※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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龍と試製甲板カタパルト 下

「よし……、空っ!やれっ!!」

 

「うむっ!」

 

戦治郎の声に合わせる様にして、あれから20回ほど調整したカタパルトを装備した空がカタパルトの上に乗せた艦載機のレプリカを射出する。すると……

 

ペインッ!ガンッ!ゴンッ!ゴトッ……

 

レプリカは空が立っている位置から1m50cmほど飛んだところで落下、2バウンドした後30cmほど床を滑走して停止してしまうのであった……。それを見た3人は……

 

「よっしゃっ!さっきより30cm飛距離が伸びたぞっ!!この調子で後1/8目盛ほど出力上げてみるかっ!」

 

「いやアニキ、1/8目盛上げたところでコレですから、いっそ1目盛ほど上げてみません?」

 

「うむ、俺もシゲの意見に賛成だな……。この調子でやっていたら完成まで何日かかるか分からんぞ……」

 

「ん~……、でもさっきもそれでしくじった気がするんだよな~……、まあいいかっ!んじゃ1目盛上げでいくぞ!」

 

この様にお互いの意見を交え、すぐさま21回目のカタパルトの調整に取り掛かるのであった

 

これまで3人は幾度となくトライ&エラーを繰り返し、何度も壁に叩きつけられたところでようやく1目盛単位で調整していく事を決意し、今は徐々に出力を上げていく方向で調整を行っているのであった。そして……

 

「いくぞっ!」

 

「やってやれ空っ!」

 

「あぁ、怖ぇ!何かめっちゃ怖ぇっ!」

 

21回目の調整を終えたカタパルトで、再度レプリカを飛ばそうとする。空がレプリカをカタパルトにセットし、意識を集中させてカタパルトを作動させレプリカを射出すると……

 

ズゴオォッ!!!ボボボッ!!!ゴガアアアァァァーーーンッ!!!

 

「ゲセヌゥッ!!!」

 

「ヘモジッ!!!」

 

「タシロッ!!!」

 

どうやら出力を上げ過ぎてしまったのか、カタパルトから衝撃波が発生し3人はまたも吹き飛ばされて壁に叩きつけられ、そのカタパルトから射出されたレプリカは凄まじい勢いで工廠の壁に激突、尋常ではない音を工廠内に響き渡らせるのであった……

 

「上げ過ぎたか……」

 

「シゲェッ!やっぱ駄目だったじゃねぇかっ!!!」

 

「サーセン!マジサーセンっしたっ!!!」

 

「しかし俺が初めてやった時よりも幾分かマシだな……、俺が最初にやった時は空気の壁を10枚ほど貫いてたからな……」

 

「何それ怖い……」

 

「ヤベェ……、マジ震えてきやがった……、怖いです……」

 

3人が壁に叩きつけられた時に生じた痛みに耐えながら立ち上がり、今一度集まる為にフラフラと歩きながらこの様なやり取りを交わしていると……

 

「ん……?どしたよ?妖精さん」

 

不意に戦治郎の手の上にいるハンマー妖精さんが、何かを訴え掛けようとピョンピョンと飛び跳ねていた。因みにこのハンマー妖精さんが無事なのは、衝撃波で吹き飛ばされる度に戦治郎が咄嗟にハンマー妖精さんを自分の手の中に収めて庇っていたからである

 

その後何とか3人が集まったところでハンマー妖精さんはカタパルトの方を指差し、自分にカタパルトをよく見させて欲しいと頼み込んで来るのであった

 

そんなハンマー妖精さんの様子を不思議そうな表情を浮かべながら見ていた戦治郎達は、ハンマー妖精さんに頼まれた通りに、ハンマー妖精さんが見易い様にとカタパルトを床に置き、その近くに妖精さんを降ろしてあげる

 

そうしてしばらくの間、ハンマー妖精さんがカタパルトを観察しているとカタパルトの出力調整用の目盛を指差してまたも何かを訴え掛けて来たのである

 

一体何事かと思いながら、戦治郎が目盛をジッと観察すると……

 

「あああぁぁぁーーーっ!!!」

 

何かに気付いたのか、突如大声を上げるのであった……

 

「アニキ、一体どうしたんです?」

 

「何か見つけたのか?」

 

「おめぇら、ここよく見てみろっ!」

 

そんな戦治郎に対して空とシゲが怪訝そうな顔をしながら尋ねてみると、戦治郎は工廠の床に転がっていたルーペを拾い上げるなり目盛のところに当て、2人に見て欲しいと促す。空達は1度顔を見合わせた後、戦治郎に言われた通りにルーペを覗き込むと……

 

「……これはっ!」

 

「はぁっ!?マジかこれっ?!」

 

驚愕の声を上げる2人が見たもの、それは目盛の間に大量に存在する注意して見ないと間違いなく見落としてしまいそうなほどの、それはそれは細かい目盛だったのである

 

「こんなの見落とすに決まってるじゃないですかぁっ!!!一体何なんですかこのちっさい目盛はっ!??」

 

「恐らくだが……、この目盛は妖精さん基準で設定されたものなのではないだろうか……?よく考えれば本来カタパルトは、妖精さんが開発しようとしていたものだからな……。俺も渡された設計図通りに作っただけで、詳細な説明までは受けていなかったからな……」

 

「それで合点がいったわ……、最初見た時妙に目盛の数少ねぇな~とは思っていたが……。んでそれを基準にすると……、俺達が1目盛だと思ってたのは実際は1000目盛分くらいあるみたいだわ……」

 

「「oh……」」

 

こうして調整が極端になってしまう原因が判明したのだが、それと同時に新たなる問題が発生してしまうのであった……

 

「取り敢えずこれで二極スイッチ調整問題は解決すると思うんだが……」

 

「新たな問題として、これを誰が操作して出力調整するかだな……。まず俺達ではこれほど細かいものを精密に調整する事は出来ないと思うからな……」

 

戦治郎と空が考え込む様な仕種をしながらそんな会話をしていると、ハンマー妖精さんがまるで自分がやると言っているかの様に、自分の方に指を指しながら挙手をしていた

 

「お?もしかしてやってくれるのか?」

 

それに気付いた戦治郎がハンマー妖精さんにそう尋ねたところ、ハンマー妖精さんは任せろと言わんばかりに自分の胸をトン!と叩くのであった

 

「これなら正確に目盛を操作出来そうですね、ただ適正な数値にするのにどれだけ時間が掛かるか考えると……」

 

その様子を見ていたシゲが、この様な事を口にしたところで4人が考え込み始める

 

確かにハンマー妖精さんのおかげで目盛を正確に操作する方法は確立出来た、しかしこの4人はカタパルトの出力の適正数値を知らない為、それをまず手探りで探さなければいけないのである

 

そうなると間違いなくとんでもない時間が掛かってしまうのが目に見えている、そう思いながら戦治郎がチラリと時計を見ると時刻はフタサンサンマル、もし適正数値を探す為に妖精さん基準で1目盛ずつ出力を上げ下げしていたら、ほぼ確実に総員起こしの後も作業を続ける羽目になる。そうなると空の工廠引き籠り記録が更新されるだけでなく、自分とシゲにも引き籠り記録が付いてしまう……。それだけは避けねば……、戦治郎がそう考えていたその時だった

 

「手こずっとるようじゃのう」

 

「しr……じゃなかったッス、手を貸そうッス!」

 

「おめぇら……、遅かったじゃないか……」

 

不意に工廠の扉が開き伊吹と護が中に入って来るのであった、そんな2人に対して戦治郎がやや渋い顔をしながらこの様な言葉を掛ける

 

それは15回目の調整を行った時の事である、中々上手くいかない調整に業を煮やした戦治郎がこうなったら技術屋総出でやるべきだと言って、残っていた伊吹と護にまで招集をかけたのである。その時の時刻はヒトハチマルマル、タイミングとしては夕食の時間である。当然の事ながら2人が通信に出た時には既に食事を始めており、2人は口の中の物をモチャモチャ言わせながら戦治郎の応援要請に答えるのであった

 

その後、後から来た2人に現状を説明してこれからどうするかについて話し合おうとしたところで……

 

「そのカタパルト、ちょいとワシに見せてもらえんか?」

 

伊吹が挙手をしながらそう言ってきたので、戦治郎がそれを承認し空が伊吹にカタパルトを手渡すのであった

 

「……ふむ、なるほどのう……。え~っと……、確かハンマー妖精さんじゃったか?ちょいと目盛をワシが言う数値のところに合わせてもらえんか?」

 

カタパルトを眺めていた伊吹が突然そんな事を言い出す、そんな伊吹の言葉に疑問を抱きながらも妖精さんは伊吹の言う目盛のところに数値を合わせる。そして……

 

「空さん、ちょいとこれで1度試してもらえんか?」

 

「あ、ああ、分かった……」

 

ハンマー妖精さんが数値を伊吹が指定したところまで動かしたところで、伊吹がそう言いながら空にカタパルトを手渡す。それに対して空は困惑しながらもカタパルトを受け取って装着、言われた通りにカタパルトを使ってレプリカを飛ばしてみると……

 

バシュゥッ!!!……ガツゥンッ!ガンッ!ゴンッ!ゴトッ……

 

何と今までの豆鉄砲やレールガンの様な射出が嘘だったかの様に、レプリカは空達が頭の中に思い描いた通りにカタパルトから射出され、勢いを保ったまま工廠の扉に激突するのであった

 

「beautiful……」

 

その様子を見ていた空が、思わず物凄く綺麗な発音でそう呟き……

 

「「……はいぃ?」」

 

戦治郎とシゲが某特命係の係長の様な発音でこう言いながら、目を丸くして2人同時に伊吹の方へと視線を向けるのであった

 

「伊吹ぃ……、これは一体どういう事ッスか……?」

 

戦治郎達が今正に心の中で思っている事を、護が代弁して伊吹に尋ねる。すると伊吹は……

 

「ん?ああ、そう言えば海賊団の面々にはまだワシの能力について教えとらんかったのう」

 

あっけらかんとした様子でそんな事を言うのであった、それを聞いた戦治郎達がざわつき出すのだが、伊吹はそれを無視して話を続ける

 

「ワシの能力は架空の兵器の再現なんじゃ、今のもそれを使って出力の適正数値を割り出した感じじゃな。因みに総本山の戦車群は全部ワシが能力を使って、メタルマックスシリーズに登場した戦車を再現して作ったものなんじゃ。まあそれが今のワシの限度なんじゃが……、もし能力が成長したら、もしかしたら前に無理だと言っとった原寸大のガンダムも作れるようになるかもしれんのう!」

 

そう言って伊吹は高笑いを始めるのだが……

 

「おっま……、それ先に言えやあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

戦治郎がそう叫びながら伊吹に飛び掛かるなりヘッドロックを仕掛け、頭頂部に拳を突き立ててグリグリとし始め……

 

「俺達がこれまで頑張って来たのは何だったって言うんだよ……?」

 

シゲがそう呟きながらガックリと肩を落とすのであった……

 

「あの~……、もしかして自分が来る必要無かったんッスか……?」

 

「いや、実はこのカタパルトに合わせてある物を作りたいと思っているんだ。護はその手伝いを頼む」

 

「あいあいさ~、そう言う事なら自分来たのは無駄にならないッスね」

 

「だな、っと……、そろそろ戦治郎を落ち着かせて次の作業に入るか」

 

そんな中、護と空はこの様なやり取りを交わした後、空は戦治郎を落ち着かせ、護はシゲを立ち直らせてから次の作業へと移行するのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、工廠の妖精さん達の看病をしていた翔鶴はと言うと……

 

「すぅ……すぅ……」

 

工廠の妖精さん達の看病で疲れてしまったのか、空の居住スペースで布団も敷かずに眠ってしまっていた

 

そんな彼女の腕の中には看病中に偶然見つけたのだろうか、空が寝る前にちょっとしたメモを入れながらちょくちょく書き、居住スペースの隅に置いた棚の中に保管していた試製景雲(艦偵型)、噴式景雲改、橘花改の設計図が、それはそれは大切そうに抱きしめられていたのであった……




伊吹の能力、戦闘向けの奴にしようと思っていましたけど急遽変更、この様な形になってしまいました……

そして最後の噴式の設計図、これは空の規格で設計図が引いてあります。この世界の妖精さん達は、まだ噴式の開発の企画すら立ててないと言う……。まあカタパルトですら企画段階ですからシカタナイネ……
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