「んなくそおおぉぉぉーーーっ!!!」
戦治郎が迫り来るゼッペーの群れに向けてヨイチさんの砲弾をばら撒き、派手な爆発音と共に次々とゼッペーの支持者達を海底へと叩き込んでいく
「非武装とは言え、流石に512隻も相手するのは骨が折れると言うものだ……」
「ゼッペーだけ相手にしてればいいって状況だったらもちっとらk……あだぁっ!!」
戦治郎の隣でマルチミサイルとマシンガン、無反動砲を撃ちまくるリチャードがやれやれとばかりにそう呟く、そんなリチャードの呟きに反応した戦治郎が発言しようとしたところで、後方から飛んできた砲弾が戦治郎の後頭部に直撃してしまい、戦治郎の発言は途中で途切れてしまうのであった
「戦治郎っ!?」「ご主人っ?!」
「でぇじょうぶだっ!威力からして重巡の弾みたいだったから大したダメージになっちゃいねぇっ!」
突然頭が爆発した戦治郎に驚いたリチャードと、背後から飛んで来る砲撃や爆撃から戦治郎を守る為に戦治郎に背中を向けてその身を盾にする大五郎が慌てた様子で声を掛ける。戦治郎はそんな2人に砲撃の手を休める事無く自分の無事を報告する
「すまねぇだぁよぉご主人……、全部捌き切れなかっただぁよ……」
「気にすんな大五郎、それよりもそっちは相手を傷つけないよう細心の注意を払ってくれよ?」
ションボリしながらそう告げる大五郎に対して、戦治郎は視線を向けずにそう答えるのであった
何故戦治郎がこの様な事を言ったのか、それは今戦治郎達を背後から攻撃している者達こそが戦治郎達の救援対象であるトラック泊地の艦娘だからである……
時間は通信機から悲鳴が聞こえたところまで遡る……
「その声、占守かっ!?」
ガダルカナル島のリチャードの執務室で、リチャードの執務の手伝いをしていた戦治郎は通信機から鳴り響いた悲鳴を耳にした瞬間、椅子から勢いよく立ち上がり通信機の先にいる相手に大声で話し掛ける
『助けてって……、一体どうしたのっ!!?』
『落ち着け占守っ!1度深呼吸して、落ち着いて現状を報告しろっ!』
『穏やかじゃないわね~……、占守ちゃん、シゲの言う通り1度落ち着いて、ゆっくりでいいから何があったか教えてくれるかしら?』
戦治郎の言葉に続く様に、光太郎が、シゲが、剛が事態を把握しようと占守に向かってこの様な言葉を掛ける
『敵が……、敵が沢山っ!こっちに敵が沢山来てるっす!』
だが余程切羽詰まった状況に立たされているのか、皆の発言に対して占守は少々パニック気味にこう答えるのであった
『だぁー!それじゃ皆に言いたい事がちっとも伝わらないだろっ!こっから先は佐渡様がやってやるからお前は何とかして心を落ち着かせてろっ!』
そんな占守に佐渡がこの様に言い放ち、占守に代わって佐渡が状況説明を開始するのであった
『すまねぇ、状況が状況だからあいつがああなってるのは許してやってくれ……』
「分かった、んでそっちは今どうなってんだ?占守がパニック起こしてるって事はただ事じゃなさそうだが……」
『ああ、緊急事態だ。今トラック泊地に非武装の深海棲艦の大群が向かって来てるらしい……、つか既に主力艦隊が交戦状態になってやがるんだ……』
佐渡の言葉を聞いた全員が戦慄する、非武装の深海棲艦と言えばゼッペー以外有り得ない、それが今トラック泊地に大挙して押し寄せているとなると……
『まさか……、あいつらトラックにもラバウルと同じような事仕掛けようとしてやがんのかっ!??』
『それは不味いクマッ!そんな事になったら球磨達みたいな艦娘が沢山出てしまうクマッ!』
佐渡の言葉を聞いたシゲが声を荒げ、ラバウルの生き残りである球磨が顔を青ざめさせながらそう叫ぶ
「緊急事態ってレベルの問題じゃねぇぞそれっ!!!つか佐渡達はそんな状況なのによく俺達に通信出来たな?」
『占守達は泊地の最終防衛ラインとして後方に下がっているっしゅ!だからまだ敵がこっちに来ていない今、こうやって通信してるっしゅ!』
戦治郎の疑問に答えたのは、落ち着きを取り戻した占守であった。それを聞いた戦治郎は佐渡達が通信出来る理由に納得したところで
「そう言う事か……、まだそこまで奴らが来てないとは言え、それも時間の問題かもな……。OK分かった、今すぐそっちに向かうから何とか持ち堪えててくれ!悟!通!神通!通信聞いてたよな?!すぐ準備してトラック泊地行くぞっ!!!」
『『了解!』』『あいよ~』
戦治郎は今ガダルカナルに残っている戦闘可能な海賊団のメンバーを集めて、トラック泊地に向かおうとする
だが戦治郎の中にはちょっとした不安があった、それは頭数が少なすぎる事である。現在剛達は欧州に遠征しており不在、シゲ達はショートランド泊地の提督のEx-Sスーツの大規模改造中、現状トラック泊地に急いで向かえそうなのが自分達と光太郎達くらいしかいないのである。果たしてこれだけの人数でこの件に対処出来るのか、それが不安で仕方なかったのである
しかし、だからと言ってトラック泊地を見殺しにする訳にもいかないので、戦治郎は覚悟を完了させてトラック泊地に向かう事にしたのである
「相手の規模がどのくらいか分からないけど、たった4人だけじゃちょっと不安なところがあるね。よし、僕も同行しようじゃないか」
「ありがとうございます!リチャードさんが言う通り、ちょっち頭数が不安だったんですよね……。リチャードさんが来てくれるなら百人力です!」
そんな戦治郎が執務室から出ようとしたところで、戦治郎の不安を感じ取ったのかリチャードが同行を申し出てくれたのだ。そのおかげで戦治郎が懸念していた戦力不足が解消されるのであった
『巡回組もすぐに向かうよ!幸い俺も輝も今ミクロネシア辺りにいるからすぐに駆け付けられると思うから、それまで何とか頑張ってっ!』
『相手がどんだけいるか分かんねぇけど、俺と光太郎で全滅させるくらいの気持ちでやってやんぜっ!』
戦治郎とリチャードが揃って執務室を出たところで、巡回組の2人が先行する旨を伝えるや否や早速行動を起こしたのか、水上バイクの駆動音が通信機越しに聞こえて来るのであった
「2人共、俺達もすぐに駆け付けるから絶対に無理だけはすんなよ?」
『ああっ!』『応っ!』
戦治郎が2人を心配しこの様な言葉を掛けると、2人は昂然と返事を返すのであった
そうしている間に戦治郎達は悟、通、神通、そして穏健派の護衛艦隊と合流し、リチャードのメタルウルフを格納庫から持ち出して海面に立つ。その際戦治郎が皆に向かって激励の言葉をかけるのであった
「今回の件は絶対に間に合わせるぞ!俺達はラバウルの悲劇を繰り返しちゃなんねぇんだ!全員気合い入れたかっ!?」
\応っ!/
「OK!そんじゃこれより俺達はトラック泊地に向かい、ゼッペーのクソッタレ共を爆裂的に鎮圧するっ!!!いくぞおおおぉぉぉーーっ!!!」
戦治郎の叫びと共にガダルカナルにいたメンバーは一斉に海を駆け、トラック泊地へと向かうのであった
それから戦治郎達は大急ぎでトラック泊地へと向かうのだが、通信機から唐突に佐渡の叫び声が聞こえて来るのだった
『戦治郎さん大変だっ!司令が駆け付けてくれた光太郎さん達にまで攻撃する様命令を出しやがったっ!!!』
「はぁっ?!おめぇらのとこの提督は何考えてやがんだよっ!?」
佐渡の通信を聞いた戦治郎が素っ頓狂な声を上げる
『占守達が必死になって光太郎さん達は味方だって言っても、司令は全く話を聞いてくれなかったっしゅ!それどころか敵だろうが味方だろうが、深海棲艦なら関係無く殲滅しろって言ったっしゅ!』
「ショートランドの提督からトラックの提督は復讐鬼になってるとは聞いてたが……、まさかここまで根が深いとはなぁ……」
占守の言葉を聞いた戦治郎は、そう呟きながら頭をバリバリと掻く
確かにトラックの提督の気持ちは分からんでもない、自分のところに所属している艦娘がここ最近だけで10人も殺されていたら復讐の1つや2つはしたくなるだろう
だが流石にそれはやり過ぎだろうと戦治郎は思うのであった、いくら深海棲艦が憎いと言っても、自分のところの艦娘を助ける様に立ち回る者達まで攻撃するものなのか?普通だったらもうちょっと様子見て、敵か味方か判断すると思うのだが……。まさかトラックの提督はそれすら出来なくなるほど精神的に参っているのか……?
『司令は遠征部隊があの怪物に殺されてから、ホントに人が変わっちまったからな……』
『あれ以来司令は毎日の様に艦隊を必要以上に出撃させて、沢山深海棲艦を沈めていたっす……』
「毎日の様に……、必要以上に……、まさか……」
佐渡達のやり取りを聞いた戦治郎は、思考を巡らせるのを中断してそう呟く
「戦治郎よぉ、一体どうしたってんだぁ?」
「いや、今回の襲撃についてちょっちな……」
戦治郎の呟きを聞いた悟が戦治郎に向かってそう尋ねたところ、戦治郎はそう言って自分の推測について話し始めるのであった
「今の占守の言葉を聞いて今回のゼッペーの襲撃は、元を辿るとトラック泊地の提督が原因なんじゃねぇかと思ってな……。あの連中って極度の戦争アレルギーだろ?そんな連中が徘徊する海域で毎日の様に派手にドンパチやってたから、目ぇ付けられたんじゃねぇかって思ってな……」
「あ~……」「確かに……」「そうかもしれませんね……」
戦治郎の言葉を聞いた悟、通、神通が何処か納得した様な声を上げるのであった
「十分有り得る話だね……、そして七瀬がその件について『話し合い』をしようとトラックに使者を出したところ、使者が何時まで経っても戻ってこない。それで怒った七瀬がこの様な手段に出た、と……」
「すみません、俺そこまで考えてなかったッスわ……。でも言われてみるとそんな感じしますね……、トラックの提督はあんな調子だから多分使者が泊地近海に出現したところで、艦娘達の集中砲火浴びせてぶっ殺した可能性が高そうですわ……」
リチャードがそう言ったところで、戦治郎が申し訳なさそうにそう返す。と、その時だった
『うぎゃあああーーーっす!!!』
またも占守の悲鳴が通信機越しに聞こえて来る
「今度は何だっ!?」
占守の悲鳴に驚いた戦治郎が、大声で占守に呼びかける
『今こっちの方に連絡が来たんだが、北マリアナの方から深海棲艦が向かって来てるらしいんだっ!しかもそいつら武装してるらしいっ!!!」
佐渡の通信を聞いた面々の間に張り詰めた空気が流れ始める、武装していると言う事は後から来た深海士官はゼッペーではない、恐らく強硬派の深海棲艦だろうと戦治郎は予測する
「マジで前回と同じ状況じゃねぇかよぉっ!?!」
そう考えたところで戦治郎が思わず絶叫するのだが……
「いや、前回の件でゼッペーと強硬派の関係は悪化して、手を組むなんて真似はまずしなくなったんじゃないかな?っとなると恐らく騒ぎを聞きつけた強硬派が便乗して来たってところだと思う」
リチャードが冷静に細かいところを訂正するのであった
「そんな細かいとこはいいんですよ!結果はどの道一緒なんですからっ!って言ってる場合じゃねぇ、お前ら急ぐぞっ!!!」
こうして戦治郎達は更に速度を上げて、トラック泊地へと急行するのであった