「ぽいぽいぽいぽいぽいぃ!!!」
ヌ級と夕立、お互いがお互いに向かって突撃を仕掛ける中、夕立がその手に持った12.7cmB型砲を乱射する。ヌ級はそれを両腕で防ぎながらも更に夕立との間合いを詰め……
『らあぁっ!!!』
夕立が自身の間合いに入った途端、夕立に向かって拳を突き出す。自身目掛けて打ち出された高速の拳を目にした夕立は、迫りくる拳に向かって飛び上がりながら前方回転、空中でヌ級の腕を掴んでその上で逆立ちの様な姿勢になったところで
「ぽぉいっ!」
夕立は戦治郎達によって付けられ、空の【流星蹴り】を受けた際に再び開いてしまったヌ級の頭部の傷痕目掛けて蹴りを放つのであった。夕立のこの蹴りは流石にヌ級も予想外だったようで、思わず驚愕し固まってしまい碌に対処出来ないでいたのであった。そして夕立の蹴りはそのままヌ級の傷痕に直撃し……
『あがあああぁぁぁっ!!!』
夕立の足にブヨブヨした感触が伝わった直後にグチュリッ!と言う音が辺りに響くと同時に、ヌ級が痛みに耐え切れなかったのか凄まじい音量で絶叫する
「今の、すっごく気持ち悪かったっぽい~……、っとこれはオマケっぽい!」
夕立はそう言うと片手でB型砲を、先程夕立が蹴りを叩き込んだヌ級の傷口目掛けて発射し、その反動を利用してヌ級の間合いから離脱するのであった
『このガキャあああぁぁぁーーーっ!!!』
怒りの咆哮を上げながら、ヌ級が夕立の方へと駆けだそうとするのだが、いくら足を動かしてもその身体は一向に前に進まない。ヌ級がそれを怪訝に思ったところで……
『捕まえたぞ、化物』
ヌ級の背後から声が聞こえた、ヌ級が驚いて自身の背後に視線を向けるとそこには自身の腰に両腕を回した空の姿があり……
「いくぞおおおぉぉぉーーーっ!!!」
その掛け声と共に、空はヌ級にジャーマンスープレックスを喰らわせ……
「1往復っ!!!」
そう叫んで上半身の力だけで姿勢を戻し、空中でヌ級を持ち替え、今度はパワーボムをお見舞いする
「まだだあああぁぁぁーーーっ!!!」
空はそう叫び、ヌ級の身体を持ち上げるとまた空中で持ち替えて、再びジャーマンスープレックスを叩き込む。それを同じ様に何回も繰り返し……
「ぬうううぅぅぅんんっ!!!」
6発目のパワーボムを投げっ放しパワーボムに切り替え、空はヌ級をこれまで以上の勢いで地面にたたきつけ、コンクーリートで舗装された地面をべっこりと陥没させるのであった
その後、空は駆け寄って来た夕立とハイタッチを交わし
「この技、修行の時も見たけどやっぱり凄いっぽい!え~っとぉ……、確か【ロコモーションG】だったっぽい?」
「ああ、確かにそうだが……、その前に夕立の【カポエラキック】がヒットしていたから……、そうだな……、連携技《カポエラG》と言った名前になるだろうな」
この様なやり取りを交わしていると、今まで沈黙していたヌ級がピクリと動く。それに気付いた2人はすぐに後方へと飛び退き、ヌ級との距離を空け警戒するのであった
『何でだよ……、何でどいつもこいつも俺の邪魔ばっかしやがるんだよ……』
よろめきながら立ち上がるヌ級が、力ない声で呟く
『俺はただ、飯喰ってるだけだろうがよ……、それの何処に問題が……っ!あるってんだよおおおぉぉぉーーーっ!!!??』
その呟きはヌ級が言葉を重ねる毎に、ヌ級の体力が戻るに連れて力強いものへと変わっていき、最後は最早咆哮と言っても差支えが無い程に力強く、大きなものになっていた
『おめぇらだって牛や豚喰ってんだろうがよおおおぉぉぉーーーっ!!!ただそれが人間に変わっただけでっ!!!何でこんな仕打ち受けなきゃなんねぇんだよおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーっ!!!??!?!』
更に絶叫するヌ級の姿を、空と夕立はただただ静かに傍観する。尤も、夕立の方は英語が分からない為ヌ級が一体何を言っているのか理解出来ず、頭に疑問符を浮かべながら黙っている事しか出来ない訳だが……
『今回もただ他のとこ行く前の腹ごしらえなのにっ!!!景気付けに銀髪女と同胞とハラキリ野郎喰ってっ!!!気分よく出発しようってだけなのn『もういい……、黙れ……』あぁっ?!!』
尚もヌ級が叫び続ける中、今までヌ級の言葉を静かに聞いていた空が遂に沈黙を破って口を開く。それにヌ級が反応を示したところで空が言葉を続ける
『貴様に人としての教養も道徳も、人間に対しての愛情も無い事がよく分かった……』
空がそう言った刹那、彼の全身がキラキラと輝き始めると同時に黄金色の闘気が彼の身体を覆い尽くしていく。闘気が空の身体を覆い尽くしたところで、今度は徐々に球状に膨れ上がっていき……
『貴様の生まれの事を剛さんから聞いて、多少なれど同情した……。だが……』
空がこの言葉をその口から紡いだところで闘気の膨張が止まり、今度は空の全身の筋肉が膨れ始めるのであった
『だからと言って、それが許されると思うなっ!!!』
空がそう叫んだ次の瞬間、空はヌ級にショルダータックルを喰らわせ、己が纏う龍気と闘気を同時にヌ級の身体の中に流し込む
『があぁっ!!!』
『自然界では共食いは確かにある!だがそれが許されるのは飽くまで自然界の、野生動物の世界の中だけだっ!!!』
空の【タイガーブレイク】の直撃を受けたヌ級が苦悶の声を上げる、そんなヌ級に向かって空はそう叫び、ヌ級に叩きつけた肩とは逆の腕に闘気と龍気を送り、その2つの気を上手い具合に混ぜ合わせ練り上げながら、その腕を引く
この時、夕立と負傷した日向の傍にいた翔鶴は、空の身体から『一撃必殺』の文字が浮かび上がって来るのを目撃するのであった
『そんな獣の常識をっ!!!人間の世界に持ち込むなっ!!!』
その叫びと共に空は2つの気を織り交ぜ纏わせた拳を、ヌ級の腹に勢いよく叩き込み先程と同じ様にヌ級の身体の中に気を流し込む。すると……
突如ヌ級の全身が幾度となく爆発し始める、それにより夕立の魚雷攻撃で千切れかけていたヌ級の舌が完全に千切れて宙を舞い、爆風によって何処かへと吹き飛ばされてしまうのであった……
しかしそれでも空は止まらない
『人間が人間の世界にいるのは当たり前だと思ったか……?自分の事を人間だと今でも思っているのか……?』
ヌ級に【羅刹掌】を打ち込んだ空がそう言った直後、今度は何と空が分身しヌ級を取り囲み始めたのである
『もしそうだと言うならばっ!!!それは大きな間違いだっ!!!』
分身して増えた空達が一斉にそう叫ぶと、空達はヌ級を取り囲んだまま、凄まじい速度で幾度となくその両の拳を叩き込み出す
『人間を喰った人間が……』
【千手観音】をヌ級に叩き込み終えた空は、分身を戻しながら一言ポツリと呟くなり天高く跳び上がり……
『人間でいられると思うなっ!!!』
ヌ級の頭上で横方向に高速で回転し始め、それがやがて竜巻を生み出してヌ級を取り囲むと空は急降下を開始、竜巻によって打ち上げられそうになっているヌ級に対して、竜巻の流れに乗って高速でヌ級の周囲を回りながら拳と蹴りのラッシュを叩き込み、ヌ級の身体を幾度となく地面に叩きつけるのであった
その際、ヌ級の艦載機がその竜巻に飲み込まれ、かなりの数が墜落してしまうのであった
【スカイツイスター】で発生した竜巻が消えると、そこには地に伏せたヌ級と空の姿があった。今までの空の必殺技ラッシュを見て、思わず呆然としていた夕立が我に返ってその光景を目にしたところで、空の下に急いで駆け寄ろうとするのだが空がそれを片手で制す。その直後にヌ級がフラフラとしながら立ち上がろうするのだが……
『人間を喰った人間……、人はそれを……っ!』
立ち上がろうとするヌ級に対して、空が飛び掛かる様にして飛び回し蹴りを叩き込んでヌ級の残っている目を蹴り潰し
『鬼っ!!』
ヌ級の左後方に着地と同時に今度はヌ級の右後方に向かうようにして飛び後ろ回し蹴りを放ち、ヌ級の腕をへし折る
『若しくは化物と呼ぶっ!!!』
空はまたも着地と同時に今度はヌ級の右後方から飛び回し蹴りをお見舞いして、残った腕もへし折りながらヌ級の正面へと戻るのであった
『人を家畜の様に喰らって来た貴様はっ!!!既に人間の枠組みから外れているのだっ!!!』
空がそう叫ぶと同時に勢いよく両手を打ち鳴らす、するとどうだ、先程空が飛び蹴りを放った時に通った軌道が輝き始め、そこから赤、青、紫の龍が出現しヌ級を中心に螺旋を描きながら天高く上昇し始めると同時に、ヌ級の身体も天高く持ち上げ始めたのである
『そんな貴様と俺が同胞だと……?』
【三龍旋】で生み出されちゃ光の龍達を見送りながら空がそう呟くと、空の身体が何の前触れもなく突然燃え始める。その光景を目の当たりにした翔鶴と夕立が慌て始めるがまたも空が片手で制し、空は炎上しながら天高く跳び上がる
『馬鹿も休み休み言えっ!!!』
空が跳躍でヌ級より高い位置まで上昇したその直後、空を覆っている炎が巨大な火の鳥の姿に変わっていき、空の叫びが辺りに響き渡ると同時に空の身体を包む火の鳥が、その翼を大きく広げて急降下を開始、ヌ級に激突する
この時【真アル・フェニックス】を発動させた空はヌ級と激突するのに合わせて空中でマウントポジションをとり、その状態のまま地面に激突し、コンクリートで舗装された泊地の地面を粉砕するのであった
『俺はこれまで何度も言ってきたはずだ……』
空がそう呟いたところで、これまで翔鶴の事を守っていたライトニングⅡとテキサスが空の下に戻り、空の腕に再装着されると同時に龍気と闘気が流し込まれ、5本爪の龍の腕の様な形をした気を纏い始める
『俺の事を同胞と呼ぶなとっ!!!』
空はそう叫んだ瞬間、マウントポジションのまま龍の腕の様な気を纏ったその両腕で、凄まじい速度のラッシュをヌ級の顔に叩き込み始める。空の拳と地面の間を尋常ではない速度で何往復もしていたヌ級の頭部は、やがてグチャグチャと言う音を立て始めるのであった
『俺は……、誰がなんと言おうと……』
空がラッシュを止め、ヌ級に最後の一撃を喰らわせようと右腕を引き、これまで以上に大量に龍気と闘気を右腕に流し込み、これまで以上に丁寧に混ぜ合わせ、これまで以上に丹念に練り上げる
この時、夕立と翔鶴は空の身体から巨大な銀色の龍が出て来る瞬間を目の当たりにし、愕然とするのであった
そして……
空の絶叫と共にアッパー気味に打ち出された右腕は完璧にヌ級の顎を捕らえ、ヌ級の頭部を粉砕し辺りにその肉片を盛大にばら撒く。その際銀の巨龍が空の腕の動きに合わせて真っ直ぐ射出されたのだが、空はヌ級の頭を粉砕出来た喜びで頭が一杯になり、巨龍の存在に気付けないでいたのであった……
空が最後にヌ級に放ったこの技、【龍神烈火拳】がきっかけとなり、石川 空は日本海軍内で【鋼鉄の龍神】と呼ばれ恐れられる様になり、空に纏わる話は『龍神伝説』、空が普段から寝泊りしている長門屋鎮守府の工廠は『龍の穴』と呼ばれる様になるのであった