ここから先は戦治郎視点になっていくと思います
目覚めればそこは海上でした
その日はイルミネーションが街を彩り道行く人もカップルや家族連れが多かった、街頭にはそれらをターゲットにしているのか多くの店が店頭販売を行っていた
12月24日、所謂クリスマス・イヴと言う奴である
そんな中、俺達は野郎ばかりで集まってパーティーをやっていた
空は前日に交際相手から別れを告げられ、シゲも半年前に強烈なパンチ貰って振られているし、司は彼女とか作る気が毛ほども無い、通は妹と過ごしたかったようだがその妹はこの時期は忙しいという事で一緒に過ごす事は叶わなかった、他の連中も全くと言っていいくらい女っ気がなく、冬コミに出す作品の仕上げに入っていた同居人ズの1人である護以外は碌に予定がないという状況だったので全員集めてパーティーする事にしたのだ
俺の家の2階の一番広い部屋に集まって、テーブルの上には高い酒と翔が作った料理が大量に並び、各々が飼っているペット達もそこに集められた、ついでに部屋の隅には艦これを起動したPCが1台ありその前にはケーキとシャンパンが置かれていた、ディスプレイに映っていたのは大和、俺の最愛の嫁艦である
作業の休憩がてらこっちに顔を出した護も結局巻き込まれ盛大に呑んで騒いでしていたわけだが、唐突にペット達が慌てたように騒ぎ出したのだ
太郎丸や弥七は俺の服の裾を噛んで出入口へ引っ張ろうとするし、大五郎も他の面子を部屋から押し出そうとする、空の方も飼い猫5匹に、シゲもクロとゲータに引っ張られていたりといった具合だ
酒が回った頭で何事かと思っていれば、突如聞こえてきたスキーム音と部屋を揺らす衝撃、その衝撃のせいだろうか停電を起こして混乱する俺達
状況を確認しようと動き出した瞬間、俺達は全員強烈過ぎる衝撃と熱に飲み込まれてしまっていた……
チャプチャプという普段聞きなれない音が耳に入り意識が朧気に覚醒する、瞼を閉じているにも関わらず眩しさを感じて腕で両目を覆うような動作をしたところで、額に何かが刺さる
「いってぇっ! 何ぞっ!! 何事ぞっ!!!」
その痛みで一気に覚醒して周囲を見回す、するとどうだ、辺り一面海、海、海! さっきまで部屋の中にいたはずなのにどうして海の上にいる……、待った、海の上?
そ~っと下の方を見てみると、見事な双丘とくびれた腰、ドレスの黒いスカートから飛び出た黒タイツを履いたほっそりとした脚、腕には黒いロンググローブと棘の付いた腕輪が付いていてって違う違う今はそこじゃない
今の自分の姿勢は両足を投げ出して海面に手をついて座っている状態、何で俺海の上に座れてるん?
そしてここで改めて自分の身体の変化に戻る、待って何で俺の胸にこんな立派なものが付いてるん? 俺男じゃね? ドレスの胸元を引っ張って中を確認すると何かが挟まっていたとかいうわけでもなく、真っ白で形も大きさも素晴らしい胸部装甲が継ぎ目無くくっついていた
「おおう、失礼しました!」
そう言って顔を背けながら胸元を直す俺、自分の身体なのに謝罪を入れるあたりまだ混乱しているようだ
「まさか、まさかな……?」
嫌な予感を感じながら俺は額に手を伸ばす、この服装に心当たりがあったが確証が持てなかったのでその確認の為だ
指先が何か硬い物に触れる、それは額の左側にだけ付いていて上に向かって長く伸びていた
確定……、どうやら俺の身体は戦艦水鬼になっていた……
「どういう事だよおい・・・・・、何で俺戦艦水鬼になっちまってんだよ……、ってそうだ!他の連中はっ?!」
改めて周囲を見回せば痛みで飛び起きて周囲を見回したときには見えていなかったが、俺の周りに深海棲艦が何匹も浮かんでいた
「ん……」
一番近くにいた空母棲姫が目を覚ましたようなので、駆け寄って声をかけてみる
「おいっ! 大丈夫かっ!」
「ぬぅ……っ!!! ぬぅんっ!!!」
抱き起こしたところで空母棲姫の意識がハッキリしてきたのか、俺の顔を見るなり目を見開き驚きの表情を浮かべた直後、抱き起こされた状態のまま腰と腕の回転を加えた突きを俺の顔面に叩き込む、超痛ぇ!!!
「ぐぼほっ!!!」
「何故艦これの戦艦水鬼がここにいる!」
殴られた衝撃で仰け反る俺にすぐさま起き上がった空母棲姫が言い放ちちょっと変わった構えをとる、あの姿勢からこの威力の突きにあの独特の構えってなると……
「おめぇ……、空か?」
殴られた鼻っ柱を摩りながら相手に聞いてみれば、空母棲姫の眉がピクリと動く、が、すぐに怪訝そうな顔になる
「当たりか、だったらまず自分の身体を見てみな」
そう言われた空と思わしき空母棲姫が言われた通りに自分の身体を確認して驚愕の表情を露わにする
「やっぱそうなるよな~……、因みに俺、戦治郎な」
「なん……だと……っ!」
とりあえず落ち着いてくれたようなのでちょっち状況整理の為話し合うか、そう思ったとこで
「ずぁらあああぁぁぁっ!!!」 「だぁあああぁぁぁっ!!!」
誰かがこっちに殴りかかって来ていた、中間棲姫と重巡棲姫……、中身誰だコンチクショウ!!!
どうやら俺と空が騒いでる声で起きたみたいで、状況がよく分からないまま殴りかかってきたようだ、ついでにその後に水母棲姫、軽巡棲姫、南方棲戦姫、防空棲姫もエントリーしてきて収拾がつかなくなり、結局日が沈み始めるまでこの大乱闘が続いた
尚、軽巡ト級、泊地水鬼、装甲空母姫は安全なところに退避していた、装甲空母姫が泊地水鬼にオーバーな仕種で声をかけていたようだが返事を聞いた瞬間真顔になっていた事から恐らくあの装甲は司だな……
「第1回長門屋波打ち際会議~」
「「「「「「うぇーい」」」」」」
何人か返事してなかったけどまあいいや、全員落ち着いて誰が誰なのか自己紹介した後に現状を整理し把握する為の会議を始める、場所は近くにあった浜辺、海の上でやるよりも落ち着いて話出来る場所でやろうという事で近くにあった小島に上陸したのだ
まあ、結局ここにいる全員が持ってる情報は全部同じようなものだったから状況整理も『何が起こったのか、どうしてこうなったのかが分からない』という結論で終わり、今後どうするかを話し合おうとしたところで、翔が挙手して質問してくる
「あの、今後の方針も大事ですけど、それよりも悟さんと太郎丸達が何処に行ったか知ってる人っていますか? 自己紹介のときも姿見えませんでしたけど……」
俺と空、シゲの顔が真っ青になる、やっべぇあいつらの事スッカリ忘れてた!
3人で海に駆け出し各々のペットの名前を叫ぶ
「太郎丸ー! 金次郎ー! 甲三郎ー! 鷲四郎ー! 何処だー! 大五郎ー! 六助ー! 弥七ー! いたら返事しろー!」
ペット多いから呼ぶの大変
「ワイルド! ヘル! タイガー! 俺は此処だ! ベア! トム! 戻ってこい!」
こっちもかなりの数がいる、全部名前の由来は猫戦闘機だったりする
「クロー! ゲーター! 何処行ったー! おーい!」
ペット持ち勢が必死になって声を張り上げペットの名前を呼ぶ、しかしその声も空しく響き渡るだけで波間に消えていった・・・・・、と思ったところで変化が生じる
戦治郎の右腕に黒い塊が出現し、空の周囲の空間が歪む、そしてシゲの腹部からは重巡棲姫の艤装が飛び出してきたのだ
「ああ、ようやく出れた……、旦那、腕を水平にしてくれないか?」
言われるがままに腕を伸ばせば黒い塊は姿を変えて空へ飛び立つ、そしていつの間にか握っていた爆雷もどきと黒い塊の今の姿を見てピンと来た俺は爆雷もどきを空に投げると、黒い塊はそれを足で掴んでこちらに飛んできて空中に停滞し話しかけてくる
「俺の姿もそうだが、旦那もスッカリ変わっちまったようだな……、まあ気配で分かるから問題ねぇけどな、っと鷲四郎、呼ばれて出てきたぜ」
今の俺の表情は非常に間抜けなもんだろうな……、文字通り開いた口が塞がらなかった
これ、深海のロリ空母や北の痴女が使う艦載機じゃんか……、何で俺の腕から出るんだ? つかこれ鷲四郎なの?!
「鷲四郎、無事って言っていいもんなのか……? とりあえず会えてよかったわ……」
他のペット達がまだ見つかっていないが、とりあえずホッとする、隣の方も
「やっと出れたニャー!」 「というかここ何処だミャ?」 「海が見えるニー!」 「それよりご主人は何処だミー?」 「何かこの人からご主人の気配がするナー」
5匹の猫艦戦が空の周りを飛び回る、恐らくあれが空が飼ってた猫達の成れの果てであろう
「おめぇさんがシゲ……で合ってるんだよな?」
「多分この人がシゲさんで合ってると思うよ? クロ」
シゲのところのワニは艤装になったのか……、腹から出てくるところがちょっち衝撃的だった……
「他のとこは全員揃ってるみてぇだな、後は俺のとこだが……、鷲四郎、何か知ってるか?
「いや、俺はずっと旦那の中らしきとこにいたみたいだからな、すまんが分からん……」
そうか……、もしかしたらあいつらはこのあたりにはいない、もしくはしっかりと天に召されたか……、そう思い残念な気持ちが表情に出そうになったそのとき
「ご主人様ー!」
まさかと思い勢いよく声の方角を見れば、真っ白幼女がこっちに向かって手を振っている、……戦艦水鬼の艤装の上に乗った状態でだ、もしかしてこの艤装って俺のか?
近付いてくる艤装をよく見れば、真っ白幼女な北方棲姫以外にも戦艦レ級のelite、砲台子鬼が乗っており、艤装と並走する浮遊要塞、更に海面には潜水棲姫の頭も見えていた
「気が付いたんだねご主人様! よかった~……、もう目覚めないかもって心配したんだからねっ!」
北方棲姫が俺に飛びつき話しかけてくる、ご主人様って事はこいつは俺のペットの内のどれかになるわけだが……
「すまん、心配かけたな……、それはそうとおめぇは誰だ?」
思った事をそのまま口にする、それを聞いた北方棲姫はプリプリと怒りながら答える
「ご主人様酷い! 見て分からない? 太郎丸、4代目太郎丸だよっ!」
おおう、太郎丸だったか……、4代目を名乗ってるって事は本物だな……
「すまんすまん、本当に分からなかったんだわ、しかし無事で本当によかった……」
太郎丸を優しく抱きしめながら頭を撫でる、えへへ♪っと笑顔を向けて喜ぶ姿が本当に愛らしかった
「金次郎が流されてたから戦治郎のペット衆と一緒に助けに行ってたんだよぅ、っと俺悟な」
海面に姿を現した悟を名乗る潜水棲姫、PT子鬼を抱き上げていたがどうやらこれが金次郎のようで、太郎丸の頭の上に金次郎を乗せる
「さて、金次郎を助けるついでに周囲をちょっとばっかし見て回ったんだがぁ……」
悟が言葉を続ける、どうやら俺達より先に目を覚ましていたらしく、金次郎を助けるついでにこのあたりを偵察してくれたようだ、悟マジ有能
「このへんはどうやら北海のド真ん中のようなんだわぁ、何でこんな小島があるかは分かんねぇが……」
「北海って……、北海道の近くって事ですか?」
翔が尋ねるが悟は首を横に振る
「ちげぇよぅ、ヨーロッパの北海、イギリス、オランダ、ドイツ、デンマーク、ノルウェーに囲まれた海なんだわぁ」
……はい? ヨーロッパだと?