※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

277 / 655
天龍達を助け隊

春雨が所属する泊地が判明した途端、海賊団全員が一斉にやる気になった

 

今この瞬間を以て春雨とその仲間達は、自分達が襲撃を仕掛けようとしている桂島泊地の提督の悪事を知るだけでなく、直接的な被害者であり重要参考人となったのだ

 

桂島提督の悪事を白日の下に晒し、提督を公正な裁きの場に突き出し、しっかりとした罰を与えてもらおうとしている戦治郎達にとって、春雨達の様な存在は喉から手が出るほど欲しかった存在なのである

 

そんな彼女達が今、命の危機に瀕している……。桂島の提督を追い詰める為の重要な証拠が、春雨にとってとても大切な仲間がこの世界から消されそうになっている……。それだけは何としてでも阻止せねばっ!海賊団はそんな思惑と思いを胸に一丸となったのである

 

その後、戦治郎はグループCを一度解散させ、シゲ、川内、陽炎をグループAに、通、司、神通、江風をグループBに編入、そしてグループAの空が戦治郎と、グループBの望が悟と交代した2つの艦隊を編成する

 

望と悟の件は兎も角、何故空と戦治郎が交代したのか……、理由をぶっちゃけてしまえば空を少々酷使し過ぎた為である。戦治郎が部隊編成を全員に伝え、今から準備を始めるかと皆が席を立った時、立ち上がった空がヨロリとよろめいたのである。それを見た戦治郎は空に対して酷使した件を謝罪し、空と自分が交代する事を決定したのである

 

その際、空は司に連絡要員としてベアを一時的に預けた。これは未だに使える状態になっていない通信機の代わりに、言葉を話せる艦載機を用いて情報の伝達を行おうという提案が可決された為である

 

そうして準備が整った海賊団は、すぐに海に飛び出し天龍達の捜索を始めた

 

戦治郎達はこのサイケデリックな色をした海を長い時間駆け回り、燃料が尽きそうになれば1度拠点に戻って燃料を補給して再び海へ出る。それを幾度となく繰り返したのである

 

そして……

 

「いたあああぁぁぁーーーっ!」

 

グループAがタラワ島付近で、48隻ほどの深海棲艦に攻撃される天龍と六駆の姿を発見したのである

 

「春雨が言ってたメンバーと一致するっぽい!多分あの人達で間違いないっぽい!」

 

「多分なのか、間違いないのか、それっぽいのかハッキリしなさいよっ!!!」

 

戦闘態勢に入る夕立が放った言葉を聞いた天津風が、夕立と同様に戦闘態勢に入りながらツッコミを入れるのだが、当の夕立は天津風の言葉を無視して今にも砲撃をしようとしているリ級に向かって一気に加速して間合いを詰めるなり、勢いよく飛び掛かるのであった

 

「ぽいっ!!!」

 

夕立はリ級に飛び掛かった際、空中で己の身体を4回転半ほど回転させ、その勢いを乗せた回し蹴りをリ級の側頭部に叩き込んだ。そう、これは空がショートランド泊地でヌ級と戦った時に使用した【クワドラブル】である、夕立はアグの件でこの技を空から教えてもらったのだ。夕立の【クワドラブル】の直撃を受けたリ級の頭部は、ブツリと言う音を立てながら首から千切れ、豪快に飛んで行ってしまうのであった

 

夕立の突然の乱入に動揺し狼狽え始める深海棲艦、そして駆逐艦が重巡を蹴り殺すというとても信じられない様な光景を目の当たりにして、思わず愕然とする救助対象である天龍と六駆の4人……、彼女達が混乱する中……

 

「隙だらけだぜっ!!!」

 

「もらったぁっ!!!」

 

「喰らいなさいっ!!!」

 

夕立に続くようにして、摩耶、木曾、天津風が攻撃を仕掛けた

 

摩耶は海面をスケートの様に弧を描く様に滑りながら敵陣のド真ん中に突っ込み、自分の身体をクルクルと回転させながら砲撃を行い、広範囲に正確にその砲弾をばら撒いて次々と相手を沈めていく。また、相手が放った艦載機には視線を送る事もせずに、容赦なく機銃や高角砲の弾を浴びせ、見る見るうちに海面に艦載機の残骸の山を築き上げていく

 

木曾は魚雷を大量に発射して相手の退路を粗方絶ち、魚雷のせいで動けなくなった、或いは魚雷を回避した深海棲艦の懐に潜り込んで相手をバッサバッサと斬り捨て、自身の斬撃を避けた相手にはすかさず予め射出しておいた甲標的から雷撃を行い、確実に相手を仕留めていた

 

天津風は巨大な盾を構えて相手に激突、相手の身体の凹凸を真っ平らにしながら木曾が放った魚雷の射線上に相手を吹き飛ばしたり、吹き飛ばした相手に向かって盾に取り付けられた魚雷発射管から魚雷を発射して攻撃を仕掛けたり、味方や救助対象に向けて放たれた砲撃の射線上に割って入り、その盾で砲撃を防いで回ったりと、攻撃とサポートの両面で活躍していた

 

ここでようやく深海棲艦側が我に返って、海賊団を迎え撃とうとするのだが……

 

「敵に気付かれずに(懐に)侵入するの、私的には十八番なんですっ!」

 

「これ、夜だったらもっとやり易いんだけどね~……」

 

「追撃よ、追撃っ!なんてね♪」

 

いつの間にか懐に潜り込んでいた阿武隈、川内、陽炎に奇襲され、深海棲艦達は更に混乱し始めるのであった

 

 

 

突如現れ自分達を追っていた深海棲艦に攻撃を開始し、瞬く間に深海棲艦の軍勢を半壊させてしまった艦娘達の戦いを呆然と見ていた天龍達が、ここでようやく我に返る

 

「何なんだあいつら……?」

 

「すごいね……、あれだけいた深海棲艦がもう半分になってしまっている……」

 

「一体何処の所属の艦娘なのかしら?」

 

戦艦も空母もいない編成で、48隻もいた深海棲艦達をあっという間に半壊させた彼女達を見て、天龍が目を見開きながら呟き、響が驚嘆の声を上げ、雷が疑問を口にする。すると……

 

「あいつらは長門屋海賊団の所属だ、よ~く覚えとけよ?」

 

「「えっ?」」

 

彼女達の背後から、雷の疑問に対しての答えが返って来る。不意に聞こえて来た声に暁と電が驚きながら振り向くと、そこには腕に入れ墨を入れた戦艦水鬼と、変なゴーグルをつけた防空棲姫、そしてやたらゴツゴツとしたグローブとレガースを装着した重巡棲姫が立っていたのである

 

「「なっ!?」」

 

「えぇっ?!」

 

「ひぃっ!?」

 

「はわわっ!?」

 

突如出現した姫級の深海棲艦達に驚愕する天龍達、そんな天龍達を見た戦艦水鬼はニヤリと笑うと……

 

「桂島の天龍と六駆だな……?ようやく見つけたぞ……」

 

そう言いながら天龍達に向かって手を伸ばす……

 

「何企んでやがんだてめぇっ!こいつらには指一本ふれさせねぇぞっ!!!」

 

天龍がそう言いながら戦艦水鬼の前に立ち、折れた刀を構えるのであった

 

「そうか……、ならお前からだっ!!!」

 

戦艦水鬼はそう言うと、その手で天龍の肩を掴むと同時に、反対の手で天龍の太ももを掴んでその身体を持ち上げると……

 

「一名様ご案な~~~いっ!!!」

 

そう叫びながらすぐさま天龍を肩に担いで、自身の艤装の方へタッタカタッタカと走り出すのであった。そして艤装の方はと言うと自分の主人に背を向けるや否や、背負った箱を展開し始めるのであった

 

「あれは……、工廠にある機械のようだが……?」

 

箱の中身を見た響が疑問を口にすると、重巡棲姫がその疑問の答えを口にする

 

「ああ、響の言う通り、ありゃ工廠にある艤装修理用の機材だ。俺達はアレを使って、今からお前達の艤装を修理するんだよ」

 

重巡棲姫の言葉を聞いた六駆が驚きの表情を浮かべるのだが、それはすぐに消えてしまい、今度は怪訝そうな表情を浮かべるのであった

 

「あ、貴方達っ!一体何を企んでるのっ!?そんな事をして……、暁達に何をさせようと……」

 

「強いて言うなら、桂島の提督をやっつけるのに力を貸して欲しいってところッスかね~?」

 

暁が重巡棲姫に向かって虚勢を張りながら尋ねようとするのだが、その途中で防空棲姫が暁のセリフに被せる様にしてこう言い放ったのである

 

「司令官を……、やっつける……?」

 

「ホントどういう事っ!?私達に分かる様に説明しなさいよっ!!?」

 

「い、雷ちゃん……、落ち着いて欲しいのです……」

 

防空棲姫の言葉を聞いた響と雷がそれぞれに反応を示し、電は興奮する雷をあわあわしながらも宥めようとする。そんな中再び重巡棲姫が口を開き、その内容を聞いた六駆は思わず驚愕の表情を浮かべながら固まってしまうのであった

 

「お前達の事なら春雨から聞いた、俺達はお前達の仲間の、天龍を庇って沈んじまった春雨から頼まれて、お前達を助けに来たんだよ」

 

その時、戦治郎に修理してもらっている天龍もまた、戦治郎から事情を聞いて驚愕すると同時に、春雨が戦治郎達の手によって助けられたという事を知ると、ハコの中に設置してある診察台の上で喜びの涙を流すのであった

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。