「うぅ……」
「もう少しの間だけ堪えてくれよ……?すぐに悟さんのとこに連れてってやっからな……」
トラック提督に撃ち抜かれた右太ももが痛むのか占守が苦し気に呻き声を上げ、それを聞いたシゲがそんな占守を励ます様に声を掛ける
「連絡を受けた悟がこっちに向かって来ているそうだ、何か目印をつけてるとか言ってたが……、ってあれかっ!?何であいつあんなの持ってんだよっ!?」
そんなシゲ達に向かって燎がそう言ったところで、燎が何かを発見すると同時に驚愕の声を上げる。彼が見たのは鼻から上だけを海面に出し、ピポヘルを被りその頭頂部に付いた赤いパトランプをピカピカと光らせる悟の姿だったのである
「ありゃアニキが光太郎さんに被せようとしてた奴だな……、何処行ったか分かんなかったが悟さんが持ってたのか……。って言ってる場合じゃねぇっ!燎さんっ!」
「あ、あぁすまん。すぐ寄せるっ!」
シゲと燎がそんなやり取りを交わした後、燎はディープストライカーを悟の傍へ寄せ、シゲは海上に出現した悟に占守を渡す
「んじゃぁすぐに治療を始めるとしますかねぇ……、ったくゼッペーと言いトラックの提督と言い……、ホント碌な事しやがらねぇなぁおいぃ……」
悟がそう愚痴りながら自身の艤装の上に占守を寝かせ、彼女の容態を確認するとすぐに翠緑を発動させてその淡い緑色の光を彼女の右太ももに当てて、治療を開始するのであった
「これで一先ず安心ってところだな……」
「そうですね……、っとそういや……」
その様子を見守っていた燎が胸を撫で下ろしていると、ふとシゲが思い出したかの様に燎に尋ねるのであった
「燎さん、こっち来るの滅茶苦茶早かったですけど、ウェーク島の方はよかったんですか?」
「あぁ~……、それなんだが……」
シゲの質問を聞いた燎は、ディープストライカーを装着したまま己の頬をポリポリと掻きながら、シゲの質問に答えるのだった
「ウェーク島の方な……、新装備もらった関係で皆滅茶苦茶テンション上がっててな……、勢いに任せてついつい相手を瞬殺しちまったんだよ……」
「oh……」
シゲは予想外の回答に思わず呆然とする
ウェーク島方面の戦いがどの様なものだったか具体的に説明すると、相手を視認出来るところまで来た空達は翔鶴と瑞穂、そして龍鳳の3人を海上に降ろした後、翔鶴にいいところを見せたいからと張り切る空がすぐさま【錬気拳】を発動させ、相手戦力の7割を自分が立っている場所にまるでブラックホールにでもなったかのように強引に引き寄せ、片っ端から殴り飛ばして青い血煙に変えていったのである
そしてその最中、今度は扶桑、日向、璃栖瑠が残った敵に突撃を仕掛け、相手の頭上から伊吹達が作った瑞雲12型(六三四空)と瑞雲(六三四空/熟練)による爆撃と、戦艦主砲による砲撃、ペーネロペーに搭載されたミサイルと艦載機の操作方法を応用する事で再現する事に成功したファンネル・ミサイルをしこたま叩き込んだのである
それでもしぶとく生き残った奴には、燎がディープストライカーに搭載されている主砲砲身ユニットから、シゲが迦具土の力で再現した東方非想天則式の爆符「ギガフレア」を参考にした熱線をご褒美としてお見舞いしてあげたり、伊吹がガダルカナルの格納庫から持ち出して、ディープストライカーの腰部に取り付けたMM3仕様の超改造スモールパッケージとMM2R仕様の超改造シーハンターをプレゼントしてあげたりしていたのだった
そんな中新装備をもらっていない翔鶴達はと言うと、自分達が出来る範疇の事を頑張ろうと言う事で空が引き寄せている相手を何とか爆撃したり、長ドスで叩き斬ったりして空の援護をしていたのだった
その結果、ウェーク島からの増援は瞬く間に殲滅されてしまうのであった
「そんで今から戦治郎達と合流するか~って時にだよ、あの通信が入って来たんだわ……」
「あの通信?」
燎の言葉を聞き頭上に?マークをいくつも浮かべるシゲ、どうやらシゲと伊吹はかくれんぼに夢中になり過ぎたあまり通信を聞きそびれたようだ
「聞き逃したのかよ……、いいか?よく聞けよ?」
そう言って燎はシゲに通信の内容を教える、それを聞いた途端シゲは驚愕の表情を浮かべる……。その内容とは、戦治郎達が戦っている海域に先程の倍の数の支持者を引き連れた七瀬が出現したと言うものだったのである……
「あん時摩耶がクソ忙しいって言ってたのはそう言う事かっ!!!」
「そう言う事だ、んで俺達も戦治郎達のとこに急行してた訳なんだが……、その道中でこいつのセンサーが占守達とトラックのの会話と、トラックのが発砲した音を拾っちまってな……。それでつい頭に血が上って俺だけ執務室に突入したって訳よ……」
自身の左腕を掲げながら燎が言う、このディープストライカーのレドームと左腕のマルチセンサーは護謹製のもので、原作のものより性能が格段に上がっている為飛行中の燎が占守達の声を拾う事が出来たのである
「今はそれはどうでもいいっ!!!それよりも早くアニキ達のところに行かねぇとっ!!!」
「っとそうだな!って事で悟、占守の事頼んだぞっ!!!」
「あいよ~、これ以上怪我人出さねぇ為にもよぉ、おめぇらはとっととあいつらのとこ行きやがれってんだぁ」
3人がこの様なやり取りを交わした後、シゲは再び燎のディープストライカーの肩に乗り、戦治郎達の下へと急行するのであった……
その頃、戦治郎達はと言うと……
「……なんだありゃ……?」
ゼッペーとの戦闘中に、突如姿を現した『ソレ』を目の当たりにした瞬間、呆然としながら戦治郎はそう呟くのであった……
『ソレ』は大五郎に匹敵する大きさの人型艤装の様な形をしていた、『ソレ』の事を『人型艤装の様な』と表現したのには理由がある。『ソレ』には大五郎とは違い6本の大きな腕と3つの頭があった為、そのシルエットが余りにも人からかけ離れていた為、戦治郎はこの様な表現をしたのである
「凄いでしょ?貴方のペットの大五郎ちゃんとお友達の光太郎ちゃん、そして部下の護ちゃんのデータをベースに私が作った作品なのよ?」
突然聞こえて来た声に戦治郎達は驚き、すぐさまその声が聞こえた方角に視線を向ける。するとそこには見慣れない水母水姫が1人、ケートスとは異なる外見をした水上バイクに跨っていたのだった
「オラと……」
「俺と……」
「自分ッスか……」
「ええそうよ?貴方達のデータを使って私があの子を作ったの、そしてあの子は『究極の艤装』と言うコンセプトのもと作られたの。凄いと思わない?自分のデータが『究極の艤装』に組み込まれているのよ?そんな貴方達はもっと胸を張っていいと私は思うわ」
大五郎と光太郎と護が思わずそう呟くと、水母水姫は3人に向かってニコリと微笑みかけながらそう答える
「っと、ちょっとお喋りし過ぎちゃったかしら?あっちのゴミもプルプルしながら待っててくれたみたいだしね♪」
水母水姫はそう言うとそれぞれの太ももに取り付けたガンホルダーから2丁のケルベロスを引き抜き……
「さあ『ハデス』、あの理想と現実の区別が付かない世間知らずに、剛と私の存在を否定したゴミ屑にきつ~いお仕置きをしてあげましょう♪」
そう言い放つと同時に彼女は愛用の水上バイクのアクセルを全開にし、彼女が『ハデス』と呼んだ人型艤装の様なものを引き連れて1000匹以上にもなるゼッペーの集団へ突撃を仕掛けるのであった
突然の出来事にその場にいた誰もが呆然とする中……
「君は……、アリー……、なのか……?」
目を見開いて彼女の背中を見送る剛が、思わずそう呟くのであった……