって和食ばかりでいい加減うんざりしていたのだとか

 

そんな時、アンダーゲートがかなり本格的な和食を提供すると聞いた姫がすぐに正蔵にイギリスでもアンダーゲートを展開するようにお願いしたのである

 

それを聞いた正蔵はこの話は儲かると判断し、姫のお願いを快諾し必要な物資や人材をオーストラリアから欧州に輸送船を用いて送る事にしたのである

 

あの日正蔵がショートランド泊地に来たのは、その輸送船の護衛役を海賊団とショートランド泊地の艦娘にお願いしようと思い、提督にこの話を持ち掛ける為だったのだ。提督はこの話を大本営に通し、正式な遠征任務にしてもらってから正蔵の依頼を承諾するのであった

 

話を空の方に戻す、空は提督から泊地の修繕を言い渡されると、罪悪感からすぐに作業に取り掛かり、三徹して泊地を復元する事に成功したのである

 

そして今、空は睡魔と戦いながら修行で得た情報を整理するのであった

 

 

 

先ずは技を使った際腕や足に発生するあの煌めきについてだ

 

当初、空は閃きシステムで技を覚える事が自分の能力だと思っていたのだが、実はそうではなかったのである。あの煌めきこそが空の能力だったのだ

 

閃きで覚える技は飽くまであの煌めき、『龍気』と命名したあの煌めきを行使する為のものでしかなかったのである。だからと言って技の強さは関係ないと言う訳にはいかない、強い技ほど『龍気』の放出量が多いので、高い効果が望めるのはやはり強い技になってしまうのである

 

この『龍気』の効果だが、単純な威力強化系の能力ではない事が今回の修行のおかげで判明したのだ。その効果とは……

 

①身体能力と攻撃の威力を強化

 

②相手の体内に入り込み、内部から相手に追加ダメージを与える。【短勁】のように相手の体内に気功などを注入するタイプの技を使った場合、追加ダメージの威力が上昇する

 

③自身の防御力を上昇させ、攻撃時の反動や自分にかかる負荷を軽減させる

 

④相手の肉質を変化させ、攻撃を通し易くする

 

この4つが『龍気』の主な効果となっている

 

③は一見すると防御系のようだが、空からしてみれば立派な攻撃強化に分類されるものになるだろう。空は脳障害が原因である一定以上の力を行使したら身体が自壊してしまうのだが、この効果のおかげで行使出来る力の上限が多少アップし、①の効果と合わせると爆発的に攻撃の威力が上昇するのである

 

そして④は本当に強力なもので、例えるなら鉄の塊やゴムの塊を絹ごし豆腐に置き換えるようなものなのだ。あの途轍もなく頑強なヌ級にダメージが通っていたのは、この④の効果のおかげだったのである

 

このように『龍気』は非常に強力な能力となっているのだが、発動させる時やり方を間違えると不発に終わってしまう……

 

だがそれにも例外がある事が発覚したのだ、それは『極意を習得した技』である

 

極意とはロマサガ3に登場したシステムで、閃いたばかりの技は忘れさせてしまうともう1度閃かせなければいけないのだが、何度も技を使用しその技の極意を習得するとその技は技リストに登録され技の付け替えが自由に出来るようになるシステムなのである

 

空の場合、技の極意を習得すると頭の中の映像を意識する必要がなくなり、型に囚われずマウントポジションなど変則的な姿勢からでも『龍気』を放つ技を使用出来るようになるのである

 

そして空が使える技の数についてだが、これはロマサガ2、ロマサガ3、サガフロの3作品に登場する体術と体術系ヒーロー技を全て、それにロマサガ3の大剣技である無刀取りと凄まじい数になっていたりする

 

空はこれらの技を全て修行中に閃く事に成功し、一部の技は極意まで習得済みなのである。恐らく相手が正蔵だったからこそ出来た事なのだろう……、そう思うと本当に正蔵には感謝しなければ……、空は微睡ながらそんな事を考える

 

そんな中、空はふと修行に参加した夕立達の事を思い出す

 

そう言えばあの3人の練度はどうなったのだろうか……?あの腐れ政治家に大鬼神などと呼ばれていた御大を相手にしたんだ、きっとあいつらの練度も爆上がりしている事だろう……、もし改二改修に必要な練度に達していたら、今度改修してやらないとだな……

 

空がそんな事を考えている間に、意識は睡魔に蝕まれていきやがて空は……

 

「やはりこの歳で三徹は無謀だったか……」

 

そう呟いた後意識を手放しベンチで横になるのであった……

 

 

 

それは空が子供の頃のある日の出来事、家族で山に行った時の事だった……

 

山の頂上で何処までも広がる青く澄み切った空を眺めながら、空は父親にこう尋ねる

 

「お父さん、どうして僕の名前は空って言うの?」

 

空の父親は空を肩車しながらこう答える

 

「お父さん達はな、お前にこの空のように何処までも広くて綺麗な心の持ち主になって欲しい、向上心を忘れずに色んな事に挑戦して高みを目指して何処までも高く高く、天高く昇っていくような人になって欲しい、そう思ってお前に空って名前を付けたんだ」

 

それを聞いた空は、天に向かって昇っていく自分の姿と昔話で見た龍の姿を重ねて想像していたのだった

 

空はこの頃から龍と言う生き物が大好きだった、強く逞しく格好良く、空を優雅に飛ぶ姿は空の王様のようで、自分もいつかそうなりたい、そんな事を思っていた

 

30歳になった今でも龍と言う生き物が好きな事は変わらない、流石にあの頃のように自分も龍になりたいとは言わなくなったが……

 

……この時の空は想像すらしていなかっただろう、この先、この世界で自分が【鋼鉄の龍神】の異名で恐れられるようになるなどとは……

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