「そういえばご主人様って何者なんですか? ああ、今の事じゃなくて戦艦水鬼に生まれ変わる前の事ですからね?」
食堂に到着し間宮達に思い思いの料理を注文し、席で待ってるときの漣の発言である
「ん? 皆の町の楽しい修理屋さんだったぞ? 機械いじりで生計立ててたって言ってなかったか?」
「先輩、あの工場はただの修理屋が持つ規模じゃないと思うのですが……」
戦治郎の発言に通がツッコむ
「お黙り、他のとこよりちょっち設備が立派なだけじゃねぇかよぅ」
「普通の修理屋さんはエアプレーンのオーバーホールが出来るような設備なんてありませんよ……」
エアプレーンの修理をやった事あるとは言っていたが、そんなレベルでやってたのか……、個人経営の修理屋の範疇を本当に超えているではないか……
「聞こえねぇなぁ……、どうせ宝くじ当てたときの配当金とか言うあぶく銭で拡張増設した設備だからいいじゃんかよぅ……」
「は? 宝くじを当てた? 配当金っていくらだったのよ?」
霞が食い付く、まあこれは誰だって気になるところだろう、かなり大規模な設備を手に入れた様子だから相当な額だと思うが……
「5億だったな、まあ設備強化ですぐ使い切ったがな」
「あんた本当に馬鹿なんじゃないの?! もっと他に使い道ってのがあったでしょうが!? いくらあぶく銭と言っても限度ってものがあるでしょ!!」
5億円をあっさり使い切るとはたまげたなぁ……、何という大胆な経営……、その修理屋はマトモに経営出来ていたのだろうか……
「こういう金はさっさと使い切った方が良いって爺さんと父さんが言ってたからな~、俺ぁその教えに従っただけだし~」
「それにその後もかなりの高額配当の2つくらい当ててたしなぁ、アニキの豪運マジパネェわ~」
突然会話に加わる声の方向を見てみれば、シゲ、摩耶、木曾、鈴谷、榛名が隣の席に座っていた
「シゲか、おめぇらも飯か? つか相棒の護は一緒じゃないのか? 瑞鶴も姿見えねぇけど何かあったか?」
「ウッス、マモ達はあっちで燃え上がるようなゲーム談義やってますわ、俺らはついていけねぇんでこっちに移動したんですけどね」
シゲが親指を向けた先には護と瑞鶴が向かい合って何かを熱く語っているようだった、二人ともかなり夢中なようでシゲ達が移動したのにすら気付いていないようだった
「どうせだし、こっちと合流してもいいッスか? 飯は大人数の方が美味いだろうし」
現在座っている席は8人用のテーブルに椅子はベンチシートになっている、漣の隣に通が座り対面の席は左から戦治郎、大和、霞の順に座っている
この話が始まる前に聞いたが、夕食後に鳳翔さん達が居酒屋をやるときは輝さんと藤吉さんと妖精さんが瞬く間に改装してくれるそうだ
「いいぞ、ちょっち詰めれば問題なかろう……って鈴谷さんなんか近くな~い? 榛名もこっちかって狭い狭い狭んくっ、ちょっとだぁれぇ? どさくさに紛れて提督のデリケートなとこ触ってくるの、ちょっちやめあふんっ、ってコラァッ!!!」
やっぱり無理があったので席移動、全員がゆとりを持って座れるようになりました、つか戦治郎にお触りしたの誰だ
ゆっくりと話が出来る状態になったので話を再開したが、5億円当てた後も3億、2億5000万と2回も高額配当を当て、結局そっちもすぐに使い切ったようだ
「チェーン店でも作るか?って話になった事もあったが、何か父さん達に喧嘩売るような感じして却下したな、実際長門系列の修理屋あったし……」
「? お父さんに喧嘩? 長門系列? どういう事です?」
長門系列とは一体何ぞや? 名前からして戦治郎が関わっている様な気がするが……、とりあえず聞いてみる
「私達が生きていた世界には『長門コンツェルン』という巨大な財閥があるんですよ、それも規模がとてつもなく大きくて四大財閥の内の2つを丸呑みする程の規模でした」
「んで、アニキはそこの現総帥の次男坊」
ごめん、通とシゲが言ってる事がよく分かんない……、戦治郎は超極絶金持ちのボンボンだったと言うのか? 深海勢以外の人が皆すっごい驚いた顔して固まってるんですが……
「チェーン展開すると長門コンツェルンが関わってる企業とやり合う事になっからな、俺はそれだけは避けたかったんだわ、父さんには色々迷惑かけちまったのもあるし正直やり合っても勝てる気しねぇかんなぁ……、だからって系列のとこに就職するってのは何か違うんだよ、親の力無しでやってみたかったし、一国一城の主ってなんかカッコよくね?って感じで独立したんだわ、長門屋……、ああ、俺の修理屋の名前な、長門屋始めるときも金は全部俺が自力で稼いだ金だけだわ」
「それをよく許してもらえたわね……、普通こういうのって跡取りになれって言われるものじゃないの?」
「ウチの方針でな、ちっこい頃から色んな事経験してもらって本当に興味がある事を見っけてそっちの道に進むなら全力で応援する、跡取りだとか何だとかは考えなくていいって言われてたんだわ、俺が色々出来るのはそのおかげだったりするわけよ、そんで兄さんは医者になって理紗姉は弁護士だったっけか……、そんで俺が修理屋だったわけだが今じゃ違う世界で深海棲艦になって提督……、って俺は何やってんだろうな?」
世の中何が起こるか分からないものであるとはよく言うが、流石にこれは色々と酷い気がする
「提督が何やってる云々は兎も角、 確かコンツェルンだったっけか? それがなくなるかもしれないのに跡継ぎの事は考えなくていいってそれで本当に大丈夫なのか?」
木曾が問う、本当にそれだ、財閥がなくなってしまえばそれに関わっている人達がその後どうなるか考えているのだろうか? あまりにも無責任すぎやしないだろうか?
「それについては大丈夫だ、既に弟が跡継ぎとして色々やってるみてぇなんだわ、そのせいで中々顔合わせる事出来なかったがな~……」
戦治郎が少し寂しそうな表情をする、もう二度と会えないだろう家族の事を思えばそんな表情にもなるだろう
「提督が空手やら剣術やら機械いじりやら色んな事が出来るのは、小さい頃から色々やらされてたからって事か……」
摩耶が言う、小さい頃から色々な習い事をやらされてあまり自由がなかったのだろうと思ったようで、視線に同情のようなものが浮かんでいた
「いんや~? 強制された事は1度もねぇし興味ある事だけ選んでやってたぞ? 遊ぶのは子供の一番の勉強だ!って父さん言ってたくらいだ、自由時間もちゃんとあったぜ、まあ俺が好奇心旺盛だったもんだから他の兄弟より色んな事に挑戦してたがなっ!」
カッカッカとばかりに笑う戦治郎、それを聞いて同情したあたしが馬鹿みたいじゃねぇかと呆れる摩耶
「因みに、空手、剣術、機械いじり以外にはピアノ、華道、茶道、日本舞踊、書道なんかもやってたぞ、小学校のとき女みてぇな事してる~って笑われたがな」
「日本舞踊はやってたって言ってたね、軍学で1度見せてもらったっけ」
「あの舞は本当に綺麗でした……、榛名は思わず見惚れてしまいました……♪」
この人軍学で何やってんだ、と思ったが生徒同士の交流会で成績上位の者が何か芸をやるってのが漣が行っていた軍学でもあった事を思い出す、江田島でもその伝統みたいなのがあったようだ、そうなると戦治郎はその成績上位の中に入っていたという事か……
「作法関係の事やってた割に、あんたって落ち着きないわね……、歳もいい歳してるって言うのに……」
霞が呆れながら言う、ほんそれ、32にもなって風呂に飛び込むとか子供じゃないんだから……
「霞ちゃん、提督の事をいい歳してると言いましたが……」
何か大和が真剣な顔をして霞を見ている、とか考えてたらこの人懐から財布取り出したぞ
「その情報、おいくらですか? 是非大和に教えていただきたいのですが」
財布を開きながら訳が分からない事言っていた、大和は戦治郎の歳を聞いていないのか? ってそこ! 鈴谷と榛名も財布取り出すな!
「あんまり高いと流石に鈴谷は諦めるけど……、そだ! ハルルン一緒に出さない?」
「は、榛名も今はあまり持ち合わせがないので助かります……」
いやいやいや、その情報はタダでいいだろう、本人に聞けばプライスレスで済むでしょ? 何やってんですか貴方達!
「あ~、シゲ達の歳は聞いたけど提督の歳は聞いてなかったなそういや」
「シゲ達はあっさり教えてくれたがな、確か26だったな?」
「そうですね、私、シゲ、護、翔、司は26歳で皆同い年ですね」
摩耶達も戦治郎の歳は知らなかったのか……、そしてその5人衆は26か
「中学で一緒のクラスになってたもんな、アニキの弟とも同じクラスになった事あるわ」
喫煙所で言ってたな、つまり弟さんも26歳……、戦治郎と少し歳が離れているのか……
「ちょいそこ! 俺の年齢に関する情報売買すんな! つか言ってなかったか? 俺、空、悟、光太郎、輝は32だって」
遂に戦治郎が介入、ほらやっぱり本人に聞けば0円で聞けた~、つかこっちも皆同い年なのか、幼馴染とは聞いていたが……
「「「「「32……」」」」」
さて、戦治郎の年齢を知った面々の反応はっと……
「意外と若いんだな……、てっきりもちっといってるかと思ってたぜ……、色んな事やってたみたいだからな……」
「同感だな、40前半で若作りしてるのかと思ってたな……、自分でもおっちゃんとか言ってたから尚更な……」
摩耶と木曾が少々辛辣、まあ経験豊富となるとそう思うのも仕方ない事か
「いいじゃん! 大人の男~って感じじゃ~ん! 鈴谷はそのくらいでも全然OKだし!」
「榛名も大丈夫です! 年上の男の人にちょっと憧れていました……♪」
鈴谷と榛名には好評、自分にはまだよく分からないがやっぱり年上の男性には憧れを持つものなのだろうか?
大和については触れないでおこう、見て分かる、今の大和の輝きっぷりを見れば嫌でもドストライクだったのが分かってしまう……
「漣や霞からしたらいいおっさんだろうな、流石にあのくらい離れてるとお兄さんは無理だろうな」
「鬼いさんはあり得そうですけどね、と言うか場合によっては霞さんくらいのお子さんいたりしますよね?」
「ちょっ!? 何言い出すのよっ?! このクズと親子ってあり得ないでしょ!!」
通の言葉に反応して霞が噛み付く、誰も霞と戦治郎が親子とは言ってないはずだが……
「あ~、大和さんと結婚して霞が娘ってか? なんか微笑ましいなおい」
シゲの追撃ぃっ!!!
大好きな大和の娘になるところを想像したのか、顔を真っ赤にしてプルプルしだす霞、実際に言われてみるとちょっと微笑ましい家族に見えちゃう不思議
そういえば微笑ましいと言った後のシゲの表情が少し暗くなったが何かあったのだろうか
「盛り上がってるみたいだね、そんなところに悪いけど料理が出来たから持ってきましたよ~」
そう言って翔が現れる、艦載機まで使って全員分の料理を運んできてくれたようだ
「お、来たか、んじゃ話の続きは飯食いながらやるか、これ誰のだ~?」
全員分の配膳が終わり、一緒にいただきますを唱和して食事を開始する
この後もしばらく他愛もない話をして、消灯時間まで思い思いに過ごすという事でその場で解散になった、料理もとても美味しかったが貰っていたチケットを使ってデザートとして食べたアイスも素晴らしいものであった、機会があったらまた食べたいものだ
因みに、食事中に戦治郎が風呂に飛び込みしてお尻をぶつけていた事を大和に教えておきました