自分達が今やらなくてはいけない事を洗い出した海賊団は、すぐに話し合いをし班分けを開始するのであった。その結果……
食糧の管理……龍鳳、扶桑、龍驤
翔の回復を見守る会……悟
拠点の防衛&強化……戦治郎、輝、藤吉
グループA……空、護、摩耶、木曾、阿武隈、天津風、夕立
グループB……光太郎、剛、望、瑞穂、不知火、時雨
グループC……通、シゲ、司、川内、神通、陽炎、江風
この様な班分けがなされるのであった
食糧の管理担当は基本この3人で固定され、主な仕事内容は文字通り現在拠点の厨房の冷凍庫と冷蔵庫に保存している食品の管理となっている。また、もしかしたら誰かがつまみ食いを働く可能性もある為、それの防止もこの3人にお願いしているのである
見守る会も基本悟のみでやる事になっている、主な仕事内容は翔が目覚めた際すぐに全員に知らせ、翔に現状を説明する役となっている。また、グループA~Cのメンバーが負傷した時もすぐに動いて負傷者の治療にあたる事にもなっている為、基本悟は医務室から動かない事になっている、まあこれに関してはいつも通りと言えるのだが……
拠点の防衛&強化についてだが、これはこの拠点がある場所の都合やっておいた方がいいのでは?と言う意見が出た為追加されたものである。事実、このウェーク島はミッドウェー島と北マリアナ諸島に挟まれた場所にある為、もしかしたら近い内に強硬派深海棲艦の襲撃があるかもしれない、しかも最悪のケースではその双方から挟撃される可能性まであるのである。尤も、空はその可能性は低いだろうと予測しているが……
何故空はそう言えるのか、その根拠を戦治郎が尋ねると空はその根拠を1つずつ挙げていく
①意識を取り戻した中間が、空達の姿を見るなり「噂の海賊団が攻めて来た」と言ってパニックを起こした事から、この辺りに生息する強硬派は海賊団をかなり警戒しているのではないかと思えたから
②現在ミッドウェーの強硬派は、プロフェッサーからもたらされた情報を基に日本海軍との戦闘に備えて準備を進めているそうで、ここで下手に海賊団にちょっかいを出して戦力を無駄に消耗してしまう様な事は、出来れば避けたいところだろうから
③それ以前に羅針盤やGPS、通信機などがまともに使えなくなってしまっている上に、方向感覚まで狂わされる様になってしまったこの海域を、強硬派が迷う事無く航行出来るとは思えないから
③の『強硬派が迷う事無く航行出来るとは思えない』と言い切った部分については、事情聴取の際に空達が中間に今の海と空の状態について尋ねたところ、中間もそれについては初耳だと狼狽えながら返して来たからである
空はこれらの根拠を基にして、ここが襲撃される可能性は低いだろうと予測したのだった。それを聞いた戦治郎は納得はしたものの、もしかしたらがあった時に何も対策をしていないのは不味いだろうと言って、念には念をという事で最低限の拠点の防衛&強化を施す事を決定したのであった
そして最後のグループA~Cは
①釣りや採取や狩猟などを行って食糧の調達
②周辺の調査&ワ級を見かけた場合襲撃して物資を奪う
③休息
これらの役割のどれかを1つそれぞれのグループが担当し、1日交代でローテーションで回していく事になるのであった
こうして話がある程度決まり、今日は移動と戦闘で疲れたから明日から実行しようと戦治郎が言ったところで、再び戦治郎の腹の虫が先程よりも大きな音を鳴らした。そこで話し合いは終了して拠点の食堂に移動、食事を済ませると皆すぐに明日に備えて就寝するのであった
そして次の日、空達が狩猟してもいい動物がいるか調べてもらう為に太郎丸を連れて近くの森の中に入ったところを見届けた光太郎達が、近隣の島の調査の為にウェーク島を発つ
今回光太郎達はウェーク島から、迷子防止の為に戦治郎が作ったブイを海上に浮かべながら南へ移動し、マーシャル諸島方面を目指すのであった。その道中では敵と遭遇する事は無く、光太郎達は難なく目的地であるマーシャル諸島に辿り着くのだが……
「これは……っ!?」
光太郎達は偶々立ち入った森の中で、とても信じられないものを見つけてしまうのであった……
光太郎達が目にしたもの、それは首を斬り落とされ、腹を鋭利な刃物で裂かれ、大きな樹に打ち付けられた艦娘と深海棲艦の亡骸がそれぞれ2つずつ、そして祭壇の様なものに並べられたその亡骸達の頭部だったのである
「これはまた酷いわね……」
「これは……、祭壇でしょうか……?これを実行した犯人は怪しい儀式でもしていたのでしょうか……?」
その惨状を目にした剛が表情を歪め、瑞穂は首が並べられた祭壇の様なものを見て疑問を口にする
「瑞穂さんの推測は多分合ってるんじゃないかな……?皆、あそこを見て欲しいんだけど……」
報告用の写真を自前のカメラで撮影する時雨がそう言って、光太郎達を集めてとある場所を指で指し示す。時雨が指差す方向を目を凝らしてよく見てみると、そこには地面に赤い血で魔法陣の様なものが描かれていたのである
「冗談抜きで儀式してるのかよ……、この亡骸は差し詰め生贄って事か……?」
「そうなると……、この2人は自ら望んで生贄になったのでしょうか……?」
「望ちゃん、それってどういう……、ちょっと望ちゃんっ?!」
光太郎の呟きに望がこの様に答えた為、不思議に思った剛が望の方へ視線を向けると、そこには深海棲艦の頭を両手で持って観察する望の姿があったのである。それを見た剛はギョッとしてつい驚きの声を上げるのであった
「どうして望ちゃんはそう思ったのかな?」
光太郎がやや引きつった表情で望にそう尋ねると、望は光太郎の方へ生首を突き出しながら話を始めるのであった
「この深海棲艦……、正確には転生個体なんですけど……、この首の表情をよく見て下さい。何処となく誇らしげな感じがしませんか?」
「言われてみれば確かに……、そこはかとなく使命を全うした戦士の様な表情しているね……。って言うか望ちゃん、よくそんなの平気で掴めるね……?」
光太郎は望に言われた通りに生首を観察し、その感想を口にすると同時に疑問をぶつけるのであった。それに対して望は、「悟先生と医療チームの皆さんのおかげです!」と笑顔で元気よく返事するのであった。どうやら望は悟達に何かされたようだ……
因みに、望がこの深海棲艦が転生個体であると判断したのは、祭壇に付着していた血液が赤色だった為である
と、その直後である
「皆さん、これを見て下さい」
急に不知火が声を上げ、皆の視線を自分の方へ集める。不知火が全員が自分の方を見ている事を確認すると、すぐさま地面に描かれた魔法陣をその足で地面を削る様にして消そうとするのだが……
「魔法陣が……、消えない……?」
「はい、何度も同じ様にやってみたんですが、この魔法陣が消える事はありませんでした」
時雨が呟くようにそう言うと、不知火は1度頷いてから時雨の呟きを肯定するのであった
「もしかして、これが今この海域に起こっている現象と何か関係があるのかしら……?」
「生憎俺はこういうのの知識はサッパリなので何とも言えませんね……、取り敢えずこの事は戻ったらすぐに戦治郎達に伝えないとですね……」
剛が疑問を口にしたところで、光太郎がこの様に返し皆の顔を見回す。それに対して一同が同意とばかりに1度頷くと、光太郎達は情報をもっと集めようと近辺を細かく調査し始めるのであった
それから光太郎達はしばらく周辺の調査を行ったのだが、今持っている情報以上のものは出てこなかった為、適当なところで調査を終わらせブイを辿って拠点に戻った訳なのだが、そこで驚愕の事実を空の口から知らされるのであった
そう、食糧調達の為にウェーク島の森の中に入った空達も、光太郎達が見つけたものと似たような形をした儀式の跡を発見していたのである……