「いいかぁ? 今俺達がいるのはここなんだわぁ」
悟が何処からか持って来た世界地図を広げて現在地を指差す
「日本遠っ!」 「うわぁ……」 「自分達、何でこんなとこにいるんスか……」
皆それぞれ感想を述べる、しかし俺はそれよりも気になる事があった
「なぁ悟、この地図どっから持って来た? 後ここが北海だと言い切れる理由はなんだ?」
この地名が英語で書かれたしっとりした世界地図の出処と悟がここをヨーロッパの北海だと断言した理由がどうしても気になってしまったのだ
地図に使われている文字が英語ならアメリカの近くの可能性もあるし北大西洋の何処かかもしれない、オーストラリアあたりだったりもするだろう、しかし悟は北海と言い切った、これが非常に気になるのだ
「これの出処かぁ? そりゃ海の中、海底に沈んだ船の中よぉ、俺が今何の姿してるか分からんわけじゃないだろぉ?」
今の悟の姿は潜水棲姫、なるほど、沈没船から失敬してきたわけか
更に悟は言葉を続ける
「おめぇらがスヤスヤ寝てる間に目が覚めちまってなぁ、色々試すついでに地図を探したわけなんだが、状態いい奴探して色んな船の中入ったらノルウェー語の奴やドイツ語の奴やら、ヨーロッパの言語大集合なわけよぉ、ってこれも最初から出しときゃ良かったのか」
そう言って悟が取り出したのは北海に関する各種海図、おいィそれを先に出せよぉ……
「OK、そんなんあったら間違いなくここは北海だな、場所は分かったわけだが……、問題はこれからどうすっかだわな……」
「ん? 日本に帰るんじゃねぇのか?」
輝が聞いてくる、そういやこいつと剛さんは艦これやってなかったな……、皆知ってるって事で話進めてたわ、ちょっち反省……、でも剛さんは表情見る限りさっきの俺の発言の意図分かってくれてるみたいだ、
「輝、おめぇ俺らが今まで生きてきた中でこんな姿した生物が発見されたって話聞いた事あるか?」
「ねぇな、けどおめぇらはこの姿はあれだ~とかなんだ~とか言ってたじゃねぇか、って事はこの生物の事何か知ってんだろ?」
「あぁ知ってる、知ってるけどな……、この生物は実在しないはずなんだわ、所謂架空の存在、ゲームや漫画の登場キャラなんだよ、OK?」
「はぁっ!? って事はあれか? 俺らはゲームや漫画の世界にでも来ちまったとでも言う気か?!」
そりゃあ驚きもしますわな、多分全員内心驚いてるだろうからな、そしてある事実を輝に伝えなきゃいかんのが心苦しい……
「そこらへんは情報が足りな過ぎてまだ何とも言えねぇ、だがこれだけは間違いないと言えるのがある……」
輝が固唾を飲んで見守る、多分あいつも嫌な予感がしてるんだろうな~……
「もし、この世界がこのキャラ達が出てくる世界だったら、俺達は全員人類の敵として人類から攻撃されるだろうって事だ……」
「ざっけんなコラあああぁぁぁっ!!! ホント一体どういう事か説明しろやっ!!!」
輝さん、激おこプンプン丸ですわぁ……、まあ、そうなるな……、とりあえず輝を落ち着かせて深海棲艦の事とついでに艦娘の事を説明する事にした
「マジかよ……、このまま戻っても日本の軍隊にやられる可能性とかあんのかよ……」
「最悪の場合、今この場にいるだけでもイギリス、フランス、ドイツから艦娘がこちらに差し向けられる可能性もあるぞ」
絶望する輝に追い撃ちをかけるように空が告げる、イタリアが入ってないのは地理的な問題もあって除外したのだろう
「何をするにしても、まずは情報が欲しいところッスよね~、このままじゃホントに何にも出来ないッスよ?」
護が言う、確かにその通りだ、まずはこの世界が今どうなっているのか知る事が重要だ
「しかし、どのようにして情報を集めるのですか? 迂闊に上陸しようものなら確実に攻撃される事でしょう」
「艦娘とやり合うのは正直勘弁して欲しいよな……、俺らはプレイヤー側、艦娘を指揮する側だったから愛着やらなんやらあるからやり辛くてたまんねぇよ……」
通、シゲが続く、本当にそうだよな~……、もし大和とか出てきたら俺、自沈すっかもしんねぇ……、空が翔鶴に会ったりしたら……、ダメだ想像つかん……
「情報だったら艦娘ちゃん達から聞いちゃえばいいんじゃないです? この超イケメンな俺様もいる事だし、一声かけたら欲しい情報ドンドンもらえちゃったりしません?」
「今のお前は装甲空母姫変わってしまってて男のときと同じような事は出来ないだろう……、いつもの調子で話しかけたら間違いなく撃たれるぞ?」
司の発言に光太郎がツッコむ、間違いなく変な装甲空母姫に口説かれたとか通信回されてボコボコにされるだろうな……、しかし艦娘から情報をもらうのは手としてはアリかもしれん、問題はどうやってそれを許してもらえるほどの信頼を得るかだが……
「何とかしてどこかの国に入れないかしらねぇ? 流石にアタシや藤吉ちゃんはすぐにバレちゃうだろうけど、戦ちゃんや空ちゃん、通ちゃんなんかはちょっとオメカシしたら上手く溶け込んで情報集め出来ると思うんだけど~……」
「そういうの、通が得意だったよね? 確か忍者の末裔だったとか中学のとき聞いた気がするんだけど?」
剛さんがどこかの国に侵入する場合を想定してうんうんと唸っていると、翔が何かよく分からん事を言い出してシゲ達同級生ズ以外の懐疑的な視線が通に集中する、あの真面目な通にもそんな時期があったのね……
「ですね、家系図を見せてもらったときは綾共々驚いたものです……、まさか父方が徳川に滅亡させられたはずの風魔の生き残りの子孫だったとは夢にも思いませんでしたよ……、先祖が遺してくれていた書物の内容は有意義に使わせてもらったものです」
え……、マジなんそれ……? 俺はキャリア組とのいざこざで警察を辞めさせられた事くらいしか知らんぞ? って事は君はあれか? 二刀流侍で忍者な元警察官なの? 外国人にモッテモテじゃね? プリンツとかアイオワが聞いたら黙ってねぇだろうな……
「だったら潜入するときは戦ちゃんと通ちゃんにお願いしちゃおうかしら? そんで空ちゃんは戦ちゃんの代わりにアタシ達の司令塔で♪」
あ、いつの間にか俺リーダーになってる、いやまあ俺は皆の雇用主だけどそれでいいの?
「あ、あの、し、深海棲艦のす、姿をしているから、し、深海棲艦にき、聞くのはど、どうですか? な、仲間だとお、思ってお、教えてくれるかもし、しれませんし……」
おずおずと挙手して藤吉がゆっくりと意見する
「「「「「「「「「「「それだっ!!!」」」」」」」」」」」
11人一斉に声上げると凄ぇな……、それはそうと藤きっちゃんナイスアイデア! そうだよ今俺ら深海棲艦になってんじゃん! だったらそっちに話聞いてみて隙見て逃げればいいだけじゃん! 可能だったらそこのボスの首持ってどっかの国と交渉してもいいな!
……上手くいけばの話だけどな、ぶっちゃけ俺らはこの姿にまだ完全に慣れたわけじゃねぇからどう戦えばいいか分かったもんじゃねぇ、最悪殴り合いだが有効打になるだろうか?
「取り敢えず、まずは深海棲艦探して情報聞き出すか、俺らの姿から考えっと恐らく実在するだろうからな、ブラブラしてたらカチ合うだろうよ」
「戦治郎、今からやる事は決まったが最終目標はどうする?」
空よ、そんなの態々聞く事か?
「最終目標? 今のとこの最終目標っつったら日本に無事戻る事だろ!!!」
「おめぇさんならそう言うと思っていたわなぁ、まあそこらへんはまず今の世界情勢やら調べてから、都度話し合って変えていけばいいだろうよぉ」
んだな、臨機応変に対応すんのは大事大事
「それはそうとおめぇさんら、艤装やらの使い方って分かってるか?」
悟がここで話題を変えてくる、そういや艤装関係まともに触れてなかったな……
俺らは艤装が無くても海の上に立つ事は出来るようだが、海上移動が楽になる事や身体強化の都合上使うべきとは悟の談、ものは試しでやってみたところ陸上型の奴らは海上移動に関しては艤装無しのときとあまり変わらないという結果が出た
その後は先行して色々試していた悟にレクチャーされながら艤装の使い方の勉強会と実践、終わったところで腹が減ってきたのでそれぞれ別れて食材探しである
海藻、魚、貝ばっかりの食卓だったよ……、まあこんなちっこい島に野生動物なんかいねぇわな……
さて、飯も食った事だし明日に備えて寝るか……、しかし、妙に胸騒ぎがするのは何なのだろうか……、まあ、今考えても仕方がない、そう思って俺は浜辺に寝転がって静かに瞳を閉じるのだった