きっと過去編3章ほど長くはならないはず……
絶望との邂逅
ハワイ諸島のオアフ島はホノルル近海にて、戦治郎は対峙する北端上陸姫及び戦艦水鬼改と激しい攻防を繰り広げていた
「死ねえええぇぇぇーーーっ!!!長門 戦治郎おおおぉぉぉーーーっ!!!」
まるでこの世の全ての恨み辛みを込めた様な叫びを上げながら、北端上陸姫がその手に握ったエストックで、嵐の様な突きを繰り出して戦治郎に襲い掛かる
「アルバート!いくら何でも根に持ち過ぎだろっ!!!もうお互い30だろうがっ!!!25年以上前の事何時までも引き摺ってんじゃねぇよっ!!!」
戦治郎も負けじと叫び返しながら、アルバートと呼んだ北端上陸姫の突きを全て躱して見せる
「黙れえええぇぇぇーーーっ!!!お前があんな事しなければっ!!!父さんの会社は倒産する事もなかったはずなんだっ!!!僕があんな屈辱的な日々を送る必要なんてなかったはずなんだあああぁぁぁーーーっ!!!」
「それぜってぇ俺関係ねぇだろっ!!!いくら俺がガキの頃に一緒に来ていた空と天音の事馬鹿にしたお前の事社交パーティーの会場で投げ飛ばして、そのショックでお前が大衆の面前で小便漏らしたからって、それだけでお前の親父さんの会社が潰れるわきゃねぇだろうがよぉっ!!!」
「があ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ーーーっ!!!」
戦治郎とアルバートがこの様なやり取りを交わし、激昂したアルバートが怒りに任せてエストックを振るい、それを戦治郎は紙一重のところで躱す。と、その時……
「ごおおおぉぉぉーーーっ!!!」
戦艦水鬼改が、海面を揺らすほどの雄叫びを上げながら、その手に持った巨大な薙刀を横薙ぎに振るい、アルバート諸共戦治郎を叩き切ろうとする
「「ずおおおぉぉぉっ!!?」」
それに気付いた2人は、まるで呼吸を合わせた様に同時にしゃがみ、戦艦水鬼改の薙刀を回避するのであった
「そこの戦治郎モドキッ!!!一体なんのつもりだっ!!?」
「おいコラヘモジーッ!!!おめぇもおめぇでいい加減しつけぇよっ!!!武人なら武人らしく、いっぺんやられたら大人しくしてやがれっ!!!」
「今の攻撃を避けるかっ!流石は俺を1度倒した漢っ!!!さあこのまま死合おうぞっ!!!」
戦治郎とアルバートが、戦治郎がヘモジーと呼んだ戦艦水鬼改に対して文句を言うのだが、ヘモジーはそんな事は知った事かと言わんばかりに薙刀を構えそう叫ぶ
「僕の事無視するなあああぁぁぁーーーっ!!!つか、今お前僕ごとこいつを斬ろうとしただろっ!??」
「むっ!?誰だ貴様っ!!!」
「認識すらしてねぇのかよてめえええぇぇぇーーーっ!!!」
「まさか貴様、俺と戦治郎の死合を邪魔しようと言うのかっ!!?だったら容赦はせんぞっ!!!」
「それはこっちのセリフだあああぁぁぁーーーっ!!!」
アルバートがそう叫ぶや否や、ヘモジーに斬りかかる。が、ヘモジーはそれを薙刀の柄で捌いた後、薙刀の石突をアルバートの腹に叩き込むのであった
その間に、戦治郎はこっそりとこの場から離れようとするのだが……
「逃がすかあああぁぁぁーーーっ!!!」
「チェストオオオォォォーーーッ!!!」
アルバートが痛みに耐えながら艦載機を発艦させ戦治郎の足止めを行い、その隙にヘモジーが再び戦治郎に突進し、その巨大な刀身を戦治郎目掛けて振り下ろす
「チクショオオオォォォーーーッ!!!」
戦治郎はそう叫びながら大妖丸を引き抜き、アルバートの艦載機を斬り捨てるなり右方向に跳躍し、ヘモジーの攻撃をギリギリのところで回避するのであった
こうして3人が三つ巴の戦いを展開していると、急に周囲の空気が冷たいものへと変わり、戦治郎に悪寒を感じさせる。それは他の2人も同じだった様で、3人は一時的に戦いの手を止めて辺りをキョロキョロと見回すのであった
そして戦治郎がウェーク島の方を向いた時、ある異変に気が付くのであった
ウェーク島の近くに、それはそれは巨大な黄金色の魔法陣が浮かび上がっているのである。それが一体何なのか、皆目見当も付かなかった戦治郎が首を傾げていると、突然大気が震えだし、巨大な何かが魔法陣の中から姿を現すのであった……
「シスター・エリカがやったのかっ!?」
「あん?アルバート、てめぇアレが何なのか知ってんのか?」
訳知りと思わしきアルバートの、この言葉を聞いた戦治郎が反射的にそう尋ねると
「誰がお前に教えるかっ!……と、言いたいところだが……、冥途の土産に教えてやるのも悪くないな……」
アルバートはドヤ顔でそう言うと、あの巨大な何かの正体について話し始め、ヘモジーは戦治郎に攻撃を再開するのであった
「あの方は僕達が崇拝する深海棲艦達の神の1柱……「あちょっ!?ヘモジーッ?!待ってっ!ハウスハウス!人が話を聞いてる時くらい大人しくしろっ!!!」「問答無用っ!!!さあ俺と死合おうぞっ!!!長門 戦治郎っ!!!」……、続けてもいいかな?」
「あぁんもうっ!!いいところでぇっ!!!いいよいいよ続けて続けてっ!!!」
アルバートが話し始めた途端、戦闘を再開した2人に冷ややかな目を向けながら尋ねるアルバート、それに対して戦治郎はヤケクソ気味にそう答え、ヘモジーは更に苛烈な攻撃を戦治郎に仕掛ける
「あの方は、僕達が崇拝する深海棲艦達が崇める神の1柱であるガタノトーア様だっ!シスター・エリカはこの地でガタノトーア様を召喚し、その力をお借りしてこの地球に巣食う腐れ切った人類を殲滅しようとしているのだっ!!!」
「お前ら何つぅモン召喚してんだよっ!!?ホントバッカじゃねぇのっ!??」
アルバートの話を聞いた戦治郎が、その顔を真っ青にしながらそう叫ぶ。戦治郎達がそうしている間に、アルバートがガタノトーアと呼んだ存在は、魔法陣から全身を現しウェーク島近海に降り立つのであった
戦治郎は驚愕の表情を浮かべながら、ガタノトーアの事を見ていたのだが、ある違和感を覚えてヘモジーの猛攻を凌ぎながら小首を傾げる
(あれがガタノトーアだったら、今頃俺は生きた石像になってるはずなんだが……、何で俺は石化してないんだ……?つかアレ……、よく見たら……)
戦治郎はヘモジーから間合いを取りながら、件のガタノトーアをじっくりと観察する。そして違和感の正体に気付くのであった
(間違いねぇっ!アレ、ガタノトーアって言うよりガタノゾーアだっ!!!ティガのラスボスだったウルトラ怪獣っ!!!ってどっちにしろヤベェ奴じゃねぇかっ!!?)
戦治郎が絶望する中、アルバートとも、ヘモジーとも違う女性の声が、辺り一帯に響き渡る
「ああっ!!ガタノトーア様っ!!!遂に我々の声に応え、この地に来て下さったのですねっ!!!さぁ、どうか我々に力をお貸し下さいっ!!!その力を以て、この穢れ切った世界を浄化して下さいませっ!!!」
アルバートがシスター・エリカと呼んでいる者が、叫ぶようにしてガタノゾーアっぽいガタノトーアに懇願する。それを聞いたガタノゾーアみたいなガタノトーアは、大気を揺るがせるほどの大きな声で、シスター・エリカの言葉に答える。そんな中、ヘモジーは戦治郎との間合いを詰め、果敢に攻撃を仕掛けるのだが、それらは全て戦治郎に回避されてしまう
「「「……はっ?」」」
ガタノトーアと呼ばれているガタノゾーアの返事を聞いた戦治郎、アルバート、シスター・エリカの3人は、思わず間抜けな声を出し、アルバートとシスター・エリカは呆然とし、戦治郎は流石に鬱陶しくなってきたのか、大妖丸でヘモジーの薙刀を刀身も柄もまとめて細切れにしてしまうのであった
何故この様な事態になっているのか……、それは戦治郎達がちゃんぽん要塞を発って北マリアナ諸島を目指して北上し始めた時まで遡る……