オッス、オラ戦治郎!
ゲームの真似して鉄パイプで斬りかかったら本当に相手が斬れたときはビックリしちまった! 気合さえあればどうにかなるもんなんだなぁ!
ん? 何でこんな事言ってるかって?
俺、今絶賛檻の中、現実逃避もしたくなるわ……、こればっかりは気合じゃどうにも出来ねぇわ……
何でこうなったかと言えば、時間をちょっち遡る
「第2回長門屋波打ち際会議~」
「「「「「「「「「「「「「「うぇーい」」」」」」」」」」」」」」
今回は太郎丸、大五郎、弥七も合わせて全員返事してくれたな、おっちゃんちょっぴり嬉しい
深海棲艦に接触する作戦はものの見事に失敗に終わってしまった
俺達の方はル級切断事件の後護と司がリ級を追いかけたものの、結局逃げられてしまった
空達の方も同じ様なもので話しかけたら敵認定されて戦闘開始、違いがあるとしたら空達のチームの方がド派手に戦った上に血が流れた回数が多かったくらいか……
具体的に言えば、相手編成はヲ2ル1ヘ1ニ2とこっちより重めの編成、航空戦は空と弥七の艦載機で応戦という名の蹂躙が行われたそうだ、特に空の飼い猫達が大暴れした模様
ヲ級達が第二航空隊を発艦させようと帽子の口を開けたところに、空とシゲがいつの間にか捕まえていたニ級達を投げ込み発艦を妨害、投げ込んだ直後に2人は走り出しヲ級達の頭に前方回転飛び踵落としなどというキックを叩き込みヲ級の帽子でニ級達を噛み千切らせる、ヲ級達が踵落としのダメージでふらついているところにクロとゲータが顔面に砲撃を直撃させ沈める、惨い!
そちらに気を取られてしまっていたル級は弥七の接近を許してしまい、飛び掛かった弥七に喉笛を噛み切られ絶命、逃げ出そうとしたヘ級は六助、光太郎、通に回り込まれてしまい弥七の尻尾も合わさって砲撃をしこたま浴びせられ撃沈されたそうだ
俺もル級の返り血で真っ青になってたけど、俺よりもっと返り血塗れになって帰ってきた空達を見てドン引きした
ただ、全く収穫が無かったかと言えばそうでもない
俺達が出撃している間に輝達が沈没船の甲板を使って小屋を建てていたのだが、その時藤吉がほんの少しだが怪我をしてしまったのだ、悟がすぐに処置したそうだがその傷口から流れた血の色は赤だったとの事
そしてそこに深海棲艦の返り血で血塗れになった俺達が戻ってきて、血液の色が俺達と交戦した深海棲艦とで違うという事実が発覚した
そこに奴らが口にした『転生個体』という単語を思い出し報告したところ話し合いが始まったのだった
取り敢えず分かった事と言えば、俺達は深海棲艦から『転生個体』と呼ばれる普通ではない深海棲艦であり普通の深海棲艦とは敵対関係にあるらしい事、現状で分かっている違いは血液の色程度で転生は赤で通常は青という事くらいであった
ダメだ、分からない事がやっぱり多すぎる……
こうなったら仕方がないという事で、前回剛さんが言った案を採用し俺はドイツに、通はイギリスに潜入する事になった
海に潜って陸に接近し、人気がなくなった港から侵入したわけなんだがちょっち警備ザル過ぎやしませんかねぇ? 駆逐艦のソナーにひっかかるんじゃないかとヒヤヒヤしてたんだがそれっぽい影もないんですがそれは……
まあ潜入し易かったからいいか、ここに来る前に司が作ってくれた額の角を誤魔化す帽子を被って移動を開始する、どうせ隠せないならって事で反対側にも同じ様な角付けた帽子……、これ絶対目立つだろうな~……
所持金も何もないので図書館に直行する俺、ここならきっと無料で新聞とか文献とかあるだろうし情報集めも出来るだろう、パソコンあったらパーフェクトなんだが贅沢言ってられんか……
ドイツは図書館も有料なのかよ……、これじゃあ落ちてる新聞か小銭探すしかねぇじゃねぇかチキショウ……
そんな事をボヤキながら道端に何か落ちてないか探しながら歩いていると、前からどっかで見た事ある気がする女性が歩いてくる、邪魔にならんように脇に避けてすれ違ったのだが……
「動くな」
歩みを止めてゆ~~~っくりとそっちを見てみれば、やっだあの人こっちに拳銃向けてるじゃないですかー! やだー!
両手を上げて降参のポーズ、言われるままに両手を後ろに回して地に伏せると腕に何か取り付けられる、アカンこれ……
女性は何処かに通信を入れ、駆け付けた軍用車両に乗せられて俺は強制連行と相成りました……
そして思い出す、そうだどっかで見たと思ったらこいつビスマルクだよ……、って事はこの車の行先は軍事施設って事か……?
っとまあこんな感じで俺は軍事施設の檻の中というわけです、はい……
「こいつか? 街中を堂々と歩き回っていた深海棲艦というのは?」
「ハッ、市民の通報を受けて向かったところにこいつが道端で何かを探しているところを発見、拘束し連行しました」
お偉いさんの登場か? 一緒にビスマルクもいる見てぇだが……、さてどうしたもんかなぁ……、鉄パイプは邪魔になるから置いてきちまったし、つか下手に暴れるとこっちの状況が悪くなるだけだし大人しくしとこう……
「よろしい……、おい、貴様にいくつか質問をする、正直に答えろ」
「おう、俺が知ってる範疇でならいくらでも答えてやらぁ、どうせ拒否権なんざありゃしねぇんだろ?」
ドイツ語で答えてやった、奴さんちょっちばっかし驚いてやがらぁ
「貴様! 口を慎め!」
ビスマルクが叫ぶがそんな事知らん、だってこいつがお偉いさんなのは分かるけど今の俺にはそいつに畏まる義理も何もねぇかんな
「構わん、それで、貴様は深海棲艦で間違いないな?」
「見て分かんねぇか?」
煽ったらビス子が檻を蹴った、そんなんでビビる程肝はちっこくねぇんでな
「よせ、下手に刺激するな……、失礼、では貴様を深海棲艦として扱う、貴様らの本拠地は何処だ? 規模はどのくらいだ?」
「それはこっちが聞きてぇんだよなぁ……、何分俺も生まれたばっかなんでな、世界情勢やら何やら全く分かんねぇってのが正直なとこなんだわ」
お、怪訝な顔しとる、でも言ってる事は本当なんだよなぁ……
「それらを調べる為に上陸して新聞でも拾えたらって思って歩いていたらコレだよ、沈没船から金拾って図書館にでも行くべきだったかねぇ?」
「ふざけるのもいい加減にしなさい! 貴方自分の立場が分かっているのっ! 嘘をつくにしてももっとマシな嘘をつきなさい!!!」
ビス子が遂にキレる、まあキレるだろうなぁ、でもよぉ……
「立場もクソもあっかボケェッ!!! こちとら東京町田で職場の部下達と野郎ばっかでクリスマスパーティーやってたらいつの間にか海の上! 気付けば身体も男だったのに深海棲艦になってるわ深海棲艦に攻撃されるわでマジで自分達に何が起こってるか分かってねぇんだぞゴラァッ! 嘘つく余裕だってこれっぽっちもないんじゃクソッタレっ!!!」
俺もブチギレて捲し立てる、分からねぇ事が多過ぎて正直イライラしてたのもある、島に置いてきた仲間達の事も気がかりだったりする、簡単に捕まった自分に憤りも感じる、そんな状態でコレだからつい爆発しちゃった
ビス子は気圧されて後退りしとる、お偉いさんの表情は……、あ、これ何かまだ聞きたい事あるって感じだわ
「同胞に攻撃されたと言うのか?」
「あっちは俺達の事を仲間とも思ってねぇみてぇだな、『転生個体』だとか言って攻撃仕掛けてきやがった、俺が上陸して調べものしようとしたのはさっきも言ったが世界情勢とこの『転生個体』って奴の事を知る為なんだわ」
流石にこれには驚いているな……、俺らもそうだったもん
「『転生個体』……? 聞き慣れない単語だな……、それについては何か知らないか?」
「さっき分かんねぇから調べに来たって言っただろうが……、でもまあ、1つだけ分かってる事があるわ、だがその前にだ、あんたは深海棲艦の血液の色って知ってるか?」
ビス子は何を言ってるんだ?って感じだなおい、でもこのお偉いさんの雰囲気からすると……
「確か青い血液だったか……、駆逐級の深海棲艦を捕獲し研究チームに送ったところ解剖結果でそのような報告を受けている」
OK、ならばと俺は腕を拘束している物体を無理矢理引き千切る、ビス子が驚き警戒するも俺は一切気にも止めず自分の腕に爪を立て勢いよく引っ掻く
この爪すっげぇ鋭いからな、簡単に刺さってくれたわぁ……、地味に痛ぇ……
その引っ掻き傷から流れる赤い雫を見て、お偉いさんはようやく驚愕する
「これが奴らの言う『転生個体』と普通の深海棲艦の違いみたいだぜ?」
「これは一体……、貴様……、いや、君は一体何者なんだ?」
俺か? 俺の事か? だったら答えてやらぁ
「長門 戦治郎、日本の修理屋経営者だった男だ、覚えとけ」