※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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トラック泊地防衛戦 上の中

戦治郎達よりも先にトラック泊地に到着した光太郎達は、窮地に追いやられていたのだった

 

光太郎達はミクロネシア付近から大急ぎで戦場に駆け付けゼッペーと交戦状態になったのだが、その直後に光太郎が背後から砲撃をモロに受けてしまったのである

 

「光太郎さんっ!」

 

思わぬ出来事に声を上げたのは、光太郎達と共に巡回任務をやっていた大本営の遠征部隊に所属する神風であった

 

「何で光太郎さんに攻撃してるんですかトラックの人達はっ?!光太郎さん達は味方だって通達してあったはずなのにっ!?」

 

その様子を見て叫ぶのは白雪、彼女が言う通り光太郎達長門屋海賊団や穏健派深海棲艦の事は、以前行われた通信会議の後長門がすぐに全鎮守府や泊地、基地などに通達したはずなので、知らないはずがないのである

 

そしてその直後、佐渡から光太郎達にまで攻撃命令が下された旨を伝える通信が入ったのである……

 

「そんなっ!あんまりですっ!!!」

 

佐渡達と戦治郎のやり取りを聞いていた吹雪が、怒りを露わにしながらそう叫ぶ。いくら深海棲艦が憎いからと言って助けに来た光太郎達を攻撃するのは酷過ぎる、彼女はそう考えると叫ばずにはいられなかったのである

 

そうしている最中にも次から次へと光太郎達へと砲弾が降り注ぐ、そして……

 

「あうっ!」

 

「初雪っ!?大丈夫k……うがっ!」

 

「初雪ちゃんっ!?深雪ちゃんっ?!」

 

初雪と深雪が巻き込まれる形で被弾、中破してしまうのであった。それを見ていた磯波が悲鳴染みた声を上げ2人のところに駆け寄る

 

「私達がいるのにお構いなしだって言うのっ?!」

 

「多分、皆の事を裏切者、深海棲艦との内通者と断じて攻撃してるのかもね……」

 

神風の叫びに光太郎が砲弾を回避しながらそう答える、そんな2人がこの様なやり取りを交わしている内にトラック泊地の艦娘から更なる追撃の矢が放たれる

 

「あれは……、爆撃機っ!??」

 

「ちぃっ!輝っ!!!」

 

「任せろっ!!!」

 

砲弾の雨の更に上空を飛ぶ爆撃機を発見した吹雪の叫びを聞いた光太郎が、輝に呼びかけたところすぐに輝は艦載機を発艦させその爆撃機を片っ端から撃ち落とすのであった

 

「爆撃機は何とかなったが、砲弾はまだまだ飛んで来やがるな……。うっし!光太郎、ゼッペーの方は任せた!俺は砲弾と艦載機を何とかするのに徹するぞっ!!!」

 

「すまん、頼んだっ!吹雪ちゃん達も輝の方を手伝ってくれっ!」

 

「はいっ!分かりましたっ!」

 

こうして光太郎達は各自行動を開始し、光太郎はゼッペーの相手を、輝と吹雪達は砲弾を撃ち落とす事に意識を集中するのであった

 

しかし、それでもやはり撃ち漏らしは発生してしまい……

 

「きゃぁっ!?」

 

「うわっ!」

 

「くぅっ!!」

 

「あぁっ!?」

 

大本営の遠征部隊の面々がジリジリと追い詰められていき、遂に全員中破してしまうのであった……

 

「お前ら大丈夫かっ!??えぇいっ!こなくそぉっ!!!」

 

艦載機だけでなく艤装での砲撃と、オベロニウム製バルディッシュの刃をブーメランの様に投擲しながら砲弾と艦載機を撃ち落としていく輝が吹雪達に安否を問う

 

「だ、大丈夫です……っ!」

 

「何のこれしき……っ!」

 

吹雪と深雪がそう答えるのだが、それは輝の目から見ても無理をしている様にしか見えなかった。そんな彼女達を見て輝は内心舌打ちし、果敢に砲弾や艦載機を迎撃しながらも焦りを募らせていく。そして遂に輝が想像していた最悪の事態が発生する……

 

「しまったっ!!!」

 

輝が砲弾を1つ撃ち漏らしてしまい、その砲弾が神風の方へ真っ直ぐに向かって行く……

 

「あ……っ!」

 

「神風さんっ!!?」

 

自分の下へ向かってくる砲弾を視認した神風がその様な声を漏らし、光太郎が彼女の名前を叫びながら砲弾を撃ち落とそうとレーザー砲の砲口を向ける。その直後だ、砲弾が神風にあたるより早く爆発したのは……

 

『あっぶねぇ!マジ間一髪だったわっ!!!』

 

「え……?」

 

通信機から声が聞こえ、その声が聞こえた直後神風が辺りをキョロキョロと見回すと、かなり離れた位置にアンチマテリアルライフルを構えた戦治郎の姿を確認するのであった

 

 

 

「お前ら大丈夫か……、ってこいつぁひでぇなおいっ!」

 

あの後、戦治郎達が急いで駆け寄って来て吹雪達の様子を見たところで戦治郎が思わずそう叫ぶのであった

 

「先輩、私と神通さんは光太郎さんの援護に向かいますので……」

 

「ああ、ここは任せろ!光太郎の事頼んだぞっ!大五郎、向こうに背を向けてハコを展開してくれ!」

 

「ゼッペー相手だったら砲弾が飛んで来る可能性がないからだぁね、分かっただぁよぉ」

 

通は戦治郎にそう伝えた直後、神通と共にゼッペーと戦う光太郎のところに急いで向かい、戦治郎は通達に背を向ける形でハコを展開する様大五郎に指示を出す。そして戦治郎は急いで吹雪達の修理を開始するのだが……

 

「くっそ!めっちゃ揺れて作業しにくいっ!!!」

 

「ご主人、頑張るだぁよぉっ!!!」

 

「ご主人様、僕に手伝える事はある?!」

 

大五郎が被弾する度に作業台が揺れ、吹雪達の艤装の修理は戦治郎が思った以上に難航するのであった。そんな戦治郎に大五郎が声援を送り、太郎丸が手伝いを申し出て来る

 

「太郎丸は弥七や甲三郎達と一緒に砲弾の迎撃を頼む!何とかしてこの揺れを抑える様にしてくれっ!!!」

 

「了解っ!それじゃあ艦載機、全機発艦だよっ!!!」

 

戦治郎は太郎丸にそう伝えると、太郎丸は意気揚々と艦載機を発艦させ戦治郎に言われた通り艦載機を用いてトラック泊地の艦娘達が放つ砲弾や艦載機を迎え撃つのであった

 

「このまま戦治郎が拘束されるのは辛いな……、僕1人で抜けて来た連中の相手をするのはくたびれてしまいそうだ」

 

「ホント何とかならないですかねコレ!」

 

戦治郎の前に立ち光太郎達の猛攻を抜けて来たゼッペーの支持者を淡々と始末するリチャードが呟き、それに対してこの様な言葉で返す戦治郎。こういう風に聞くと大した数ではなさそうだが、実際のところはそうではなく結構な数が3人の猛攻を掻い潜り戦治郎達の方へと向かって来ているのである。何故ならゼッペーの数が余りにも多いからだ

 

戦治郎達が来るまでは光太郎がかなり頑張ってくれていた為、殆ど抜けて来る奴がいなかったのだが、その頑張りの代償として光太郎はかなりエネルギーを消耗していたのである。もし戦治郎達の到着が少しでも遅かったら、吹雪達が海底に沈んでいた恐れがあったのである

 

通達が参戦したところで光太郎は変身を解除しエネルギーを消耗しない通常の放水砲でゼッペーの相手をしていたのだが、変身を解除したせいで変身時より反応速度や火力が低下、更に先程までの戦闘で疲労が蓄積し動きが鈍くなってしまっている上に通達がまとめて相手を始末する手段を持ち合わせていない為、どうしても打ち漏らしが発生してしまうのである

 

そうなると戦治郎のヨイチさんやグスタフ&ドーラの力が欲しくなるところだが、生憎戦治郎は現在吹雪達の修理中で動けないどころか保護対象なのである。そんな状況を打破するには何とか戦治郎に頑張って修理を終わらせてもらうしかないのだが、その修理もトラックの艦娘達の攻撃のせいで難航中なのである

 

「このままではジリ貧だね、全く困ったものだよHAHAHA!」

 

「余裕ありますねリチャードさん!こっちは結構大変なのにねぇっ!!!ああもう!どっかに大五郎守る様な物理障壁とか無いもんかねぇ!!?」

 

リチャードが冗談めかしてこの様な事を言うと、流石に苛ついてきた戦治郎が半ギレでそう叫ぶ。すると……

 

「物理障壁か……、そう言えばそれっぽいのがあったね」

 

「ファッ!?あるのっ?!バリアみたいなのがっ!??」

 

リチャードの予想外の言葉に戦治郎が驚愕しながら聞き返す

 

「いやね、最近メタルウルフばかり使っててスッカリ存在を忘れていたよっ!ありがとう戦治郎、君のおかげで彼らの存在を思い出せたよ!」

 

戦治郎にお礼を言うリチャード、そんなリチャードの言葉を聞いた戦治郎はある事を思い出す、それはリチャードが戦艦棲姫の転生個体である事だ。だがそれと同時にその言葉に引っかかるものを感じる戦治郎であった、今リチャードは彼らと言ったか……?何故複数形……?

 

「それじゃあ久しぶりに呼ぶとしよう、来い!『スペシャルシークレットサービス』!」

 

戦治郎がそんな事を考えているとリチャードが何かを呼び出すように声を上げた、するとその声に反応して海の中から何かが姿を現すのだった

 

それを目の当たりにした戦治郎は、思わずあんぐりと口を開け作業の手を止めてしまう。そんな戦治郎を見て何事かと思った吹雪達も戦治郎の視線を目で追いかけ、その視線の先にあったものを見て固まってしまうのであった

 

戦治郎達が見たもの、それは左からフロント・ダブル・バイセップス、サイド・チェスト、モスト・マスキュラーと言うボディビルのポーズを決める恐ろしい程に筋肉バッキバキのムッキムキでビッキビキな3体の戦艦棲姫の艤装だったのである

 

「紹介するよ、彼らは僕の艤装で左からサムソン、アドン、バランと言うんだ。そしてさっき僕が叫んだ『スペシャルシークレットサービス』って言うのは僕の能力名でね、彼らをシークレットサービスに見立ててそう名付けたのさ。効果は凄く単純で、彼らを最大3体まで同時に動かすってものさ。どうだい?驚いたかい?」

 

「す、凄いッスね……、艤装を同時に3体まで動かせるって……」

 

戦治郎は色々とツッコミたい気持ちを抑えながら、悪戯が成功した子供の様な表情を浮かべるリチャードに向かってそう答えるのであった

 

こうしてリチャードの暑苦しい艤装であるサムソン達を大五郎の盾にする事で大五郎の被弾を防ぐ事で、作業台の揺れを抑える事に成功し戦治郎の作業は滞りなく終了するのであった

 

尚、戦治郎はしばらくの間、ポーズを決めるサムソン達の姿と被弾する度に聞こえる「もうダメだぁ……」と言う声が頭から離れなかったそうだ……

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