※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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銀の龍

川内達の準備が終わり、泊地に残った空達の救援に向かう為に5人がブインを出ようとしたところで、ブインの艦娘が異様なものが基地に迫って来ているとブインの提督に報告して来るのであった

 

その時ブインの提督は川内達を見送る為に埠頭に出ていた為、川内達はその報告を偶々耳にする事となり、内心で舌打ちしながら報告の中にあった方角に視線を向ける

 

するとそこには『医者』と書かれた麻袋で頭部を覆った上でピポヘルを被った何かをリヴァイアサンの後部座席に乗せた光太郎、グスタフドーラ以外の砲を放水砲に換装した大五郎と戦治郎、そして全ての砲を放水砲に換装しお決まりのポージングをしながら海面を滑る様にして進むサムソン、アドン、バランを連れたリチャードの姿が見えるのであった

 

「嫌あああぁぁぁーーーっ!何なのあの珍集団っ!?いや、戦治郎さんは今日会ったから分かるけどっ!!!それ以外の面子は一体何なのよっ?!ヤバイヤバイヤバイってっ!!!マジ怖いんだってえええぇぇぇーーーっ!!!」

 

その異様な集団を目にした提督が狂乱し所属する艦娘達に攻撃指示を飛ばそうとするのだが、それは川内達の必死の説得で何とか回避され、その間にもブイン基地に接近して来ていた珍集団は、無事にブイン基地に入港、上陸するのであった

 

 

 

「いや~……、お騒がせしてホント済みません……」

 

「全くだよ……、来るなら連絡の1つくらいしたら良かったのに……」

 

先程の騒ぎについて謝罪する戦治郎に、川内が呆れ気味に言葉を掛ける

 

「いえ……、私もすぐに混乱してしまって申し訳ないです……。もし川内が説明してくれなかったら、皆さんに対して攻撃指示を出してしまうところでした……」

 

「あ~……、いや……、それは仕方ないんじゃないですかね~……?」

 

戦治郎の謝罪を受けた提督が縮こまりながら言ったセリフに対して、光太郎が自分達が連れて来たものに視線を送り、苦笑しながらそう返す

 

「んなこたぁどうでもいいんだよぉ、それより光太郎よぉ、早く俺を怪我人のところに連れて行きやがれってんだぁ」

 

戦治郎達のやり取りを聞いていたMr.ピポヘル麻袋こと悟が、そう言って自身の手を伸ばし光太郎に自分を怪我人のところに連れて行く様に急かす

 

何故悟が麻袋を被っていたのか、それは戦治郎が現状把握の為に先行させた鷲四郎から、ショートランド泊地が炎上している事を伝えられたからである

 

戦治郎達は泊地哨戒艦隊の通信を聞いたところで、すぐに鷲四郎を偵察に向かわせ準備を進めるのだったが、鷲四郎から泊地が炎上した事と川内達が奇襲を受け負傷者を多数出してしまった事を聞くと、ヌ級討伐より負傷者の救助を優先する方向に方針を切り替え、それに合わせて装備の換装を行った為出撃に時間がかかってしまったのである

 

この時、鷲四郎が川内達の救援に入らなかったのは、焦った戦治郎が鷲四郎を武装するのを忘れて発艦してしまったからである。この件については、既に戦治郎が川内達に謝罪し、川内達からは許しを得ているのだが……、後からこの事実を知った空からはしっかりとお仕置き(物理)が実行されるのであった

 

話を戻す、負傷者が出てしまったという事で、悟を連れて行かざるを得ない状況になってしまった訳だが、ここで1つ問題が発生してしまった

 

悟を負傷者がいるブインに連れて行くには、ルート上どうしても炎上するショートランド泊地の近くを通らなければいけないのである。しかし悟は炎にトラウマがあり、1度炎を見てしまうとしばらくの間身を震わせながら嘔吐を繰り返し、行動不能になってしまうのである……

 

それをどうやって回避するかを話し合った結果、悟に目隠しをしてブインに連れて行く事が決まり、悟は炎対策として麻袋を被せられてブインに連れてこられたのである

 

光太郎が悟を入渠施設に連れて行っている間に戦治郎は鷲四郎の武装を完了させ、リチャードはブインの提督に改めて自己紹介をして提督を凍り付かせ、光太郎が戻って来たところで川内達と合流し、共にショートランド泊地に向かおうとしたのだが……

 

「あ……?何じゃありゃ……?」

 

戦治郎が何かを見つけて声を上げ、その声に従う様に他のメンバーが戦治郎が見つめる方角に視線を向ける

 

その視線の先には燃え盛る泊地から赤、青、紫の3匹の光の龍が螺旋を描きながら天へと昇って行くと言う何処か幻想的な光景が存在していた

 

「綺麗……」

 

「確かに綺麗だけど……、あれは一体……ってっ!?」

 

その光景に見惚れていた雲龍が思わずそう呟き、それに反応した光太郎が疑問を口にしようとしたその時だった、今度は泊地から巨大な炎の鳥が翼を大きく広げて飛び上がり、龍達の中心点目掛けて急降下を開始したのである

 

その光景を目の当たりにした者達は思わず驚愕し、一斉にざわつき始める。一体泊地で何が起こっているのか……、この現象は誰かが人為的に引き起こしているのか……、誰もが疑問に思っていると……

 

「……っ!?何か来るぞっ!!!気を付けろっ!!!」

 

全身に鳥肌を浮かべた戦治郎が、鬼気迫る表情を浮かべながらそう叫んだ。と、その直後である

 

泊地からそれはそれは巨大な、銀色に輝く龍が姿を現すなり、こちらに向かってその大きな口を開きながら水平に、粉塵と化したコンクリートの破片や土砂、水飛沫や少量の肉片をその身に纏いながら飛翔して来たのである。その飛行速度も非常識としか言いようが無いくらいに速く、あの光太郎ですら反応出来ないでいたのである

 

幸い、銀色の龍は基地の敷地を掠めるようにして何処かへ飛んで行ったのだが、龍が通った跡はそれはもう凄惨としか表現出来ない状態になっていた

 

海はバックリと割れて海底を露出し、陸地は完全に削り取られ、そこに周囲の海水が流入し地形を変えてしまっている。ラハラ湖があった場所も、今はスッカリ海となってしまっていた……

 

「戦治郎、あれは一体何だと思う?」

 

龍を目撃した者達全員が呆然とする中、リチャードの声が辺りに響き渡る。それが合図になってしまったのか誰もが一斉に我に返って大混乱が発生し、ブイン基地は悲鳴と怒号と黄金水が溢れる地獄と化すのであった

 

その後何とか事態を鎮静化させた戦治郎達は、この混乱の原因となった龍の発生場所であるショートランド泊地へ空の救援と調査の為に急行する。その際、戦治郎が自身を奮い立たせる為にレスキュー用BGMだとか消防士応援ソングなどと称される歌を歌い始め、それに光太郎が乗っかって一緒に歌い始め……

 

「爆裂的に鎮火せよとか言ってたけど、出火原因ってその歌なんじゃないかな?」

 

こんな具合にリチャードにツッコミを入れられるのであった

 

そんな事をしている間に戦治郎達はショートランド泊地に辿り着き、上陸するなり辺りを見回して空を探す

 

「ぬ?戦治郎達か……、こっちは終わったぞ」

 

声が聞こえた方を向いてみるとそこには空と夕立の姿があり、その後方には翔鶴と負傷した源夫妻の姿が確認出来た

 

負傷した源夫妻を悟に診せる様にと指示を出して川内達に預け、戦治郎達は急いで泊地の消火作業を開始、その時に戦治郎が消火作業の傍らに空に先程戦治郎達が目撃した現象の事を尋ねると、空の口から思いもしない返答が返って来るのであった

 

「あれか……、あれは俺が使った【三龍旋】、【真アル・フェニックス】、【龍神烈火拳】のエフェクトだが……、何かあったのか?」

 

その言葉を聞いた戦治郎達は思わず作業の手を止め、愕然とした表情を浮かべながら空の顔を注視する。そして我に返ったところでそれがどの様な事態を引き起こしたかを空に教えてやると、空は顔を真っ青に染め上げて慌てふためき出すのであった……




次回、事の真相が明らかになります
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