※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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2018/6/3 一部加筆しました


戦闘中毒者

「そこの野太刀を背負った者っ!かなりの手練れと御見受けするっ!!!」

 

「おいどうすんだ戦治郎、俺より馬鹿そうなのに絡まれたぞ」

 

「コラ輝っ!指を指すんじゃありませんっ!あいつの事は見なかった事にしなさいっ!」

 

馬鹿デカイ声で話し掛けて来る戦艦水鬼の様な深海棲艦の方を指差しながら輝がそう言うと、戦治郎は輝を叱りつけながら輝のその腕を掴んで強引に降ろさせる

 

「とは言ってもよぉ、奴さんおめぇさんの事御指名だぜぇ?」

 

「んなもん無視無視っ!それより翔の事が心配だっ!」

 

悟が戦治郎に尋ねると戦治郎はこの様に返し、それを聞いた海賊団の面々が頷いて問題の深海棲艦を無視して、拠点に向かおうとするのだが……

 

「あいや待たれよっ!!!」

 

戦艦水鬼っぽい奴が叫びながら海賊団の前に立ち塞がる

 

「こっちはおめぇと遊んでる暇はねぇんだよ」

 

その様子を見た戦治郎が、若干苛立ちながらそう言うと……

 

「そうかっ!!!ではっ!!!」

 

戦艦水鬼モドキはこの様に返しながら、その手に握った長大な鉄パイプを構えるのであった

 

「いや、さっき俺が言った言葉の意味分かってるか?こっちは急病人が出てそれどころじゃねぇんだ、分かったらそこを退け……」

 

それを見た戦治郎は、苛立ちを隠そうともせずにそう言い放つのだが……

 

「知らんっ!分からん!どうでもいいっ!いざっ!!!」

 

戦艦水鬼みたいな奴はそう言って身を屈め、戦治郎に飛び掛かろうとするのであった

 

「……タイム、ちょっち時間くれ」

 

「ぬっ!?俺との戦いの準備かっ?!ならば認めようっ!!!」

 

そんな戦艦水鬼亜種に対して、戦治郎は諦めの表情を浮かべながらそう言って、海賊団を集めて話し合いを始めるのであった。その時戦艦水鬼変種は、鉄パイプを握ったまま海面に胡座をかいて座り込み、戦治郎達の話し合いが終わるのを大人しく待っていた

 

「もうヤダあいつ……、話が通じねぇ……」

 

「あいつ、どれだけ戦治郎と戦いたいんだよ……」

 

「戦治郎、俺が代ろうか?」

 

相手の態度に憔悴しきった戦治郎が呟き、余りにも好戦的過ぎる相手に光太郎が困惑し、空は戦治郎に交代を提案するのであった

 

「いや、こうなったらやってやるさ、って事でお前らは俺があいつの相手してる間に翔連れて拠点に行ってくれ」

 

戦治郎はこう言って空の提案を断り、面倒臭そうに大妖丸を引き抜いて件の戦艦水鬼と対峙し、その間に空達は戦艦水鬼奇種の横を通り過ぎて拠点へと急ぐのであった

 

 

 

「しかしあいつ……、一体何者だったんだ……?」

 

「シャチョーと同じ戦艦水鬼だと思ったッスけど、な~んか違ったッスよね~。主に前髪とか」

 

移動中、不意にシゲがこの様な事を言い、それに護が反応して返事をする

 

「言われてみれば確かに……、前髪もそうだけど艤装の方も何か違わなかったか……?」

 

「だな……、俺達が知っている戦艦水鬼の艤装には、あんな角は無かったはずだ……」

 

2人の会話を聞いた光太郎と空が話題に乗り、先程の戦艦水鬼の様なものについて話し始めるのであった

 

「えっと……、つまりどういう事……?」

 

話題に乗れない艦娘達を代表して、陽炎が空達にこの様に尋ねると……

 

「もしかしたら、さっきの奴は俺達が知らない深海棲艦である可能性があると言う事だ」

 

空がこの様に返し、その場にいた艦娘達を驚愕させるのであった

 

 

 

その後、空達は拠点のかなり近くまで接近するのだが……

 

「おかしいわね……、アタシ達がここまで接近しているにも関わらず、深海棲艦が1匹も出てこないなんて……」

 

剛が怪訝な顔をしながらそう呟き、罠である可能性を考慮して更に警戒心を高める

 

だが、空達が拠点の内部に侵入した時、空達はそれが徒労であった事を思い知らされるのであった

 

「……何これ?」

 

拠点内部に広がる光景を目の当たりにした川内が、驚愕の表情を浮かべながら思わずそう呟く

 

拠点の内部はそれはそれは酷く荒らされており、床には血溜まり、壁には大きな斬撃の痕、そして至る所に深海棲艦の死骸が転がっていたのである

 

「……今内部把握してみたが、生体反応は司令室にかなり弱ってるのが1つだけしかねぇ……」

 

「ならばそこに向かってみるか……、輝、案内を頼m「おぉっとぉ、それより先に医務室とかねぇかぁ?何時までも翔を背負ってるとよぉ、俺まで倒れちまいそうでよぉ」……、なら先に医務室の方へ行くぞ」

 

輝がボロボロになった壁から手を放しながらそう言うと、空が輝にすぐさま司令室までの案内を頼もうとするのだが、それを悟が遮って医務室の所在を尋ねて来るのであった

 

それから空達は翔を医務室のベッドに寝かせ、悟に翔の事を頼んだ後に司令室へ足を運ぶ。空達が扉が吹き飛ばされてしまっている司令室の室内を見渡すと、そこにはボロボロになった中間棲姫が横たわっていた……

 

「……さっき輝が言ってたのはこいつの事だね、辛うじて息がある」

 

光太郎が中間棲姫の容態を確認し、まだ息がある事を告げるとすぐにこの中間棲姫の手足を縛って拘束し、医務室に搬送して悟の治療を受けさせる

 

やがて意識が戻った中間棲姫がパニックを起こすのだが、それを悟が何とか静めると空達は中間棲姫の事情聴取を開始するのであった

 

その内容は、空達を驚愕させるには十分過ぎるインパクトを持っており、話を聞いた海賊団の面々は思わず愕然とするのであった

 

「飛行場姫様が転生個体の戦艦水鬼改を捕まえたから、私のところでしばらくの間預かっていて欲しいと頼まれたの。それで私はそいつを地下牢に幽閉してたんだけど……、預かってから2時間くらい経ったあたりだったかしら……?急にそいつが薬でもキメたのかって思うほどに、狂ったように『戦え!』って叫びながら暴れ出したの……。そしてそいつが私の部下を薙ぎ払いながら勢いよく司令室に飛び込んで来て、私を鉄パイプで殴って……、……ここから先の記憶は無いわ……」

 

「戦艦水鬼改……、そんな個体がいたのか……」

 

「それって……、今戦治郎が戦ってる奴じゃないのか?」

 

「それよりも、飛行場姫が何でそいつをここに預けたのかが気になるんですけど……」

 

空が、光太郎が、シゲが思い思いに言葉を口にする

 

「飛行場姫様の拠点があるミッドウェーに、艦娘が攻め込んで来るって情報を飛行場姫様がプロフェッサーとか言う泊地棲姫の転生個体から購入されたのよ。それで捕まえる時こちらにかなりの被害を与えたこいつを、本拠地であるミッドウェーに置いておくのは不味いと思ったそうよ。また暴れ出して被害が出たら艦娘どころの騒ぎじゃなくなっちゃうって」

 

「プロフェッサーですってっ!!?」

 

中間棲姫の言葉を聞いた剛が目を見開き、思わず身を乗り出して、叫ぶようにして中間棲姫に尋ねる

 

「剛さん、その転生個体について何かご存じなのですか?」

 

急に大声を出した剛に若干驚きながら不知火がそう尋ねると、剛はハッとした後プロフェッサーについて話し始める

 

「そいつはエデンのNo.2だった科学者よ……、とんでもない守銭奴で、人の命よりも金銭を優先し、金になると判断した物は持ち主を殺してでも奪う様なクソジジイだったわ……。情報を購入って言ってたのでピンと来たわ……、あのジジイは何するにしても金を要求していたからね……」

 

「そいつもこっちに来てるんッスか……、って事はもしかしてこっちでもアリーさんと……?」

 

剛の言葉を聞いた護が剛に尋ねると、剛は短く「恐らく……」と答え、俯き黙り込んでしまうのであった

 

「ちょい待ちっ!?何でプロフェッサーっちゅぅ奴が大本営がミッドウェーに攻撃仕掛けようとしてたん知っとるん?!おかしいやろっ!??」

 

「もしかして、日本海軍の中にそいつと繋がってる奴がいるって事……?!」

 

不意に龍驤がプロフェッサーが大本営の作戦の情報を握っている事について指摘し、それを聞いた天津風が大本営に内通者がいる可能性を危惧する

 

天津風の言葉を聞いて、不安に駆られる海賊団が沈黙していると……

 

「ねぇ、そろそろいいかしら?情報提供する代わりに解放してくれるって約束だったわよね?」

 

中間棲姫がそう言って、身じろぎし始めるのであった

 

その後、空は思った以上に情報提供してくれた中間棲姫を解放し、海賊団の面々に拠点の掃除を開始する様に指示を出した後、今までの話をまとめる為に思考を巡らせるのであった

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