「大五郎っ!?大丈夫かっ?!」
大五郎に庇ってもらったおかげで難を逃れた戦治郎が、大五郎の腕の骨を抜き取った双子棲姫の白い方を派手に蹴り飛ばして自分達から無理矢理離れさせ、大慌てで大五郎の下へ駆け寄り声を掛ける
「ご主人の方は無事だったみたいだぁね……、よかっただぁよ……」
骨を抜き取られた腕から夥しい量の血を流しながらも、大五郎は自身の主人の無事を確認すると、激痛を堪えている為か途切れ途切れに返事をする
戦治郎と大五郎がこの様なやり取りを交わす中、問題の双子はと言うと、白い方が先程抜き取った大五郎の腕の骨を振り回して遊び始め、その様子を見ていた黒い方が自分も遊びたいと思ったのか、大五郎の腕の骨に飛びついて両者は腕の骨の奪い合いを始めるのであった
「ばっきゃろうっ!!!俺の事より自分の事を心配しろっ!!!」
戦治郎はそう言って大五郎の応急処置を始め
「直感を無視してたら、俺達もこうなっていたのか……」
「下手に仕掛けて、カウンターで頭蓋骨や肋骨引き抜かれてたらヤバかったな……」
大五郎の腕が抜き取られる瞬間を目の当たりにした摩耶と木曾が、冷や汗を流しながら互いにそう呟く
「下手に近寄れねぇって、この面子だと厄介過ぎんだろ……」
件の双子をしっかりと見据えながら、輝がそう呟いて舌打ちする
当の双子はと言うと、骨の奪い合いをしていたら尺骨と橈骨が分離してしまった事で、白い方と黒い方両方に骨が行き渡る事となり……
「ウキー!ウキキー!」
「ウキャキャ!キキー!」
双子はこの様な声を上げながら、輝達の前で満面の笑みを浮かべながら、大五郎の骨でチャンバラを開始するのであった
と、その時だ
「てめぇら……、大五郎にこんな仕打ちしておいて……、タダで済むと思ってんじゃねぇぞ……?」
大五郎への応急処置を済ませた戦治郎が、ヨイチさんを片手にユラユラと身体を左右に揺らしながら、そう呟いて双子の方へと向き直る。そして次の瞬間……
「くたばれオ"ラ"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"---っ!!!」
戦治郎は咆哮を上げながらヨイチさんを双子に向かって発射する
「「ウキ?……キキャーッ?!」」
チャンバラ中の双子が戦治郎の叫びを聞いて、何事かと思い不思議そうな顔をしながら声の方へと顔を向け、自分達に迫りくる砲弾の嵐の存在に気付くと大慌てで逃げ惑い始めるのであった
「木曾っ!」「ああっ!」
摩耶の呼び掛けにすぐに反応する木曾、そして2人は戦治郎に加勢する様に自分達の艤装に取り付けられた主砲を双子に向かって撃ち始める
「ウキャー!?キャッキャー!!」
「ウキキャー!キャキーッ!!!」
戦治郎達が放つ砲弾の嵐に動揺した双子が、何か話をし始めた様だが何を言っているのかさっぱり分からない……
「これでも……、喰らいやがれえええぇぇぇーーーっ!!!」
と、そんな中、輝がバルディッシュの刃をオーバースローで投擲し、その時の身体の回転を利用して素早く背中のハンマーを引き抜いて、自身の艤装を思いっきり殴り飛ばす
「キッキキーっ!?キキキーッ?!」
「キャキャキー!!kべぶらっ!!?」
その様子を見ていた双子が、驚いた様子で会話をし輝の攻撃を急いで回避しようとするのだが、戦治郎達の砲撃に阻まれて上手く回避出来なくなってしまい、結局白い方が目測速度500km/hで迫り来る、重量440tオーバーにもなっている輝の艤装の直撃を受けて、大五郎の骨を持ったまま豪快に吹っ飛ばされてしまうのであった
「キキャキーッ?!?」
「他人の心配たぁ余裕だなぁっ!!!え"ぇ"お"い"ぃ"っ!!?」
驚愕の表情を浮かべながら、お星様となってしまった白い方が飛んで行った方へ顔を向けていた黒い方へ、戦治郎が鬼の形相をしながらそう言い放ち、これでもかと言うくらいにヨイチさんの砲弾を叩き込む
それでも黒い方は、苦い表情を浮かべながらも何とか戦治郎達の攻撃を回避し耐え凌ぐ。しかしそれも時間の問題の様で、時間が経つに連れてその表情に疲労の色も混ざり始める……
「第二打、いっくぞおおおぉぉぉーーーっ!!!」
そんな事をしていると、どうやら輝の艤装ノックの準備が整った様だ
「やれ、輝うううぅぅぅーーーっ!!!」
「おっしゃあああぁぁぁーーーっ!!!」
戦治郎の号令の下、輝が先程と同様に艤装をハンマーで殴りつけて、黒い方目掛けて艤装を打ち出す。それを目の当たりにした黒い方が、悔しそうに顔を歪めたその時だ
「デュフフ……、帰りが遅いと思ったらこんなところにいたんですなぁ……、さぁ帰りますぞボーン、ここは飛行場姫様が立ち入り禁止に指定した場所ですぞ?長居していたら某が怒られてしまいますぞ?」
突然海の方から海峡夜棲姫が姿を現すなり、そう言いながら懐から取り出した小袋を黒い方の足元に投げつける。無事に小袋が黒い方の足元に届いた事を確認した海峡夜棲姫が、何やらブツブツと言い始め……
「さぁ皆さん、ボーンの壁となるのですぞっ!」
海峡夜棲姫がそう言い放った直後、小袋が急に足元の砂などを勢いよく吸い始め、それが止まるや否や小袋が弾け飛びその中から大量の深海棲艦や、真っ白な肌をした艦娘が飛び出して来て、ボーンと呼ばれた双子の黒い方の前に群がり始めるのであった
そして輝が打ち出した艤装は、その深海棲艦と艦娘の塊に直撃すると勢いが完全に殺されてしまったのか、その場で完全に停止してしまうのであった……
「「「「はぁっ?!!」」」」
その光景を目の当たりにした4人が、輝の艤装が激突したショックで弾け飛び、空中に舞い上がった深海棲艦と艦娘の肉片が飛び交う中、驚愕のあまり揃ってこの様な声を上げる
「デュフフフフ……、皆さん驚いておりますなぁ……、本当はここで挨拶の1つくらいしておくものだと思いますが、そんな事をして飛行場姫様の機嫌を損ねてしまえば、飛行場姫様のおみ足をスリスリすると言う某の野望が達成出来なくなってしまうかもしれませぬからなぁ……、デュフフフフ……」
愕然とする戦治郎達の様子を見ながら、海峡夜棲姫が不気味な笑い声と共に気持ち悪い発言をする。そして……
「さぁ、今の内に帰りますぞボーン、スカルの方はちゃ~んと某が助けておいたので心配する必要はありませんぞ?っと言う訳で某達はこの辺りでドロンさせてもらいますぞ。デュフフフフフフフフ……」
海峡夜棲姫はそう言うと、ボーンを連れてウェーク島から離れていき、その途中でこちらに振り向きもせず、背を向けたまま指を鳴らすと、先程出現した深海棲艦と艦娘の群れは砂となりボロボロと崩れ出すのであった……
「……何だったんだありゃ?」
輝が呆然としながらそう呟くと
「俺達にも分からねぇよ……」
「喋り方がウザくて、言ってる内容もキモいってのは間違いないけどな……」
唖然としたまま木曾と摩耶がそう返す、と、その時だ
「危機が去ったんならこれ以上ここにいる義理はねぇ!輝は大五郎運ぶの手伝え!木曾と摩耶はさっきの奴が残した小袋とその小袋から出て来た奴らが崩れた時出て来た砂を、ほんの少しでいいから回収しておいてくれっ!!!」
戦治郎が大声で指示を出し、木曾と摩耶が言われた通りに小袋と砂を回収すると、戦治郎達はすぐさまこの場を離れ、拠点へと大急ぎで戻るのであった
その後、拠点に戻った戦治郎は悟と寝ているところを叩き起こした空と協力して、大五郎と阿武隈達のおかげで元の記憶と姿を取り戻した駆逐棲姫、白露型駆逐艦5番艦 春雨の腕に入れる人工骨格を作ると共に、先程回収した砂の分析を行った
その結果、この砂の中には微量ながら深海棲艦と艦娘の骨粉が混ざっていた事が判明するのであった……