※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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ウェーク島の食堂で

天龍達の身柄を無事に保護し、追跡者達を殲滅し終えた戦治郎達は、拠点に帰還するや否やすぐさま衰弱した天龍を医務室に搬送すると、戦治郎の解散宣言の下今日の海賊団の活動は終了し、通達の調査結果の報告や天龍達への事情説明を後日に回して、戦治郎を除く戦闘に参加した海賊団と暁達は、すぐに寝床へと潜り込み、今日の疲れを残さない様にしっかりと睡眠をとるのだった。戦治郎はそれを確認し終えるなり、1度食堂に立ち寄ってから明日の朝食を確保する為1人森の中へと入って行くのであった・・・・・・

 

それからしばらく経った頃、4人の艦娘が寝床から出てある場所を目指し、拠点の中を彷徨い歩き始めるのであった

 

「食堂は何処にあるのかしら……」

 

「こんな事になるなら、皆が起きている間に場所を聞いておけばよかったね……」

 

「だからと言って、それだけの為に今寝ている人を起こすのは忍びないし……」

 

ウェーク島の拠点内部を彷徨う4人の内の1人である暁がそう言うと、それを聞いたヴェールヌイと雷が言葉を続ける。と、その時彼女達の後を追っている電の可愛らしい腹の虫が鳴り

 

「お腹が空いたのです……」

 

電は恥ずかしかったのかほんのりと頬を紅潮させながらそう呟くのであった

 

彼女達は空腹感で目を覚まし、食べ物を求めて食堂に向かう為に部屋を出たのだが、ある程度進んだところで食堂の場所を教えてもらっていなかった事に気付き、こうして食堂目指して拠点内を彷徨い歩いているのである

 

そして、恥ずかしがる電を温かい眼差しで見ていた他の3人の腹の虫が、電の腹の虫に共鳴する様に鳴り響いたところで・・・・・・

 

「なんや、拠点内に響き渡っとった腹の虫は、君達のやったんか」

 

背後から急に話しかけられ、暁達は驚きのあまりにその身を震わせた後、慌てて声が聞こえて来た背後に視線を向ける。そこには扶桑と龍鳳と共に、今回海賊団の食糧管理を任されている龍驤の姿があった

 

「お姉さんは一体・・・・・・?」

 

「ウチは戦治郎さん達の世話になっとる龍驤ってもんや、よろしゅうな~」

 

ヴェールヌイが龍驤にそう尋ねると、龍驤は自分より背が低い暁達と目線が合うようにその身を屈めながら自己紹介をすると、暁達に握手を求める様に手を伸ばすのであった

 

龍驤が伸ばす手を暁が代表して恐る恐ると言った様子で握ると、龍驤は笑顔を浮かべながら暁の手を握り返してから1度頷くと

 

「ほな、食堂まで案内したるからしっかり付いてきぃよ~」

 

そう言って暁の手を引きながら食堂まで案内するのであった

 

 

 

「扶桑、龍鳳、すまんけどこの子らに何か作ってやってくれへんか?」

 

龍驤が食堂に入るなり声を上げると、食堂で談笑していた扶桑と龍鳳が龍驤達が立っている食堂の入口の方へと視線を送ると

 

「その子達は確か……」

 

「戦治郎さんが言っていた子達ですね、分かりました!すぐに持ってきますから、その間龍驤さん達は席の方で待ってて下さいね!」

 

「なら、私もお手伝いしますね」

 

「ありがとうございます扶桑さん、では……」

 

扶桑達はこの様なやり取りを交わした後、厨房の方へ入り早速調理を開始するのであった。その際、暁が扶桑の立ち振る舞いから何かを感じ取ったのは此処だけの話である

 

それから龍驤達は扶桑達に言われた通り席について料理が来るまでの間、お互いの事について話し始めるのであった

 

先ずは龍驤が自身が艦娘、それもドロップ艦になった経緯を話し、それから続けて戦治郎達との出会い、それからここまで来るまでに見聞きして来た出来事を身振り手振りを交えながら暁たちに話す。龍驤の話を聞く暁達は、時には団子の様に固まってその身を震わせて怖がったり、その目をキラキラと輝かせながら食い入る様にして龍驤の話を聞いたり、子供らしい可愛らしい声でお腹を抱えながらケラケラと笑ったりしていた

 

その途中で料理が出来上がり、扶桑達が暁達の目の前に料理を並べると、暁達は本当に食べてもいいのか?と言う思いを込めた視線を扶桑達に送る。それを見た扶桑達は笑顔を浮かべながら、了承の意味を込めて1度頷いて返すと、暁達は目を輝かせ、花の様な笑顔を浮かべながら扶桑達が作った料理を食べ始めるのであった

 

因みに、暁達が今食べている料理に使われている食材だが、これは光太郎達が確保してくれた魚介類と拠点に元からあった食材である。戦治郎が森に行く前に食堂に向かったのは、もし暁達が食堂に来たら拠点にあった食材を使っていいから、いいものを食べさせてあげて欲しいと頼む為だったのである

 

それからしばらくの間、暁達はそれはそれは美味しそうに料理を食べていたのだが、彼女達は突如その手を止めるなり、その瞳から大粒の涙を流し始めるのであった。突然の出来事に驚いた龍驤達が慌てて声を掛けると、暁達は零れる涙を止める事なく、桂島泊地で提督からこれまで受けて来た仕打ちについて、ポツリポツリと話し始めるのであった……

 

暁達が所属する桂島泊地の遠征部隊の食事は、作戦行動に参加する出撃部隊とは違いそれはそれは質素なレーションしか与えられていなかったのだとか……

 

その事で不平を漏らしたり、ノルマを達成出来なかったりしたら罰として暴力を振るわれた挙句、食事抜きにまでされたそうだ……

 

そして食事抜きにされた者に、自分の食事を分け与えようものなら連帯責任として食事抜きを言い渡された者が所属する艦隊のメンバーと、食事を分け与えた者が所属する艦隊のメンバー全員が、食事抜きにされてしまうのだそうだ……

 

その話が出たところで、暁が壊れたラジオの様にごめんなさいを連呼し始め、ヴェールヌイ達も暁の言葉を聞いた途端顔を俯かせてしまった……。どうやら過去に暁が先程教えてくれた事を実際にやらかしてしまい、天龍やヴェル達に迷惑をかけてしまったのだろうと、その様子を静かに見ていた龍驤が推測する

 

その後扶桑が暁を優しく抱擁し、「もう大丈夫ですよ」と囁きながら、未だにごめんなさいを連呼するその震える背中を優しく摩って何とか落ち着かせようとするのであった

 

「こんなん、翔さんが聞いたらマジギレしてまいそうやな……」

 

「桂島の提督には生きてその罪を償わせるつもりでいる戦治郎さん達の意に反して、怒りのあまり提督の事を殺してしまいかねませんね……」

 

暁達の話を聞いていた龍驤と龍鳳が、扶桑達のやり取りを眺めながらこの様な会話を交わした後にその光景を想像し、恐怖のあまり思わずその身をブルリと震わせる

 

それからしばらくの間、龍驤達は暁達が落ち着くのを待ち、彼女達が落ち着いたところで龍驤が暁達に向かってこう言い放った

 

「今まで苦労してきたみたいやな……、でももう大丈夫や、君達にそんなん強要するアホはここにはおらんし、そんなんがここに来てもウチらがすぐに追っ払ったるわ!せやから君達は、今は扶桑達が作ってくれた料理を安心して腹いっぱい食べて、疲れを残さんようぐっすり眠るんやで?ウチとの約束や!ええな?」

 

龍驤がそう言うと、暁達は再び涙を流しながら何度も頷いて返し、やや冷めて来た料理を自分達が満足いくまで堪能するのであった

 

と、その時だ

 

「おおおぉぉぉーーーいっ!!!お前ら見ろ見ろ見ろぉっ!!!こんなでけぇヘビ捕れたぞっ!!!」

 

戦治郎がこの様な事を叫びながら、その手に握る全長10m近くありそうな蛇の頭を食堂にいる扶桑達に見せつける様に突き出しながら、食堂の中に突入してくるのであった。それを見た直後、食堂にいた全員が大きな悲鳴を上げ、戦治郎はその悲鳴で叩き起こされた海賊団のメンバー全員から説教されるのであった

 

尚、戦治郎が捕って来た蛇は、海賊団のメンバーの明日の朝食になりました




多分戦治郎が捕まえた蛇は、強硬派深海棲艦がウェーク島を制圧する前に、南西諸島から来た貨物船に紛れ込んでやって来たアミメニシキヘビだと思われます
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